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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第4章 神国シャーロット

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閑話 メデューサ 新しい日々

私の石化させる力はお姉ちゃんからの呪いだったみたい。

でも、殺す事なく解決してくれた。


嫌な日々だったけど殺されなくて良かった。

お姉ちゃんの死ぬところは見たくないから。


そして、ここは世界一幸せな国だと言っていた。

それってどんな国なのかな?


あの2人が管理している国なら凄そうだけど…。

カーリンと呼ばれていた女性に背を押されるように建物に入った。


「ここはどういう場所でしょうか?何をすればいいのでしょうか?」

「ここは孤児院と言って他国の奴隷だった子たちが楽しく過ごしている場所よ。学校という施設に通って勉強して遊んで、16歳になったら好きな仕事をすればいいわ。それまでは、毎日遊びと勉強よ」


そんな夢のような環境なの?

働かなくていいなんて嘘みたいだよ。


「他国の奴隷だった子がたくさん住んでいるのですか?」

「ええ、先程のお2人が600人以上を救っているわ。孤児院で楽しく生活しているわよ。今は学校に行っているので静かなだけで、帰ってきたら凄く賑やかになるわ。メデューサはお風呂に入って綺麗な服に着替えましょう。さあ、早く行くわよ」


お風呂とは何だろう?

それに、綺麗な服まで用意してもらえるの?


「カーリンさん、知らない事ばかりです。それも、学校で勉強すれば分かるのですか?」

「ええ。全て分かるようになるわ。私はここではカーリンお姉ちゃんと呼ばれているから、そう呼んでちょうだいね。孤児院長でもあるのよ。困った事があれば私に言いなさいね」


カーリンお姉ちゃんに押されるようにお風呂に行きました。

それにしても、凄く綺麗な人だよ…。


「さあ、服を脱いで。お風呂に入るわよ。同性ですから恥ずかしくないでしょ?」

「はい。服を脱げばいいのですね」


服を脱げと言われたのに何も怖くない…。

カーリンお姉ちゃんの雰囲気が明るいからかな?


服を脱いで先に進むと想像以上の場所がありました。

煙が出ているので温かい水でしょうか?


「さあ、桶で一度お水を体にかけてからお風呂に入りなさい。温かいから心配しなくてもいいわよ」

「はい。分かりました」


桶で水を掬い体にかけます。

物凄く温かいです!


全部こんなにも温かいのですか?

とんでもない場所です。


これがお風呂ですか!


「さあ、早く入りなさい。体が冷えてしまうわよ」

「はい。分かりました」


温かいお水に浸かるのですか。

そんな贅沢した事がありません。


用意する事もできません。

想像した事があるだけです。


そーっとつま先からお風呂に入りました。

そして、体をゆっくりと沈めていきます。


物凄く温かいよ…。

それに、想像していたよりもとても気持ちがいい。


想像していた夢が叶ってしまいました!


「凄いでしょ?これからは毎日お風呂に入る事になるわ。ここではこれが普通なの。今までの常識は通用しないわ。世界一幸せな国は世界一発展している国でもありますからね」

「はい。よく分からなくなりました。世界にはこんな国があったのですね」


新しい水が流れ続けています。

使いたい放題ですね。


何故石から水が出るのか分かりません。

分からない事だらけです。


「そろそろ温まったわね。一度お風呂から出なさい。体を洗うわよ」

「洗うのですか?体を拭くのではないのですか?」


言われた通りにお風呂から出ます。

そして、椅子がいくつも用意してあるので適当に座ります。


「この白い塊は石鹸と言うのよ。目と耳と口に入れないように注意して全身を擦りなさい。背中は私が擦ってあげるわ。次からはお友達とお互いに擦りあうのよ」

「はい。分かりました」


石鹸ですか…。

聞いた事だけはあります。


高級品で普通の平民は買う事ができない物だったはずです。

それを、私が使ってもいいのですか?


