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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第4章 神国シャーロット

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シャーロット 3姉妹

「今日はヴィーネを抱きしめて寝ていようかな。偶にはいいよね?」

「外に出ないの?誰かを助けてあげないの?」


「ん?ヴィーネがその方がいいならそうするよ。ヴィーネが一番だからね!」

「じゃあ、母さんの力で誰かを助けてあげてよ。私は母さんが誰かを笑顔にするのが好きだよ」


「そっか。じゃあ、誰かを笑顔にしないといけないね。娘の願いは叶えてあげないと」

「母さんならできるよ。私は笑顔が見たいな」


娘のお願いは難しいね…。

笑顔にできるのかは相手にもよるから。


必ず笑顔にできる相手などいない。

ヴィーネにも分かっていると思うけど、私にはできると思っているみたい。


過剰評価だよね…。

母親をどこまで凄いと思っているのかな?


母としては嬉しいけど辛いよね。

本当にもう…。


世界を詳細に把握し該当しそうな人を探す。


悲しんでいる子が1人いるね…。

周りに誰もいないから少しだけ距離を離そう。


少し違和感を覚える状況だから。


「ヴィーネ。行くよ!転移魔法(テレポート)


ここは南西の大陸。

平原にある石に座って泣いている女の子がいる。


問題は周りに石像がたくさんある事。

20体以上の人間や獣人の石像がある。


まるで先程まで生きていたかのようだ。

あの子が人を石像に変えているのだろうか?


「ヴィーネ近付くのは待ちなさい!」

「あの子は泣いているよ?いいの?」


「いいから待ちなさい!」

「はい。ごめんなさい」


泣いている子が放っておけないのは私の感情に引っ張られたから?

それとも、自発的に動いたのかな?


あの子は本当に悲しんで泣いているからね。

感情を見て嘘ではないと分かる為、余計に助けてあげたくなるのだろう。


接触して石化させているとしたら女の子が殺されている可能性が高い。

近付くだけで石化させてしまうのだと思う。


何に悲しんで泣いているのかな?

んー、自分の能力に悲しんでいるのかもしれないね。


さて、近付いても石化しないようにする為にはどうすればいいか。


離れた距離から見ても緑色の髪の毛が蛇になって縦横無尽に動いているのが分かる。

蛇は誰かの意思を持って動ているのだろうか?


生命体ではなさそうだね。


石像の範囲に近付くと石化されると考えると半径5m程しかない。

弓で殺そうと思えば殺せるはず…。


全ての石像が剣を抜いているから少女を殺そうとしたのは間違いない。

何故この状況で近付いて殺そうとしたのだろう。


可能性として一番高いのは誰かに誘惑か洗脳されて殺しにきている。

人を石化させるのを彼女に見せる事で悲しませているのかもしれない。


少し可哀相だけど確認させてもらうよ。

呪術(マジックロック)


予想通り蛇の動きは止まったね。

彼女の意思に関係なく彼女の魔力を使っていたようだ。


「ヴィーネ、行こうか!」

「うん。行こう!」


ヴィーネと歩いて彼女に近付く。


「それ以上近付かないで!お願い!」

「安心して。君の石化能力は止めさせてもらったよ」

「母さんそんな事をしていたんだ。やっぱり凄いよ!」


この子は人を石化させたくないんだね。

優しい子だから救ってあげられるよ。


「そんなの嘘よ。また操られているのでしょ?」


女の子の言葉を無視して接近する。

やはり誰かが人を操って彼女に石化させているみたいだね。


「ほら、石化しない。大丈夫だって言ったでしょ?」

「何で?どうして石化しないの?私に見られたら石化するのに…」

「そんな凄い能力があるんだ。周りは君が石化しちゃったんだね」


「こら、ヴィーネ!彼女は人を石化して悲しんでいたんだよ。そんな事を言ったら駄目でしょ」

「そうだね。ごめんね」

「事実ですから。何で石化しないんですか?」


彼女は気付いていないようだね。

髪の毛の蛇の動きが止まっていると。


彼女の魔力を吸って寄生しているのか同体なのか。


「君の魔力を固めたんだよ。髪の毛が動いていないでしょ?気付いてなかったね」

「え?魔力を固めた?よく分かりません。髪の毛は動いてないですね…。気付きませんでした」

「髪の毛が勝手に動くんだから凄いよね」


「君の髪の毛は生まれつきかな?それとも、何かに寄生されたのかな?」

「気付いた時にはこの髪の毛でした。蛇のように動くのです。蛇が石に変えていると思っていました」


さて、どういう事だろうか…。

髪の毛が蛇の種族がいてもおかしくはない。


髪の根元を見ると普通の緑色の髪の毛だ。

呪術で髪の毛を蛇に変えられている気がする。


髪の毛を蛇の見た目に変えているだけだろうね。

蛇に見られたら石化すると思わせる為かな?


