もっと危険な授業
さて、ダミアンが待ちわびている魔石の授業をする準備をしよう。
その前に、念話。
「今日の14時に学校で魔石の授業を行います。参加資格は、街長、各区長、ハイエルフの長老、妖精女王、その他に参加したいのであれば、参加資格のある人から許可をもらってね。先に言っておくけど、この授業は秘儀が話にならない程に危険だよ。分かってると思うけど忠告はしたからね。助手はクリスタに決定しました」
「嘘でしょ?嫌だ、嫌だーー!」
「雑音が入ったけど気にしないでね。またねー」
これで、皆が集まる準備は整ったけど、クリスタには言っておかないとね。
「クリスタ。諦めが肝心だよ」
「えーー!酷過ぎますよ」
「ビアンカは孤児院を手伝ってあげて」
「分かりました」
笑顔てクリスタに手を振りながら去っていくビアンカ。
クリスタは悲しそうに見つめているよ?
「クリスタは14時に学校に来てね。私は授業がしやすいように準備してくるから」
「分かりました。ああ、どうして…」
クリスタが人生を見つめ直しているような顔をしているね。
私も見つめ直しているから大切な事だよね。
社に転移魔法で移動。
さて、授業の準備をしよう。
先ずは魔石の原石を爪で適当な形に削り取る。
魔石には上下がある。
下から魔力を吸って上から吐き出すんだよ。
上下が分かるように削る必要があるんだ。
魔法は上に向かって発動するからね。
光魔法、氷魔法、の魔石をあと少しで発動する状態にする。
それと、無属性と全属性を限界まで入れた魔石を用意する。
無属性と全属性の初期魔法は存在しないので大丈夫。
空の魔石と、魔石の魔力を吸収する為に、闇魔法を入れた魔石を用意する
これで大丈夫だね。
クリスタを助手にしたのは子供たちに教えて欲しいから。
実際に教えるかどうかは皆の判断に任せるけどね。
そろそろ時間だね。
転移魔法で学校に移動。
私が決めた参加資格者とダミアンが数名連れてきている。
これなら、1階の教室で問題ないね。
「シャーロット様。学校が大きく見えるのですが?」
「マリアンネ、約束したじゃん。私は約束を守る女の子だよ?」
「いえ、異常に大きく見えるのですけど?」
「クリスタが我儘なんだ。クリスタに言ってよ」
「そうでしたか。クリスタは大きくして授業がしたくて仕方が無いという事ですね」
「うげぇ。そうなるのか…。ついに分かりました。私は見通しが甘いんですね…」
「クリスタ。成長したね!」
とりあえず励ましておこう。
「みんな1階の中央の教室に入ってね」
興味津々で皆が学校を見ているね。
普段授業を受けていない人たちだから気持ちは分かるけどね。
「席に適当に座ってね。では、危険な授業始めるよ。今回は国を簡単に滅ぼせるから、悪用したら駄目だからね。私は今、ちゃんと言いました。ここから先は皆の責任で対応して下さい」
完璧だよ。
完璧な責任逃れが出来たよね?
