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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第5章 聖地シャーロット

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閑話 アレクシア 疑問

この国は物凄いよ…。

様々な種族が暮らしている。


想像もできないような姿の人たちばかりだった。


ここまで多種多様な種族が暮らしているとは思わなかったよ。

個性的な種族ばかりだけど、何故まとまって暮らせるのかな?


ここに来てから不思議な事ばかりだよ。


一番の不思議は孤児院だね。

孤児院はいったい何なのだろうか?


子供を育てるだけの施設ではないと思う。


クリスティーネの発言は本気だった…。

刃物が刺さる事を想定している。

魔獣に食べられる事を想定している。


何がそこまでさせるのかな?


このままビアンカの授業を聞いていたら分かるの?

それとも、秘儀を覚えたら分かるの?


どれも違う気がするよ。


孤児院を知らないと分からない気がする。

この国の最大勢力で、最高戦力で、解決できない問題は無い。


あの言葉通りなら孤児院は何なの?


シャーロット様にとって大切な施設だというのは習った。

孤児院にいる同僚が途轍もなく強いというのは分かった。


何故そこまで強くなるのかな?

秘儀を覚えるだけで強くなる訳ではなさそうだよ。


子供たちも秘儀を覚えている。

そして、子供たちよりも大人の方が確実に強い。


やはり秘儀を覚えないと分からないのかな?

気になって仕方ないよ…。


だって、魔獣見学が待っているのだから。


おかしいよね?

同僚が魔獣見学をお願いしているんだよ?


人間は魔獣を避けるものじゃないの?

自分から近付くのは異常だよ。


「授業に集中できていませんよ。何か気になるのですか?」

「孤児院とは何なの?秘儀を覚えなければ分からないものなの?お酒飲みながら昔話を皆がする時があるけどクリスティーネは元王女様だよ。何で魔獣見学をお願いできるの?明らかにおかしいでしょ?子供を守る為に必要だと言っていたけど、その子供はドラゴンより強いと言うし、頭が混乱しているよ」


「なるほど。大切な事ですが秘儀を鍛えるのはとても過酷です。孤児院の子供たちは辛い過去を持っています。強くならなければ全てを奪われると身を持って知っています。ですので、途轍もない覚悟で秘儀を鍛えるのです。ドラゴンよりも強くなる程にです。私たちは子供を世話しますよね?秘儀を覚えた子供たちは私たちを見ます。基本的に大人は信用できないと思っている子供たちです。努力しない大人を信用する訳がありません。何故孤児院の子供が大人の言う事を素直に聞くと思いますか?それは、子供より大人の方が努力しているからです。クリスティーネは子供を守れないと言っていますが、既に子供よりも強いのです。では、何故魔獣見学が必要かというと実力が発揮できないからです。強くなっても実戦で役に立たなければ意味がありませんよね?クリスティーネは実戦で戦えるようになりたいのです」

「実戦は殺し合いの事だよね?孤児院ではそれが必要なの?」


言っている事は分かるけど何故実戦が必要なの?

子供を育てる施設だよね?


「犯罪者や魔獣と遭遇した時に子供たちは躊躇なく殺します。あなたは血塗れになった子供を見たいですか?この国に軍隊はありません。警備隊もいません。何かあった時に守れるのは私たちだけなのです。クリスティーネも言っていたように、この国の最高戦力は孤児院なのです。仮に軍が必要になった時、それは孤児院軍です。孤児院の卒業生と私たちが戦います。お2人は何もしなくても国が守れる仕組みを作ろうとされています。孤児院軍は必須になるでしょう。勘違いしてはいけないのが、孤児院は軍人を育てる施設ではありません。皆が自分の意思で戦うという事です」

「クリスティーネはそれを想定しているの?」


確かに軍隊も何もないね。

多種多様な種族が暮らしているだけだよ。


奴隷もいないし差別もない。

理想的な国を社のお2人が維持している。


それを、孤児院だけで維持できるという事なのかな?


「違うと思いますよ。クリスティーネは犯罪者から子供たちを守りたいだけだと思います。この国は平和ですが、物凄い数の犯罪者をシャーロット様が毎日のように殺しています。誰かが犯罪者を殺す必要があるのです。それを子供たちにさせたくないから実戦で戦えるように鍛えたいだけなのです」

「孤児院で働くには子供より強くて実戦で戦えるのが最低条件だという事かな?」


確かにこれ程の国に犯罪者が来ない訳が無い。

誰かが裏で殺しているに決まっているよ。


シャーロット様が殺すのを止めた時に備えるという事かな?