言われた通りに全身を擦ります。

泡が出てきました。

全身が泡塗れです。


頭も顔も泡塗れになりました。


「さあ、頭からお湯をかけるわよ。目を閉じなさい」

「はい。分かりました」


【バシャア】

【バシャア】

【バシャア】


「次からは自分でかけるのよ。まだ、泡が残っているのなら桶でお湯をかけてね」

「はい。少し残っていますのでかけます」


【バシャア】

【バシャア】


「お風呂に浸かりなさい。温まってから出るわよ」

「はい。分かりました」


この状況は何なのだろうか?

夢の中にいるみたいだよ。


髪の毛はゴワゴワになったけど体はツヤツヤだよ。

石鹸はこんなにも体が綺麗になるんだ。


これが毎日なの?

とんでもない国だよ!


「温まったら出るわよ。もういい頃かしら?」

「はい。十分温まりました。もう大丈夫です」


「じゃあ、お風呂から出て体を拭きましょう。さあ、行くわよ」

「はい。分かりました」


体を拭いた後に改めて見ると、自分の肌とは思えません。

艶が全然違うもん。


「髪の毛に香油を馴染ませるわよ。ゴワゴワの髪の毛では女の子は駄目よ」


香油まで使うんだ。

また高級品だよ。


「使い方は知っているかしら?」

「いえ、知りません」


「あなたの手に香油を垂らしますから、まずは手に馴染ませなさい。そして、香油を髪の毛に馴染ませるように手櫛をするのよ」

「はい。分かりました」


カーリンお姉ちゃんが私の手の平に香油を垂らしました。

手に馴染ませるように延ばした後、髪の毛に香油を馴染ませるように手櫛をしました。


ゴワゴワしていた髪の毛がスルスルになっていい匂いまでするよ。

貴族のお嬢様になったみたい!


あくまで想像だけどね。


「これも次からは自分でするのよ」

「石鹸と香油は毎日使ってもいいのですか?」


「毎日使ってもいいわよ。お風呂に何度入ってもいいわ。自由時間は好きなように使いなさい」

「そんな国があったのですか…」


世界一幸せな国は凄いよ。

まだまだ凄い事がいっぱいありそう!


「お腹が空いているわよね?夕食まで時間がありますから軽くパンを食べておきましょう。付いて来て」

「はい。分かりました」


カーリンお姉ちゃんに付いて歩いて行くと物凄い広い場所に出ました。

突然景色が変わって驚きました…。


「驚いているわね?ここは食事場所よ。子供たちが食事する為の場所なの。ここの席が子供で埋まるのよ。想像すると凄い光景でしょ?慣れない内はクラーラにお願いしましょう。迷子になってしまいますからね」

「はい。よろしくお願いします」


この広い場所が子供の食事する為の場所なの?

子供の為にこんな場所まで用意しているんだ。


この国は凄過ぎるよ…。


食事場所の一番前の席に座りました。

「パンは何個食べられそう?食べ過ぎると夕食が食べられなくなりますから程々にね」

「あの…。ここは1日に何回食事をするのですか?」


夕食という言葉がとても気になりました。

朝食もあるのかもしれません。


世界一幸せな国ですから。


「そうね。少し待っていてね。…、このプレートの食事が朝、昼、夕の3回よ。パンは何個食べられそう?」


ええーー!


1日に3回も食事した事がないから分からないよ。

それに、プレートも大きいから…。


「全く分からないので1個で大丈夫です。夕食を食べられないのは申し訳ないですから」

「気にしなくてもいいわよ?食べても食べなくても自由なのですから。但しこの国は子供がお腹を空かせてはいけませんから、空腹を我慢するのは禁止よ。私が怒られてしまいますからね」


子供が空腹だと大人が怒られるのですか。

物凄い国に来てしまったようです。


世界一幸せな国は子供の為の国なのかな?

