ジェラルヴィーネ お祭り(前半)
「シャーロット様、ヴィーネ様。本日はお祭りです。よろしくお願いします」
マリアンネも律儀だよね。
お祭りの日は半年に一度だから分かっているのに必ず報告に来てくれるから。
ディアナも頑張っているね。
一度目の訓練で音を上げるかと思ったけど頑張っている。
マリアンネが訓練に付き合うとはね…。
子供たちと一緒に訓練した事で少し変わったのかな?
夜の学校も順調だね…。
国防軍と警備隊の解散が思わぬ結果を生んだよ。
裏で母さんが動いていたのは知っているけど任せてしまった。
私ではどうしても甘く決断してしまう部分があるから。
例の島も多種族国家を建国できるね。
どんな生活をしているのか興味は無いし会いたくもないけどね。
母さんは社から出てマリアンネと会話する。
いつも通りだね。
「何かお願い事はあるかな?お祭りに問題は無いかな?」
「いつも通り自由にしていただければ大丈夫です。お祭りに問題はありません」
母さんとマリアンネのこのやり取りも毎回ほとんど変わらないよ。
恒例行事の恒例の会話なのかな?
「分かったよ。ありがとう」
「はい。では、失礼します」
戻ってきた母さんが聞く事も分かっている。
「ヴィーネ、今回のお祭りはどうする?」
「叔母さん達が来るまで待機しているよ。来たら母さんの隣に転移するから」
「そっか。じゃあ、いつも通り行動してくるよ」
「はーい。頑張ってね」
母さんは私に手を振ってから人魚とセイレーンの元に転移した。
あえて土地神リンゴ飴の事は口にしなかったね。
全てを知っているのに黙っている…。
母さんなりの感謝の仕方なのかな?
何も言われなくても把握してしまうから、直接聞くまでは知らない振りをしているのかも。
母さんの人を把握する能力はずば抜けている。
その能力は私にも受継がれているけど上手く使いこなせていない。
母さんの知識や経験を受継いでいるからどのように使っているのかは分かっているけど、同じように使えない。
感情の動きで会話内容を予想している。
誰がどこで誰といるのかを把握しているから予想できる。
会話を聞いているのと変わらない精度なのが凄い。
偶に外出した時と週末に聞いているだけなのに…。
その時の会話の内容から予想している。
本来であれば古代種ドラゴンには備わっていない能力。
それが理由で使いこなせていないとは思わない。
受継いだ知識や経験だけでは駄目で自身の経験が必要なのだと思う。
母さんの経験は膨大だから…。
500年以上も人の会話と感情を把握し考え続けている。
吸血鬼の母さんは人を理解しようと努力した。
その結果が今に繋がっている。
母さんは音の仕組みを完全に理解している。
声が出る仕組みも理解している。
村から街になる時に境内を結界で包んだ。
空気の振動を打ち消す結界。
週末だけは解除している。
人は空気の入れ換えをしないと体調を崩したり死んでしまうから。
それだけ多くの人が社に訪れているとも言える…。
結界は母さんの爪同士を当てた音だけは通すようにしている。
緊急用のボタンの仕組みは母さんが考えた。
頼られ過ぎる事にうんざりしていたというのが理由。
村の時はそこまで酷くなかったから街になった時に余計そう感じた。
魔獣討伐などのお手伝いはしていたけど、村人も自分たちで討伐しようと努力した。
防護壁を用意する必要は無かったし頼まれる事もなかった。
見張り台が用意してあり不寝番が鐘で魔獣や盗賊が現れたのを知らせる。
村には村人手製の柵があり、魔獣や盗賊に対処する為の時間稼ぎができるようになっていた。
不寝番が気付いていない時にこっそり対処する事はあったみたい。
ごく稀の話であり苦でも何でもなかった。
人が増えた事により混乱が起きたから教育場所を用意した。
他の場所から移住を求めた村人との諍いを減らすのが目的だ。
母さんの目論見通りに上手く村人の移住は行われた。
そして、人が増え過ぎた…。
最初は耳に結界を張って対処していたけど途中で考えが変わった。
甘えた考えを持つ人が増え始めたから。
人々は些細な擦り傷から微熱まで全てを治してもらおうと考えた。
だから、分かっていても無視できるようにボタンを用意した。
そして、境内に結界を張った。
それでも、人は甘え続けた。
圧倒的な力を持つ母さんに頼る事を当たり前だと考えるようになった。
不寝番をする人もいなくなったので防護壁で街を囲んだ。
街長や区長を決めて街の方針を自分たちで決めるように促した。
それでも、人は甘え続けた…。
街に変わった後に移住してきた人々は母さんを頼る為だけに移住してきた人が多かった。
叔母さんが母さんに卵を投げつけた時は母さんが選別しようか迷っていた時だった。
偶々だったのか母さんを心配していたのかは分からない…。
私にとっては喜ばしい出来事だね!