「ほう。それほど素晴らしいお話が聞けるのですね。楽しみです」
「本当に最悪ですよ。どこを目指しているのですか?」
長老とマリアンネが呟いているよ。
「さあ。お願いします!」
ダミアンは興奮しているね。
「クリスタは私の横に立ってよ。当たり前の顔して何で座っているの?そんな事が許されないのは分かっているのに。早くしてよねー」
「そうですよね…。知っていましたよ。少し抵抗をしてみたかっただけです」
「まずは、魔石の話を始める前に基礎知識の話を始めるね。知っている人もいるかもしれないけど聞いてね。この世界は無属性の魔力で満ちています。そして、人の体には必ず無属性の魔力が入っています」
(これが基礎知識?いきなり意味不明な事をいってますけど…)
(これが基礎ですか。たまりませんね)
(素晴らしい。最初から私の知らない知識ですよ)
誰の言葉か分かるけど話を聞く時は静かにして欲しいよね。
「そして、魔石は皆も知っているかも知れませんが、魔力を吸収し吐き出しています。当然ですが吸収する量の方が吐き出す量より多いので、自然界にある魔石は既に無属性の魔力が満ちている状態です。そして、皆が一番勘違いしている所、火の魔石は火属性の魔力が満ちているから熱いのではありません。同様に水の魔石も光の魔石もです」
(もう、私の魔石の知識が壊れましたよ)
(たまりませんね。これは、研究しないと)
(ほう。魔石は魔力が満ちたら魔法を発動している可能性がありますね)
長老が正解しているのは素晴らしいけど静かにしようよ。
「では、今から4つの魔石を皆から見えるように教壇の上に置きます。左からライトの魔石、アイスの魔石、無属性の魔石、全属性の魔石です。見て分かる通り全ての魔石が魔法を発動していませんよね?」
いいタイミングで、ライトとアイスの魔法が発動したよ。
やっぱり準備は大切だよね。
「自然界に無属性の魔力が満ちていると言いました。しかし今、ライトの魔石とアイスの魔石が魔法を発動しましたね。しかも、発動を続けています。これは、魔法を連続で発動しているだけです。無属性の魔石と、全属性の魔石が魔法を発動しない理由は、発動する魔法が存在しないからです」
(なるほど。やはり推測通りだった訳ですね。素晴らしい)
長老は納得しているみたいだけど皆は黙っているよ。
どうしたのかな?
「さて、今から魔力を抜いた魔石を見せますね」
透明の水晶のような魔石を置いた。
「これが魔力の無い魔石です。クリスタ、魔力を込めて」
「分かりました」
魔石の中心に赤い光が灯る。
「水晶のように透明だと分かりやすいですね。これは、火の魔力が入っているという事です。では、他の属性を持っている人は魔力を入れれるか試してくれませんか?」
「私が水属性を入れて見ましょう」
長老が積極的だ。
楽しんでいるのかも。
「どうでしょう。入りますか?」
「魔石から魔力が弾かれていますね。入りません」
「私は先程、人はみんな無属性の魔力を持っていると話しました。長老は確実に多くの属性を持っていると思います。だから、普段属性を付けるイメージを取り除いて魔力を入れてみて下さい」
「なるほど。普段は無属性の魔力に自分の属性を当然のように付与していた。それを、取り除く訳ですね。かなり難しいですね…。お、おお。入ります。これは素晴らしい」
(長老が難しいって人間に不可能でしょう)
(もっと言ってマリアンネさん)
うるさい子弟コンビがいるけど本当に難しい技術だから何も言えない。
「長老。入れ過ぎてしまうと熱くなりますのでその辺で止めてね」
「おや。夢中になってしまいましたね」
「自然界には無属性の魔力が存在している事が分かったと思います。ライトとアイスが勝手に発動しましたからね。では、無属性の魔力が満ちている魔石を手に持ってファイアボールを放って下さい。クリスタ先生、絶対に人に向けない様に注意してね。できれば空に向かって放って」
「来ましたよ。最悪な瞬間が。火魔法」
(ああ、これは駄目だよ)
(おお、研究するしかない!)
(素晴らしい!)
「シャーロット様。ファイアボールが止まりませんけど…」
「しばらく空に放っててね」
「酷いよ…」
「これで分かった事は、無属性の魔石には魔法を入れる事ができる訳ですね。しかも、魔石に魔力が満ちる度に魔法を放っている訳です。少し間隔が開いているのは、魔法に使っている魔力が少し多い為、魔石に魔力が満ちるのに時間が掛かっているのです。これを止めるのはクリスタなら簡単。この状態で魔石に火の魔力を込めて。ちゃんと燃えない場所においてね」
「最後の言葉が怖いよー。あ、ああ、熱い!燃えるよーー!」
そして、クリスタは魔石を外に置いた。
「魔法使いが最初に行う訓練、体の外に魔力を出す行為。これは、初期魔法を無詠唱で行っているのです。クリスタ無詠唱でファイアを放てるんだよ。凄いじゃん!」
「私すごーい!ってなるわけ無いでしょー!」
中位回復魔法。
クリスタに火傷があったらいけないからね。
「女の子に傷は残したくないからね。さて、これで分かった事が1つあります。同じ属性の魔石には、同じ属性の魔法を入れる事ができるんです。つまり、魔法の上書きです。ファイアボールの魔石だったのがファイアの魔石に変わりましたからね」
(無茶苦茶じゃないか。まず過ぎないか?)
