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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第4章 神国シャーロット

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閑話 カーリン 助けられた子

子供たちは孤児院に入っても皆で固まってしまい動きません。

名前を聞いても10番、25番と番号しか言いません。


急いでシャーロット様に確認しましたが、怖い思いをしていると仰られました。

具体的な話をされなかったのはシャーロット様も事実を知らないからでしょう。


男の子15人。

女の子15人。

キリが良すぎるわ…。


「一番大きな番号の子は何番かな?」

「はい…。私が36番です」


番号が言えなかった子を6人も目の前で殺している可能性があるわね。

番号を強制する為に見せしめで殺しているのかもしれない。

男女の人数を合わせる為だけなのかもしれない。


何て酷い事をしているのよ…。


「先程のお2人は世界を周ってたくさんの子を助けているわ。どんな時に助けてもらったの?10番の子が教えてくれるかな?」

「はい…。剣を持たされてたくさんの人が見ている所に行きました。たくさんの人が笑ったり手を叩いたりしていました。前から大き」


「そこまでよ!聞いてごめんなさいね。さあ、お風呂に入りましょう。チェルシー、クリスティーネ。手伝ってちょうだい」


「分かったわ。さあ、男の子から入るよ。ついておいで」

「「はい…」」


「クリスティーネは温かいスープを用意してきて」

「分かりました!」


「女の子は少し待っててね。後でゆっくり入りましょう」

「「はい…」」


下種な事を!


この子たちを見世物にした…。

大勢の前で魔獣に食べさせる餌にしたのね!


自分の手で皆殺しにしたい衝動に駆られる。


落ち着きなさい!


確実にその国は地上から消されているはずよ。

助けられた子たちの事を考えなさい。


シャーロット様の念話(テレパシー)を聞いた後、3歳から5歳の子は新孤児院に預けました。

最悪の状態を想定しておいて良かったわ…。


小さな子は無邪気に聞いてしまう…。

この子たちは名前を聞かれるだけで苦しんでしまうわ。


小さな子に絶対の約束は難しい。

暫くの間は新孤児院にお願いしましょう。


外から子供たちの声が聞こえてきたわ。

過去を詮索する事はしませんが、助けらた時については話題になる事が多いのです。


何故なら皆の人生の転機にもなった嬉しい瞬間だから。

しかし、この子たちが話せるようになるには時間が掛かるわね。


急いで孤児院を出て学校から帰ってきた子を集めました。


6歳から学校に通うのですが、鬼ごっこに参加せずに帰ってくる時があります。

それは、3歳から5歳の子たちと一緒に遊ぶ為です。


「今日小さな子が30人助けられたわ。どのような時に助けられたのか絶対に聞いては駄目。名前も聞いては駄目。分かったわね?急いで全員に伝えなさい。全力で行動よ!」

「「はい!」」


私が戻ると男の子たちがお風呂から出ていました。

新しい服にも着替えているわね。


「チェルシー、男の子たちを食事場所に連れて行ってあげて。温かいスープを用意してもらっているわ。お腹が空いているならパンも食べさせてあげて」

「分かったわ。怖がらずに私についてきて」

「「はい…」」


男の子たちが食事場所に入ったのを確認してから女の子たちに話し掛けます。


「さあ、お風呂に入りましょう。凄く楽しい所よ。ついてきて」

「「はい…」」


体が温まれば心も解ける筈だわ。

焦らずにゆっくりと安心な場所だと分かってもらいましょう。


「皆ここで服を抜いて。私も一緒にお風呂に入るわ」

「「はい…」」


恐る恐る服を脱いでいくわね…。

服を脱ぐ事で怖い思いをした事があるのかもしれない。


「あれ?怪我の後が消えてる…」

「私もだ。何でかな?」


シャーロット様が回復魔法を使われていたわ。

嫌な予感がしていたのですね…。


やはり天使様です!