大好きな母さんの娘になれたから。
母さんは村に戻る程度の人口にする予定の選別を決行しようか迷っていた。
私が国長になったから考えが変わった。
でも、後悔している事は知っている。
国長をさせるなら選別を事前に行うべきだったと。
母さんの娘であり世界最強の私。
では、母さんと本気で殺し合いをした場合はどうなるのか?
私は負けると予想しているよ。
母さんは最強だから!
勿論殺し合いなんてしないけどね!
力だけなら勝てるけど、全ての能力全開で勝負した場合は負ける。
母さんは真祖として規格外。
明らかに真祖の能力ではない事を平気で行う。
次元を切断する能力は流石に叔母さんも驚いていた。
真祖にも古代種ドラゴンにも無い能力だから。
私は母さんの娘だから使えるけど、母さんは何故使えるのだろうか?
私と母さんは星の魔力が知覚できない。
でも、母さんには星の魔力が確実に入っている。
母さんは吸血鬼。
血を吸った相手の能力を使う事ができる。
叔母さんの姉の血は足りないから古代種ドラゴンの能力は使えない。
しかし、魔力量をかなり底上げしている。
叔母さんの血は瘴気で汚染されていた。
母さんの予想が正しければ瘴気は星の魔力を元にしている。
母さんは星の魔力も取り込んでいる可能性が高い。
星の魔力でできる事は分からないけど不思議な事ができる理由にはなりそうだと思う。
魔人であり、人の血を吸い、竜の血を吸い、星の魔力も入っている。
この星の全ての層の魔力を得ている。
3層(地下、地上、空)しかないと思っていた魔力に星の魔力が加わった。
4層(地下、地上、空、星)の魔力を持っている。
無茶苦茶な存在だよ…。
私の予想なんだけどね。
偶には母さんのように考えてみないと駄目だよね。
精霊女王は次元結界で身を隠している。
だから、この世界の出来事が分からない。
永遠に寝ていればいいよ…。
私と母さんは楽しい生活を送るから!
たくさんの不幸な子供を助ける予定でいるから。
次に行く国の目星は付けた…。
何をしているか予想は付いている。
本当に馬鹿だよ…。
絶対に滅ぼす!
「今日はお祭りだよ。みんな全力で楽しんでね!病人や怪我人はいないよね?何か問題があるなら私は食事場所の屋上か噴水の近くにいるから声を掛けてね。神国シェリルのお祭り開催だよー!」
さてと…。
ああ、結界は叔母さん達が通れるようにしてあったね。
何故か嫌な予感がするよ…。
クリスタだけが被害に遭えばいいのにさ。
絶対に私も巻き込まれるよ。
こういう時の予感は大抵当たるんだよね。
シィーナ叔母さんが組手しようと誘ってきそう。
絶対に誘われるよ!
だって暇だからね…。
双子で遊んでいればいいのに叔母さんが弱過ぎるんだよ。
5000年以上も生きているのに火を吹いて生活していたなんて頭悪過ぎだよ。
何が厄災のドラゴンだよ…。
最悪なドラゴンだよ!
