閑話 ドリュアス 精霊の集い
「今日は鬼ごっこの後に私のお店に集合ね。皆に知って欲しい事があるから」
明らかにおかしいよ!
フェニックスの言葉を聞いた限りでは、全ての精霊をこの国に集めた事になる。
普通そんな事が可能な種族がいるのかな?
伝説の吸血鬼だからといって全ての精霊を集められる?
完全に異常事態だよ!
だけど、気になっている事があるんだよね。
シャーロットは確実にあの女の考えを予想している。
そして、それは限りなく正解に近いと思う。
あの女の狙いも気になるしシャーロットの予想も気になる。
だけど、シャーロットに直接聞いても煙に巻かれる可能性が大いにあるからね。
今日はヴィーネに来てもらおう!
あの子ならシャーロットから色々と聞いているし隠す事はしないと思う。
シャーロットは私に気を遣い過ぎているからね。
脅して精霊を集めたようだけど、それは事実を言われただけだから仕方ない。
問題は未来の話だよ!
シャーロットはどこまで予想しているのだろうか?
精霊が全員集まった後に緊急用ボタンを押す。
当然シャーロットが来るから帰ってもらう。
「ヴィーネと話したいから交代してー」
「分かったよ。またねー。転移魔法」
ヴィーネと話したいと言えば素直に帰ってくれるからね。
「母さんを帰してまで私を呼ぶとかどうしたの?」
「ヴィーネはいい意味で私たちに遠慮が無いからね。シャーロットの考えを聞きたいんだよ」
「シャーロットはあれで遠慮してんのかよ。遠慮しなかったらどうなんだ?」
まあ、分かり辛いのかもしれないね…。
シャーロットは精霊に物凄く配慮してくれているよ。
「シャドウの言いたい事も分かるけど、母さんは精霊に辛い思いをして欲しくないんだよ。だから、直接的な事は言わない。精霊の存在は何かまで母さんは把握しているよ。楽しく過ごして欲しいと思っているだけだから、役割についても使命についてもここに来てからは聞かれないでしょ?かなり気を遣っているよ」
そうなんだよね。
シャーロットは私たちに楽しく過ごして欲しいと思っているから、妨げになるような事は言わないし聞く事もしない。
それなのに、全ての精霊を集めてしまった。
完全に規格外の存在だよ。
あの女がこの状況を予想できる訳が無い。
最高に楽しいね!
「代表して私が質問するよ。精霊女王の目的をシャーロットは何だと予想しているの?」
「1つ目は自分が望む生命の誕生。その為に星を滅ぼし続ける。2つ目はフェニックスの完全体。星の魔力も世界の魔力も満ちた状態でフェニックスが覚醒した場合にのみ使える何かが隠されているのかもしれない。3つ目はフェニックスの殺害。本来フェニックスは星の魔力が無くなる直前に覚醒する。世界に魔力が満ちていて星の魔力も満ちていた場合、フェニックスの許容量を超える可能性がある。覚醒中は無自覚に魔力を吸収するから、魔力を吸収し過ぎて破裂。フェニックスの本能は覚醒時に星が死んだと認識するはず。その時に死んだらどうなるのかが不明なんだよ。そして、精霊女王には都合が良過ぎる。世界中の生命体が全て死んで星の魔力は残っていて、生存者は精霊女王のみになるからね」
やはり驚くほど予想しているね。
そして、この中のどれかが確実に精霊女王の目当てだと思える。
「シャーロットはどれが一番可能性が高いと考えているの?」
「3つ目だね。フェニックスの殺害。精霊の使命は全てフェニックスを監禁し拷問する為だけに与えられているから。精霊は勘違いさせられていたんだよ。星に必要な役割と使命は違う。精霊女王は恰も役割のように思わせて精霊を利用してフェニックスを拷問するように仕向けたんだよ」
シャーロットだとこのような話が聞けないんだよね。
ヴィーネだと気兼ねなく話してくれる。
辛い精霊がいるかもしれないけど聞いておきたいね。
「精霊を使ってフェニックスをどのように拷問させるように仕向けたの?」
「人間や獣人に神という概念を教える。そして、王族に神に選ばれたと伝える。神に選ばれたと勘違いした人間や獣人はどんどん残酷になった。残酷な世界を生み出す為に風の精霊を利用した。そして、土の精霊を使いフェニックスを足留して居場所を人間や獣人に教える。食べさせる事で不死だと理解させる為にね。拷問され続けたフェニックスは地上を避けるようになるけど、光の精霊がフェニックスの目を焼く。地下世界に逃げ込んだら魔人を使って監禁し拷問し続ける。そして、全ての記憶を火の精霊が与え続ける事により、フェニックスはこの星に来てからこの地に来るまでは拷問され続けていたという訳だよ」
余りにも酷い…。
とんでもない精霊の使い方じゃないか!
