シャーロット 不死鳥と鳥神
フェニックスはこの宇宙で最上位の存在だと考えた。
しかし、本当にそうなのだろうか?
私とヴィーネは違う次元に移動する事ができる。
同じ事をフェニックスができないとは思えない。
その場合に考えられるのは、フェニックスは全ての次元の頂点。
本物の神様だと言える存在だよ。
じゃあ、不死鳥なんて呼ばせたら駄目だよね?
改名してもらおう!
「ヴィーネ、今からフェニックスの所に行くよ。不死鳥から鳥神に改名してもらう」
「急にどうしたの?目的は何なの?」
「この世界の人は不死と聞くと攫い、自分も不死になれると考えて様々な事を実行する。馬鹿げているけれど人魚もそれで攫われていた。世界一信用される国になろうとしていて、他国の商人を登録している。その商人が不死鳥フェニックスがいたなんて触れ回ったら面倒な事になりかねない。不死という言葉だけは絶対に外したい。フェニックスの感情を刺激するような事をして欲しくない。私たちが対処したとしても、フェニックスの耳に入る前に全て対処できるとは限らないからね」
「なるほど。何の準備も整っていない状況で力に目覚めたら終わりだから、少しでもその可能性を下げておきたいんだね。じゃあ、行こう。会話は母さんに任せるよ。転移魔法」
まあ、私が言い出した事だしね。
私が説得するよ。
「ずっと世界樹の上にいるの?エルダードワーフからお小遣い貰っているでしょ?」
「シャーロット、聞いて下さい!皆が私を見ると畏まってしまうのです。何かとても空気を重くしてしまうみたいで悪いかなと思いまして」
「そんな事になっているんだ…。まあ、私も似たようなものだけどね」
私たちがお店に行くとそんな感じにはなるよね…。
でも、それを辛いと思わせたくはないから考え方を変えてもらおう。
「じゃあ、私と同じ立場になってもらおうかな。それなら平気でしょ?私はこの国で崇められているんだよ。友達のフェニックスも崇められてもおかしくないよね?」
「なるほど。同じ立場なら崇められてもおかしくはないですね」
「同じ立場なら崇められるべきだと思うよ。母さん、何かいい案があるの?」
「皆が畏まる理由ってフェニックスは分かる?私には分かるよ。それはね、不死鳥だからなんだよ!人は不死という言葉に敏感に反応する。フェニックスは自分の体を食べられたりしたよね。人魚の子供たちは鱗を剥がされたり血を抜かれたりしたんだよ。人間や獣人が不死になれると思ってね。私は土地神として崇められている。じゃあ、フェニックスは鳥の神で鳥神でいいよね?鳥神フェニックスにしようよ。不死なんて甘いよ。フェニックスは世界一凄い鳥なんだよ。神だよ、鳥の神様。違うかな?」
「人魚の子供たちも私と同じような事をされたのですね。不死はそれほど人を惑わしてしまうのですか。確かに私は世界一凄い話せる鳥ですからね。まあ、鳥の神様と言われても誰も反論できませんよね?話せる鳥は私だけですから!そして、シャーロットが土地神なら友達の私が鳥神でも全くおかしくはありませんね。決定です!私は今日から鳥神フェニックスです。ついに神ですよ!名前に凄みが出た気がしますが、シャーロットのように崇められるだけですから、それは我慢するしかないですね」
「崇められるのは慣れだからね。まあ、そればかりは母さんの友達ならしょうがないよ。母さんの娘である私も神扱いされているからね」
ヴィーネは私の娘で神扱いされているのもあるけど、古代種ドラゴンだからという理由もあるんだよね。
我慢する事が意外と多いよね…。
その代わりに圧倒的な力があるけれど。
でも、フェニックスが納得してくれて良かったよ。
後は全国民に伝えるだけだね。
「ヴィーネ、全国民に伝えてあげないと。これからは崇められるフェニックスが自分から鳥神フェニックスですなんて格好悪いよ。ここは国長が言うべきだよ」
「ヴィーネ、お願いします。シャーロットの言う通りな気がします。自分で言うのがとても恥ずかしいですよ。流石に神ですからね」
「間違いないね。私が伝えるよ。念話、やあ、ヴィーネだよ。全国民に話し掛けているよ。母さんの友達のフェニックスの事を今後は鳥神フェニックスと呼ぶようにしてね。今後は不死という言葉は禁止だから。厳罰の可能性もあるよ。鳥神と呼んでも、鳥神フェニックスと呼んでも、フェニックスと呼んでもいいよ。世界一凄い話せる鳥だからね。鳥の神様だから。反論できる鳥はいないでしょ?鳥なのに話せるのは鳥神のみに許されているからだよ。そういう事だから、これからよろしくね。またねー」
反論できる鳥がいたらどうしよう?