「驚いた?お2人はどのような病気や怪我も治せるのよ。困った事があれば何でも言いなさい」

「「分かりました」」


脱衣所から少し歩いて広いお風呂まで行きます。


「凄いでしょ?ここは赤髪のシャーロット様が作られたのよ。温かいお水にいつでも入れるわ。桶で一度体をお水で流してから入りましょう」

「「はい」」


皆がお湯を浴びて驚いているわね。

温かいお水は今まで経験した事が無いでしょう。


「さあ、驚いていないで中に入りなさい。温かいお水が入っている場所をお風呂と言うのよ」

「「分かりました」」


多少体が汚れていても関係ないわ。

新しいお水が常に流れ続けているのですから。


私も一緒に入り警戒心を解きます。

同じ事を一緒にするのが大切なのです。


「今日助けてくれたのは赤髪の女の子?銀髪の女の子?どちらかしら?」


どちらに助けてもらったのかは言いやすいはずだわ。

何を話しても大丈夫な場所だと教えてあげないといけません。


「銀髪の女の子です」

「守ってあげるって言いました。それを聞いて急いで走ったんです。そしたら真っ白になりました」

「急に皆と一緒になりました。その後に真っ白です」


ヴィーネ様が助けられたのですね。

皆を集めて白い結界で覆い、何が起きているのか分からなくしたのでしょう。


笑っていた客を魔獣の餌にしたはずです。

子供に何も見せないように配慮されるのはシャーロット様と御一緒ですね。


とても素晴らしいです!


「赤髪はシャーロット様。銀髪はシャーロット様の娘のジェラルヴィーネ様、愛称ヴィーネ様。赤髪のシャーロット様は500年以上もこの国を守り続けているの。土地神様と呼ばれているわ。凄いでしょ?この国は世界一幸せな国と呼ばれているのよ。住みたい人が多いけど断っているの。だけど、子供は特別に住めるの。皆は特別に選ばれたのよ。辛い事が多かったと思うけど今日からは楽しい毎日よ。安心しなさい。温まったかしら?体を洗いましょう。みんな一度出るわよ」

「はい。洗うとは何をするのですか?」


「この白い塊は石鹸といって汚れを綺麗にするの。皆の体がもっと綺麗になるわよ。擦ると泡がたくさん出るの。泡は目や耳、口の中に入れないように気を付けて。さあ、洗いましょう。背中は代わりばんこで洗うわよ。私の真似をして体を石鹸で擦ってね」

「体が綺麗になるのですか…」

「擦ると凄いよ…。これが泡ですね」


初めて使うわよね…。

私も贅沢に使うのはこの国に来てからです。


「怖がらずに石鹸で体を擦りなさい。全身を泡だらけにしたら桶を使ってお風呂のお水で泡を流すの。泡が無くなるまで流さないと駄目よ。頭と顔もしっかり洗いなさいね」

「「はい!」」


一生懸命に体を石鹸で擦っているわね。

いい感じだわ!


「全身を石鹸で擦ったわね?泡を流してみなさい。体が艶々になっているわよ」

「「はい!」」


泡を流した後の自分の体を見て驚いているわね。

今まで体を洗わせてもらえた事はないでしょう。


これからは毎日洗えるわよ!


「さあ、もう一度お風呂に入って温まってから出るわよ。女の子はゆっくりお風呂に入らないとね」

「「はい!」」


男の子はすぐに出たがるから先に入った方がいいのよね。

女の子は何も気にせずにゆっくり入れるわ。


「そろそろ出ましょう。体を綺麗に拭いたら新しい服に着替えるわよ。この国では綺麗な服を着るのが普通なの。今まで着ていた服は燃やしましょう。楽しい毎日が始まるのですから服も新しくするわよ」

「「はい!」」


先程から返事しかしていないけど声が大きくなっているわね。

楽しい毎日が始まると期待してくれたのかしら?


「服を着たら自分の髪を触ってみなさい。ガサガサしているでしょ?女の子の髪がそれでは駄目なの。今から私の真似をしなさい。しっかり見ているのよ」

「「はい!」」


少量の香油を手に乗せて、手に馴染ませるように延ばします。

そして、その手で髪の毛全体に香油を馴染ませるように手櫛をするのです。


「髪の毛がしっとりとするわ。手の香油が髪の毛に馴染むように丁寧に手櫛をするのよ。先程の私のようにしなければ駄目よ」

「「はい!」」


体も髪も綺麗になったわね。

少しは心も解れたかしら?


「髪の毛がスルスルになりました。とてもいい匂いです」

「全身がツヤツヤです。何か気持ちがいいです」

「体が軽くなったみたいです。フワフワします」


自然と感想を口に出しているわ。

女の子はお風呂で笑顔になれるのよ!


