シャーロット 大反省
本当に良かった…。
何か方法がないか考えて続けていた。
ヴィーネは優し過ぎる。
国長になったのも私の選別を引き延ばす為だった。
それなのに、ヴィーネを恐れる人ばかり。
努力する人もほとんどいない。
殺したくて仕方なかった。
考える事を習慣づけようとしても、ヴィーネは国長としてしか考えなかった。
妹には仕事させないと言われて、自分の見落としていたものに気付いた。
気付いたのが余りにも遅過ぎる。
私は最低な母親だ…。
真祖になった時に国長を辞めさせるべきだった。
ヴィーネを赤ちゃん扱いすると決めたのだから。
命令した責任を感じていたヴィーネの為に国長のままにした。
そこから、既に判断を間違えている。
赤ちゃんに責任を負わせる母親はいない。
本当はヴィーネ自身のやりたい事を考えて欲しかった。
その為には国長の肩書が邪魔だったのだとよく分かる。
ヴィーネが目の前の人を助けてしまうのは分かっていた。
後先考えずに親切心のみで衝動的に助けてしまう。
考える事を習慣づけると共に親切心のみで助けた結果を見せようとした。
その結果、ヴィーネに多くの辛い経験をさせてしまった。
それでも、目の前に困っている人がいれば助けてしまう。
私はそれを直させようとした。
ヴィーネは子供に両親を飛ばす決断をさせてしまった事を悔いている。
自分が飛ばす事で責任を取るべきだったと。
私が能力を縛っているせいでヴィーネを余計に苦しませてしまった。
そのせいで、できる事も限られてしまうから。
それでも、国長として何かをしなければいけないと考える。
私はヴィーネを変えてしまうところだった…。
本来ならヴィーネが目の前の人を助けたとしても問題は無い。
助けた人が問題を起こしたら即座に対処できる力があるのだから。
ヴィーネが目の前の人を助けてしまうのは、甘さではなく優しさ。
私の教育は優しさを消そうとしていただけだった…。
ヴィーネが助けた人が問題を起こすのであれば、その場で注意する。
そして、私が適切な対処をしてヴィーネに教えてあげる。
それが、普通の母親だよ…。
ヴィーネが何も思い付かないと言うので、絶好の機会だと思い自身の望みを聞いてみた。
それは、私と寝ていたいだけだった。
分かっていたはずだよ…。
ヴィーネはそれを目的に国作りを始めたのだから。
甘えたい娘を突き放し続ける母親。
私はお母さんと真逆の対応をしていた事にも気付かされた。
国長として考えるのを止めさせる事ができるかもしれない。
とりあえず、考えるのを一旦中止にさせてみた。
それだけで、ヴィーネは妹の事を考え始めた。
どれほど追い詰めていたのだろう…。
国長を辞めさせると言ったらとても喜んでいた。
子供が失敗するのを分かっていて見ている母親がどこにいるの?
間違っていたら注意するべきじゃないの?
本心では辞めたがっていた国長を続けさせ、国長として考えるのを見過ごした。
赤ちゃんだと言っておきながら仕事も続けさせた。
完全に矛盾しているよ。
私の娘としてやりたい事を考えさせてあげるべきだった。
もしかしたら違う事を考えたのかもしれないのだから…。
今のヴィーネは自由になった気持ちになっている。
好きなように考えて好きな事をすればいい。
国長の肩書がなければその通りだったと思う。
私は本当に大馬鹿だ!
お母さんは私に何か仕事や責任を与えた?
20年以上も甘えさせてくれただけだよ。
2人の頭を撫でながら語り掛ける。
「これからは、私の娘として好きなように考えなさい。私が責任を取るから心配しなくてもいいよ」
「うん。分かったよ」
「はーい。何か考えてみるよ」
「但し、間違った事をしようとしたら、その場で注意するからね!」
「その方がいいよ。母さんの娘だからね」
「何をしたら怒られるか分かっているから大丈夫。それに、私は赤ちゃんだからね」
ヴィーネは私の娘として行動したかったんだね。
全然気付けなくてごめんね…。
「2人ともまだまだ赤ちゃんだよ。2人だけで国を作ったら赤ちゃん卒業かな?」
「5年間はこの国の事を考えるよ。命令した責任があるから」
「じゃあ、私も手伝ってあげるよ。2人で考えれば楽勝だよ」
国長を辞めても命令した責任は果たそうとしている。
ヴィーネはとても優しいよ…。
ウィーノも一緒だろうね。
2人で考えれば追い詰められる事はなくなる。
まずは、2人で遊んできなさい。
気分転換から始めよう。
「その前に2人で全力鬼ごっこで全力を見せてあげなさい」
「1年に1回は開催してあげないと卒業する学生が可哀相だね。ウィーノ、明日行こうか」
「姉さんは気が早いよ。私が体に慣れる時間は欲しいから明後日ね。組手に付き合ってよ」
ヴィーネに勝つのは無理だよ。
ウィーノは勘違いしているみたい。
これも勉強だね。
姉妹で切磋琢磨しながら楽しい毎日を過ごして。
私も混ざらないと駄目だね。
母の愛を教えてあげないと!
「2人で組手するんだ。体を慣らすのには丁度いいね」
「分かったよ…。明日は組手で明後日は鬼教官を煽り続けるから」
「恥ずかしいから母さんみたいな事はしないでよ。普通でいいからね」
「しないよ。あんなに恥ずかしい事ができるのは母さんだけだよ」
「そうだよね。母さんは特別だから。私たちには無理だよね」
「完全に馬鹿にしているね。いいから寝なさい!」
「はーい。おやすみー」
「おやすみー」
良かった…。
本当に間に合って良かった…。
私が娘の長所を潰すところだった。
母親失格だよ。
私こそ考えないと駄目だよね、お母さん。
【しっかりしなさい】
お母さんに怒られた気がしたよ…。
後にしか注意してくれないのはとても厳しいね。
絶対に同じ失敗はしない!
これから2人には私の娘として行動してもらう。
ヴィーネが変わらなくて良かったです。




