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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第4章 神国シャーロット

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閑話 ビアンカ 資料室とボタン

学校の資料室に研究結果が日増しに置かれていきます。

今後この国の知識の全てがこの場所に集まるのですね…。


実に素晴らしいです!


休日になると資料室の中にある閲覧場所を子供たちが埋め尽くします。

平日は鬼ごっこがあるので研究員かクリスティーネがいる事が多いですね。


クリスティーネはかなり色々な本を読んでいます。

土に関連する本だけしか読まないと思いましたが、研究内容が面白そうな本はとりあえず読む事にしているみたいですね。


実に良い傾向です!


彼女はとても努力家ですが基本的には言われた事しか努力できないのです。

ですが、今後は自分で考えて努力できるようになるのかもしれません。


クリスタが彼女の為にお願いした資料室ですからね。

もしかしたら、クリスティーネは全ての研究内容を読むつもりなのかもしれません。


健気で可愛いですね!


私たち孤児院で働いている大人はそれぞれの年齢を知りません。

お酒を飲みながら過去の話をする事は偶にありますが、本当に知らないのでしょう。


カーリンとクリスタの生い立ちは想像を絶するものがあります。

チェルシーも冗談半分で話していますが悲惨な生い立ちです。

レナーテも過酷な環境を生きてきました。


私だけ平和な人生ですね…。

皆は自分の年齢を数えている余裕は無かったのです。


お2人により救出された子供たちも正しくそうでしょう。

自分の年齢を知っている子供はほとんどいません。


ですから、学校に通う基準の為に5つの年齢に分けるのです。

コリンナが孤児院に入ったので1つ増えました。


0歳、3歳、6歳、10歳、13歳。


子供たちが落ち着いた頃にシャーロット様が孤児院を訪れて分けます。

5つに分ける事で救出された子は最短でも3年間は学校で勉強できます。


自分の年齢を知っている子は選べます。


ですが、皆がシャーロット様の決めた年齢を選ぶのです。

新しい年齢で新しい人生を始めると覚悟しているのが伝わってきます。


シャーロット様は無学の子でも3年間努力すれば高等科を卒業できると判断されています。

今まで孤児院を卒業した子は全員が高等科を卒業しています。


全力で努力すれば3年間で高等科を卒業できると先輩が証明しています。

孤児院を卒業している子の努力量は桁違いなのです。


本当に物凄い事なのですよ!


現在15歳の子も高等科の卒業資格を既に全員が持っています。

学校に通う理由はお2人を全力鬼ごっこで捕まえる為ですね。


あとは残り少ない学校生活を楽しんでいるのでしょう…。


孤児院に新しい子が入ってくると勉強よりも遊びを優先します。

新しく入ってきた子たちと大勢で一緒に遊ぶのです。


一月は遊びながら環境に慣れてもらうのです。


環境に慣れて周りが見えるようになると、自分が何もできず知らないと理解します。

何もかもが足りていないと痛感するのです。


13歳で文字が書けず計算できない子が入ってきても子供たちが教えます。


高等科の卒業資格を持っている子が率先して教えるのです。

救出された子で努力する気がない子は今まで見た事がありません。


本人のやる気が続く限り勉強に付き合うのです。

その結果、消灯時間ギリギリまで勉強は続きます。


1人の子が教え続けるのではなく皆で協力して教えます。

孤児院は皆が家族であり仲間でもあるのを実感しますね。


子供たちが考えてそのように行動しているのです。

一丸となって高等科を卒業しようと努力しているのです。


駄目な事ですが、孤児院の子が高等科の卒業資格を得ると涙が出そうになります。

特に3年間の努力でそこまでたどり着いた子だと耐えるのがとても大変なのです。


毎晩努力していたのを知っていますからね。


そんな日常があるからこそ卒業した後でも関係性が変わらないのでしょう。

とても素敵な事ですね!