「子供を守る為には実戦で戦えないと意味がありませんからね。子供に守られたいのであれば必要ありません。ですが、孤児院で働く資格はありません。秘儀を覚えて中途半端な事をするのは許されません。それなら、潔く孤児院を辞めて他の仕事を紹介してもらうべきです。辞めますか?」

「辞めるつもりはないよ。子供より弱くいたいとも思わない。結局孤児院は何なの?」


「シャーロット様やヴィーネ様が大好きな人が集まっている施設です。大人も子供も関係ありません。好きな理由は人それぞれでしょうけど、大切なのは誰が一番好きかという事です。秘儀はシャーロット様が命懸けで生み出した技術です。秘儀の熟練度はシャーロット様やヴィーネ様の好きな度合いに直結します。孤児院としてはとても不愉快な話ですが、現在一番好きだと胸を張って言えるのはクリスタだという事です。この非常に残念な状況を打破すべく皆が秘儀を鍛えているのです」

「えっ?覚悟とか実戦とか色々な話があったけど、最後はそこなの?」


余計に分からなくなるよ…。

秘儀でシャーロット様を好きな順番を決めているの?


混乱するよ!


「秘儀を覚えて鍛えれば分かりますが、すぐに犯罪者や魔獣なんてどうでもよくなるのです。弱過ぎますからね。そこから、鍛えていくには理由が必要です。それが、シャーロット様を好きな順番です。それも、人それぞれですからね。クリスティーネは実戦で戦えるようになった後も鍛えるでしょうけど、目標は魔法で家を作る事です。カーリンとクリスタとレナーテはシャーロット様が好きだから鍛えています。とても分かりやすいですよね?」

「軍になるのもシャーロット様が好きだから?」


本当に分かりやすいのかな?

私の理解力が低いの?


「その通りです。500年以上も犯罪者を殺し続け戦争を止め続けているのです。休んで欲しいではありませんか。お2人とも社で寝ていてくれれば良いのです。いつでも孤児院だけで国は守れるようにできるのですから」

「それが理由で軍になるの?皆が命を懸けて戦うの?」


「当然です。シャーロット様とヴィーネ様がいなければ本来は死んでいるのです。今ここで当たり前のように生きているのもお2人がいるからですよ?お2人の為になら戦います。命懸けですけど絶対に死者は出ません。前線はカーリンとクリスタとレナーテだけで十分です。残りは後方支援です。相手が10万でも20万でも誰も死なせません。それが、孤児院軍なのです」

「そんなに圧倒的なの?じゃあ、孤児院軍を作ればいいのに何で作らないの?」


流石に強過ぎない?

3人は別格に強いのだろうけど異常だよ。


「ヴィーネ様が多くの子供を助けたいからでしょう。戦いなんてしているよりも子供を世話して欲しいと思っているのだと思います。お優しい方ですからね」

「最後だけ分かったよ。ところで、魔獣見学には目標があるよね?それは、自分で決めるの?」


なるほどね…。

本当に最後だけは理解できたよ。


孤児院については知識が足りないから理解できないのかな?

そんな気がするね。


「そうですね。自分で決めるのが大切です。アレクシアは犯罪者の刃物を見ても動けますか?魔獣の殺気を浴びても動けますか?まずは現在の自分を知る事が大切です。次回の魔獣見学は世界征服できる戦力で挑みますから、経験したい事があれば色々と提案した方がいいですよ。腕や脚が吹き飛んでも即座に治してもらえます。短剣が心臓に刺さると思ったら寸前で止めてもらう事もできます。最初は普通動けません。それを、想定して相談するといいですよ」

「クリスティーネは本気で即死しない限り大丈夫だと考えていて、それを実行するつもりなんだね。作戦会議しているのは即死させないのは簡単だけど、どれ程の痛みまで許容するかを考えている訳だ。カーリンやクリスタは痛みを知っているという事だよね?」


とんでもない国に来たみたいだよ…。

3人からしてみれば人間なんて赤子以下だね。


「そうですね。カーリンは落石で半身を潰した事があります。死ぬ寸前だったところをシャーロット様に助けてもらいました。2人はもともと冒険者をしていましたからね。痛みは日常でしょう。ですから、悩んでいるのです」