そんな気がしてきました。


「1個で大丈夫です。絶対に空腹にはなりません」

「そう?なら1つ食べて少しお話をしましょう。この国でも決まり事はありますからね」


そうですよね…。

これ程の国ですから厳しい決まり事があるのでしょう。


それより、パンが柔らかくて甘いよ。

安くて硬い黒パンではなくて高級な白パンだ。


もっと食べたくなる…。


王族の生活を想像した事があるけど、こんな生活なのかな?

少し優雅な気持ちになってきました。


それに、頭がボーっとしてきた。

現実が余りにも想像以上だから。


しっかりしないと!

決まり事を聞かないといけないからね。


「さあ、お話をしましょう。この国の決まり事は2つ。差別をしない。命令をしない。以上よ。絶対に守ってね」

「えっ?それだけですか?」


覚悟して聞いていたのに、そんな簡単な事だけでいいの?

誰でも簡単に守れるよ。


「学校で勉強すると極秘の技術を学べますけど、国の決まり事は2つだけです。この国には本当にたくさんの種族が住んでいます。ですが、上下関係はありません。精霊様は尊敬されていますから一目置かれていますけど、それだけです。上下関係ではありません」

「精霊様まで住んでいるのですか。もう限界かもしれません…」


精霊様は本当に実在したんだ。

しかも、明日には会える。


頭で整理できないよ…。

目の前の現実が全て想像以上だから。


「すぐに慣れるので心配する必要は無いわよ。誰もが最初はそうなのですから。あと、大切な事を忘れるところでした。孤児院には不幸な過去を持つ子が多くいます。過去の詮索は禁止よ。自分から話すのはいいけど聞いては駄目。それは分かるわよね?」

「はい。話したくない過去は誰にでもあると思います」


奴隷の子なら悲惨な経験をしているはずだよ。

そんなの、とても聞けないよ…。


「それが分かっているのであれば大丈夫ね。さあ、孤児院に戻ってのんびりしていましょう」

「後片付けはどうすればいいのですか?」


「偉いわね。食器を前に持っていくだけでいいわよ。プレートですから重ねて置いていくだけ。スプーンやフォークも入れる器を用意しますからその中に入れてくれればいいわ」

「食器を洗わなくてもいいのですか?」


「ええ。子供は勉強と遊びを一生懸命にするだけよ。その代わり勉強は大変よ。学校には3段階あって、孤児院の子は必ず一番難しい高等科を卒業するの。それが当たり前になっているわ。勉強は頑張ってね」

「はい。分かりました」


これ程の環境で勉強を頑張るだけでいいんだ。

勉強を本気で頑張ろう!


「さあ、孤児院に戻るわよ。お茶でも飲みながら皆が帰って来るのを待ちましょう」

「はい。分かりました」


孤児院の椅子に座りカーリンお姉ちゃんが用意してくれたお茶を飲みながらお話をしました。

この国の事や孤児院の事を色々と教えてくれました。


私を助けてくれた人たちは神様のように崇められているそうです。

すぐに受け入れる事ができたよ。


とんでもない事を普通にしていたから。

できない事はあるのかな?


カーリンお姉ちゃんとクリスティーネお姉ちゃんは美人過ぎるよ。

あんなに美人な2人が孤児院で働いているのがとても不思議。


本当は王女様だって言われても納得だもん。

2人とも元王女様だったら凄いね!


シルキーお姉ちゃんは神秘的な雰囲気で、小さな子とずっと遊んでいるよ。

カーリンお姉ちゃんに聞いたら妖精だって教えてくれた。


もしかして、孤児院は凄い場所なのかな?