(最高だ。私の研究は今始まろうとしている)
(素晴らしい。余りにも素晴らしいですよ!)
色々な意見があっていいね。
授業ってこういうものだよね。
「無属性の魔石には魔法を入れる事ができる。さて、長老に無属性の魔力を魔石に入れてもらったけど、魔法って何だろうって思うよね?私の言葉で説明すると生物には無属性の魔力に核を付ける事により、属性を付与していると考えられるんだ。長老は核を付けないように魔石に魔力を入れた事になる訳だね。さあ、危険な話が始まるよ」
(ここから危険なのか?誰か止めてくれないかなー)
(ああ、まだ上があるのですね。素晴らしいですよ!)
ダミアンが無言なのが逆に怖い。
「私の考察では魔石が保持する核は1つだけ。だから、1つの魔法しか魔石は使えないの。クリスタが魔石に魔力を入れたら魔法が変わったのは、核を上書きしたんだよ。同じ属性の魔法の核なら上書きできるって事だね。核が体のどこで作られて、どこで無属性の魔力にくっ付いているかは分からないけど、1つ確実な事があるんだ。体から魔力が出る時、一番最初に核が出て、その後に無属性の魔力が出ている。つまり、先頭にある核を通す事により無属性の魔力が魔法になっている訳だよ。さあ、この核だけど、どんな情報が入れれると思う?クリスタ先生」
「話が意味不明ですが魔法の詠唱が入れれると思います」
「正解。でも、本当にそれだけしか情報が入らないかな?長老は魔法陣を書けますか?」
「自分の得意な魔法だけですね」
「クリスタは?」
「全く分かりません」
「はい。クリスタに決定!」
「やっぱりだよーー!」
「クリスタはファイアを手から離れた位置で発動出来る?」
「手から離れた位置で魔法を使う事ができません」
「人間なら普通だと思うよ。使いたい魔法を手から離れた位置から発動させる場合、魔法陣が必要となります。これは、自分の魔力で離れた位置に対応する魔法陣を描く必要があるからなんだ。私は全ての魔法の魔法陣を、考える必要無く描けてしまうから、ちょっとおかしいかもしれないけど、長老もできるから普通だよね?そして、核には魔法陣の情報も入れる事ができるんだよ」
(おかしいでしょ?長老が普通とか完全に狂っているよ)
(やはり、私は普通程度の実力ですね。鍛えねばなりません!)
長老は普通では嫌だったみたい。
凄いと表現するべきだったかな?
私はクリスタが外に出したファイアの魔石を時空魔法で手に持ち、火魔法を1m離れた位置に発動するように魔石の核を上書きした。
「はい、クリスタ。外に向けて持っててね。火の魔石なのに熱く無いでしょ?そして魔法陣が展開されて魔石から1m離れた位置で魔法が発動しているでしょ」
「ほんとだー。魔石に魔法陣も入っちゃうんだ」
(最悪の兵器が思い浮かんだよ)
(素晴らしい。これは、とんでも無い事が出来ますよ)
クリスタが持っている魔石の魔力を抜いて教壇に置いた。
クリスタが黒板に寄りかかっている。
何で魔石を持っているだけで疲れているのかな。
「さて、魔石で使える魔法で怖い所は、今、私がやったように魔力を抜く魔石を用意して、危険な魔法を魔石に入れておく。魔石は魔力が溜まっていないから発動しないけど、自然に魔力を吸収するからね。時間差攻撃まで出来ちゃうよ。魔石を嫌いな国に投げ込んで待っていれば滅ぼせるね。ただし、魔法には魔力が必用で、魔石は大きさによって溜められる魔力が違うから、大きい魔石じゃないと、大きな魔法を放つほどの魔力が入らないから、意味のない魔石になっちゃうんだよ。でも、街の発展に使おうと思えば凄い事ができる。魔石の大きさと、魔法の魔力の使用量を研究して、時間になったらライトを発動するとか、そういう使い方もできる訳だよ」
(これは世界が変わるよ)
(研究するしかない。私の出番ですね!魔法使いに手伝ってもらわねば)
そうだよ。
世界が変わるんだよ。
魔法使いに手伝ってもらって魔石と魔法を研究して欲しい。
「長老は身体強化の、魔力を頭に集めて人の魔力を見るようにできますか」
「ええ。練習しましたから」
「流石長老ですね。では、ダミアン。君に世界を見せてあげよう」
「是非お願いします!」
ダミアンの魔力を操作して頭に集める。
「こ、これが身体強化の極意ですね。世界の魔力が見える」
「ダミアン。この状態なら魔石を見つけるなんて簡単だと思わない?」
「なるほど。魔石は自然界の魔力を必ず吸収している訳ですからね。つまり、必須技能」
「その通り。研究者で魔力が見えないなんて甘えだよダミアン君」
(おい、ダミアン。騙されているぞ)
(ああ、ダミアンの被害者が増えるぞ)
(可哀想に。彼の研究に付き合わされたら、たまんないよ)
街長と区長が愚痴っているよ。
おかしな話ですよ。
「私は甘えておりました。まさか、このような世界があったとは」
「では、疲れないように魔力を戻すね」
「私の爪で魔石は削れるから、核の耐久年数とか考えた方がいいと思う」
「魔石は交換する事を前提に設置するようにした方がいい訳ですね」
(シャーロット様の爪で削ってるんだぞ。そもそも人間に削れるのか?)
