表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第4章 神国シャーロット

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

279/425

閑話 チャド 完敗

「燃えているように見えるけどよ、触っても熱くねーのか?」

「うん。温度は調節できるからね。どうして?」


流石にサンショウウオは歩くのが遅いからな。

失礼かもしれねーが大丈夫だろう。


「急ぎたいからよ、失礼するぜー!」

「うわっ!誰かに触られたのが初めてで驚いたよ」


サラマンダーを両手で持って全力で走る。

どう考えても走るしかねーだろ?


俺の心は限界だぜ!


シャーロットの嬢ちゃんは異常だな…。

分かっていたつもりだったが甘かったようだ。


火の精霊様とフェニックスを一緒に連れて来ちまった。

フェニックスは俺ですら存在を疑っていたんだぜ?


フェニックスは生え変わった羽をくれるって言うし。

嬢ちゃんはお小遣いだけあげてって言うし。


俺にどうしろってんだよ…。

頭おかしくなるだろーが!


素材採取の依頼で何を頼もうか悩んでいたんだぞ。

かなり本気で悩んでいたんだぜ?


一瞬で全部ふっとんだぜ!

結局は何も必要ねーんだよな。


依頼しなくても素材が集まってくるからよ。

しかも、この国でしか絶対に入手できない素材だ。


洞窟に着いたぜ…。

今から全員を黙らせてやるよ!


「おーい!全員出てこーい!大切な話がある。聞き漏らす奴は一生後悔するからな。知らねーぞ!」


後悔するなんて話じゃねーな…。

俺だったらどうすんだ?


余りの後悔で狂い死にそうだぜ!


そのくらいの事を平気でやってのけたんだ。

子供を守る国だと宣言していた気がするがな…。


子供を助けに行ったついでに連れて来たのかもしれねーな。

余計におかしいだろ!


「おい!ちんたら歩いている奴はこの話に関わらせねーぞ!土地神様舐めてんのか?」

「気合が入っているね。聞いていて面白いよ!」


俺が火の精霊様を両手で持っているなんて誰も思ってねーみたいだな。

まあ、普通は分かる訳ねーよ。


そんな事があり得る訳が無いと思っているからな。

常識に縛られてやがるぜ…。


人の事は言えないがな。


1ヵ国に2人の精霊か…。

そもそも精霊が国にいる事がおかしーからな。


この国は何人の精霊が集まるんだ?

精霊の国になりそうで笑えてくるじゃねーかよ。


「うるせーな、何だよ!お前は手に何を持ってるんだ?珍しい素材か?」

「珍しい赤いサンショウウオだね。燃えているみたいに見えるけど手で持てるんだ。不思議だね」

「なんだい!土地神様を舐めてないから素材採取の依頼を考えていたんじゃないか」


どいつもこいつも分かってねーな。

それが不要なんだよ!


「おめーら、聞いて驚け!俺が両手で持っているこの人は火の精霊様のサラマンダーだ。理解したか?シャーロットの嬢ちゃんは火の精霊様を連れて来たんだよ。今日から国民だ!しかも、俺たちの暇つぶしに付き合ってくれるんだぞ?お小遣いをあげるだけでいいんだ。鍛冶師はたまんねーよな?火の温度は完璧に調節してもらえるぞ!」

「火の精霊のサラマンダーだよ。よろしくね」


止まりやがった…。

予想通り全員が止まったな。


最高に笑えるぜ!


止まる気持ちは分かるがまだ終わってねーからな。

これ以上の話をしたらどうなるんだ?


流石に心臓までは止まらねーよな?


「土地神様の異常さが理解できたか?素材採取の依頼だと?そんなもんは必要ねーんだよ。素材なんて勝手に持って来てくれるからな。賽銭箱にお金ぶち込んどけ!」

「本当かい?火の精霊様を連れて来てしまったんだ。流石神だね。何でもありだよ。しかも、火の調節までしてくれるのですか?」

「学校がどういう場所か聞いていないけど、それ以外の時間なら火遊びくらい付き合うよ」


忘れるところだったぜ!

学校の説明を頼まれていたな。


「学校はシャーロットの嬢ちゃんが考えた魔力の扱い方や魔石や魔法について学べるんだよ。まあ、異常な場所だぜ。この国の子供は人間でも古代種(エンシェント)ドラゴンより強いからな。学校は13時から始まるんだ。子供は全員無料で通えるから絶対に通うべきだぜ!」

「そんな事になっちゃうの?人間の子供が古代種(エンシェント)ドラゴンより強いって、世界の常識が壊れているね。それは是非学ばないと勿体ない。じゃあ、学校から帰ってきたら鍛冶でもなんでも付き合うよ」


サラマンダーに付き合ってもらえるとかとんでもねーよな。

この国は精霊様を独占だぜ?

2人もだぞ?


興奮で頭がおかしくなりそうだ。

何でそうなるんだよ!


「素晴らしいね。是非お願いしたいよ。目指すべき刀に足りないものが何か考えていたんだけど完璧な火加減だったかもしれないね」

「エルダードワーフで精霊様を独占するのか?おいおい、素材採取の依頼どころじゃねーよ。何をするのか考えるので必死だぜ」

「時間はたっぷりあるし僕はこの洞窟に住まわせてもらおうかな。ゆっくり考えてよ」


サラマンダーはここに住むらしいぞ…。

おいおい、俺たちで独占じゃねーかよ!


「お前の刀に足りないものは火加減だけだと思うか?お前はまだ土地神様を舐めてるぞ!今日国民になったのはサラマンダーとフェニックスだ。伝説のフェニックスを国民にしたんだぞ。意味分かんねーだろ?俺は存在するとさえ思ってなかったぞ。生え変わった羽をくれるんだと。素材採取の依頼でフェニックスの羽を依頼できる奴はいるのか?いねーだろ!シャーロットの嬢ちゃんは規格外なんだよ。フェニックスにもお小遣いをあげるだけでいいんだぜ!お小遣いっていくらだ?誰か俺に教えてくれよ!」


サラマンダーとフェニックスにいくら渡せばいいんだよ?