そこは話し合いをするしかないね。
まあ、フェニックスに改名しろと言える鳥はいないだろうけど…。
「完璧だね。もう私と一緒だよ。皆から崇められるけどしょうがないよね?友達だもん。私の友達ならそれは我慢してね。私も我慢しているからさ」
「そうですね。シャーロットが我慢しているのなら私も我慢しましょう。これからは崇められるのですね…。やはり恥ずかしいですね」
「お小遣いを持っているのなら買い物をたくさん経験するべきだよ。美味しい物も食べられるし、皆がフェニックスに慣れるからさ。同じ物を食べていると知れば、崇められていても優しく接してくれるようになるよ。畏まられる事は減るはず。私と母さんとフェニックスの3人で買い物に行くと流石に店員も焦るだろうからベティーナに頼もう。下に行こうよ」
「確かに私たちが3人で買い物したら確実に崇められるし畏まられるよ。それじゃあ、いい経験にならないね。フェニックスが様々な人と行動する事が大切なんだよ。まずは、一緒に住んでいるベティーナやエラと買い物に行って美味しい食べ物を教えてもらわないとね」
「そうですよね。何度も行動を共にする事で仲良くもなれますし、皆も私に慣れてくれますね。下に行きましょう」
「じゃあ、下りようか!」
「ベティーナ、ヴィーネとフェニックスといるんだけど入ってもいいかな?」
「はい。子供たちも大きくなってそれぞれの家に住み始めましたから大丈夫ですよ」
「それでは、失礼しますね」
癒しの空間は来年までお預けだね。
二月で成体になるのは早過ぎるよ!
「ベティーナはヴィーネの念話聞いたでしょ?せっかくだからエラも誘ってフェニックスに美味しい食べ物を教えてあげてよ。フェニックスはお店をよく知らないから一緒に買い物に行ってくれないかな?そういえば、フェニックスはお風呂に入った?」
「お風呂とは何でしょうか?初めて聞きましたよ」
「ベティーナとエラは一緒に買い物した後に一緒にお風呂に入ってあげて。知らないと思うからさ。この国の事を色々とフェニックスに教えてあげてよ」
「私で良ければいつでもお付き合いさせていただきます。お風呂は温かいお水にゆっくり浸かれる場所ですよ。とても気持ちがいいですから、買い物の後に一緒に入りましょう」
一緒にお風呂に入るのはいいね!
ベティーナが遠慮するかと思ったけど問題なさそうだよ。
念話。
「エラ、今からベティーナの家に来て欲しい。そして、フェニックスと一緒に買い物してあげて。美味しい食べ物や国の施設などを教えてあげて欲しい。いいかな?」
「はい。今すぐ向かいます」
「お待たせしました!」
近くに住んでいるから早いね。
カーリンみたい。
「全く待ってないよ。3人で一緒に買い物を楽しんで、国の施設の説明をして、お風呂に一緒に入ってあげて。フェニックスはお風呂を知らないからさ。勿体ないよ」
「ベティーナさん、エラさん、お願いします」
「勿論です。では、早速行きましょう。美味しい食べ物は難しいですね。1日で全部は食べられませんから、学校が休日の日には買い物に行ってお風呂に入りましょう。お風呂はいつでも入っていいですよ。シャーロット様が用意して下さったものですからね。とても気持ちがいいので、鬼ごっこが終わった後にも入りたくなるかもしれませんよ?」
「お風呂は入りたくなりますね。毎日入るのが当たり前になってしまいました。フェニックス様も毎日入りたくなると思いますよ?では、行きましょうか!」
「3人で楽しんできてね。私と母さんは帰るよ。またねー。転移魔法」
ベティーナもエラも乗り気だね!
何か感じるものがあったのかもしれないね。
仲良くしてくれるのは嬉しいね!
種族を越えて皆が仲良くするのが一番だよ。
「完璧だね!一緒に買い物を楽しんでからお風呂に入れば仲良くなれるし、ベティーナとエラもフェニックスに気軽に接する事ができるようになる。少しずつでもいいからフェニックスの居場所を作ってあげないとね。精霊たちは楽しく過ごしているみたいだけど、フェニックスだけがどうしても浮いてしまうから良かったよ」
「そうだね。どうしてもフェニックスには一歩引いてしまうところがあるから、それが改善されていけばいいよね。妖精たちに慣れてもらって、そこから様々な種族と交流してくれるようになれば最高だよ。鬼ごっこをしていれば自然と子供たちと打ち解けるようにはなると思うけど、指揮官と部下みたいな関係になってしまうからね。今は完全にドリュアスが指揮官だもん。それだけだとつまらないよ。世界一幸せな国なのだから皆を幸せにしてあげたいよね」
「ヴィーネの言う通りだよ。世界一幸せな国だからね。フェニックスも幸せになって欲しいよ。さて、私たちは寝ようか」
「そうだね。それが一番だね」
布団で一緒に眠る。
ヴィーネに抱き付かれるとても幸せな時間だよ!
フェニックスの記憶には不幸な思い出しかなかった。
この国に来たからには楽しい思い出で埋め尽くしたいね。
ここは楽しい星だと思って欲しい。
精霊女王は幸せな夢を見続けてくれればいいよ。
フェニックスに居場所ができるといいですね。




