表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第5章 聖地シャーロット

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

342/425

ジェラルヴィーネ 穴埋め

私は怒って補佐室を消す事ばかり考えていた。

癇癪を起こした赤ちゃんだよね…。


マリアンネの子供たちは母親が国防軍の隊長になった事に違和感を覚えた。

そして、母親が何をしたのか問い詰めたのだと思う。


そんな事をさせてしまった。


あの時の現場にいなかったのに話の内容を予想した。

私が約束を破っていないという事まで説明してくれた。


母さんは全てを分かっていて私の希望に沿った助言をしてくれた。

補佐室を消す為にはどうすれば良いのかを考えて教えてくれた。


私が本気で飛ばしたいと言えば違った助言だったと思う。

だけど、自分で気付くべきだよ…。


子供たちに両親を飛ばす選択をさせてしまった。

あのように飛ばしてしまったら私の責任にはできない。


あの子たちに一生残る傷をつけてしまった。

本当に馬鹿だよ…。


怒って視野が狭くなっていると言われた。

視野を広く持てと言われた。


違うよ…。

もともと狭いよ。


目の前の出来事ばかり考えてしまう。

その先に何が待っているのかを考えていない。


母さんは私にこのような経験をさせたいの?

とても厳しいよ…。


母さんの厳しさがよく分かった。

でも、私がしっかりしていれば問題は起きない。


私が正しく助言を求めれば答えてくれる。

全部私が悪いよ…。


私が何をしたいのか明確には分からない。

でも、多くの不幸な子を助けたいと思っているのは間違いない。


本当は全て投げ出したいよ…。

でも、私の我儘で出来上がった国だから。


そして、私が国長だから。


広く視野を持って色々と考えて実行しよう。

目の前の出来事に囚われないようにしよう。


自分の駄目なところは十分に分かった。

何かを始める前にすべき事があるね。


マリアンネとディアナの穴埋め。

私が原因だからさ…。


「母さんは犯罪者や密偵を殺し続けるの?」

「そうだね。今の検問兵では対応できないからね」


「敵対した移住希望者はどうするの?」

「2人がいなくなったから検問兵では厳しいかもしれないね。ヴィーネはどうして欲しいの?」


「その前に聞いておきたいんだけど、母さんは飛ばされる予定の人の命も守るの?」

「今まで飛ばされる予定の人の命の危機なんてなかったね。国長としてヴィーネが決めていいよ」


「今から検問兵に会いに行くよ。母さんはどうする?」

「勿論私も行くよ。転移魔法(テレポート)


検問に移動した。


「やあ、お疲れ様。君たちの覚悟を聞きに来たよ。マリアンネとディアナは飛ばしたからいない。移住希望者が敵対する事があるのは知っているよね?」

「「はい…」」


マリアンネとディアナが飛ばされた事に臆したね。

まあ、検問兵だからね。


「移住希望者にどのように対応するのかもマリアンネから聞いている?」

「「聞いていません」」


予想通りだよ。

全く当てにしていない。


それでも、説明はするべきだと思うけどね。


駄目だね…。

飛ばされた人の事を考えるのは止めよう。


「今から話すよ。移住希望者と精霊信者とフェニックスを知っている人は追い返して。子供だけの場合や奴隷の子供だと思う場合は緊急用ボタンで呼んで。ここまでで質問はあるかな?」

「「ありません」」


「続きを話すよ。敵対した移住希望者と精霊信者とフェニックスを食べた事がある人は堀に落として。但し、敵対した移住希望者と精霊信者に子供がいた場合は脅迫して追い返して。もし、その人たちがフェニックスを食べた事がある場合は緊急用ボタンで呼んで。ここまでで質問はあるかな?」

「「ありません」」


どのようになるかは分かっている。

でも、君たち自身で答えてもらうから。


「今から君たちに大切な事を言うよ。敵対した人から君たちを守らない。相手は一般人だからね。さて、検問をするのか、橋の上げ下げと商人を商人組合所に案内する仕事。どちらがいいかな?」

「刺された場合はどうなるのでしょうか?」


最初の質問が刺された場合なんだね。

君たちは検問兵だよね?


「即死せずに緊急用ボタンを押した場合は助けてあげる。即死はどうしようもないね。どうする?」


「どうする?武装している俺たちが一般人に負けるか?」

「突然武器を出されたら分からないぞ。移住希望者が観光客を装う場合もあるし…」

「安全な仕事を選んだ方が良くないか?」

「検問兵が検問しないのか?それでいいのか?」


・・・・。


相談が長いよ…。

何を迷っているのかな?