お話しに夢中になっていたら教師をしている女性が帰ってきました。


「あれー?新しい子がいるね。名前は何て言うの?私はクリスタだよ。よろしくねー」

「メデューサです。よろしくお願いします」


「明日から学校に通うのでしょ?絶対に驚くよ。もう無茶苦茶だからね」

「無茶苦茶ですか。どのように無茶苦茶なのでしょうか?」


孤児院の環境で限界なのに学校も凄いんだ。


「世界中のあらゆる種族が学校にいるよ。おかしくない?国に世界を詰め込んでいる感じだよ。もう訳が分からないよ。精霊様や伝説の種族が普通に学校にいるからね。常識が壊れているから」

「伝説の種族ですか。凄いですね。残念ながら私は知らない事ばかりですから誰が伝説か分からないと思います」


たくさんの種族がいると聞いたけど学校で勉強しているんだ。


「学校に行けば絶対に分かるよ。大体おかしいよね?学校に入らない生徒がいるんだよ?野外授業だよ?どうなっているの?」

「いつまで子供に愚痴を言っているの。フェンリル様には授業しないと駄目でしょう?秘儀以外は妖精の方たちが教えてくれそうですけどね」


「フェンリル様はフェリシア様とご自分の名前を決めたよ。それと、妖精は真面目なんだよ。学校で授業するからそれ以外の時間は仕事か遊ぶ以外の事はしないの。絶対に教えないよ。伝説の狼に伝説の鳥がいるんだよ?精霊様は3人もいるし、あー、教師辞めたいよー」

「シャーロット様にお願いされた教師を辞める気もない癖によく言うわよ」


全く話が分かりません。

勉強すれば分かるのでしょうか?


夕暮れに差し掛かった時に大勢の子供が孤児院に入ってきました。


カーリンお姉ちゃんが1人の女の子を呼び止めました。

透き通るような肌のとても可愛い女の子です。


可愛過ぎるよ!


「クラーラ。今日新しい子が孤児院に入ったわ。この子よ。名前はメデューサ。明日から学校に通うから迷わないように案内してあげて。食事の仕方とか色々と分からない事があると思うからお願いね」

「新しい子が来たんだ。カーリンお姉ちゃんに任されたら全力だよ。よろしくね!」

「はい。よろしくお願いします」


シルキーお姉ちゃんを除いたお姉ちゃん達は食事場所に移動しました。

子供は誰も動きません。


「私たちは何もしなくてもいいの?」

「食事ができるまで待っていればいいよ。食事の時間の食事場所は物凄い大勢いるから離れないように注意してね」


「分かりました。それまでは何をしていればいいの?」

「遊んでいたり勉強したりするけど、まだ学校に行ってないからね。何か聞きたい事とかある?」


「孤児院の説明はカーリンお姉ちゃんにしてもらいましたが、子供から見たらどんな感じなの?」

「そのままだと思うよ。この国は子供が最優先だからね。孤児院にいる人間と獣人は16歳になると卒業して働き始めるけど、他の種族は特に決まりはないんだよ」


「働くとは何をすればいいの?」

「好きな仕事をすればいいんだよ。学校に通って勉強すれば好きな事が見付かると思うからね。それを仕事にすればいいだけだよ」


「孤児院の子は特別に何か別の仕事とかはないの?」

「ないよー。差別も命令も禁止と聞いたでしょ?みんな平等だよ。孤児院卒業生は優秀だからどの職場でも欲しがられているよ。勉強を頑張れば好きな仕事に就けるよ。この国は孤児院が尊敬されているんだよ。シャーロット様が大切にしている施設だからね」


カーリンお姉ちゃんに教えてもらった一番大切な名前。

私を助けに来てくれたのはシャーロット様とヴィーネ様。


世界一幸せな国は子供が最優先なんだ。

だから、孤児院がこれだけ凄いのかな?


「とんでもなく凄い力を目にしたけど、やっぱり凄いんだね」

「500年以上もこの国を守り続けているから凄いよ。しかも、世界中の子供を助けているんだよ。凄過ぎるでしょ?土地神様と呼ばれているけど、間違いなく土地神様だよ!」


500年以上も国を守り続けているのですか。


神様ですね。


世界中の奴隷の子供を助けていると聞きました。

そして、私も助けてもらいました。


神様ですね!


