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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第1章 シェリル
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願い続ける人

今日も社に来ているよ。

「シャーロット様、お願いします。私の恋が叶いますように!」


もう3年位経ったかな?

私は人の心を操る事が嫌いだから、こういうお願いをされても社から顔を出す事は無い。


でも、この人は毎日お願いに来るんだよね。


一度会って話だけでも聞いてあげた方がいいかな?

可哀想だけど断る事になると思う。


人の心を変える方法で一番簡単なのは、眷属にしちゃう事だから。

それを許すなら、お母さんにしていたよ。


だから、善良な人の心を操る事は絶対にしないと決めた。

犯罪の証拠を調べたりする時には使うけどね。


街は常に私に監視されている状態なんだ。

人々を見ている訳では無く、どの様な感情の人がいるかを把握しているだけ。


だから、悪意を持った人や恐怖を感じた人がいた場合、事件の可能性を考えて直ぐに転移魔法(テレポート)で駆けつける様にしているんだ。


そして、罪人の扱いについては私に一任されていた。

私は人の基準を作ってと、区長にお願いしているけどなかなか難しいみたい。


軽犯罪の場合は牢屋で反省させた後に様子見。

重犯罪の場合は証拠を自供させてから滝つぼに落としているよ。


お母さんから無暗に生き物を殺してはいけないと教えてもらったから、最初はどのような犯罪でも一度は見逃してあげてたんだ。

私がいれば被害者が出る前に解決出来るからというのが大きいけれどね。

でも、見逃してあげたのに再度同じ事をしようとする人が後を絶たなかったの。


それで、区長を集めて相談したんだ。

そうしたら、殺してほしいって皆が言うんだよ。


人がそういう判断をするなら私もそれでいいけど、街を血で汚したくないから滝つぼに落としているの。

心臓を潰してから滝つぼに落とすから助かる事は無いよ。


燃やしてもいいけど、臭いが好きになれない。

だから、川に流して獣や魔獣に食べてもらってるんだ。


そんな事もあって街は平和な日が多いよ。


悪い事を考えると、私が駆けつける事を皆が知っているからね。

教育場所でも教える事になっているよ。


お母さんの(シェリル)街だからね。

被害者が出ない様に頑張っているんだ。


それで、話は戻るけど、この男性のお願いは一途なんだ。

真剣にお願いしているの。


本気だから聞いてあげようと思った。


私は社の扉を開けて男性に話し掛ける。

男性は私が出て来たのを見て凄い驚いている。


頼み事じゃなく、願掛けがしたかったのかな?


「毎日、真剣にお祈りするから話は聞いてあげるよ。ただし、私が人の心を操らない事を知っていて来ているよね?」


男性は一呼吸置くと決意した顔になった。

「勿論です。私はシャーロット様と結婚したいのです」


私と結婚したいの?

真剣な思いは私に向けた気持ちだったんだ。


「そんなにも思っていてくれたなんて…。もっと早く顔を出してあげれば良かったよ」

「そ、それでは私と友達からでも…」


私は男性の言葉を途中で遮るように話し掛ける。


「ごめんね。私は500年以上も生きているのに、まだ()()なんだ。だから、結婚できないよ」

「子供だったのですか…」


「うん。感覚的には1000年以上生きれば大人になる気がするけど、まだまだ子供だよ。でも、気持ちは凄い嬉しかったよ。ありがとう」

「子供でしたら犯罪ですね。私の気持ちに応えて頂きありがとうございます」


男性は寂しそうに頭を下げると街に帰っていった。

でも、考えて欲しい。


私の見た目はどう見ても子供だよ?

長生きしているから勘違いされたのかな。


お母さん、私には分からない事がたくさんあるね。

悲しい?恋のお話しでした。

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