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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第4章 神国シャーロット

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ジェラルヴィーネ 瓦解

母さんは私に気を使い過ぎだよ。

私は全然大丈夫だから。


本当にもう…。


常に私の感情を細かく把握しているし、迷わないように助言してくれる。

ほとんどの問題は経験すればいいと考えているみたいだけどね。


母さんは裏切られる事にとても敏感だよ。

それも、私が裏切られる事がないように物凄い注意している。


この国は母さんを裏切り続けてきた。

私にもその記憶があるから母さんは必要ないと考えているのかもしれない。


どれだけ母さんが苦労して秘儀を生み出したのか。

討伐隊が弱いから考えて教えたのに、あの様。


そこから先は語りたくもない状況…。


母さんは自分を犠牲にし続けている。

もっと我儘になっていいのは母さんの方だよ。


魔人が地上の種族を守り続けているなんておかしいよ。

母さんだって分かっているはずなのに絶対に止めない。


母さんが守りたいものがこの地に集まっているのは知っているよ。

でも、守りたいものだけを守ればいいじゃない。


私に裏切られる事を経験させたくないみたいだけど、裏切った人は殺せばいいだけじゃない。

人を守る為に膨大な数の人を殺しているのに、住民にした人は極力殺さないようにしている。


住民にしたから責任を感じているのかな?

そんな事は関係ないし気にする必要も無いと思うんだけど。


お婆ちゃんが過保護だったから母さんも過保護になったのかな?

何故かそんな気がしてきたよ。


無暗に人を殺すのは良くないと思うけど、人を守る為に殺すのも、裏切り者を殺すのも一緒だよ。

母さんは自分を縛り過ぎだよ…。


あれだけの力があって何でもできるのに人を守る事にのみ力を使う。

本当に勿体ないよ。


母さんのしたい事を聞いても何を言うのか分かっている。

今の母さんは全部私の為に動いているのだから…。


人の為に動き続けて、今度は私の為に動き続けるの?

好きな事をしているとは言うけど縛られ過ぎだよ。


こんな風に考えるのは叔母さんの記憶があるからだね。

母さんをこの地に縛り付けている人が邪魔で仕方なかった。


母さんはきっと今が幸せだと言うよ。

私がいるからだって…。


私は母さんと自由に好きな事をしたいのに…。

人間と獣人の子供を救って、人間と獣人の大人に邪魔をされる。


本当に意味が分からないよ…。

厄災のドラゴンに城を焼かれた後にも王族や奴隷を何で続けるの?


普通は種族が団結して強固な国を作るなりするべきじゃないの?


何で未だに同族で殺し合いを続けているの?

君たちの殺し合いなんて私の気まぐれで全滅だよ。


理解できないよ…。


神がいたとしても、人間や獣人に生まれた時点で神には選ばれていないよ。

そんな当たり前の事に何故気付かないの?


この世界は力が全てなんだよ。


絶対に勝てない種族がいる世界で何故神に選ばれたと誇れるの?

世界中の王族と貴族を皆殺しにしたい気分だよ。


ああ、やはり駄目だね…。

可哀相な子を助けられなくなったのを不満に感じている。


母さんの考えている通りだよ。

私は何の為に命令したのかな?