「世界一幸せな国って聞いたけど、あの2人が維持しているの?」

「2人とはシャーロット様とヴィーネ様の事だよね?そうだよ。ヴィーネ様は世界最強だからね。凄いでしょ?この国ではお祭りが半年に一度あるけど世界で上から4番目までが集まるんだよ。ちなみに5番目に強いのがクリスタお姉ちゃんだよ。凄いでしょ?」


凄いばかりの国だよ。


世界最強がいて5番目に強いのがクリスタお姉ちゃんなの?

人間に見えたけど違うのかな…?


「あの人は人間ではないの?」

「人間なのに世界で5番目に強いんだよ。だから、物凄いんだよ。とても凄い国でしょ?勉強は大変だけど毎日楽しい事ばかりだよ。喧嘩する時もあるけど、クリスタお姉ちゃんに説教されるからね。喧嘩両成敗といって地獄の説教だよ。孤児院の鬼と呼ばれているからね。平和に楽しく暮らさないと駄目だよ?」


世界で5番目に強い人に説教されるの?

絶対に避けないと駄目だね。


「何をしたら説教されるの?」

「物を壊したり、喧嘩したり、夜遅くまで枕投げをして遊んだりすると説教だね。まあ、ほとんど枕投げが見付かって説教されるだけだよ。はぁ、嫌だよねー」


あれ…?

おかしいよね?


完全に自業自得だよ!

地獄の説教をされたいのかな?


「枕投げをしなければいいだけじゃないの?」

「そんなのは駄目だよ。カーリンお姉ちゃんと遊ばないといけないからね。それも教えておいた方がいいね。孤児院には3つの派閥があるんだよ。カーリン軍、チェルシー親衛隊、クリスタ公安部。無所属でもいいし、好きな派閥に入ってもいいよ。別に敵対とかしている訳じゃなくて、特別にそのお姉ちゃんが好きなだけだからね」


なるほど。

好きなお姉ちゃんの派閥があるんだね。


敵対している訳じゃないなら安心だよ。

私も派閥に入るかもしれないね。


「クラーラはカーリン軍なんだね」

「当然だよ。カーリンお姉ちゃんを不快にさせた男は死ぬ寸前まで痛めつけて埋めるよ。それが、カーリン軍だよ」


好きなお姉ちゃんの派閥だよね?

子供たちがお姉ちゃんを守るの?


クラーラは何を言っても可愛いね。

現実逃避しそうだよ…。


「えー!平和的な話だと思ったけど過激だよ。そんな事をするんだ」

「当然だよ。カーリンお姉ちゃんが最優先だからね。カーリン軍はカーリンお姉ちゃんを守る為にあるんだから。仲間であろうとも失態を犯したらボコボコにして埋めるよ」


物凄い過激な派閥だよ…。

カーリンお姉ちゃんに似合わないよ。


「えーー!仲間でも関係ないの?カーリンお姉ちゃんは知ってるの?」

「カーリンお姉ちゃんには秘密って事になっているの。本人が気付くまでは絶対に話したら駄目だよ。埋められるよ?」


無所属でも埋められるんだ。

恐ろし過ぎるよ…。


「分かったよ。絶対に言わない!もしかして、他の派閥も凄いの?」

「お姉ちゃんを守る為にあるのは一緒だけどクリスタ公安部だけは別だね。この国を乱す人を秘密裏に処刑する為にあるから。恐ろしいよねー」


もっと恐ろしい派閥があったよ…。


「ちょっと待って…。孤児院の派閥の話しだよね?何で人を処刑するの?意味が分からないよ」

「この国はシャーロット様が守っているでしょ?シャーロット様に頼らなくても邪魔者を排除しようって事なんだよ。学校に通うとそれだけ強くなるんだよ」


学校に通うと強くなるんだ…。

強くないとできない事ばかりだったから不思議だったんだけど納得できないよ。


孤児院はおかしいのかな?