「君の記憶を覗かせてもらってもいいかな?」

「そんな事ができるのですか?何か分かる事があるのであれば見て下さい」


やはり蛇が石に変えているようだね。

もう少し記憶を探ろう。


彼女には姉妹がいるね。

3姉妹だ。


姉妹が石化していないのは不自然だよ。

さて、話を聞かないとね。


安全対策は万全にしておかないと。

呪術(マジックロック)

召喚魔法(サモンマジック)

念力(サイコキネシス)


「やあ、姉妹の再会だね。口は動かせるようにしたから言いたい事があるなら言ってみてよ」

「な、何で石化してないの。どういう事なの?あなた何をしたのよ!」

「本当ですね。石化していないのは不思議です。何をしたのでしょうか?」


自分たちは石化する心配をしていない。

一緒に暮らして保護してあげられるじゃない。


何で突き放したの?


「2人は髪の毛が蛇じゃないね。何で?姉妹でしょ?」

「知らないわ。その子の髪が突然蛇になって人を石化していったのよ」

「私も知りませんね。髪の毛が蛇になって人を石化したのは間違いないですから」


ふーん…。

冷静に話していても動揺しているね。


「君たちは石化してもらうよ。お姉ちゃんでしょ?妹を泣かせたまま放置するなんて酷いよね?」

「そうだよ。何でこんな所に1人ぼっちなの?君たちは石化しないなら一緒に暮らせるじゃない」

「私は結婚しているのよ。夫を石にされたらどうするの?子供もいるのよ?」

「私は独身ですが何もできなくなってしまいますからね」

「お姉ちゃん…。久しぶりに会ったのに酷いよ…」


石化するようになった時には結婚していたんだ。

家族がいるのなら一緒に暮らせないね…。


もう1人は何もできなくなるからか。

実験ができなくなるからかな?


感情を安定化させる呪術を自分にかけるべきだったね。

動揺しているのがまる見えだよ。


「面白い事をしてあげるよ。呪術反射(カースリフレクト)。今、この子に呪いをかけた人にはね返したよ。誰の髪が蛇になったかな?相当焦っているだろうね」

「へー、あんた凄いじゃん。これでメデューサも安心して暮らせるじゃない」

「本気で言っているのかしら?あなたにそのような事ができるとは思えません。証拠もありません」

「母さんを疑うなんて正気?世界一凄いんだから。それに、自分の髪が蛇になっているよ?」


髪の変化に気付いていないんだね。

この人は長女かな?


記憶を覗かせてもらおう。


「な、何をしているのですか?」

「ふーん、呪術の実験が好きなんだね。君が人を操ってメデューサを襲わせていたんだ。呪術で誘惑すれば剣で襲わせる事なんて簡単でしょ?妹なら触媒となる髪の毛も血も簡単に手に入るから髪の毛を蛇にする事もできた訳だ。自分の呪術を誇りたいから妹の周りを石像だらけにしたのでしょ?あなたはそれを見て喜んでいる。これからは人を石にする生活を続けてね」

「姉さん、今の話は本当なの?」

「お姉ちゃん、何で…?」


「嘘に決まっているじゃない。なんで初対面の女性の言う事を信じるのよ。メデューサの髪が蛇になったのは私に関係ないわ。私の髪をこの人が蛇に変えただけです」

「自白すればいいのに証拠が見たいの?仕方ないね…」


念力(サイコキネシス)

長女の体を私たちが石化しない場所まで遠ざける。


呪術(マジックロック)解除。

やはり髪の毛の蛇が動き出したね。


召喚魔法(サモンマジック)