「さあ、温かいスープを用意してもらっているから行きましょう。お腹が空いているのなら遠慮せずに言いなさい。子供が我慢する必要は無いわ。分かったわね?」

「「分かりました!」」


時空魔法(ゲート)を通って食事場所に移動します。


「凄いでしょ?この場所は銀髪のヴィーネ様が作られたのよ。子供がお腹いっぱい食事する為にね。さあ、奥まで歩いていくわよ」

「凄い…。ここが食事する場所なんだ…」

「こんなに綺麗で広い場所で食事するんだ。夢みたい…」

「本当だね。夢みたいだよ…」


泣いてしまったわね…。

辛い過去を思い出しているに違いないわ。


「夢じゃないわよ。お風呂に入ったから喉が渇いているでしょ?温かいスープをゆっくり飲みなさい。クリスティーネ、今日は用意してあげて」

「はい。分かりました!」


女の子たちの前にカップに入ったスープとスプーンが置かれていきます。

誰もスープを飲もうとしないわね…。


「どうしたの?遠慮しないで飲みなさい。パンもあるわよ?この国では子供がお腹を空かせていてはいけないのよ。私が怒られてしまうわ。冷めてしまう前に飲みなさい」

「「はい…。分かりました」」


男の子たちは一生懸命にパンを食べているわね。

お腹が空いていては元気も出ないわ。


私も動きましょう。


パンと水を用意して女の子たちの前に置いていきます。

スープを飲めばお腹が空いている事に気付くでしょう。


「さあ、お腹が空いているならパンを食べなさい。好きなだけ食べていいわよ。何個でもパンはあるから何も気にする必要は無いわ。お腹が空いていても言えないのなら手を挙げなさい。パンを取ってくるわ」


今まで虐待され続けていたはずです…。


お腹が空いているなんて言えない環境に違いないわ。

空腹でお腹が鳴るだけで体罰を受けていたのかもしれない。


やはりそうなのね…。

遠慮がちに手を挙げる子がいるわ。


「クリスティーネ、30個パンを持ってきて」

「分かりました!」


大きなお皿2枚に15個ずつパンが乗っています。

それを女の子たちの前に置いてもらいました。


ようやく食べ始めてくれたわ…。

今までは安心して食事もできなかったのね。


「ほら、あんた達はもういいの?女の子より食べられないの?」

「まだ食べられます」

「食べられます…」


「少し待ってなよ。同じ数だけ取ってくるから。食べられるだけ食べなさい」

「「うん…」」


チェルシーは男の子の世話が上手いのよね。

このまま任せておきましょう。


クリスタが入ってきたわ。

絶対に何かするわね…。


「あれー?パンだけ食べてるの?お肉焼いてあげるよ。待っててねー」


全員の手が止まったわね…。

食べているのを見た事があっても食べた事は無いのかもしれない。


良い気遣いだわ。


「お肉を焼いてくれるみたいだわ。パンを食べ過ぎてお肉を食べないのは勿体ないわよ?どうすれば良いのか分からないのであれば、お肉を食べてから考えればいいわ」

「「はい…」」


一斉にパンから手を離したわね…。

お肉を食べた事が無いのかもしれないわね。


全員のコップに魔法で水を入れてあげましょう。

魔法も知らないのかもしれませんからね。


「凄いでしょ?この国の子供は魔法が使えるようになるの。どんな魔法が使えるようになるのか楽しみでしょ?」

「すごーい!」

「魔法って言うんだ…」

「初めて見たよ…」


魔法に興味津々だった子たちも、お肉の香ばしい匂いに釘付けです。

やはり食べた事が無いのね…。


「焼けたよー。30人分ちゃんとあるから心配しなくていいよ。切り分けるから手伝ってー」

「はい。私が行きます!」


クリスティーネが全員の前にお肉の乗ったお皿を置きました。

お肉は1口で食べられる大きさで何枚も用意されています。


やはりすぐに手を付けないわね。


「さあ、冷めないうちに食べなさい。このフォークを使って食べるのよ。なるべく服を汚さないようにしてね。洗うのが大変なのよ」

「遠慮せずに食べな。冷めたら美味しくないよ?今日だけは服を汚しても怒らないから心配しなくてもいいわ。明日もお肉で服を汚したら怒るかもしれないけどね」

「お肉嫌いだった?早く食べないと他の子が帰ってきて食べちゃうよ?」


やっと食べ始めてくれたわね。

皆が泣きながら食べている…。


「私の料理が泣くほど美味しかったの?他の子にも見習わせないとね」

「はい。美味しいです」

「美味しいです」

「とても美味しい」


「そこまで感激されたら焼くしかないね。まだ食べられるでしょ?」

「「はい…」」


クリスタの軽口も偶には役立つわね。


ここまで酷いと他にも何かありそうだわ…。

目の前で魔獣の餌にされた子がいるのかもしれない。


お腹いっぱい食べさせてから2階で寝てもらいました。

多くの子が周りにいた方が落ち着くはず…。


孤児院の子は迂闊な発言を絶対にしません。

安心して任せられるわ!


