シャーロット 娘の気持ち
「ヴィーネ、今日は何をする?ゴロゴロしてようか?」
「うーん…。母さん、可哀相な種族はいないかな?」
人を助ける事ばかり考えているようだね。
他の事を考える様子は今のところないみたい。
考える事が大切だからヴィーネの気持ちを優先しよう。
私の気持ちに引っ張られているだけとは思えないから。
ヴィーネなりに考えて助けたいと思うのかもしれない。
とても優しい子だから。
「可哀相な種族ねー。ヴィーネに心当たりはあるかな?」
「海の中に確かいたよ。巨大になり過ぎて何もできなくなった人がいると思う」
覚えていた人がいたんだね。
確かに全く動いていないから気にはなるね。
退屈で眠っている感じだね。
でも、何もできなくなっているのであれば可哀相だよ。
「魔力の動いていない人だね。じゃあ、行ってみよう。転移魔法」
目の前に移動したけど巨大な蛇なのかな?
顔がドラゴンにも見える。
とにかく大き過ぎるよ。
顔の大きさが10mはあるね。
「ねぇ、そんなに大きいと何もできなくてつまらなくない?」
「うーん?久しぶりに話し掛けられたぞ。まぁ、つまらんよ。陸に顔を出しても恐れられるだけだし、体を剣で突き刺されても嫌だしのう。今後は話し相手にでもなってくれるのか?」
「違うよ。小さくしてあげようか?巨大過ぎるのは可哀相だと思ってね」
「わははははっ。小さくできるのか?儂の体をか?そんな事を言う奴は今まで1人もおらなんだぞ。小さくなれば楽しい事はあるのか?」
「私たちの国に住めばいいよ。小さくなっても脱皮はするでしょ?皮を売ったお金で美味しい食べ物も買えるし、様々な種族が暮らしていて楽しいよ。どうかな?」
「世界を周る程の大きさになるのは凄いね。ここまでの大きさになるのは嫌がらせだよ。何もできないじゃない。小さくしてもいいなら小さくしてあげるよ。どれくらいの大きさになりたいの?」
「本気なのか?本気でできるのか?少し楽しくなってきたぞ。そうじゃな。5mもあれば十分じゃろ。脱皮は小さくなってもするじゃろうし、大きくなったらまた小さくしてくれるんじゃろ?」
「いいよ。私はシャーロット。娘のジェラルヴィーネ、愛称ヴィーネだよ。君の名前は?」
「儂の名前か…。生まれた時に海に捨てられてそのままじゃよ。世界蛇と呼ばれた時もあったが、名前はないのう」
そんな事があるんだ。
誰かの実験の失敗なのかな?
顔も蛇とは言えないからね。
色々と不自然だよ…。
「蛇と言ってもドラゴンの顔に見えるね。んー。ヨルムンガンドでどう?格好良くない?決定ね!」
「儂の名前はヨルムンガンド…。うむ、悪くないのう。それで、体を小さくできるのか?」
「私が小さくするよ。時空魔法。どう?自分の体がよく見えるでしょ?」
本気で驚いているね。
これで大丈夫だね。
「巨大になる何かの呪術が掛けられている可能性もあるから解除しておくよ。呪術解除。よし、じゃあ、国に行こうか。転移魔法」
チャドの店に移動した。
「チャド、世界蛇と呼ばれていた蛇を小さくして連れてきたよ。名前はヨルムンガンドね。脱皮するから皮を買い取ってよ」
「世界蛇を小さくした?マジで滅茶苦茶だぜ。母さん、値段は頼んだ!」
「任せて!皮は食べ物に困らない金額で買い取るわ」
「カーラも店番するようになったんだね。お願いね」
「儂も外の空気を吸うのなんて久しぶり過ぎるわい。体が軽いのはいいのう。名前も覚えてくれ。今日決まったからな。わははははっ」
「ヨルムンガンドは何か食べるの?」
「儂は特に食べんぞ。それなのに体が巨大化していくから不思議じゃのう」
「世界蛇と呼ばれていたのなら蛇の神だよ。もう、鳥神と狼神のいる場所でいいんじゃない?」
「そうだね。世界樹の場所で暮らして学校に通いなよ。チャドとカーラお願いね。転移魔法」
何も食べずに生きていけるのは精霊や妖精に近い種族だ。
海に捨てられたのは何か意味があるのだろうか?