「それは、痛みを通り越して感覚が麻痺していると思うけど…。魔獣に腕を食べられたりしそうじゃない?本気で怖くなってきたよ」


恐ろし過ぎるでしょ…。

カーリンが半身潰れた事があるのが衝撃だよ。


あの綺麗な顔が潰れるのは想像できないね。

ただの冒険者とは思えないよ。


「それならば、作戦会議に参加してはどうでしょうか?理由まで説明してもらえますよ?突然それを目撃するよりも安心だと思います。私は魔獣を瞬殺したいですね。あとは犯罪者の首を切断できるようにもなりたいです。それが、目標ですね」

「強くなっても犯罪者の首を切断するのは怖いって事だよね?犯罪者を殺す事はできるのでしょ?」


首を切断するのは抵抗がありそう。

想像するだけで怖いよ…。


「殺すのは簡単です。但し、首の切断を前回できませんでした。心臓に剣を突き刺すのが精一杯でした。ですから、次回の魔獣見学ではできるようになりたいのです」

「この国に犯罪者は入ってきていないよね?どうするの?」


「シャーロット様にお願いして犯罪者を見逃してもらうのです。犯罪者は魔獣をおびき寄せる餌に使います。帰りに魔獣のお肉を持って帰る事により食糧の調達もできます。理に適っているでしょう?」

「物凄く計画的だね…。魔獣を捌いたら魔獣が寄ってくると思うけど大丈夫なの?」


犯罪者は魔獣の餌なんだ。

何でもありだね…。


「3人のうち誰かが殺気を出せば魔獣はすぐに撤退します。アレクシアは3人の凄さを甘く見ていますね。魔獣なんて赤子の手を捻るようなものなのです。実際に目にすると驚きますよ!私でも驚きましたからね。世界で5番目に強いという事は普通ではないのです。説教を体験しましたよね?遊びだとよく分かりますよ。せっかくですから目標を持って挑みましょう。絶対に良い経験になりますから。死ぬ事は万が一にもありません。痛みを覚悟するのか恐怖を覚悟するのか両方なのか、しっかり作戦会議をして下さいね」

「クリスティーネは初めて魔獣見学した時に作戦会議したの?」


魔獣を撤退させるんだ。

人間辞め過ぎだよ…。


私は何を経験しようかな?

孤児院で働く事になった時にこれは想像していなかったよ。


「物凄い綿密にしていましたよ。クリスタがクリスティーネを可愛がっていますからね。クリスティーネの限界が引き出せるようにしていました。あらゆる事態を想定していたようです。クリスティーネは物凄い真面目ですからね。作戦通りに頑張っていましたよ。クリスティーネは犯罪者の首を切断して魔獣を殺すまで魔獣見学をし続けます。この前お願いしていましたからね。確実に実行されるでしょう。鍛える絶好の機会です。逃してはいけませんよ」

「孤児院とはそういう施設だという事だね。ゆっくり理解していくよ」


鍛えるしかなさそうだね…。

覚悟して臨まないと置いて行かれそうだよ。


「そうです。焦っても良い事はありません。ゆっくり理解して下さい。そうすれば、今の話がよく分かるようになります。今は蚊帳の外のように感じるのかもしれませんが、それが普通なのです。アレクシアが勉強しなければいけない事は多いです。全てを理解した時に孤児院が本当の意味で分かるようになりますから。それだけは、間違いありません」

「そうだよね。今の段階で完全に理解しようとしたのが間違っていたね。続きをお願い」


無理に理解しようとしても駄目だね。

本当に分からないよ。


「ええ。では、授業を続けましょう」


・・・・。


本当に難しいね。


孤児院が特殊過ぎて馴染めていない気がするよ。

子供たちは馴染めているようだし聞いてみようかな。


「ちょっとフランク、話があるからこっちに来てよ」

「どうしたの?何かあったかな?」


枕投げするくらい馴染んでいるからね。

きっと私よりも詳しいはずだよ。


「授業で孤児院の事は勉強した?」

「したよ。秘儀も魔法も覚えたよ!何か気になる事があった?」


「ふーん。あなたのこの国で一番好きな人は誰なの?」

「なーんだ。そんな事を気にしていたんだ。シャーロット様に決まっているじゃん。当然だよ!」


当然なんだ…。

やはり孤児院を知らないと分からないみたいだね。


「やっぱりね。私の日々の努力はシャーロット様と比べ物にならないという事かな?」

「勿論感謝しているけど比べたら駄目だよ。桁違いだもん。シャーロット様をまだ知らないみたいだね」


あの日々よりも桁違いなんだ…。

まあ、そうでしょうけどね。


「そういう事になるのかな。一応ビアンカに教えてもらっているけど毎日授業を受けているあなた達には追い付けないわよ」

「授業が終わったら秘儀を教えてもらえるんでしょ?本気で覚悟しておいてね。この国の大人で秘儀を覚えて孤児院の子供を追い抜く事ができた人は孤児院にしかいないからね。アレクシア姉ちゃんも頑張らないと。子供は物凄い努力しているから。勿論僕もしているよ。絶対に抜かれるような努力はしていないから。それでも、孤児院で働く姉ちゃん達は全員が子供を抜いたんだよ。意味が分からないよ」