フェニックスを拷問する為だけに精霊は使命を与えられていたの?
誰も何も言わないね…。
つまり、シャーロットの予想通りで事実なんだ。
フェニックスを拷問する為だけの使命だったんだ。
精霊も最初は分からなかったけど、長き歳月と共に理解した。
自分の行ってきた使命が何に繋がっていたのかが分かるようになる。
それは、自我の芽生えに似ているのだと思う。
精霊女王から与えられた使命は役割と関係ないと思い、止めた時には手遅れになっている。
フェニックスを拷問する為の世界が完成している訳だね…。
あの女は何を考えているんだよ!
死ぬ度に生まれ変わるフェニックスを恨んでも意味が無い事くらい分かるじゃないか。
「何で拷問するように仕向けたと予想しているの?」
「フェニックスに対する復讐と3つ目の殺害の為だね。母さんは以前、精霊女王とはこの星の違う場所でなら一緒に生きていけると考えていたんだよ。でも、風の精霊の使命を把握してからは殺す事が前提になったよ。戦闘になったら必ず殺すとね」
私がいるからこの国に迎えるつもりはなかった。
それでも、精霊女王の願いが納得できるものであるならば、違う場所で一緒に生きていく事ができると考えていた。
風の精霊の使命は人間や獣人を残酷にしかしていない。
今の世界を見ればそれが答えになる。
精霊女王は滅ぼした星で人間や獣人を知っていたのかもしれない。
だから、風の精霊に使命を与えた可能性がある。
「他にも何かあるでしょ?」
「皆に名前を付けた理由もあるよ。自我の確立もそうだけど、精霊女王と戦闘になった時に精霊を吸収する可能性を考えていた。精霊の能力は規格外でしょ?与えられるものではなく、貸しているだけなのではないかと予想していたよ。名前を付けて自我を確立させ国で楽しく過ごす事により、精霊女王に吸収されなくなると考えているよ」
精霊女王なら精霊の居場所を即座に把握できるはず。
自分の生み出した存在だから吸収できるのかもしれないと考えたんだね。
私はそこまでの規格外な能力ではないけど、他の精霊の能力は規格外だよ。
光、空気、水、土、瘴気を操り姿まで隠せるのだから。
貸している能力だと考えた方が妥当だね。
星が滅んだ場合は覚醒したフェニックスから再び能力を与えてもらえばいいだけ。
違うのかもしれないけどあり得るね。
その場合は面倒な相手になるから吸収されないようにした。
「突然精霊を集めた理由は何かあるの?」
「私の我儘だよ。不安要素を取り除けるならその方がいいと思ったからね。まあ、我儘を言ったら精霊を集めちゃう母さんがおかしいけどさ」
それは、流石に予想外…。
あれ…?
シャーロットが言っていた気がする。
しっかり聞いていなかったね。
呆然としていたから…。
それにしても、とんでもない我儘を言ったね。
精霊を集めて欲しいなんて我儘を叶えられる人はシャーロットしかいないでしょ?
ヴィーネの考え方が自然だよ。
不安要素を取り除けるならその方がいい。
「シャーロットは何て言っていたの?」
「この国を守るだけなら何とでもなるって言っていたよ。母さんは無茶苦茶だからね」
無茶苦茶過ぎだよ!
この国は守れるから精霊を集める理由も無いという事だね。
精霊の役割も使命も能力も把握しているから、精霊女王が何をしようと関係ないんだ。
あー、精霊の居場所も把握していたね。
精霊の吸収を妨害する可能性もあるよ。
あの子は一体何だろう…。
「ヴィーネ。シャーロットは何かな?」
「この星の生命体の完成形だよ。唯一無二だね。奇跡が生んだ生命体。地下、地上、空、星の魔力を宿す最強の吸血鬼だよ。母さんが殺戮を気にしなければ星の魔力も操れる可能性があるよ」
そこまでの存在なの?
星の魔力を操れるとか反則じゃない?
