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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第4章 神国シャーロット

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閑話 ジェラルディーン 物凄く気になる動向

突然どうしたのかしら?

世界を覆っていたヴィーネの魔力が消失した。


ヴィーネが生存しているのは間違いない。

社に魔力があるのだから。


問題はシャルが真祖になっているところね。

何かあったのかしら?


「どうしたの?ディーンには珍しく考え事かな?」

「言い方が酷いわ!ヴィーネの魔力が世界を覆わなくなったのが気になったのよ。シャルは真祖になっているようだし、何か問題でもあったのかしら?」


「説教されているだけじゃないのかな?親子だし」

「ヴィーネが素直に説教を聞くのかしら?私の事を叔母さん呼ばわりするのよ?」


人の言葉を素直に聞くのかしら…。

シャルの言葉だけ素直に聞きそうなのが腹立たしいわね。


「シャルの説教なら聞くと思うよ。卵を投げ捨てたディーンとは違うからね。それに、ヴィーネに問題があったのだと思うよ。少し様子を見ていれば分かるよ」

「あの子が問題を起こすかしら?世界最強なのよ?どんな問題を起こすの?」


卵を投げ捨てたのは失敗だったわね。

優しく手渡しすれば良かったわ…。


あの子は根に持ち過ぎなのよ!

誰に似たのかしら?


「本当にディーンは考えが甘いよ。ヴィーネは世界最強でも継承された力を全て使いこなせない。シャルは小さな問題なら経験で済ませたと思うけど、大きな問題に発展しそうになったから説教したんだと思うよ。まあ、様子見だよ」

「あの子が起こす大きな問題って世界崩壊しか思い付かないわよ。そんな事する子じゃないでしょ?」


「分かっていないね。ヴィーネは国長だよ。あの国を管理するのが本来の仕事。国の崩壊も大問題でしょ?世界を見ながら国を見る事は今のヴィーネには難しいはずだよ。シャルも経験させていたけど今は無理だと判断したのだと思う。それで、世界を見たいのか国を守りたいのか選ばせたんだよ。ディーンとシャルの経験は真逆だからね。両方を活かすのは長い歳月が必要だよ」

「そういう事ね。それなら分かる気がするわ。あの国には子供が異常に多い。ヴィーネが世界を見て不幸な子供を助けているのでしょう。しかし、子供を育てるには大人が必要。ヴィーネが子供を助ける事だけを考えていたのだとしたら説教でしょうね」


子供を助けたいと思うのはシェリルとシャルの影響が強いわね。

しかし、生まれた瞬間から不幸な人が見えていたヴィーネには、目の前の国より世界が気になってしまうでしょう。


多くの子供を救ってもヴィーネを裏切る可能性が高い。

人は多くを望み、それが当然の権利だと考えるのだから。


あの国の子供がシャルやヴィーネを尊敬しているのは孤児院の大人の教育が大きいでしょう。


だけど、人が一度に世話する事ができる人数には限りがある。

少人数であれだけの子供を世話できている事が凄い事でしょうに。


連れてきた子供と世界の不幸な子供。

どちらが大切なのか説教されたのね。


あの子にはシャルの能力があるから感情が見えてしまう。

世界が不幸で満ちている事が分かってしまう。


しかし、そんな事をヴィーネが気にする必要は無い。

シャルはそれを教えたいのでしょうね。


・・・・。


凡そ一月後。


「ディーン。ヴィーネの魔力が大陸だけを覆っているよ。国を守る事を選択したみたいだね」

「世界の感情を見続けていたヴィーネは気付いたのかもしれないわね。不必要な感情に押しつぶされていたのだと。世界に不幸な人は多いけどヴィーネが助ける必要は無い。ヴィーネが不幸にしている訳でもないし、助ける義務もないのですから」


「そうだね。ヴィーネも力に縛られていたのだよ。生まれた頃から世界の感情を見続けていたらそれが当然だと思ってしまう。自分が国の事に注意が向かないのも経験不足だと思っていたのかもしれない。でも、範囲を絞って見れば世界は静かになった。きっとヴィーネが世界を見る時は子供を助けに行く時だけだろうね」

「そうでしょうね。今のヴィーネが世界の感情を見続けるのは辛いでしょう。見なくてもいいわ」


「ディーンの努力も無駄だったみたいだからね。本当に成長しない世界だよ。あの国だけが発展するだろうね。早く移住したいよ。もうしてもいいかな?」

「どうしてそんな話になるのよ。私が移住したいのよ?姉さんは移住しなくてもいいでしょ?」


「何を言っているのかな?私とシャルは姉妹みたいなものだよ。ヴィーネも叔母と呼ぶからね。つまり、家族な訳だよ。おかしくないでしょ?」

「おかしいわよ。ヴィーネの母親の私を差し置いて姉さんが先に行くのだけは駄目よ。それだけは認めないわ。行くのなら一緒に行くか私が先よ」


姉さんは本気で移住を希望しているわね。

余程ここの居心地が悪いみたい。


まあ、悪いわね…。

何も無いし馬鹿なドラゴンしかいない。


私も竜王辞めて移住したいわよ!