マリアンネの愚痴は聞こえない振りをしよう。
人間がどれだけ魔石を削れるか分からないけど、削れなかったらお願いに来るからね。
「そう思う。交換が必要ないなら、それはそれで問題ないからね」
「さて、私はわざわざ魔石の魔力を抜く為に、別の魔石を用意しましたが、自分の持っている属性の魔石なら必要ありません。魔力操作で自分の魔力を操作したように、魔石の魔力を一旦自分の手に入れてから捨てるのです。長老なら簡単ですね。水の魔石を用意しますね」
「では、やってみましょう」
水属性の魔力を魔石に半分ほど入れて長老に渡す。
「なるほど。魔石に入っている魔力は感じる事が出来るので、一旦自分に移動させた後に捨てる。おお、これは簡単ですね」
「簡単なんです。そして、魔力を捨てれば最後の魔力に核もくっついている為、綺麗な水晶になりました」
(基準がおかしくなってるよ)
(長老とシャーロット様で終わらせたら、絶対にできない気がするんだが)
(今の簡単な技術は人間に可能なのでしょうか?)
心配しなくても大丈夫。
身体強化の時に魔法使いは相手の魔力を動かせたんだからできるよ。
「さて、元冒険者達よ。高級品の魔石が何故ダンジョンで見つからないか理解できたかね?」
「無属性の魔力が満ちた魔石を見せてもらったけどほぼ灰色だ。恐らく、気にしない。魔法を発動していないから魔石だと気が付かない。深いダンジョンで見つかる事があるのは…、魔法を使う魔物が多いが、それだと、もっと見つかる気がする」
「マリアンネも思った通り、私はダンジョンを知らないけど、深いほど強い魔物がいるという事は、魔法を使うはず。じゃあ、何故見つからないのか答えを見せよう」
私は無色の魔石を手に持つ。
「さあ、クリスタ。ここにファイアボールを放って」
「いいんですか?まあ、大丈夫ですよねー。火魔法」
「さあ、魔力が入ったかな?」
「何故入らないんだ?おかしい」
ダミアンが焦っている。
想定と違うのだろう。
「さっき、核の話をしたよね。つまり、魔石に無属性以外の魔力を入れる為には核が必要な訳だよ。そして、核は手から魔法を放った瞬間に役目を終えている。だから、ファイアボールには核が付いてないんだよ」
「なるほど。ファイアボールも松明の火も同じで、魔石には入らないという事ですね」
「ダミアン大正解!だから、魔石に直接触れて魔力を入れる必要があるんだ。ダンジョンで見つかるとすれば常時魔法を発動し続けている魔物が、魔石の上を通り過ぎた時だけだね」
「なるほど。常時魔法を発動していると思われる魔物はファイアスライムだけだ。他は知らないな。戦闘中に魔法が当たっても意味がないし、足元にあっても気付かない。ダンジョンに潜る冒険者は何を探していたんだろうな」
「やっぱり冒険者は馬鹿だな。つまり、俺も馬鹿だった訳だ」
「夢です。そう思わないと悲しくなるじゃないですか」
あれ?
