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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第5章 聖地シャーロット

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閑話 チャド エルダードワーフ

んっ、ここはどこだ…?


見慣れた天井や家具が視界の隅に映った。

あー、俺の店のようだな…。


ベッドで寝ているのか?


理解に苦しむぜ…。

俺は何で寝てんだよ?


今は仕事中じゃなかったか?


「あんた、しっかりしなさい!精霊様の前で恥ずかしい真似をするんじゃないよ」


耳元で煩いのはカーラか?

ああ、近くにいたのか。


カーラの言葉で重たい体を起こす。


ちょっと待てよ!

今何て言った…?


精霊様だと?


「嬢ちゃんがまた精霊様を呼んだのか?本気出し過ぎだぜ…。今度は誰なんだよ?」

「記憶が飛んでいるわね…。全ての精霊様がこの国に集まったわ。土の精霊様はノーム様という名前よ。恐らく私たちと一緒に暮らす事になるわ」


はぁ?


土の精霊様が一緒に暮らすだと?

洞窟に3人も精霊様が住むのかよ。


エルダードワーフが精霊様を3人も独占かぁ。

少しは勘弁してくれよ…。


「おいおい、マジか…。俺たちは何をすればいいんだ?嬢ちゃんは何か言ってたか?」

「お世話をお願いされただけよ。他の精霊様と同じようにお小遣いをあげるだけでいいと思うわ」


それだけで済むなら楽だが。

いや、楽なのか?


休む暇もねーな…。


「何で土の精霊様を嬢ちゃんは呼んだんだ?最近何かあったか?」

「ヴィーネちゃんが国名を変更したから、恐らくヴィーネちゃんの我儘。精霊様を全員集めて欲しいとシャーロットちゃんにお願いしたのよ」


我儘だぁ?

何でそんな事を口にしたんだ?


精霊様がいるから集めてしまおうってか?


実現する方もマジでおかしーだろ…。

精霊様が1つの国に全員いるとか意味不明だぜ。


頭がぼんやりしてやがる…。


「俺は余りの衝撃で倒れたのか?あんま記憶ねーからよ」

「ええ。あんたは倒れたわ。そんな事でどうするの!エルダードワーフとして全力を出しなさいよ。希少な素材を要求しようとしていたのを忘れたの?どんどん集まっているわ。何か1つでもいいから商品を生み出しなさい」


言ってる事は分かるけどよぉ…。

普通は素材を研究してから商品開発じゃねーのか?


研究時間もねーんだぜ?

次から次に伝説の素材が集まってるんだ。


これは流石に無理だろ…。

何をすればいいのか分かんねーよ。


もしかして俺だけが弱ってんのか?


「洞窟の奴らは頑張ってんのか?俺みたいに倒れてねーのか?」

「ええ。あんた以外は頑張っているわ。どうするの?シャーロットちゃんに素材の買い取りを中止にしてもらう?」


何を言ってやがんだ…。


エルダードワーフが素材の買い取りを中止だと?

それは許されねーだろーが!


「それはできねーな!エルダードワーフとしての誇りが許さねーよ。商品化に時間が掛かっても別に文句は言われねーんだ。俺たちのできる限りでいいだろ?無理する必要はねーよ」

「あんた…。本当に鈍ったわね。洞窟に帰るわよ。皆の姿を見なさい!」


突然何だよ…。

俺が鈍っただと?


俺以上に素材に本気の奴はいねーよ!


その俺が厳しいと思ってるんだ。

無理してるだけじゃねーのか…?


結局倒れて終わりじゃねーかよ。


カーラに手を引かれて洞窟まで帰った。

洞窟の中央には素材が積まれている。


笑うしかねー素材の量だな…。


しかし、この状況はなんだ?

マジでどうしたんだよ…。


全員が素材の可能性を引き出そうと必死じゃねーか。

洞窟で一体何があったんだ?