それなのに、人は戦争を止めないよね…。
どれだけ他国を占領したとしても簡単に滅ぼされると知っているのに。
へんなの…。
今日はお祭りだし余り嫌な事は考えないでおこう。
さて、お昼まで寝ようかな…。
いやいや。
流石に来るの早過ぎるでしょ?
学習能力が無いのかな?
母さんがお肉を届けたばかりだよ?
子供たちがお肉をまだ焼いていないよ。
来る時間が少しずつ早くなっているのは気のせいかな?
転移魔法。
食事場所にいる母さんの隣に移動する。
「早いよ!少しは考えてよね」
「何を言っているの。時間は有効活用するべきよ」
絶対にその言葉を言ってはいけない人が言っているよ。
馬鹿なんだろうね…。
「5000年以上も遊んでいた癖にその言葉を言えるのは流石だね」
「お肉の切り分けだけするから話しててよ。私には用事があるの!」
母さんは2頭のギガントボアを念力で浮かせている。
皆がお皿を持って呆然としているよ…。
呆然としている理由は何かな?
ギガントボア2頭かな?
異常な魔力を持っている2人の古代種ドラゴンかな?
「そういう事だよ。シィーナ叔母さんが一緒にいながら何で好き放題させているの?」
「私も楽しみだったのだよ。ヴィーネと遊びたいと思っていたからね」
はい…。
予想通りでした。
「クリスタと2人で遊べばいいじゃん。この国には闇の精霊もフェニックスもいるよ?誰か掴まえなよ」
「へー、ヴィーネ許したんだ。絶対に殺すと思っていたわ。それに、フェニックスも存在するのね。この国はどこを目指しているのよ?」
私が一番知りたい事だよ!
好き勝手にしていいと言っていた本人が一番好き勝手にしているからね。
「あの子も可哀相な精霊だったんだよ。シィーナ叔母さんが地上に出ても問題なかったね。殺意を抱かない限りは絶対に何もしなかったと断言できるよ。母さんは世界の理を解明しそうだからね。夜に聞けばいいよ。それで、何して遊ぶの?」
「勿論組手だよ。魔力量はクリスタと同じにしよう。それならどうかな?」
まあ、それなら結界も必要ないから安全だね。
シィーナ叔母さんにも名前で呼ばれているクリスタは異常だよ。
クリスタは余り意識していないけど…。
この2人はドラゴンの名前を1人も覚えていないと思うからね。
「それならいいけど、少し待っててよ。どうせ叔母さんはクリスタ拉致する気でしょ?」
「人聞きが悪いわね。楽しく組手するだけよ。半年に一度の約束も守っているでしょ?」
「来る時間が少しずつ早くなっているよね?子供たちがお肉を食べ始めてないよ。クリスタも孤児院で仕事をしているんだからね。する事がある…」
今回はお皿を持っていないよ。
仕事する気が無いね…。
「クリスタ連れて行っていいよ。邪魔だから!」
「酷い事を言いますね。時間までは約束していませんでしたから。問題は何もありません」
カーリン軍みたいな言い訳を使い過ぎなんだよ。
どんどん悪化していないかな?
「その通りだわ。流石クリスタだね。ヴィーネの勘違いを正してあげるなんてやるわねー。じゃあ、2人とも問題ないのね?」
なるほどね…。
叔母さんと組手しているからだよ!
「2人がここにいたら子供たちが委縮しちゃうから仕方ないね。母さん、行ってくるよ」
「ヴィーネ頑張ってね。クリスタは早く尻尾斬ってよね」
「死にますから!そんな絶対に死ぬ挑戦したくありませんよ」
「ディーンの尻尾が欲しかったの?今度のお祭りには持ってくるよ」
えっ?
全員が止まったよ!
そんな最高に笑える展開があるの?
余りにも予想外で反応に困るよ。
「ね、姉さん…。何を言っているのかしら?ドラゴンで訓練したこと無いじゃない」
「何を言っているの?竜の国には手土産が無いから困っていたんだよ。ディーンの尻尾なら回復すればいいからね。次からは持ってくるよ」
「流石シィーナ姉ちゃんだよ!楽しみにしているね」
「最高だね。竜王の尻尾焼きがまた見れるとは思わなかったよ」
間違いなく本気だよ!
