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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第1章 シェリル

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閑話 マリアンネ 危機感

毎度の事であるが授業の内容が進み過ぎている。

恐らく、人が時間をかけ成長した先に気付けるかどうかの内容。


ハイエルフの長老でさえ知らない知識を披露する。

全てを危険な方法で使われてもご自分で対処するつもりでしょう。


ダミアンの話を聞いて確信した。

人が情けないから情報を出していると考えるべきだ。


討伐隊は身体強化の方法を知った事で勘違いした。

自分達は()()()()()であると。


今回の授業は討伐隊の身体強化の延長だ。

何故気付けないのかシャーロット様は分からないのだろう。


結局守られているという安心。

自分たちで何かを考えようとしない慢心。

まるで私たちは王族や貴族のようではないか。


与えられるだけで何も返さない。

それが、当然だと考えている。


生きる上で一番大切な事を任せてしまっている。

身の安全を守る事を。


クリスタを帰した後、教室で話し始める。

「国防隊は魔石の力を使ったとして国を守れるか?」


グスタフは苦渋に満ちた表情だ。

「無理だ。身体強化さえ満足にこなせていない。満足にこなせたとしても倍以上の人数はいるだろう。獣人の里に声をかけるか?当然街の決まり事を守れなければ追い出すのは前提なんだが。身体強化もそうだが一度教えてしまうと安易に追い出す事が出来なくなる。殺す事が前提の情報だ。そこも踏まえて声を掛けてみてもいいか?」

「そうだな、頼む。ハイオークなど差別されている獣人も入って来る可能性が高い。街の中で他種族を差別するのは絶対に無しだ。そこを見極めて声を掛けて欲しい。同じ失敗はできない」


「確かにこの国の住民に危機感なんてものはねーな。最悪の場合シャーロット様が何とかしてくれるという考えがある。つまり、常に保険がある訳だ。そんな状況で研究ですら負けているんだ、話になんねーぞ。この国の人で誰かシャーロット様に何か返した事のある人はいるのかよ?いねーよな。唯一、お菓子屋のおやじがリンゴ飴を変わらずに作り続けているくらいじゃねーか。あとは、孤児院を守っている4人か。今回の授業は確実に討伐隊の失態が響いているぞ」


エルヴィンも感じたか。

命を張って生活していた人ほど痛感する。

この国は守られ過ぎているんだ。


それを、土地神様がいるからと考えていいのか?

都合よく人の解釈で判断しているだけじゃないのか?


「私の予想では街になった辺りからこの国の成長は止まっている。昔のシャーロット様は授業なんてしていないはず。それなのに、ここまで発展しているんだ。怠慢でしかないな。人が成長するには時間がかかる。その時間を見た上での判断に違いない。しかも、周りには馬鹿な国ばかりだ。友好に取引しようなんて考えている国は無い。最低な状況だ。ダミアンは設計図を頼む。エルヴィンと私は街の人の意識改革を続ける。グスタフは獣人に声をかけてくれ。エルヴィーラも信頼できる商人なら街に入れてもいいと思う。この状況が続けばシャーロット様は人に失望する。みんな頼む」


身体強化も魔石もシャーロット様が昔から知っていた知識ではない。

長い年月を掛けて蓄積された知識を披露した訳では無い。

私たちと同じ時間に密偵を排除しながら考えていたんだ。


何故人が自分たちを守る事を考えず、土地神様と言われているシャーロット様が考え続けているのか。

その状況が当たり前だと思っていると確実に終わるだろうね。


そして、街長の私には馬鹿な書状が毎日のように届く。

本当にいい加減にしてくれ!


他国の王族や貴族は、どれだけ自分たちが選ばれた存在だと考えているんだ。

難しい問題ですね。

当たり前が続くと気付かなくなります。


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