「クラーラってもしかして物凄く強いの?」

「ドラゴンくらいなら軽く殺せるよ。魔獣も楽勝だね。孤児院の子供は皆そうだからね。私だけが特別に強い訳じゃないよ?」


孤児院はおかしいみたい…。

流石に常識が通じなさ過ぎるよ。


クラーラがドラゴンを殺せるの?

その光景が想像できないし、したくない。


クラーラが血塗れになるのは見たくないよ。

だって、可愛過ぎるから…。


「私もそうなるって事なんだね。かなり混乱しているよ」

「最初は混乱するけどすぐに慣れるよ。この国が世界の中心で世界最強だからね。知らない事ばかりなのも仕方ないよ。この国は戦争を仕掛けられる事が多いんだよ。勿論相手の王族や貴族を皆殺しにしているけどね。だけど、この国は戦争を絶対に仕掛けないんだよ。凄い事ばかりでしょ?」


世界最強だけど戦争を仕掛けないのは凄いね。

仕掛けられたら皆殺しにできるのも凄いよ。


もう分からないよ…。

人生を初めからやり直す感じだね。


「今までの常識が全く通用しないんだね。とにかく勉強を頑張るよ」

「そうそう。勉強を頑張ろう!」


クリスタお姉ちゃんが戻ってきた。


「食事の準備ができたよー。食事に行きなさい」

「「はーい!」」


皆が物凄い勢いで食事場所に入っていった。

よく考えたら何であそこを通ると食事場所に行くのかな?


考えるのやーめた!


「さあ、私たちも食事に行くよ。絶対に離れないでね!」

「分かったよ。絶対に離れない!」


何これ?

とんでもないよ!


「孤児院は2つあるんだよ。だから凄い人数でしょ?600人以上いるからね」

「そんな人数が一緒に食事を食べるの?訳が分からないよ」


カーリンお姉ちゃんが言っていた光景は想像以上だよ。

ここまで凄い状況になるんだ…。


皆がプレートを手に取っているね。

私もクラーラの真似をしてプレートとフォークを手に取った。


「料理はここに置かれるから食べられるだけプレートに盛ればいいよ。私は野菜しか食べられない種族だから別のを盛るけど気にしないでね」

「野菜しか食べられない種族だったんだね。何も分からなかったよ」


やはり勉強しないと駄目だね。

不用意な言葉で相手を傷つけてしまうかもしれない。


「さあ、早く盛らないと後ろにどんどん行列ができるよ。食べられる量を盛ってね」

「そうだね。とんでもない事になっているよ」


後ろを見てから急いで盛ったよ…。

3種類だけ好きな料理を盛る事ができる。


何で贅沢な食事なんだろう。


「色々料理あったでしょ?足りなかったら何度でも盛ればいいから」

「何度でもいいんだ。凄過ぎるね!」


お姉ちゃん達は料理を作り続けているよ。

大きな鍋を軽々と振っているから、きっと強いんだね。


「さあ、コップに水を入れたら席に座ろう」

「うん。何でこれで水が出るのか意味が分からないよ」


クラーラの隣に座る。

広過ぎると思っていた食事場所が狭く感じるよ。


「さあ、食べよう。いただきます」

「いただきます…」


私は何て事をしているの!

プレートに自分で盛った料理の山を見て冷静になったよ。


冷汗が出た…。


全部食べられるかな?