シィーナ叔母さんは本気で持ってくるよ。
「姉さん…。妹の尻尾が手土産っておかしいでしょ?」
「いつもお肉を食べているみたいだしおかしくないよ。治せるし痛くないでしょ?」
「素敵な手土産を次回から用意してくれるみたいだよ。楽しみだね!」
「そうだね。楽しみで待ち遠しいよ。じゃあ、行ってくるね。転移魔法」
母さんに手を振って訓練場に移動した。
「さてと、2対2なのか1対1なのかどっちなのかな?」
「無理です。絶対に無理です。私が死にますから!」
そうかな?
死ぬ事はないと思うけど。
「クリスタが反対するから1対1ね。私の相手はシィーナ叔母さんでしょ?」
「そうだね。私はそれでいいよ。ディーンもいいでしょ?」
「ええ。そっちは好きなように遊んでて」
身体強化に使う魔力量をクリスタに合わせる…。
「組手中に魔力を回復するのはありなの?」
「そうだね。クリスタの魔力量を超えなければありにしよう」
やはりできるよね…。
叔母さんより強いの確定だよ。
「あとは魔法禁止だよね?」
「そうだね。シャルの魔法を使われると勝負にならないよ」
知らないはずだけど本能的に理解しているね。
母さんの魔法は戦闘に用いると凶悪なものばかりだから。
「そんなところだね。あとは何かあるかな?」
「もう無いよ。じゃあ、始めよう!」
「はーい。お願いします!」
「いくよー!」
組手は初めてではないからね。
相手は母さんだから…。
同じ魔力量にすると本気できついんだよ。
シィーナ叔母さんも同じ技量を想定しておこう。
母さんは魔力操作まで利用して意表を突く攻撃をしてくる。
全てを疑う必要があるから大変だよ!
シィーナ叔母さんも似たような魔力操作しているよ。
異常者はこれだから厄介だね…。
防御する為に魔力を配置しているように見せかけて、攻撃が当たる瞬間に魔力移動する。
一瞬の攻防でそんな事ができる人は少ないと思うけど、母さんは平気でするからね。
【パシィ】
正面から迫ってくる右拳を左手で受け止めた。
腕を使うと吹き飛ぶからね…。
「今のを防ぐんだ。流石だね。ディーンは絶対に防げないのに残念だよ」
「同じ条件の組手では痛い思いをしているからね。死ななければ大丈夫だと思っているおかしな人が母親だから。私の片腕を吹き飛ばして笑顔で、同じ条件で勝てるとは思わない事だね、とか言う人だから」
「シャルはやはり強いんだね。同じ条件でもヴィーネの反射神経を超えるのは厳しいでしょ?」
「母さんは私の片腕を吹き飛ばす為に自分の片腕を犠牲にするからね。痛いのは慣れているから、私に痛みを教えてあげるのが母親の務めらしいよ」
どう考えてもおかしいよ!
何が母親の務めなのか理解できないからね。
そもそも、組手で2ヵ所同時攻撃はありなのかな?
される前にしてみようかな…。
均等に配置してある魔力を攻撃の瞬間に左手と右足に集中させる。
腕と脚が耐えられる魔力量は体が覚えているから大丈夫。
【バシィ】
組手の基本を無視した攻撃を防がれたよ。
完全に異常者だね!
圧倒的な瞬発力と体の重心移動ができなければ成り立たない攻撃。
軽い攻撃になってしまいがちだけど上位種族は楽にできてしまう。
私は母さんに片脚を吹き飛ばされたけどね。
攻撃を受け止めるつもりだと判断した母さんは手の魔力量を最低限にして足に移動させた。
手が自壊しないギリギリの魔力量にして私の足を吹き飛ばす為に魔力を移動させた。
腕に当たった拳の感触が余りにも軽いと感じた時には片脚が吹き飛ばされていたよ。
「母さんと一緒だね。今の攻撃は未経験のはずだもん。普通は使う事も使われる事も無いのに防いじゃうのはおかしいから」
「シャルの強さの想定をかなり上げたからね。今の攻撃はヴィーネにしか使った事ないと思うよ?実に娘思いだね」
攻撃の度に必ず吹き飛ばそうとするとかおかしいでしょ?