蛇の妖精を呪術で巨大化した?
生まれてすぐに捨てられたと分かっているという事は、生まれた時には既に知性がある。
ここまで巨大化すれば行けない場所はないと思うけど、母親を訪ねていない感じだ。
うーん…。
精霊女王が関与している気がしてしまう。
隠れている長命種が関与している可能性もある。
どちらにしても、子を捨てる親は許せないね。
念話。
「ベティーナの家の前にいるよ。ベティーナとエラはすぐに来て欲しい」
「「分かりました」」
2人とも早いね。
「今日はどのようなご用件でしょうか?蛇がいますが、少し普通の蛇とは違いますね」
「なんと世界蛇と呼ばれていた蛇の神なんだよね。蛇神だよ!名前はヨルムンガンド。今日決めたから。学校について教えてあげて。食べ物は特に必要ないみたいだけど、土地神りんごは自由に食べていいからね。任せたよ」
「世界蛇ですか…。まさか小さくされたのですか?世界を周るほど巨大だったと思いますが」
「エラ正解だよ。私が小さくしたの。名前を決めたのは母さんだけどね。色々と教えてあげてよ。海の中で大きくなる体を隠していたんだよ」
「悪いのう。儂は海で体を隠していただけで余り世界の事は知らんのだよ。色々と教えてくれると助かるわい」
ヴィーネの予想通り可哀相な人だったね。
この国で楽しく過ごして欲しいよ…。
「ヨルムンガンドは家が欲しい?何か要望あるなら言ってよ」
「好きなように動けるだけで十分じゃよ。家に閉じ籠ってもつまらんから色々としてみたいわい」
「それなら、何もないのが一番だね。ベティーナとエラは色々と教えてあげてね」
「「分かりました」」
念話。
「今日は世界蛇と呼ばれている蛇神を連れてきたよ。小さくして5mくらいになっているけど人を襲ったりしないから安心してね。よく見ると顔が普通の蛇とは違ってドラゴンのように見えるから。名前はヨルムンガンド。学校にも通うからみんな仲良くしてね。またねー」
「ヨルムンガンドはこの国で楽しめる事がいっぱいあるからね。皆で学校に通って秘儀を覚えて魔法も覚えて好きなように遊んでよ。ベティーナとエラは伝説の種族ばかり相手にしていて大変だと思うけどお願いね」
「気さくな方ばかりですので大丈夫です。ヨルムンガンド様も気さくな方のようですのでお任せ下さい」
「人を襲わないと分かっていれば皆が安心しますので大丈夫です。お任せ下さい」
「すまんのう。色々と教えて楽しませてくれ。海の中は飽きたんじゃ」
「そういう事だからお願いね。じゃあ、母さん帰ろう。またねー。転移魔法」
社のお風呂に移動した。
「ヴィーネの予想通りだったね。凄いじゃない。気付いていたんだね」
「海の中で全く動かない魔力反応があったからね。もしかしたら、動けない程に巨大な生物かもしれないと思っていたんだよ」
「お風呂の中に転移するのも懐かしいね。服を脱いでゆっくり浸かったら寝ようか」
「うん。ゆっくりお風呂に浸かってから寝よう」
お風呂から出て布団を敷いてヴィーネが入ったらすぐに隣に入り抱きしめる。
「ヴィーネのお陰で不幸な種族が救えたね。良かったよ」
「偶々覚えていただけだよ…」
ヴィーネは助ける事を意識し続けている。
やはり、私の記憶に引っ張られているだけとは思えないね。
「今日は楽しい1日だったね。さあ、ヴィーネ。ゆっくりと眠りなさい」
ヴィーネの頭を撫でなながら語り掛ける。
「うん…。おやすみ」
「おやすみ。私の可愛い子」
楽しい1日でしたね。




