選別を終えて
多種族国家シェリルの住民選別は終わったよ。
子供の記憶を消して親と一緒に送るのは、気が進まないけど仕方ないよ。
親と離れるのが一番辛いと思っているから、納得はしているんだ。
私はお母さんが大好きだから。
討伐隊に努力して欲しかった。
国防隊の隊員は少し努力しているみたい。
結界の入り口から密偵の侵入は一度も無いから。
それだけでいい訳では無いけど大切な第一歩だよね。
人のできる事は人がして欲しい。
マリアンネが私たち区長の責任だと言っていたんだ。
人を増やす事を優先してしまったと。
確かにそういう面もあると思う。
知っている人でいなくなった人がいないから。
マリアンネも言っていたけど、今回の事は考え過ぎないようにしよう。
では、約束を1つずつ実行しよう。
社から孤児院に転移魔法で移動する。
中央区は噴水が中心にあり、北に孤児院、治療院、教育場所が西から東に向かって並んでいる。
噴水の南側は商店街、色々なお店が並んでいる。
それよりも、教育場所はいつの間にか学校に呼び名が変わっていたよ。
治療院も病院に変わっていたよ。
まあ、別にいいけどね。
名前を付けるセンスが無いみたいで少しだけ気になるよ。
少しだけね…。
病院の大きさは変えずに、孤児院と学校を限界まで広げよう。
これも人が出来る事だけど、私の考えと一致するから疑問に思わないよ。
私がやれば時間の節約になるからね。
「孤児院の皆、外に出て。大きくするからねー」
「まだ大きくするんですか?」
クリスタだけが驚いているね。
子供達はわくわくしながら見ているよ。
カーリンを筆頭に、3人は当然です、みたいな顔をしている。
「西の壁際まで大きくしちゃうよ。広過ぎて落ち着かないくらいにね」
「物凄いですね。今回はどうやって大きくするんですか?」
「そのまま、建物を横に伸ばすイメージだよ」
「全く意味が分かりませんよ?」
「まあ、見ててよ。横に伸びろー!」
孤児院と学校は私が設計して作った建物なんだ。
完成予定図もしっかり頭にあるから大丈夫だと思いたい。
よし、よーし!
完璧だ、完璧だよ。
「うわー、何で建物が伸びるんだろう?世の中って不思議ですね」
驚いているのクリスタだけだよ?
3人は当然ですよ、って顔してるもん。
「はい。直して欲しい所があれば教えて欲しいから確認してみて。後から分かったら、その時言ってくれればいいからね」
中に勢いよく入った子供達の叫び声が聞こえて来る。
かなり興奮しているね。
カーリンがすぐに出て来た。
「シャーロット様。完璧です。子供が倍に増えたら、2階建てにして欲しいです」
「分かったよ。そうなったら対応するね」
流石、天使カーリン。
孤児を更に救助する事に躊躇いがないよね。
素敵過ぎるよ。
「次は学校を伸ばすよ。クリスタとビアンカは確認の為に付いて来て」
「「分かりました」」
クリスタは学校で魔法の授業を教えている。
ビアンカは私の事を教えているんだよ。
私の事って何?
学校は街が発展する基礎の場所だと思っているよ。
しっかりと伸ばそう。
言っている事がおかしいのは分かってるんだけど、できちゃうからね。
学校は妖精の小麦畑とある程度の間隔を空けておきたい。
今日は学校を休みにしてもらっているから子供たちはいないよ。
今の教室の内部を確認しておこう。
長机と長椅子が等間隔で並んでいるね。
西側に教壇と黒板があるけど、伸ばした場合、席が後ろの人は黒板の文字が見えなくなるね。
2つの教室に分けるか、北側に黒板を置くかどうしよう。
「クリスタとビアンカに質問。教室を2部屋にするか、教壇と黒板を北側にするかどちらがいいと思う?3部屋にして教員室を作っていいけどね。どうしたい?」
「では、未来を考えて2階建てにして、教員室を1階の西側に作り、教室は2部屋で。2階は色々と使えるように1部屋でお願いします」
流石クリスタ。
全くの遠慮がないね。
ついに私の力に納得したのかな?
「ビアンカは何かある?」
「クリスタの要求が凄すぎて、今は思い付きません。何か困った時にお願いに行きます」
「分かったよ。では、そのようにするね。とりあえず、横と縦に伸びろー!」
学校も頭の中に完成予定図をしっかり作ったから大丈夫だと思いたい。
完璧だ、完璧だよ。
自分でも怖いよ。
思った通りにできちゃうよ。
少し複雑で不安だったのに、机と椅子と教壇に黒板までイメージ通りだよ。
ちゃんと、東側の端に2階に上がる階段もある。
吸血鬼って何でもありなのかな?
実際は、魔力を使っているから、細かく説明を求められたら、雑に答えるつもりはあるけど、皆がこういう人だね、って感じで見てるから気にしないよ。
「よーし。自分が怖いね。クリスタ、確認してきて」
「分かりました」
学校の外にいるのに、クリスタの声が聞こえてくる。
「マジですか。常識が壊れたー。私って魔法使いなのかな?あーー!」
最後に叫んだよ。
駄目だよクリスタ。
助手を任せるつもりでいるのだから。
時空魔法で光の魔石を社から取り出して、1階の教員室に1つ、各教室に2つずつ、2階の1部屋に2つ均等に天井に設置しよう。
眠る場所じゃないからこのままでいいよね?
妖精やハイエルフから文句を言われたら壁を設置しよう。
実にいい仕事をしたよ。
この後の授業が楽しみだね。
孤児院や教室を伸ばしている方法ですが、全ての属性を持ち、膨大な魔力をイメージ通り使う事が出来るシャーロットだから可能です。
吸血鬼(魔人)は魔法を意識する事なく使用可能です。
魔法陣の知識も必要ありません、そういう生物です。