「今回の子は難しいわね。相当酷い目に遭っているわ。今の状態では学校に通わせられない。娯楽で魔獣の餌にされそうだったのよ。見せしめに目の前で6人殺されている可能性が高いわ。魔獣の餌にされたのかもしれない。何か妙案はあるかしら?」

「本当に腐っているよ。王族や貴族だけじゃなくて、大衆が娯楽として見ていたようだからね。地上から消されていると思うけどさ。いい案が何も思い付かないね…」

「シャーロット様に名前があるのかどうかの確認だけはしてもらったら?何も分からないから、どうすればいいのかも分からないよ」


やはり確認していただくのが一番ね。

あの子たちの境遇をきちんと知る必要がありそうだわ。


「そうしましょう。あの子たちを知る事が大切です。では、呼びます」


緊急用ボタンを押しました。


「やあ、やはり厳しいかな?」

「はい。シャーロット様に記憶を覗いていただき、名前があるのか知りたいです。可能であれば境遇も知りたいです。よろしくお願いします」


「分かったよ。全員2階にいるね。少し待ってて」


最初から厳しいと思われていたのですね…。

やはり相当過酷な環境で生活していた可能性が高い。


そして、魔獣の餌…。

余りにもふざけているわ!


シャーロット様が下りてくるまで誰も何も話さないわね。

クリスタも今回の子には慎重に対応している…。


何かを感じているに違いない。


シャーロット様が下りて来られたわ。

「かなり厳しいね…。親の記憶は無く番号でしか呼ばれた事がない。記憶が鮮明になるのは檻の中で集団生活していた頃からで、隣には魔獣の入った檻がある。1番から6番がいない訳じゃなくて、男女の人数を合わせる為に隣の檻に入れられた子が6人いる。子供に見せる為にわざと男女の人数を合わせずに檻に入れていたみたい。魔獣が人を食べるところを見せる事で、子供が本気で逃げるから面白いと兵士が笑っている。ヴィーネが王の両腕を千切って魔獣に食べさせてから、回復させて片腕を千切った。最低でも3回以上は同じ事をしていた国の可能性が高い。ヴィーネもかなり落ち込んでいるよ。余りにも予想外だったから。世界では戦争が続き奴隷は死に続けている。今回の国は奴隷を戦わせて遊んでいた。世界を見ているヴィーネには消える命より、同じ場所で苦しみ続けている人の方が目立つ。前回の子は人体実験されていた。体の一部を切断されて腐っていた子。フェニックスの体を食べて再生するのか実験されていた。どちらから助けた方がいいのかなんて答えは無いからね。本来なら助からなかった命だから。今回の助けた子たちは私が名前と年齢を決めるから、今の生活が続くという事を教えてあげて。番号で呼ばれていた時は奴隷だったと教えてあげて。その国は地上から消して、戦争の相手国も関係者を皆殺しにして脅迫した。多くの子を助けられるように頑張らないといけないね。皆よろしくね。またねー。転移魔法(テレポート)


世界を見ているヴィーネ様は、大人か子供かまでは判断できないに決まっています。

動いていない魔力を見て大人か子供か判断する事はできませんから。


前回の子たちは体を切断され腐った状態で放置されていた。

痛みに苦しみ続けている人が多いからヴィーネ様は助けに行ったのですね。


今回の子たちは娯楽で殺されている人が数十人もいて、それが続いているのが気になった。

助けに行ったら娯楽で殺されていたのが子供で、更に魔獣の餌にされていた。


同族が魔獣に食べられるのを喜んで見ている人がいる事が衝撃だったに違いありません。

何をしているのか意味が分からなかったのでしょう…。


人間の私にも意味が分かりません。


人の天敵とも言える魔獣。

それを、同族の子を餌に飼育していたに等しい行為です。


餌やりを娯楽として見ていた衆人。

下種にも程があるわ。


「魔獣の隣で生活させられて、一緒に生活していた子が魔獣に食べられるのを真横で見聞させられているのね。傷が消えていたのを喜んでいたので、番号を呼ばれるのは体罰を受ける時か魔獣に食べられる時しかなかったのでしょう。余りにも腐っています。奴隷だったという事を教えてあげて、この国には奴隷が存在しない事を教えてあげましょう。番号で呼ばれるのは奴隷だけで、シャーロット様が名前を付けて下さると教えてあげましょう。その方針で進めていきます」