マリアンネが悲しんでいる。
エルヴィンも悲しんでいる。
クリスタは夢とか言い出してるし。
「そして、夢見る冒険者にとっておきの情報だよ。私の探知だとね、地下も地上と同じように人の気配がある。私と同じ吸血鬼なのか、他の何かなのか分からないけどね。それを考えると、ダンジョンは地下世界の入り口でしかない。どこから入っても地下世界に行くと思うんだよ。だけど、ダンジョンの魔人や魔物って瘴気で産まれるんだよね?つまり、地上の人では地下世界に行く事ができない。濃い瘴気は体に毒だから。逆に地下世界の人が上がって来ない理由も分かる、地上には瘴気が無いから」
「なるほど。冒険者は上下運動をしているだけか。確かに瘴気で魔物が産まれていないと、常にいる理由が分からないからね」
「強い魔物に阻まれていると思っていたが、そもそも無意味だったのか…」
「夢が壊れた…。違う!私は肉体の鍛錬をしていたんだ」
みんな悲しいよね。
ダンジョンなんて呼んでるけど、ただの階段みたいなものだもん。
地上の空気と地下の瘴気がぶつかり合って、世界を2つに分けていると思うよ。
予測だし余り興味は無いんだ。
お母さんのお墓から動くつもりが無いからね。
「地上にいる魔獣って、冒険者からしたらどれくらいの強さなの?」
「1階にいるくらいの魔物ですよね?」
「そうだな。それくらいだろう」
そうなると間違いないね。
魔獣は薄い瘴気で産まれているんだ。
私は地下世界で産まれたんだろうね。
同じような生物は産まれないのかな?
地上に行く事を危険だと考えているのだろうか?
深い層の魔物は瘴気が薄い場所に行くと死んでしまうのかも。
そうじゃないと上に来ない理由が分からないからね。
「さあ、質問があったら聞いてね」
「魔石から魔力を吸収する魔石を下さい」
「ダミアン。まあ、質問じゃないけどあげる。手に持っていると自分の魔力を吸うから気を付けてね」
「おお、ありがとうございます!」
闇属性を使える人は少ないからね。
抜き出す技術も魔法使いが必要だから、ダミアンは持っていた方がいいね。
「他に質問はありますか?」
「核だけを魔石に入れる事は可能ですかな?」
長老の質問は私も考えたんだよね。
「試したんだけどね。極小の無属性魔力が必ず付いているんだよ。それを剥がすと核が壊れるんだ。だから、魔法使いは核を作る事が出来る存在で、核は魔法を放つ度に壊れているんだよ」
「そういう事ですか。核は無属性魔力の通り道ですね」
そうなんだよね。
核はあくまで通り道。
だから、魔石に入った核には耐久年数があると感じるんだよね。
「核の話が出たから少しだけ言うけど、研究し続けると必ず核の生成場所が分かる。身体を切断しても戻す事ができる。嫌な話だけど人造の全属性魔法使いを生み出そうとするかもしれない。そういう意味でも危険な話なんだよ。街の発展だけに使えば便利、兵器としては驚異、人の改造は悪だね。他国は奴隷がいるでしょ。属性を調べて実験ができちゃう。奴隷は死んでも構わないと思っているからね。だから、極秘だよ。街の発展を目指してね。あとは、防衛とかかな。商人が結界の魔石を持っていれば安全に移動できるよ。そんな感じで色々と便利なんだよ」
「他に質問はあるかな?」
「街長辞めたいです」
「まだ国長になってなかったの?マリアンネらしくない仕事の遅さだね。次の街長を見つけたら国長ね」
「なるほどー。そういう事でしたかー」
(負けないで!マリアンネさん)
何でクリスタが応援しているの?
私は理解したよ。
「子供に教えるかどうかの責任者は、クリスタがいいって事かな?」
「「賛成!」」
「はい、即座に決定しました。街長と全区長の賛成を頂きました」
(本当に見通しが甘いよ…。黙っていればいいのに…。シクシク)
また成長したね。
だけど、ウソ泣きは駄目だよ。
全く話に出てこない妖精女王。
彼女は今、何を思っているのでしょうか。