子供でも覚悟が必要だと言うんだ。

余程の技術だね…。


「秘儀の鍛え方で大人を見ていると聞いたけどそうなの?」

「そうだね。だって大人を信じる事なんてできないでしょ?でも、秘儀を努力している人なら信じられるよ。一緒に来た僕たちはアレクシア姉ちゃんを疑わないけど他の子供は違うからね。姉ちゃんもそれは分かるでしょ?みんな大人に酷い目に遭わされているから」


大人を信じられる子は孤児院にいないだろうね。

それでも、秘儀を鍛えている大人は信じられる。


秘儀を努力する事は特別な何かがあるんだ。


「それなら、カーリン、クリスタ、レナーテはフランクから見たらどうなの?」

「化け物だよ。どんな覚悟で鍛えたらあそこまでたどり着くのか今の僕では分からない。孤児院の子供は大人に負けたくないから本気で鍛えているんだよ。それなのに、あそこまで圧倒的に差を付けられたら認めるしかないよ。秘儀を孤児院の子供より鍛える人に悪い人はいないと思う。他者を痛めつける人は絶対に鍛えられない。僕たちを殴っていた王族や貴族なんて何もできないよ」


なるほど…。

弱者に威張っているだけの大人では鍛える事ができないのね。


「そうなんだ。じゃあ、今なら仕返しできるね。したい?」

「興味ないよ。相手にならないし相手にする価値も無い。但し、この国に攻めて来て僕の前にいたら全力で殴るけどね。気にするだけ時間の無駄だよ。秘儀を鍛えないと鬼ごっこも楽しめないよ。みんな強過ぎるんだよね。鬼ごっこの常識が変わったから。森で遊んでいるんだけど木の枝に跳び乗れないと話にならないんだよ。厳しいよね。走って追い駆けても誰も捕まえられないよ」


既に大人が相手にならないんだ。

目の前にいたら全力で殴るという事は血塗れになるんだろうね。


子供を血塗れにしたくなければ強くなるしかないという事だね。

孤児院の子にはトラウマがあるから全力で殴る…。


犯罪者には過敏に反応するに違いない。


それで、何故鬼ごっこの話になるのかな?

理解しかけたのに振出しに戻された気分だよ。


「もしかして、秘儀を鍛えているのは鬼ごっこに勝ちたいから?」

「当然だよ!秘儀を鍛えたらすぐ大人には勝てるようになるんだから、鬼ごっこの方が重要でしょ?本気の覚悟で鬼ごっこに勝つ為に秘儀を鍛えているの」


なるほどね…。

全く分からないよ。


「あなたの話を聞いたらより分からなくなったよ。派閥には入ったの?」

「物凄い悩んでるんだよ。新しい派閥もできそうだからね。候補はカーリン姉ちゃんかクリスティーネ姉ちゃんかシルキー姉ちゃんだね。とても悩ましいよ…」


腹が立つくらい素直だね。

綺麗な女性ばかり選んでいるじゃない。


何が悩ましいよ…。

毎日クリスタに説教されなさい。


「綺麗な女性ばかりじゃないの。本当に正直ね。とりあえず、秘儀を鍛えないとどうしようもない事は分かったよ」

「それは少し違うよ。孤児院で働いていて秘儀を鍛えないのはあり得ないんだよ。秘儀を鍛えられないなら孤児院で働いたら駄目だよ。この国の孤児院はそういう施設だよ。孤児院で働いているだけで尊敬されるよ。特別な施設だからね。それに、子供たちは孤児院の大人の努力が桁違いなのを知っているから。孤児院が国の中心だと誰もが思っているよ。クリスタ姉ちゃんだって秘儀を極めているのに今も鍛えているんだよ?中途半端な気持ちで孤児院にいたら駄目だと僕は思うよ。頑張ってね!」