決まり事を破ってまで…。


孤児院の卒業生の努力は桁違いなんだよ。

それに、みんな短命種なんだよ…。


私は人生の5年間を奪ってしまった。

それに、たった3回だけ子供を助けに行けただけで終わってしまった。


卒業生は5年間で多くの奴隷の子を助けるつもりでやる気に満ちていた。

それなのに、これ以上の子供を助けてしまうと孤児院が崩壊してしまう。


カーリンとカーリン軍に頼り過ぎていた。

そして、解決策が何も思い付かない…。


そもそも、孤児院を5年間満員にし続ける計画の前提を間違えていた。

完全にカーリン頼りでしかないから。


カーリンが余りにも多くの子供を世話できるから頼ってしまった。

私は本当に馬鹿な国長だよ…。


「ヴィーネ、そろそろ考えるのを止めなさい!」

「何も考えていないよ?急にどうしたの?」


やはり私の感情を把握している。

そして、何を考えているのかまで予想している。


凄過ぎるよ…。


「卒業生はあなたを責めていない。奴隷の子を助ける為だったら命令しなくても協力してくれたよ」

「何で急にそんな事を言うの?私は何も考えていないよ!」


「ヴィーネ、子供は親に隠し事はできないよ。現状で600人以上の子を助けているんだよ?十分じゃない」

「じゃあ、命令禁止の国で命令してまで子供を守ると言った私はどうすればいいの?何もできないよ」


決まり事を破ってまで子供を助ける国だと宣言した。

それなのに、子供を助けに行けないなんてどういう事なの。


私は国長なんだよ…。


「ヴィーネが命令したから今の子供たちが守れているんだよ。既に効果はあったじゃない」

「私がそんなつもりで命令していないのを知ってるでしょ?どうすれば償えるの?」


「償う?命令した事を償いたいの?」

「そうだよ!孤児院の子の努力は桁違いだよ。努力した子の5年間を私は奪ったんだよ」


「孤児院で働いている卒業生はヴィーネを責めていないのに、どうやって償うの?相手に損失を与えたら償わないといけないのかもしれないけど、卒業生たちは何とも思っていないよ。孤児院で働いているのを誇りに思っているよ。償いたいのであれば絶対に間違っていないという態度でいないといけない。命令は間違っていないと自信を持って言えないといけない。孤児院の状況を把握して助けに行く機会があると思うのであれば助けに行く。それが、ヴィーネにできる事だよ。国を発展させて楽しくするのもいい。孤児院の仕事が楽になるように何か作ってあげるのもいい。何でもできるじゃない」


よく分かったよ…。

私は何故子供を助けたいのか考えていなかった。


そして、気付いてしまった。


母さんの記憶を継承しているからだね。

感情に振り回されている私が命令までしてしまった。


考えるべきだった。

自分はどうしたいのかをもっと真剣に。


今の私は何がしたいのか分からない。

何もしたいと思わないよ。


からっぽだよ…。


「もう何をしているのか分からないよ。私には母さんと違って理由が無いんだよ。継承した記憶に動かされているだけだよ。母さんも分かっているでしょ?」


ああ、言ってしまったよ…。

こんな事を言ってしまえば母さんは困るに決まっているのに。


言わずにはいられなかった…。

だって、私には何もないから。


どうすればいいのか分からないから。


「その通りだね…。じゃあ、今日から何もしなければいいじゃない。自分でしたい事が見付かるまで布団で寝続ければいい。そうする?」

「母さんは隣にいないでしょ?1人ぼっちで布団で待ち続けるのは嫌だよ」


母さんは私の責任を全て負うつもりなの?

それなのに、布団で1人待つのなんて耐えられない。


「じゃあ、何も考えずに私の隣にいなさい。それならいいでしょ?」

「いいけど国長はどうするの?」


「辞めればいいじゃない。続ける理由も無いのでしょ?」

「命令した私が国長を辞められる訳ないじゃない。無理な事言わないでよ」


決まり事を破ってまで命令した私が国長を辞めるなんて無理だよ。

母さんは辞めさせたいのかな?


母さんなら上手くまとめてくれるかもしれない。

それでも、それだけは駄目だよ…。


私が自分を許せないよ。


「それなら責任を持って続けなさい。国長をしながら私の隣にいなさい」

「分かったよ。国長として孤児院だけ見ている。そして、ずっと母さんの隣にいるから」


命令した最低の責任だけは果たすから。

孤児院だけは何があっても守り抜く。


「じゃあ寝ましょう。私の隣にいるのよ」

「うん…。離れない」


母さんが布団を敷いてくれたからすぐに入る。

母さんが隣に入ってくれるから今日は最初から抱き付く。


「じゃあ、おやすみー」

「うん…。おやすみー」


孤児院だけを感情把握する。

世界で何が起きても孤児院だけを見続ける。


孤児院の問題だけは全力で解決するからね。

今の私にはそんな事しかできないから…。

ヴィーネは赤ちゃんです。

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