年齢の区切りは今のところ人間と獣人のみです。

他の種族に制限はありません。


気の済むまで学校に通ってよい事になっています。

孤児院に住む期間も自分で判断すればよい事になっています。


要望は聞いています。


クラーラはカーリンが孤児院にいる限り。

ハイディは見た目が大人になったら。

ジェナとドラゴン族は高等科を卒業するまで。


セイリムは決め兼ねているようです。


セイリムの迷いはとても分かりますのでゆっくりと考えればよいと思います。

彼は自分の存在を受け入れる事ができていないのです。


非常に悩ましい問題ですが、私たちが答えを出してあげる事はできません。

自分との向き合い方は自分で決めるしかないのです…。


・・・・。


余りにも話が逸れてしまいましたね。


学校の1階は教員室と資料室の2部屋ですので、かなりの広さが資料室に割り当てられています。

部屋を区切るのではなく資料室の中に閲覧場所を用意する事で侵入者の対策にもなります。


平日は勿論ですが、休日も秘儀を覚えている教師が教員室か閲覧室にいます。


学校の出入口は教員室の横を通る必要があります。

教員室には窓があり、誰が通ったのか分かるようになっていますが保険的な意味合いが強いでしょう。


資料室に他国の人が侵入して研究結果を盗み出すのはとても厳しいです。

秘儀を覚えた教師がいるのは万が一に備えているだけなのです。


シェリル区の噴水を犯罪者が通過した事は一度もありません。

ヴィーネ様が徹底しています。


仮に資料室に侵入して研究結果を盗み出そうとしても、誰かに叩きのめされて処刑でしょう。

不審人物を判別して叩きのめせる人が必ず資料室にはいるのですから。


孤児院の次に侵入者対策が万全なのが資料室なのです。


これ程素晴らしい環境が整えられましたが訪れる大人は非常に少ないのです。

選別をしてもこのような状況ですからね…。


自分を高める気が無いのでしょうか?

研究結果を知る事で自分の仕事が変わると考えないのでしょうか?


より良い仕事をする為には何が必要なのかを考えるべきなのです。

要するに頭をもっと使えという事ですよ!


本当に駄目な大人ばかりです…。

現在している仕事を今の形のまま働けなくなるまで続ける気なのでしょうか?


この国はまだまだ発展するのですよ?


自分の仕事が必要なくなる可能性だってあります。

仕事の仕方が一変するような道具等が発明されるのかもしれません。


自分たちは何もしない…。


努力する人たちの利益を享受するのみ。

寄生虫と言われていた頃と変わらないではありませんか。


シャーロット様も寄生虫に崇められても嬉しくはありませんよ…。


真面目に仕事すれば足りないものがあるはずなのです。

今に満足しているようでは飛ばされて終わりですよ?


教育された子供が大人になり仕事を始めています。


この国は大人より子供の方が人数が多いのです。

将来はどうなるのか考えるまでもありません。


自分の職場に教育された子がやって来た時、そのままの立場でいられるとは思わない事です。

年上だから指図できると安易に考えない事です。


仕事をする上で邪魔だと思われたら実力で排除されます。

この国に不要だと思われたら飛ばされます。


神国シャーロットはそういう国なのです!


私の仕事は教師と孤児院で子供のお世話ですからね。

丁寧に授業をする事も大切ですが、子供を守る力が一番必要なのです。


子供より弱い大人が子供を守る事はできません。

社のお2人が指示を止めた場合、子供の方が先に犯罪者に気付き対処してしまいます。


犯罪の被害に遭うとしたら鍛えていない大人だけなのです。

それを本人たちは分かっていません…。


シャーロット様の選別は国を混乱させないように大人を残しています。

5年後に選別をもう一度行った場合、あなた達は残れますか?


自分は既に国民だから夜の学校に通って勉強しない。

そんな考え方で大丈夫ですか?


国防軍と警備隊の解散を切っ掛けに多くの種族は夜の学校に通い始めました。

人間と獣人の多くの人だけが無関心なのです…。


考えれば考えるほど不愉快になります!