可能性があるだけで、あの子ならできそうだよ。
「何で星の魔力を操る時は殺戮が行われると思うの?」
「母さんの予想では、星の魔力は瘴気となって地下世界に吐き出されているんだよ。ただし、地上世界の悪意も混ぜてね。魔人は魔力を世界に満たすのと同時に悪意を消滅させる為の存在だって。母さんは吸血鬼だから瘴気に汚染された血を使う事ができるけど、瘴気は悪意の塊なんだよ。だから、母さんは星の魔力を見たり使うつもりはないみたいだよ」
何その予想…。
「シャドウ、シャーロットの予想はどこまで当たっているの?」
「満点だぜ…。マジで恐ろしいな。星の魔力に悪意を混ぜたものが瘴気なんだよ。シャーロットには俺が汚染した血が入っているから星の魔力も使える訳か。吸血鬼だから可能だが悪意に染まる。使わないのも納得だぜ。瘴気に汚染された血を使えるのは吸血鬼だけしかいない。別種族の能力を使えるようにする為じゃないから瘴気に汚染された血が少しでも入っていれば星の魔力は見れる。使えるかどうかまでは分かんねーけどな」
星の魔力の循環まで把握しているじゃないか。
しかも、悪意の消費まで把握している。
悪意の消費って生命の循環じゃないの?
そこまで把握しているんだ…。
「ヴィーネは世界最強だよね。シャーロットに勝てる?」
「勝てないと思う。同じ魔力量で組手したらボコボコにされたよ。それに、母さんが言ってたんだ。私はヴィーネの予想を上回る何かをする可能性があるって。そんな相手に勝てるとは思えないよ。母さんもフェニックスと一緒なんだよ。何でもできるんだよ。できないのは死者蘇生だけ。それ以外は全てできると考えた方がいいね」
何でそんな存在が生まれちゃったのかな?
世界の理を曲げちゃうよね…。
いや、シャーロットは世界の理を曲げないね。
あの子がいる事で世界の理が変わるだけだよ。
世界の理を曲げているのは精霊女王だね。
それ以外にはいない。
「ヴィーネに質問がある人はいるかな?シャーロットと違って素直に話してくれるよ」
「母さんと違って遠慮しないよ。聞きたい事があるなら聞いてね」
「シャーロットが私を呼び出した時に脅されたけどさー、姿を見せなかったらどうなったのかな?」
「脅された通りに目を焼かれるよ。具体的に言うと、その大陸の生物の全ての目を焼いて君以外の全てを治すよ」
そんな事ができちゃうんだよね。
本当におかしいよ…。
「でも、そうすると精霊が誰か分からなくない?」
「脅されてから目を焼かれた人と、突然焼かれた人では感情が違うから分かるよ。母さんは世界中の人の感情を詳細に把握できるからね。化け物だから」
感情が見えるからね。
脅した後に焼かれたら恐怖に染まるよ。
その一瞬で居場所がバレるね。
恐ろし過ぎるでしょ…。
娘に化け物とか言われているよ。
絶対に悲しんでいるね。
「私から皆に聞きたいんだけど、同じ名前を別の人に付けられたら納得した?何で皆はすぐに納得するの?別の名前がいいとか、お前に名前を付けられたくないとか言わないよね」
そういえばそうだね…。
全員の名前をシャーロットが付けている。
他の誰かが同じ名前を付けた場合はどうなるのかな?
無視するか拒否する気がするね。
もしかしたら…。
「ヴィーネ、その質問の答えを私が教えてあげるよ。シャーロットの魔力は精霊女王と似ているんだよ。ヴィーネが完成された生命体と言ったでしょ?それは、精霊女王とほぼ変わらない存在なんだよ。シャーロットに名前を付けられると自然と受け入れてしまう。親に名前を付けられた気分になる。他の誰でも精霊に名前を付けるのは無理だと思うよ。自然と自分たちの方が上位の存在だと思ってしまうからね」
何か違和感がある…。
違うのかもしれない。
フェニックスはシャーロットに友達だと言われて素直に受け入れている。
フェニックスと私たちは仲良く遊べる友達だけど、シャーロットとは別枠だと思う。
フェニックスは自分の子供たちと遊んでいる感覚に違いない。
それは、例えどんな種族であっても変わりない。
何故シャーロットだけ別枠に入ったのだろうか?
初めての友達だから?