食事を食べきれないか不安になるなんて初めてだよ。


・・・・。


うー、食べきれたよ。

だけど、食べ過ぎてお腹が痛い。


少し苦しい…。

今日は初めての経験ばかりだよ。


「食器を片付けて戻ろう」

「うん…」


重いよー。

自分の体が重過ぎる。


孤児院に戻ってから男の子が一斉にお風呂に向かった。


「女の子は後でゆっくり入る事になっているんだよ。男の子は出るのが早いからね」

「私は入ったばかりだから、お風呂はいいよ」


「何で?一緒に入ろうよ。もう1回入ればいいじゃん。皆と一緒に入るのも経験だよ」

「そうなの?じゃあ、もう1回入るよ」


何回でも入っていいんだよね。

ほんと贅沢過ぎるよ…。


お風呂から出た男の子は一斉に階段を上っていった。

まるで嵐のようだったよ。


「さて、お風呂に行こう」

「そうだね。お風呂に行こう」


食べ過ぎたお腹を見られるのが恥ずかしい。

膨らみ過ぎたお腹は私だけだよ…。


勉強しないと駄目だね。


みんな桶で体に水をかけてからお風呂に浸かる。

さっきの嵐が嘘のような穏やかさだよ。


クラーラと話しながら他の子とも話したよ。

そういえば、今日来たばかりの私が全然浮いていないね。


普通に過ごせていて気付かなかった…。


皆が気を使ってくれているのかな?

孤児院に自然に溶け込めているよ。


「さて、体を洗おう」

「そうだったね。石鹸を使っていいんだよね」


「背中をかわりばんこで洗おうね。最初にメデューサの背中を洗うから後で私の背中を洗ってね」

「うん。分かったよ」


クラーラに背中を洗ってもらった後に改めてクラーラの肌を見る。

やっぱり透き通るような綺麗な肌だね。


例え石鹸でも強く擦ったら傷をつけてしまいそうで怖いよ。

かなり優しくクラーラの背中を洗った。


クラーラは大人になったら絶対に美人だね。

子供の中で可愛さが飛び抜けている。


可愛過ぎるよ!


お風呂から出た後に香油をまた使う。

でも、最初と違うのは好きな香油を使うという事だった。


「好きな匂いの方がいいでしょ?私はいつも同じだけど毎日変える子もいるから好きな香油を使うといいよ」


物凄く贅沢なのに、そんな感じがしないのは皆が自然に使っているからかな?

私はクラーラと同じ香油にしたよ。


だって、可愛過ぎるもん!


「さて、お風呂から出たら寝る場所まで行くんだけど、メデューサはどこで寝るの?」

「そういえば、寝る場所は聞いてないや。みんな同じ場所じゃないんだね」


「孤児院は4階まであって、子供は2階から4階のどこかで寝るよ。カーリンお姉ちゃんに聞きに行こう」

「そうだね。勝手に違う場所で寝ると怒られそうだもん」


食事場所に戻ったら食器を洗ったりと物凄く忙しそうだよ。

何もしていないから申し訳ない気持ちになる…。


勉強頑張ろう。


「カーリンお姉ちゃん、メデューサはどこで寝るの?」

「ああ、ごめんなさい。伝えるのを忘れていたわ。クラーラと同じ2階でいいわよ」


「さて、じゃあ2階に行こうか」

「うん。どんな場所で寝るのか楽しみだよ」


孤児院に戻り2階の部屋に入ると、ほとんどの子が会話で盛り上がっていた。


匚の形に寝る場所が用意されているみたい。

そして、一段高い床の上に柔らかそうな生地まで敷かれている。


枕や掛け布団まである。

全てが贅沢な環境なんだね。


中心には勉強ができるように机まであるよ。

今も勉強を頑張っている子がいる…。


私も明日からは頑張らないとね。


「クラーラはすぐ寝るの?」

「寝ないよー。大人の誰かが寝かしつけに来るから待つんだよ」


「そうなんだ。誰が来るかは分からないんだね」

「今日は確実にカーリンお姉ちゃんが来るよ。メデューサは今日入ったばかりだからね。皆それが分かっているから寝ないでしょ?」


「もしかして、枕投げしちゃうの?」

「当然だよ。枕投げは全力だよ。説教が怖くて枕投げをしないなんてカーリン軍失格だからね」


クラーラがおかしな事を言っているよ。


私は説教が怖いよ…。

枕投げは見学しよう。


少ししてからカーリンお姉ちゃんが来た。


「今日はメデューサが入ったばかりよ。大人しく寝なさい」


カーリンお姉ちゃんの言葉に私だけが納得していたみたい。


「待ってたよカーリンお姉ちゃん。今日は来るのが分かっていたからね。枕投げ開始だよ!」

「いけー!」


「まったく、この子たちは本当に反省しないわね。説教決定よ。覚悟しなさい!」

「関係ないよ!説教が怖くて枕投げはできないからね」

「その通りだよ!」

「全くだね!」


その覚悟は何…?