長女の周りに魔獣を呼び寄せる。


みんな石化しちゃったね。


「姉さん…。周りの魔獣が石化しているじゃない。何をしているのよ!」

「お姉ちゃん…。私はずっと隠れるように生活していたんだよ?何でそんな事したの?酷いよ…」

「流石母さんだね。これで解決だよ!」

「なんて事をしてくれたのよ。私の最高傑作が台無しだわ!絶対にあなたの髪も蛇にしてあげるわ」


「ヴィーネ待ちなさい!」

「母さん…。殺した方がいいじゃない」


「メデューサはどうしたい?私たちと一緒に来る?お姉ちゃんと暮らす?」

「メウリュアレーお姉ちゃんは結婚しているから、私がいると邪魔になるので連れて行って下さい。ステンノーお姉ちゃんはどうすればいいのか私には分かりません」

「こんな姉は殺しなさい。妹を不幸にして喜んでいるような姉は必要ないわ」

「なんて酷い事を言うの?あなたを石にしなかったのは私のお陰なのよ?感謝して欲しいくらいだわ」


それは感謝じゃないよ。

普通は妹を石にしようとしないからね。


「じゃあ、長女を二度と呪術が使えない体にして元の家に帰してあげようか?蛇の頭も解除してあげるから被害者も出ないよ。普通に生活するしかできなくなるから安心だよ。姉妹を殺したくないでしょ?」

「それでお願いします。それなら新しい生活を気持ちよく始められます」

「甘いわよ。殺した方が世の為だわ」

「私から呪術を奪う?そんな事は不可能だわ。必ず呪ってやるわよ」


「ヴィーネ、いいから動かないで!」

「母さん、ここまで言われたのに何で…」


呪術(マジックロック)

長女の魔力を固定する。


呪術解除(カースリリース)

蛇の髪の毛を元に戻す。


「メデューサ、お姉ちゃん達を元の生活に戻すからお別れの挨拶をしなさい」

「ありがとうございます。メウリュアレーお姉ちゃんは元気で過ごしてね。ステンノーお姉ちゃんも幸せに暮らして。人を呪うような事を考えるのは止めてね」

「本当にお人好しなんだから…。この子をお願いします」

「絶対に呪ってやる。許さない!」


最後くらいは妹に別れを告げてあげなさいよ。

本当に駄目な長女だね。


呪術(マジックロック)解除。

メデューサと次女の魔力の固定を解除する。


「それじゃあ、バイバイ。転移魔法(テレポート)


孤児院に1人増えても大丈夫だね。

この子ならすぐに学校にも通えるようになる。


「さあ、メデューサには楽しい日々が始まるよ。転移魔法(テレポート)


孤児院に移動した。


「カーリン、新しい子を助けてきたよ。この子はメデューサ、お願いね」

「はーい。メデューサどうしたの?悲しい事があったの?」


「いえ、嬉しい事がありました。ありがとうございます」


「気にしなくていいよ。明日から学校に通って楽しんでよ。カーリンお願いね」

「はい、お任せ下さい!まずはお風呂に入らないとね。さあ、中に行きましょう」

「良かったね。ここは世界一幸せな国だから。今日からは楽しい毎日が始まるよ」


お風呂は絶対に驚くね。

友達もたくさんできるし、楽しい毎日だよ。


「ヴィーネ、帰ろうか」

「うん。転移魔法(テレポート)


社に移動した。


「娘の願いは叶えられたかな?1人の女の子が救えたね」

「母さんは凄いよ。あの子、泣いていたけど笑っていたね。どうして殺さなかったの?」


「メデューサの為だよ。優しい子だから姉妹は殺して欲しくなかったと思うよ」

「でも、妹に呪いをかけた人は殺しておくべきじゃないの?」


「メデューサに姉妹を殺す場面を見せたくなかったし脅威じゃない。今から殺してもいいけど魔力の無駄だよ。二度と会う事もないし構う必要は無いよ」

「母さんを呪うとか言う女を許すの?どうして?」


「許した訳じゃないよ。興味が無いだけだよ。どうでもいいでしょ?何もできない人が喚いていても気にしないよ。国民だったら飛ばすけどね。ヴィーネを呪うと言っていたら飛ばした後に殺したよ」

「じゃあ、母さんを殺すと言ったから私が殺すよ」


「止めなさい!私の一番の失敗はヴィーネに殺しをさせてしまった事だよ。ヴィーネにはなるべく殺しをして欲しくないの。私の記憶があるから知っているでしょ?殺しは虚しいだけだよ。国長として必要だったけど、私が殺せば良かった。母親が娘に殺しをさせるなんておかしいの。ヴィーネは私に甘えさせるだけで良かった。赤ちゃんだから。赤ちゃんに殺しの仕事をさせるなんて最低な母親だよ。ごめんね」