もしかしたら本能で同格だと認識しているのかもしれない。
「サラマンダー、フェニックスは精霊女王をどんな風に認識しているの?」
「殻に閉じ籠っている絶対に碌でもない人だと思っているよ」
「フェニックスが会った事もない人を碌でもないと言うのは不自然だよ?」
「次元結界で世界を拒絶しているからだよ。精霊女王の役割を考えると世界の拒絶はあり得ないでしょ?だから、碌でもないと判断したのだと思うよ」
次元を操れるシャーロットは精霊女王と同格なのは確定だね。
だけど、フェニックスが精霊女王を友達だと認識するのだろうか?
フェニックスは何かあるとシャーロットと友達だと嬉しそうに自慢する。
そんな関係になり得るのだろうか?
「ヴィーネ、シャーロットはフェニックスと同格の可能性があるよ。不死ではないだけで同じ事ができそうだからね。フェニックスがシャーロットを友達だと認識しているのは知っているでしょ?学校で多くの友達ができてもフェニックスの中でシャーロットは別枠なんだよ。初めての友達だからという訳ではない気がする。同格だと本能で理解したからの方が説得力があるでしょ?だから、私たちも名前を付けられても受け入れる」
「やっぱりそんな感じだよね…。予想通りだよ。土地神様は最強だからね」
最強過ぎだよ!
魔人が地上で人助けしているのも意味不明だからね。
私は楽しいからいいけどさ。
「何で最近ずっと真祖なの?」
「私を甘やかす為だよ。私と同じ髪色にして、私がしていた仕事を全てしてくれている。私は赤ちゃんだから何もしなくていいと言われているよ。やりたい事が見付かったら、それをすればいいってね」
「古代種ドラゴンに赤ちゃんなんて考えはあるの?」
「本来はないけど母さんの子供だからね。赤ちゃんだと言われても納得だよ。母さんと竜王の知識と経験を得て孵化したのに、同じ時間生活しても母さんとの差は開くばかりだよ。どこまで先を見通しているのか分からない。シャドウと初めて会話した時に、全ての精霊の存在する場所を把握していたみたいだからね。おかしいでしょ?」
「マジかよ…。あの会話だけで精霊を全て把握するとか意味不明だな。本気で敵対しなくて良かったぜ。ぜってー逃げられねーし勝てねーじゃねーかよ」
「シャドウは私が捕捉した時に助けろって母さんに言われたんだよ。シャドウのこれまでの経験を私に語ってからね。皆に聞かせてあげようか?闇の精霊の悲しい物語を…」
何それ?
物凄く聞きたいんだけど!
「マジでやめろよ!シャーロットの予想だろ?ぜってー当たってるじゃねーかよ。頼むから言うなよ。2人の胸に納めておいてくれ」
シャーロットは精霊に同情している。
名前を与えられず、役割と使命を与えられ、世界に放たれる。
そして、使い捨てだよ。
放たれてから世界を見ていれば自我も芽生えてくる。
意味も分からず使命を繰り返した結果が今の世界だから。
使命を聞けば誰でも分かるよ…。
精霊が世界を殺戮の場に変えたとね。
精霊はそれを悔いている。
だから、シャーロットはそれを責めないし会話にも出さない。
呼び出す時は素直に出てくるように相手の情報を全て知っていると伝えるのが一番。
脅す事になってしまうけど、この国で楽しめばそんな事はどうでもよくなる。
それよりも、フェニックスの死の方が問題だね。
身体強化を覚えたから尚更その可能性が高く感じるよ。
フェニックスも生命体だからね。
必ず限界はあると思う。
覚醒中に死ぬのは想定外に決まっている。
その時に生まれ変わるのかは不明だね。
フェニックスの拷問が前提の使命を考えると、殺そうとしていると考えるのが自然だよ。
星の魔力も世界の魔力も満ちている状態で、拷問する事によりフェニックスを覚醒させる。
それが、精霊女王の狙いだとしか思えない。
まあ、全てが水の泡だね。
そんな事には絶対にならないのだから。
この国にフェニックスがいる以上は手を出せる相手は誰もいない。
シャーロットとヴィーネがいなくても無理だと思う程の戦力がある。
この国は強過ぎるよ…。
「よく分かったよ。最近全力鬼ごっこが開催されない理由がヴィーネにあるとね」
「そこなの?今まで長く会話してそこに行き着くの?君も大概おかしいよ?」
「赤ちゃんがいたら全力鬼ごっこできないでしょ?早く卒業しなよ!」
「嫌だよ!私は今の状況が好きなの。赤ちゃんだから勝手に鬼ごっこしてなよ」
「シャーロットに勝ちたいんだよ。分かるでしょ?どれほど煽られたと思っているの?」
「はっきり言うけどまだ勝てないよ。だって、私たち本気で走ってないからね。クリスタの動きが見えないでしょ?私たちも同じ速さで動けるんだよ?何で鬼ごっこになると思っているの?甘過ぎだね。早く全力で走らせてよ!」
そういう事だったのか…。
当り前のように追い駆けていたから気付けなかった。
「ぐぬぬ…。鬼ごっこを楽しむ為に走る速度を制限していた訳だね…。極めるしかないじゃないか」
「そういう事だよ。極めないと無理だね。何で気付かないのかな?クリスタの姿が見えないのに私たちの走る姿が見えるのを不自然だと思わないのがおかしいよ。分かったら極めてから声を掛けてよね」
ヴィーネも煽ってくるね。
この親子は本当に腹立つよ!