皆おかしいみたい。


【バフッ】


何故私に枕が当たったのかな?

反対側に笑っている男の子がいる。


なるほどね…。

左右に分かれて対戦しているんだ。


「よくもやったなー!」


手の届く範囲にある枕を反対側にいる子に投げつける。

絶対にぶつけてやるー!


枕投げで疲れてぐっすり眠れたよ。


翌朝は気持ちよく起きれた。

朝食を食べた後に孤児院の1階に集められたけどね。


「2階で寝ている子は全員クリスタの説教よ」


ですよね…。

分かっていました。


「おー!初日に枕投げして説教されるなんて孤児院初だよ。メデューサやるねー!」

「えっと…、勢いに負けました」


不名誉な孤児院初だよ。


絶対に避けたかったクリスタお姉ちゃんの説教だ。

何が始まるのかな…。


「じゃあ、メデューサから説教ね。付いて来て」


「頑張って!」

「絶対に目を閉じるな!」

「気合いを入れるんだ!」


説教されるのに皆から応援されるんだけど何で?

お姉ちゃんは誰も怒らないから普通の光景なんだ。


孤児院の外に出て木の前に立たされたよ。

「目を閉じたら駄目だよ。おでこを指で軽く突く優しい説教だからね」

「分かりました」


私の言葉の後にクリスタお姉ちゃんは消えました。

世界で5番目に強い人は消えるんだ…。


もう嫌だー!


目を閉じたらどうなるのかな?

早く指でおでこを突いて。


目が乾いて痛いよ。

視界が涙で滲むよ。

痛いよー!

ああーー!

うあぁー!


【ズボッ】


「目を閉じたら突く場所を間違えちゃうから駄目だよ。分かった?」

「は、はひ。わかりまひた」


指が木に突き刺さっているよ…。

おでこを突かれたらどうなるの?


絶対に死ぬよ!


本当に説教なの?

処刑じゃないの?


とにかく目を閉じたら駄目だ。


殺される…。

絶対に殺されるよ。


早くおでこを突いて。

凄く目が痛いから。

乾燥して痛いから。

お願いですから。

もう許してー!

ああーー!


【トンッ】


「目を開けられるじゃない。閉じたら間違えちゃうから駄目だよ?」

「はい。絶対に閉じないように気を付けます…」


フラフラになりながら孤児院に帰りました。


「頑張ったね。何回目を閉じたの?」

「1回だけだよ。本当に苦しかったけど1回だけで終わったよ」


「おぉー!頑張ったな。やるじゃねーか!」

「初めてで1回だけなんて気合入ってるね」


説教されて帰ってきたら褒められるのは何でかな?

皆もこれから地獄の説教だよ?


人が消えるなんておかしいよ。

指が木に突き刺さるなんて異常だよ。


孤児院の鬼…。

その呼び名に偽りは無いね。


そして、学校に通い種族の多さに驚きました。

極秘扱いの秘儀と魔法も教えてもらいました。


凄い身体能力が上がるよ!

こんな技術があったんだ。


授業が終わると全員で鬼ごっこするんだって。

500対500くらいの訳の分からない人数の鬼ごっこだよ。


組分け用に赤色と白色の太めの紐を渡されたよ。

手に巻いて組が分かるようにするんだって。


鬼ごっこに本気過ぎだよ!


秘儀を鍛えないと鬼ごっこを楽しめないね。

みんな足が速過ぎるもん。


隠れて過ごす悲しい日々が終わったんだ…。

これからは、隠れている人を笑顔で捕まえる鬼ごっこに全力だよ!

鬼ごっこを楽しむ為に秘儀を鍛えるのです!

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