「橋の上げ下げと商人を商人組合所に案内します」


予想通りだね。

でも、早く答えて欲しかったよ。


「君たちは今日から案内人ね。検問兵はいなくなったよ。そうだよね?」

「「その通りです…」」


「じゃあ、案内人の仕事を頑張ってね。母さん、商人組合所の所長室に行こう」

「はーい。転移魔法(テレポート)


商人組合所の所長室に移動した。


「やあ、エルヴィーラ。今は話をしても大丈夫かな?」

「ええ。ヴィーネ様でしたらいつ来ていただいても構いません」


「商人の登録はどんな感じかな?」

「偶に登録できる人がいるだけですね。ほとんどが奴隷を人だと思っておりません」


これも予想通りだよ。

今は都合がいいけど不愉快な世界だね。


「そっか。それなら、アグネスとエトヴィンを外出させても問題ないよね?登録できる商人だけを案内させるようにするからさ」

「はい。事前に確認が済んでいるのであれば揉め事は起こりませんので大丈夫です」


君にも教えておかないと…。

勘違いしたままでは可哀相だからね。


「良かったよ。そうそう、マリアンネとディアナは選別で飛ばされたよ。一応報告ね」

「そ、そうなのですか…。国防軍の隊長と秘書にして飛ばさないとばかり思っておりました」


「あの場面で飛ばさなかったから約束は守ったよ。その後にマリアンネとディアナは基準に満たなかったから飛ばした。選別する日は決めていないからね。国防軍の隊長と秘書にしたけど選別の基準に満たなかったよ。国防軍なら最低でも高等科と同等の力は欲しいからね。問題ないでしょ?」

「え、ええ。選別の日は決まっておりませんので問題ありません。ご報告ありがとうございます」


エルヴィーラも区長会議に参加していたからね。

選別の日を決めるのは母さんだよ!


「じゃあ、アグネスとエトヴィンに仕事してもらうね。検問で商人を選別してもらうよ。いいかな?」

「はい。2人の商人の選別でしたら安心できますので大丈夫でございます」


「それじゃあよろしくね。母さん、1階に行こう」

「はーい。転移魔法(テレポート)


商人組合所の1階に移動した。


「やあ、アグネス。エトヴィンと君に話があるから呼んできてくれないかな」

「はい。すぐに呼んできます!」


近くにいるから早いね。


「お待たせしました!」

「どのようなお話でしょうか?」

「君たちには検問で商人の選別をしてもらいたい。検問兵が検問したくないみたいだからお願いしたいんだよ。検問兵は案内人になったから選別で合格した商人は案内人にここまで案内させればいいよ。その他にも仕事を増やしても大丈夫かな?」


「「はい。問題ありません!」」

「追加の仕事を話すね。検問をして欲しい。入国禁止にするのは移住希望者と精霊信者とフェニックスを知っている人。入国禁止に敵対する場合は堀に落として。家族で子供がいた場合は脅迫して追い返す。敵対しなくてもフェニックスを食べた事がある人は堀に落として。フェニックスを食べた事がある人で子供がいた場合は緊急用ボタンで呼んでね。質問はあるかな?」


「入国禁止の家族に子供がいた場合は追い返すと考えれば良いのでしょうか?」

「そうだね。君たちが子供を殺す事は絶対にない。保護できそうな子供がいた場合や子供を殺さなければいけないと感じた時は緊急用ボタンで呼んで。緊急用ボタンは案内人から貰って使ってね。できそうかな?」


「「はい。問題ありません!」」

「アグネスとエトヴィンのお陰で子供の命が救えるよ。お願いね。母さん帰ろう」

「はーい。転移魔法(テレポート)


社に移動した。


「母さん、マリアンネとディアナのいなくなった穴は埋められたかな?」

「そうだね。埋めるどころか盛り上がったと思うよ。あの子たちなら私の仕事も減るからね」


犯罪者にも対応できると思うけど回復魔法が使える子が一緒にいて欲しい。

母さんが消してくれるなら無理をさせる必要は無いからね。


あの子たちなら任せた仕事に何も不安が無いよ。

子供を殺さなくてもいいから心の負担も少ないはず。


「今日のやり取りで助言はあるかな?」

「娘の成長を感じたよ!何もないよ」


成長していないよ!

穴埋めしただけだから。


「じゃあ、もう寝る!」

「はいはい。寝ようか」


母さんが布団を敷いてくれたらすぐに入る。

だって、すぐに抱きしめて欲しいから…。


「じゃあ、おやすみー」

「うん、おやすみー」


最低限の仕事はできたのかな?

母さんに抱きしめてもらうとできた気になるね。

成長速度が早いヴィーネちゃんです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