「卵を捨てたディーンに親を名乗る資格があるの?叔母さんと呼ばれている事に感謝しないと駄目だよ。本当に何で捨てて逃げたの?」

「シャルが可哀相だったからよ。1人でいるより誰かと一緒にいた方が楽しいでしょ?だから、私の子を任せたの。そしたら、シャルが異常な魔力を与え続けるから最強の子になっちゃったのよ。温めるだけだと思ったら魔力まで与えるのは予想外よ」


「また卵を温めてもらえばいいじゃない。家族が増えるよ」

「それは駄目よ。ヴィーネが絶対に許さないわ。赤ちゃんなのよ。拗ねるわ」


「姉妹ができて喜ぶのはまだ早いのか…。残念だね」

「ヴィーネに余裕ができたら考えましょう。一緒に住むようになってから考えればいいわ」


絶対に拗ねるわね!

シャルを独占したくて仕方ないはずだわ。


本当に甘えん坊ね…。

誰に似たのかしら?


ん?


ヴィーネが世界を魔力で覆った。

子供を助ける事は止めないという事ね。


あそこは…。


シャルはヴィーネの尻拭いをして、ヴィーネは私の尻拭いをしているじゃない。

昔の私は本当に甘かったようね…。


ワイバーンに続きサンドドラゴン…。

シャルが魔法を使ったという事は子供だけを食べ続けていたのね。


本当にどうしようもないわね。

ヴィーネが去った後に確認に行きましょう。


お姉様は我慢強いのです!


行ったわね…。

「姉さん、昔の尻拭いをしてくるわ」

「竜王の仕事かな?優しい対応をしたみたいだね」


ヴィーネの甘さは私譲りなのかしら?

そんな気がしてくるじゃないの。


「とりあえず見てくるわ。転移(テレポート)


やはりそうだったみたいね。

転がっているのは族長だけ。


「おい!私がこいつに注意した後に反省はしたのか?」

「りゅ、竜王様!あの後も静かに子供を食べ続けていました。人の国ができた際には生贄を差し出すと言ってきたのです。族長は子供だけを食べていましたが人間の要求に応えていただけ。竜王様には逆らっていないと主張していました」


静かに子供を食べ続けるとはなんだ?

こいつも殺されたいのか?


奴隷の子供を差し出すから無暗に襲うのは止めてくれといったところか?

どちらも終わっているな。


「そうか。まあ、お前たちは人を食べる必要は無いはずだからな。族長だけの嗜好だったのだろ?」

「はい…。私たちは何故族長が人を食べるのか分かりませんでした。人を食べる為に子供を攫わされるのも迷惑でした。殺されて安心した程です」


ドラゴン種はこれだから駄目だ。

間違っていると思ったら自分たちで解決すればいい。


族長1人の力など高が知れる。

それなのに、階級に縛られ誰も何もしない。


本当に愚かだよ…。


「まあ、理由は分かった。お前たちは強くなる為に努力しろよ」

「「はい!畏まりました」」


口だけだろうな…。

本気で努力している人ばかり見ているせいで腹が立つ。


転移(テレポート)


「早かったね。あそこにはドラゴンが住んでいたよね?」

「ええ。昔にサンドドラゴンの族長が子供だけを食べていたから注意したの。ドラゴンが人を食べるのも不愉快な話だけど、子供だけを食べていたのよ。昔の私は本当に甘かったみたいだわ」


「全てのドラゴンが人の子供を食べるのが好きだと思われてしまうね。瞬殺すれば良かったのに。誰に似て甘い性格になったのかな?」

「姉さんが特別なのよ。兄も馬鹿でしたから親から続く甘さでしょう」


まあ、いいでしょう。

娘が幸せそうにしているのですから。


完全に無防備な状態で寝るなんてね。

やはり赤ちゃんだわ…。


世界の感情も国の感情も邪魔だと気付いたのね。

シャルを独り占めだわ。


「さて、訓練をしようか!」

「姉さん…。ヴィーネの甘える姿を見て和んでいたのよ。空気を読んで!」


「万が一の時は役に立ちたいでしょ?今の状態では何もできないけどいいの?」

「そうね。フェニックスへの魔力供給だけでも手伝ってあげないといけないわね。母親ですから!」

母親ですから!

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