突然真面目に話さないでよ。

やはり孤児院は特別な施設なんだ。


子供がそう思っているという事は大人も当然思っている。

この国は孤児院が中心なんだ…。


「勉強を頑張った後に秘儀を頑張るよ。ありがとね」

「うん。じゃあ、遊んでくるよ」


クリスティーネが魔法練習場から帰ってきたみたいだね。

せっかくだし聞いてみようかな。


「クリスティーネ、秘儀について質問してもいい?答えられる範囲で構わないからさ」

「勿論大丈夫ですよ。どのようなご質問でしょうか?」


カーリンとクリスティーネは綺麗過ぎて浮いているよ。

実はカーリンも王族だと言われても驚かないね。


シルキーは妖精だからとても神秘的だよ。

小さな子に大人気だね。


「秘儀をどれほど鍛えているの?子供を抜くのは大変だと聞いたんだけど抜いたんでしょ?」

「寝ている時間以外は全て鍛えていますよ。子供を抜いたとは言えません。実戦で戦えなければ意味がありませんからね」


そんなに鍛えているの?

いつでも鍛えられる技術だという事だね。


「つまり、今も鍛えているという事?」

「はい。秘儀は自分との戦いですからね。いつでも鍛える事ができます」


やはり鍛えているんだね…。

目に見えない何かがある気がする。


「そうなんだ…。魔獣見学の作戦会議は終わった?」

「いいえ。あらゆる状況を想定して話し合いですね。私の動きに合わせてもらう必要がありますから正直にできそうな事をお話しています。実戦は練習通りに動けませんからね。魔法の威力も落ちてしまいます。ですから、より練習するしかありません」


本気で実戦に向けて作戦会議しているね。

動けないのも魔法の威力が落ちるのも経験済みなんだ。


だから、より練習して少しでも魔法の威力を上げようとしている。

動けないのが分かっているから刃物が刺さるのを想定している。


とんでもない覚悟だよ…。


「クリスティーネはいつからそんな風に鍛えているの?」

「秘儀を覚えてからずっとです。孤児院は子供を守る施設ですからね。子供より弱いのは許されません。子供より強くなる為には子供より努力すればいいだけです。難しい事は何もありません」


普通に言っているね。

本当にそう思っているのが分かるよ。


難しくない事が寝る時間以外は鍛える。

とても元王女様だとは思えないよ…。


「誰からも教えてもらってないの?」

「子供たちより強くなった辺りでクリスタから教えてもらいました。私には工夫が足りなかったようです。資料室も私の為にクリスタがお願いしてくれたのですよ。その為、私は資料室の研究内容は全て読む事にしています。読むと結構面白いのですよ。時間がある時に読みに行く事をお勧めします。秘儀は誰かに教えてもらって鍛えるものではありません。私は本当に何も知らない王女でしたのでクリスタが助言してくれたのです。作戦会議もクリスタが中心で色々と考えてくれています」


クリスタは可愛がり過ぎでしょ!


とんでもないお願いをしているね。

資料室がクリスティーネの為に作られたのは驚きだよ。


作戦会議もクリスタが中心なら安心だよ。


「秘儀を覚えてから何か変わった?」

「私はこの国に来てから全てが変わりました。少しずつですが何かができるようになる日々はとても充実しています。秘儀を覚えてからは普段の行動の中に秘儀の努力を追加しただけです。特に何か変わった感じはしませんね。子供を守れるようになれると思ったのと、魔法で家を作りたいと思っただけです」


王女様だったけど特殊な環境にいたのかな?

全てを楽しんでいるみたいだよ。


孤児院だから子供を守るのは当然なんだね。

ビアンカも言っていたけど魔法で家を作りたいのも本気なんだ。


「クリスティーネが思う秘儀って何かな?」

「シャーロット様です。秘儀にはシャーロット様の想いが全て詰まっている気がしますね。とても大切な技術です。雑に扱う事はできません」


これが分からないと孤児院にいるとは言えない気がする。

フランクがシャーロット様が好きだと言ったのもここに理由があると思う。


勉強するしかないね。

私が思っているより孤児院は深い意味を持っている。


「ありがとう。何かあったらまた聞かせてね」

「気にしないで下さい。私で良ければいつでもお声を掛けて下さいね」


全てシャーロット様に繋がる気がする。

500年以上もある歴史を簡単に理解できる訳が無いね。


作戦会議には早いうちに混ぜてもらおう。

絶対に参加しておいた方がいい気がする。


子供を追い抜く最低限の努力が寝る時間以外鍛えるというのは分かった。

それが、どれほど厳しいのか分からないけど必須なのだからやるしかない。


子供には負けたくないからね。

それに、子供が血塗れになった姿が想像できたからさ。

色々な話が聞けましたが、子供が血塗れになってしまうのを想像できたのは大きいですね。

そして、それを阻止したいと思っているので大丈夫でしょう。

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