「おい!お前らそんなに無理すんじゃねーよ。焦らずやればいいじゃねーか。どうしたんだ?」

「好きでやってんだよ!好きな事を限界まで追求するのがエルダードワーフだ。お前こそ何を言ってるんだ?」

「あんた、アンディの言う通りよ。みんな好きでやっているの。あんたが鈍っているだけよ。これで分かったでしょ?素直に認めなさい。そして、好きな素材で商品開発しなさい」


俺が鈍っているだと…。

冗談じゃねーぞ!


「俺が鈍ってる訳ねーじゃねーか。お前らの体を気遣ってやってんだぞ?お前らがそれでいいなら止めねーぜ。俺も好きなようにやってやろーじゃねーか」

「そうだよ。好きなようにやってみなさい。どの素材を扱うの?」


どの素材を扱うかだと…?

マジで素材が多過ぎだぜ。


だが、ここでそんな事を言ったら負けを認めるようなもんだ。

男として言えねーよな!


「ハベロットとアラクネの糸で全属性に耐性のある服を作ってやろーじゃねーか。服屋と共同開発してやるよ」

「なかなかいい商品じゃない。やってみなさいよ。あんたが商品開発するところを皆に見せ付けなさいよ」


カーラがいつもと違うな。


どうしたってんだよ?

焦らせんなよ…。


「商品開発するのはいいが、何でお前がそんなに俺を引っ張るんだ。エルダードワーフは自由だろ?好きにやらせろよ」

「あんただけ腑抜けているのが妻として情けないからよ。いいから仕事しなさい」


今度は腑抜けているだと!

流石にそれは言い過ぎじゃねーのか?


「おいおい、俺がいつ腑抜けたんだ?いつでも全力だぜ?勘違いしてんじゃねーよ!」

「精霊様の前で気絶した癖によく言えるわね。今まであんなに恥ずかしい思いをした事はないよ。分かっているのかい?シャーロットちゃんに偉そうに希少素材を要求したのはあんたなんだよ?この国に移住を決めたのもあんたじゃないか。それなのに、1人だけ腑抜けているじゃない。ここに来てからシャーロットちゃんに素材を要求した事ないでしょ?シャーロットちゃんは私たちを凄い気遣ってくれているのよ?何で迷惑みたいな対応しているの。笑顔で素材を買い取りなさい。それか、洞窟の奥に引き籠りなさい」

「カーラの言う通りだぜ。伝説の素材をこれほど用意してくれているのに、素材が多過ぎて迷惑だと思ってるんじゃねーのか?情けねー限りだな。研究ばかりしていたせいで商品開発ができなくなってやがる。それに、自分の知らない素材には手を付けられていない。これが情けなくて何なんだ?そろそろ本気出せよ!」


どいつもこいつも言いたい放題言いやがって。

店で対応している俺の苦労を考えやがれ!


それに、商品開発するって言ったばかりだぞ?

どこが腑抜けてるんだよ!


「ああ、分かったぜ!お前たちは余裕があるって事だな?そういうつもりで対応してやるよ」

「あんた、その考え方が腑抜けているのよ。余裕がある訳ないでしょ?何を言っているの。そんな人なんていないわよ。それでも全力で仕事しているの。自分に余裕が無くて対応できないから、皆にも同じように対応してもらおうとしているだけじゃない。それが分からないの?」


何だと…。

そういう事かよ!


余裕がねーから皆を巻き込んでゆっくり仕事しようとしていたってのか?

俺はそこまで腑抜けていたのか…。


「なるほどな。確かに腑抜けていたようだぜ。素材は笑顔で買い取りだ!商品開発も全力だ!余裕なんてどうでもいいよな。そういう事だろ?」

「そういう事よ!やっと気付いたようね。皆が本気でやっているのよ。あんただけゆっくり仕事なんて妻として許せないわ。全力よ!」

「チャドの本気を見せてくれよ。アーロンの刀は精霊様の力を借りまくってるぜ。そのくらい貪欲に商品開発しろって事だ」


精霊様の力を借りまくってるだと…?

サラマンダー以外の力も借りてるっていうのかよ。


やるじゃねーか!

俺もそうしてやるよ。


精霊様が何だってんだ?

土地神様なめんじゃねーぞ!


「面白いじゃねーか。俺も手伝ってもらうかもしれねーな。エルダードワーフだからよ!」

チャド復活です!

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