「おいおい、極めるしかねーじゃねーかよ。最初から極めるつもりだったんだ。問題ねーぜ!」
「問題ありまくりだよ。極めるのは超難関だからね。体を魔力で埋めて、更に隙間も全て無くすんだよ?失敗したら確実に死ぬよ。それに、隙間を見付けるには誰かに頼まないといけない。それに、隙間を見付けて破裂させ即座に回復できるのはシャーロットとヴィーネしかいないんだよ。勝ちたい相手に頼むしかないんだよ。どうするの?頼むの?」
ヴィーネの勝ち誇った笑みが腹立たしい。
「お願いしますと頼むんだね。まだその段階まで到達してないけどさ。秘儀は気合だけで極められるほど甘くないよ。時間が掛かるからね。そして、頭も使わないといけない。最後に私たちにお願いしないといけないかもね。君たちも赤ちゃんなんだよ。理解したかな?」
「何で先程まで真面目な話をしていたのに最後は鬼ごっこの話になるの?僕にはそれが分からないよ」
サラマンダーは分かっていないようだね。
あの女なんて既にどうでもいいんだよ。
一番大切なのは鬼ごっこで勝つ事だよ!
「ここにも赤ちゃんがいたようだね。この国で一番大切なのは鬼ごっこなんだよ。精霊女王なんてどうでもいいのさ。ドリュアスは分かっているようだけど、皆はまだ理解が浅いね。ここに来て日が浅いから仕方ないけどさ。この国では楽しむのが一番大切なんだよ。精霊女王の事を考えるのは時間の無駄なの。母さんがいるから何とでもなるよ。そういう事だよね?ドリュアスちゃん」
「あー、腹が立つー!でも、そういう事なんだよ。あの女なんてどうでもいいんだよ。シャーロットがどうにでもするからね。鬼ごっこが一番大切なんだよ。まだ頼む段階まで到達していないのか…。くぅー!」
「気合と根性だけじゃなくて頭も必要なのかよ。それは難関だぜ…。とにかくやるしかねーだろ!」
「真面目に話を聞いていたのにこれだよ…。この国がおかしい事がよく分かるでしょ?鬼ごっこが一番大切だからね。僕は美味しい食べ物を食べるのが一番だけどさ。皆も好きなものを見付けるといいよ」
「人魚と一緒に訓練しましょう。任せて下さい!」
「子供には負けられないよね。勝たないと駄目だよ」
「儂はどうしようかのう。エルダードワーフの手伝いでもしてやるかな」
「私とシルフィードは鍛えたら絶対に有利だよ。姿隠せるからねー。絶対勝てるよ!」
鬼ごっこを舐めているね!
これだから、新参者には教育が必要なんだよ。
「赤ちゃんが何か言ってるね。隠れても魔力は丸見えなんだよ?世界樹に隠れていた赤ちゃんもいたね。皆も早く赤ちゃん卒業しないとね」
「シャーロットの娘らしい煽りだよ。いつも止めてよとか言ってる癖に似過ぎだよ。精霊全員を煽るとか普通じゃないからね。絶対に勝てないのが腹立たしいー。本当にもー!」
鬼ごっこが全てなんだよ。
その為に秘儀を鍛えているの。
それ以外の事を考えるのは時間の無駄だよ!
ヴィーネも鬼ごっこに関しては煽ります。
シャルの娘ですからね!