「そうだね…。それで進めよう。余りにも酷過ぎる環境だから、それは奴隷だけだと教えてあげて、この国には奴隷が存在しないと教えてあげないと。ヴィーネ様が回復魔法を使う程の怒りか…。ほんと人間と獣人は腐ってるね。名前が決まるまでは小さい子は新孤児院で預かってもらうしかないね。食事はクラーラに任せた方がいいと思う。別の時間に食べさせるよりも、一緒に食べる事で仲間だと思う事ができる。子供たちが学校に行っている時間に奴隷について教える。それでどう?」

「そうですね。圧倒的な人数で囲めば小さい子が無邪気に何かを言う隙はなくなるでしょうから、その方がいいでしょうね。明日の朝にクラーラに事情を説明してお願いしましょう」

「子供が助けられる度に世界の醜さが見えますね。人間と獣人はどこまで堕ちれば気が済むのでしょうか…」

「大衆の娯楽として子供を魔獣に食べさせるのですか…。神罰が下ったようですが、自らの手で粛清したくなりますね」

「クラーラにお願いすれば学校の時間以外は大丈夫になるよ。それ以外を私たちで頑張らないとね」


「そうね。明日の朝に私がクラーラにお願いします。チェルシーとクリスティーネは協力してちょうだい。では、頑張りましょう!」

「分かったわ!」

「分かりました!」


翌朝、クラーラは起床したら私の近くに来てくれますので、すぐに事情を説明しました。

「そういう事ですので、学校以外の時間はなるべく大勢で仲間だと思えるように行動してあげてね。小さな子の無邪気な言葉が棘になる可能性もあるから気を付けて」

「任せてよ!孤児院に入ったら家族で仲間だから安心して大丈夫だよ!」


「ええ、お願いね!」

「うん。カーリンお姉ちゃんにお願いされたら全力だよ!」


私にお願いされたら全力なの?

孤児院長だからかしら…?


食事の時間に様子を見ていましたが凄い人数に囲まれています。


楽しそうに会話もしていましたので大丈夫そうです。

子供たちが全力で助けてくれているのですから、私たちも全力で頑張りましょう。


学校に行くまでの時間は外に連れ出して一緒に遊んでいます。

魔力を動かしているだけで運動能力は上げていません。


優しい子たちだわ…。


今まで檻に入れられていたせいで、外で自由に遊ぶ事に戸惑っていましたが上手いわね。

新しい子たちは一緒の組にして鬼ごっこしています。


少しずつ新しい子たちが広がって行動できるようになっているわ。


固まって行動していてはすぐに捕まってしまいます。

上手く捕まえる事もできません。


考えているわね!


子供たちが学校に行った後は旧孤児院の1階に集まってもらいました。

奴隷について教えなければいけません。


コリンナはクリスティーネに任せています。


「皆に集まってもらった理由は勉強する為なの。勉強とは今まで知らなかった事を知るという事です。今のあなた達は知らない事ばかりなの。これからはたくさん勉強する必要があります。まず、あなた達はシャーロット様とヴィーネ様に助けていただきました。赤髪と銀髪の女の子です。ここまでは分かりますね?」

「「はい」」


助けてもらったという事が大切です。

同じ環境ではないと認識してもらう必要があります。


「奴隷という言葉を聞いた事はありますか?」

「ないです」

「ない気がします」

「知りません」


奴隷を知らないのですね…。

魔獣の餌だと言われていたのかもしれません。


「奴隷というのは何をされても言う事を聞かなければいけない人たちなの。辛いかもしれないけど、あなた達は奴隷だったの。何となくでもいいから分かるかしら?」

「何もしていないのに殴られたり叩かれたりしたのは奴隷だったからですか?」

「一緒にいた子が食べられたのも奴隷だからですか?」

「隣にいた僕たちを食べる生き物と剣を持たされて戦うのも奴隷だからですか?」


何気ない言葉でこの子たちの境遇が分かります。

自分の手で粛清したくなるわ…。


「そうなの…。奴隷だったからなのよ。そして、1番、2番と呼ばれるのも奴隷だからなの。私の名前はカーリン。あなた達は奴隷だったから名前が無いの。でも、安心して。あなた達は奴隷ではなくなった。名前を赤髪のシャーロット様が付けてくれるのよ。あなた達は奴隷ではないから好きな時に名前を付けてもらえるわ。1番や2番じゃなくて、カーリンやチェルシーみたいな呼ばれ方が名前なのよ。いつ名前を付けてもらう?」