私が痛みで攻撃方法を覚えるとか普通は無いからね…。
世界最強なんだよ?
全ての能力が桁違いなんだよ?
どんな意表を突かれても反射神経で対応できるはずなんだよ。
母さんとの組手は実戦とほとんど変わらない。
一瞬の判断力が桁違いなんだよ。
私の手に溜めた魔力量が少ないと感じたら、受け止めずに拳に変えてぶつけてくる。
私の拳を破壊しにくる。
母さんには防御するという考えが無い。
絶対に受け止めるしかない場合を除き、相手に攻撃する隙を探し続けている。
組手の決まり事は知らないけど絶対に違うと思う。
相手の体の破壊しか考えていないからね…。
目の前の相手も同じようだよ。
組手で相手を血塗れにすれば勝ちだと考えているね。
シィーナ叔母さんの攻撃は苛烈だけど、私の心には余裕がある。
母さんの方が強いからなのかもしれない。
2ヵ所同時攻撃は防がれたから止めた。
無駄な事はしない主義だからね。
そろそろあれを使ってみようかな。
私が一番嫌いだった攻撃だよ!
何度体を破壊されたのか…。
本当に痛い母の愛だよ。
これはどうかな?
攻撃中に両手で魔力を回復させながら当たる直前に右拳の攻撃力を最大にする。
クリスタの魔力量を超えないようにはしているけどね。
私の魔力量が突然変わるから焦るはず。
普通は攻撃の一瞬で魔力を回復できないと考えるから。
攻撃に使っていない手で魔力を回復させて体幹力や防御力を上げる事はあっても、両手で魔力を吸収しながら攻撃されるのは想定していないはずだよ。
【バシィ】
普通に受け止められたよ…。
身体強化を生み出す人はおかしいよ!
「本当に大概だよ!誰と戦えば今の攻撃を想定できるのかな?」
「勿論自分だよ。ヴィーネの方が魔力吸収が速い事は想定しているけどね。攻撃中でも防御中でも魔力を回復できるはずなのに、それをしないのは違和感があったからね。どこかで回復しながら攻撃されると思っていたよ」
回復していたよ!
微量だけ回復させずにいただけだよ。
相手の総魔力量の把握が凄いね。
かなり繊細な魔力操作もできる証拠だよ。
「ほんの少しだけだよ。何で気付くかな?さては異常者だね?」
「全身を魔力で満たしている訳ではないから、相手の総魔力量を把握するのは感覚頼りになるね。身体強化を生み出す人は異常者だよ。実に楽しい組手だよ。ヴィーネがここまで繊細な攻撃をするという事は全力勝負なら絶対に勝てないね。シャルには勝てそう?」
「全部ありなら怪しいと思っているよ。母さんはこの星の生命体の完成形だと思う。母さんも気付いていると思うし後で話すけど、吸血鬼だからこそ完成した奇跡的な存在だよ。シィーナ叔母さんが血を十分に与えていないのとお婆ちゃんの教育が大きいね。吸血鬼は吸った血を別々に管理するはずなのに全てが混ざっているから。本来ならあり得ない生命体の完成だよ」
「面白そうな話だね。後の楽しみにしておくよ。今は組手も楽しいからね」
話が聞きたいから組手を止めようとか言わないの?
これだから異常者の戦闘狂は行動が予想できないんだよ。
母さんの普段の姿はお婆ちゃんの血を使っている。
無意識にお婆ちゃんの血だけを使って心臓を動かしている。
混ざっているのに心臓を動かす血だけはお婆ちゃんの血とか意味が分からないね。
2人の血が入っていると認識できるから可能なのだろうけど色々とおかしいよ!
母の愛は痛いです。