「私が勝手にした事だから母さんの責任じゃないよ。それに、何とも思ってないよ」


何とも思っていないだけなんだよ。

ヴィーネの心に傷をつけてしまっている。


「それを止めるのが母親の役目だったの。ヴィーネは知識も経験も私を上回っているから大丈夫だと勝手に判断してしまった。そんな事は関係ないんだよ。ヴィーネは赤ちゃんなの。ヴィーネを守るのが母親である私の役目なの。ヴィーネにやりたい事が見付かるまで私に甘え続けなさい。私が守り続けるから安心しなさい。私やディーン姉ちゃんの感情ではなく、自分で何かがやりたいと思うまでね」

「何でなの?母さんは自分を縛り過ぎだよ。ずっと縛ってきてるじゃない。自由になるべきだよ!」


「ヴィーネの母親だからね。楽しんでやっているよ。母親の役は誰にも渡さないからね。母と子とはそういうものだと知っているでしょ?ヴィーネは私の娘が嫌なの?赤ちゃん扱いされるのは嫌なの?」

「母さんに赤ちゃん扱いされるのは嫌じゃないよ。実際赤ちゃんだもん。でも、他の人は嫌だけどね。私は母さんの娘で良かったと思っているよ。だけど、今の私は何もしていないから…」


そう思わせてしまうのが私の責任だよ。

本来は何もしなくていいのだから…。


「ヴィーネは産まれたばかりで私の為に動いてくれた。国の為に動いてくれた。十分だよ。赤ちゃんは母親に甘えるのが仕事なの。それも知っているでしょ?これからは、母親に甘える仕事を一生懸命にするの。他は必要ない。ヴィーネが甘えたくないと思った時に卒業だよ。卒業して欲しくないけどヴィーネが自立する時は必ず来るから。それまでは私に甘えて。私に母親を楽しませて。ディーン姉ちゃんに卵欲しいって言ってもいいの?」

「絶対に駄目だよ!母さんの娘は私だけだよ」


「それなら、赤ちゃんらしく母親に甘えなさい。私の隣にいなさい。やりたい事が見付かっても甘えたいなら甘えなさい。私は縛られていない。ヴィーネの母親なの。疑問は晴れた?」

「私は母さんの娘だから好きなだけ甘えられる。やりたい事が見付かっても甘えていいって事だね?」


本来の赤ちゃんの形にできるだけ戻してあげたい。

自分で何でも解決するのではなく母親に甘えて欲しい。


「そういう事だよ。さて、寝ようか」


布団を敷くとすぐにヴィーネは入るんだよね。

癖になっているよ。


私も隣に入るのが癖になっているね。

私から抱きしめるのは最近始めたばかりだけどヴィーネが嫌がるまでは続けよう。


「今日もヴィーネのお願いで1人の女の子が救えたね。良かったよ」

「私は何もしていないよ。母さんが全部解決したよ」


「違うよ。私はヴィーネとゴロゴロしていたかったのに、ヴィーネが誰かを助けたいと言ったから助けに行っただけ。優しいヴィーネは明日も誰かを助けに行きたいと言うのかな?」

「私には助けられない子も母さんなら助けられると思っただけだよ。実際に助けられるもん。私は母さんが誰か助けるのを隣で見ていたいだけだよ。甘えていいんでしょ?」


とんでもな甘え方だよ。

ゴロゴロしようよ…。


「甘えるって普通はゴロゴロしたりとかだよ。何で人助けが甘える事になるの?」

「母さんの娘だからじゃないかな?ゴロゴロもしたいけど、母さんが誰かを助けた後にゴロゴロするのが一番幸せだよ」


「本当に我儘な子なんだから。人を助けるのは難しいと知ってるでしょ?」

「知ってるけど母さんならできるもん。私は母さんに甘えているだけだよー」


ヴィーネを少し強くギューと抱きしめる。

全く嫌がる素振りも無いよ…。


「さて、寝ようか。おやすみー」

「うん…。おやすみー」


ヴィーネの甘え方が人助けを見たいならそれを頑張ろう。

私の娘だからそんな甘え方をするのかもしれないからね。

ヴィーネはシャルが誰かを笑顔にするのが好きなのです。

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