無視すればよい話なのですが、どうしても視界には入りますからね。


おや、クリスティーネがついにあの本に手を伸ばしましたね。

お2人を呼ぶ緊急用のボタンについてです。


私は物凄い技術が使われていると思っていましたからね。

凄いのはお2人だという事が分かるだけです。


薄過ぎて本と言ってよいのか分からない研究結果です。

研究内容を表に書く為に少し厚くなっていますが、中身は1枚です。


ボタンの構造と試験内容と結果が記載されているだけですからね。

分解すれば誰でも分かるのですが、お2人を呼べるボタンだという事で躊躇われます。


特殊な技術は何も使われていないのです。

押す事ができるようになっているだけなのです。


違いましたね…。

中にバネが入っていますので、ボタンは押した後に元の位置に戻ります。


国民の感情を把握されているお2人です。

呼びたいと思っている人がいる事は分かっているのです。


あのボタンは呼べる人を厳選する為に必要なのです。


研究員の方は何を思ってボタンを考えたのでしょうか?

もしかしたら、シャーロット様の負担を減らす為なのかもしれませんね。


今後はボタンを押した場合にのみ助けて下さいと。

それでも大概だと思いますけどね…。


助けてもらう事が前提になっています。


どうしてボタンを押すとシャーロット様が来て下さるのか?


それは、あのボタンの中にシャーロット様の爪が2枚入っているのです。

ボタンを押す事により爪と爪が当たり音が出ます。


お2人はその音が出た場合にのみ来て下さるのです。

シャーロット様の爪はとても硬く魔石も切断します。


爪と爪が当たると、とても高く澄んだ音が出ると記載されています。

余りにも小さな音ですし一瞬ですから、私は気付く事ができませんでした。


お2人の耳はこの国の範囲程度なら全ての音を聞く事ができるのです。

社のある境内には、盗み聞きをしたくないと思われたのか、煩いと思われたのかは分かりませんが、音を遮断する結界が張ってあるのです。


境内にあるこの結界はシャーロット様の爪が当たる音だけを通すようになっています。

ですので、社にいるお2人の耳に音が届いた時に来て下さるのです。


この研究の凄い所は土地神様に爪を下さいと要求した事ですね。

それに、検問所の前で何度も爪と爪を当てて音を出し、何回音がしたのか確認した事です。


この研究結果を読むと疑問に思うのが、本当に境内には結界が張ってあるのかどうかです。

秘儀で魔力を見られる状態で境内を見ても結界は見当たりません…。


隠蔽しているのか本当は張ってないのか国民には分からないのです。


ですが、お2人の能力の高さは分かります。

お2人がその気になれば隠し事は一切不可能であると理解できます。


感情だけではなく会話も全て聞く事ができるのです。


街ができる以前は会話を全て聞いていて感情も把握されていたのかもしれません。

長く経験された事により感情の動きで会話の内容も把握できるようになったのかもしれません。


シャーロット様には隠し事が不可能だと言われています。


私は不思議に感じてしまいます。

ボタンは研究員が考えたのでしょうか?


シャーロット様が考えて提案された可能性もあります。

そこまでは記載されておりませんので分かりませんが、その可能性が高いと私は思っています。


シャーロット様は全ての研究内容を把握されています。

孤児院に訪れた時や鬼ごっこされている時は存分に力を発揮しているのかもしれません。


子供たちは考えるに違いないでしょう!

どのようにすればシャーロット様に近付き捕まえる事ができるのか。


1枚の研究結果でも様々な事を考える事ができるのです。

そして、私たちに教えて下さる知識はとても多いのです。


資料室は本当に素晴らしいです!

ここには未来の可能性が詰まっているのですから。


あら、クリスティーネがこちらに来ましたね。


「ビアンカ、研究をお願いしたいです。音とは何かが知りたいです」

「それはどうしてですか?」


今回が初めてですね。

何か気になる事があったのでしょう。


「私は緊張すると声が高くなります。検問所に音が判別できる器具を置く事ができれば、嘘を少しは見破れるようになるのかもしれません。検問兵の仕事が荷車を引くだけなのはおかしいですから」

「とても素晴らしい理由ですね。要望に加えておきます」


「はい。お願いします」


クリスティーネはまた別の研究内容を読みにいきました。


本当に素晴らしい要望です。

残念なのは検問兵から要望が出なかった事でしょうね。


検問兵は犯罪者を見逃し過ぎています。

犯罪者を事前に止めた話は聞いた事がありません。


止めた事があるのでしょうか?

荷車を引く事に疑問を感じて努力をするべきですね。

クリスティーネ成長中です!

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