「10番と呼ばれていたのは奴隷だったからなんだ。名前が無いと駄目ですか?」

「名前があると誰かに呼ばれるよね…。無い方がいい気がします」


呼ばれる事が恐怖になっているわね…。

名前が必要な理由も分からないのでしょう。


「ここに奴隷はいないの。呼ばれる時は殴られたり叩かれたりする時じゃないのよ?大きな生き物に食べられる時じゃないのよ?一緒に遊んだ子も奴隷だったの。一緒に食事した子も奴隷だったの。名前の無い子はシャーロット様に名前を付けてもらったわ。名前が無いと一緒に遊んだ子を呼べないわよ?同じ子と遊べないかもしれないわよ?」

「えっと…。どうしよう?」

「もう遊ばない?」

「楽しかったよ…。また一緒に遊びたいな」

「呼ばれるのは怖いです…」


焦る必要は無いわね…。

この子たちが安心できるまでは子供たちに任せましょう。


「今は怖いのね。じゃあ、怖くなくなったら教えて。私の名前はカーリン。カーリンお姉ちゃんと呼ばれているわ。怖くなくなったらカーリンお姉ちゃんに名前が欲しいと言うのよ。分かった?」

「「はい」」


名前の無い生活は1ヵ月近くになりました。


その間は孤児院の子が一緒に遊び続けてくれました。

学校で鬼ごっこしないで早く帰ってきてくれるのです。


自分たちが楽しむよりも新しい子たちを楽しませてくれる。

孤児院の子は優しくて可愛くていい子ばかりだわ…。


男の子のお風呂はチェルシー。

女の子のお風呂は私が対応しました。


この生活が続くと信じさせてあげる事が大切です。

安心できる場所だと思わせてあげる事が大切です。


そして、その日は訪れました。

「カーリンお姉ちゃん。名前が欲しい、です」

「みんな欲しいの?」


「みんな欲しいです」

「どうしてかしら?」


「一緒に遊んでいる子にどうして遊ぶのを止めるのか聞いたら、学校に行くからと言いました。学校に行くには名前が無いと駄目だって言ってました」

「学校に行きたいの?」


一緒に遊びながら名前が必要な理由を教えてあげていたのね。


「学校で勉強しないと、もっと楽しい遊びができないと言っていました」

「みんな学校に行くから、私も学校に行きたいです」

「みんなともっと一緒にいたいから、名前が欲しいです」


多くの時間を一緒に過ごした友達だけが学校に行くのは寂しいわよね。

自然と学校に行きたくなるように接してくれたのだわ…。


「シャーロット様を呼んで名前を付けてもらうのね?」

「「はい」」


緊急用ボタンを押しました。


「シャーロット様、名前を付けて欲しいそうです。学校に通いたいみたいです」

「学校に行くには皆に名前を教えないと駄目だよ?名前を呼ばれるようになるよ?いいのかな?」

「はい。お願いします」

「みんな名前で呼び合っているのに、私たちだけ名前が無いのはおかしいと思いました」

「ここは呼ばれても怖くないと分かりました」

「みんな名前で呼ばれても怖くないと言っていました」


本当に、本当になんて可愛い子たちなの…。

名前で呼び合う姿を自然に見せていたのね。


「学校に通うのは6歳からだけど、みんな6歳でいいのかな?」

「6歳でいいです」

「何歳か分かりませんから6歳になります」

「はい。6歳になります」


「分かったよ。今日から6歳だね。名前を付けてあげるね」


シャーロット様は皆の名前を決めていたのでしょう。

名付けはすぐに終わりました。


自分の名前を覚えるのに必死です。

一生懸命で可愛いわね!


大勢の笑い声と足音が聞こえてきたわ。

孤児院の子たちが学校から帰ってきたようです。


「さあ、名前は覚えたわね?一緒に住む大切な家族に最初に教えてあげて!」


恥ずかしそうに帰ってきた子に名前を教えています。

それを聞いて皆が笑顔で名前で呼んであげています。


なんて素敵な光景なの…。


孤児院は家族であり仲間なのです。

孤児院を卒業してもそれは絶対に変わりません。


孤児院長である私が皆の家を守り続けますから。

カーリン軍は最強で最高です!

カーリンは孤児院の柱なのです!

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