美味しい食べ物はあるが大金渡しても食い切れないしな。


毎日1万ギルでいいか?


「おいおい、フェニックスを国民にしただと?火の精霊様の前でとんでもない事を言うなよ。証拠はあるのか?不死鳥だぞ!伝説の不死鳥なんだぞ!この世界に存在するのかよ?」

「まあ、落ち着きなよ。フェニックスは本物だよ。だって、シャーロットたちはフェニックスを助けに来たんだから。僕は精霊女王の使命でフェニックスの観察を頼まれていたんだけど、今日シャーロットに殺されそうになったよ。怖いよねー。あの子は本気で殺す気だったもん。あと、シャーロットに名前付けてもらったんだ。サラマンダーと呼んでよ。気に入っているんだ!」


サラマンダーがとんでもない事を言ってるぞ!


名前付けたのシャーロットの嬢ちゃんかよ。

しかも、精霊殺すとか普通やるか?


絶対にやるぜ!


「お小遣い用に100万ギル残しておいて賽銭箱に全額入れてこようよ。フェニックスの羽だよ?いくらなの?古代種(エンシェント)ドラゴンの角より絶対に高いよ!値段付けられないよ。フェニックスの羽を刀に入れたらどうなるのかな?もう、我慢できないよ。羽は最初に僕が貰っていいよね?」

「流石に素材採取の依頼がどうでも良くなったね。フェニックスは存在したんだねー。それで、サラマンダーは何で殺されそうになったんだい?」


刀に羽って入れられるのか?

アーロンは入れそうだな…。


「フェニックスの観察だけしかしていなかったんだよ。フェニックスはずっと拷問されていたんだ。死んだら復活するけど記憶が消えるから、復活直後までの記憶を入れるのを精霊女王に使命として与えられていたんだよ。シャーロットはフェニックスの記憶を覗いて、誰かが記憶を入れていると把握して、しかも、記憶を入れているのが火の精霊だと考えて、火魔法(ファイア)の魔石を床に転がしたんだよ。来ないと大陸の全生物を殺すって言うんだよ。怖過ぎでしょ?僕は何も情報を与えていないのに全部当てられたんだから。移動手段まで当てられたんだよ?行くしかないでしょ?絶対に殺されるもん。多分シャーロットは大陸にいる精霊を全部把握しているね。異常だよ!」

「フェニックスを拷問する馬鹿がいるのか?クソ野郎だぜ。地獄に落とされただろうな」


「フェニックスは不死だからね。人間や獣人が肉を食べたら不死になれると考えて、死なないように肉を削いだり脚を切り落としたりとやりたい放題だったんだよ。その国の王はそれを大勢の子供たちを使って実験していたんだ。体の一部を切り落として、フェニックスの体の同じ部位を食べさせて回復するのかをね。生き返るのか試す為に殺された子もいるよ」


それはあれだな…。


地獄の拷問を受け続ける事になってそうだぜ。

死ぬまで狂う事も許されず、ただひたすら激痛を与え続ける。


馬鹿な王だぜ…。

この世界の禁忌に触れやがったな。


「サラマンダーは観察だけしていたから殺されそうになったのか。見てないで助けろって事だな。精霊女王の使命だから許したんだろうぜ。シャーロットの嬢ちゃんは意外と冷静なところがあるからよ」

「そうだね。そして、精霊女王をいつ殺そうか悩んでいたよ。不確定要素がなくなったら殺す可能性が高いね。あの子は化け物だよ。この世界に精霊の仕事なんて片手間だなんて言える人いる?言われちゃったよ。しかも、間違いなく片手間で実行するから敵対したら駄目だね」


精霊の仕事が片手間ね…。

間違いねーな!


お前たちは必要ないから殺すって事だもんな。

言われたら怖過ぎるぜ…。


嘘やはったりじゃねーからな。

サラマンダーから化け物って言われてるしよ…。


精霊女王は大丈夫か?

知らないうちにとんでもない相手を敵にしてるぞ!


しかも、最強の2人同時にだぜ?

絶体絶命だな。


まあ、別にいいか。

馬鹿の結末を考える必要はねーぜ。


「おい、フェニックスの羽は俺が一番だろ。何でお前なんだよ!俺が紹介されたんだぞ?疑ってたアホ共が一番な訳ねーだろうが」

「僕の刀は土地神様に奉納するんだよ。君は趣味でしょ?僕は神の為に刀を打ってるんだよ。当然一番は僕でしょ!サラマンダーにフェニックスが合わさったら夢が実現しそうだよ」

「賽銭箱にお金を入れるんだろ?俺が一番稼いでいるぞ。当然俺が優先になるだろ!どれだけ仕事していると思ってるんだよ。お前らは趣味ばかりで遊んでやがるけど俺は国に貢献しているからな」


「僕とフェニックスは国民になったのだから、ゆっくり決めなよ。フェニックスは生まれ変わったばかりだから羽の生え変わりも早いよ。順番さえ決めれば皆の手に渡るよ」

「これを食べてみておくれよ。サラマンダーの感想を聞かせておくれ。ドリュアスの大好物だよ!」

「ん?りんごだよね?ドリュアスはりんごが好きなんだ。じゃあ、いただきまーす」


おいおい…。

土地神りんご食べさせちゃったぜ。


まあ、これでお小遣いの金額が分かるかもな。


「何これ?りんごじゃないよね?美味し過ぎるよ。世界にはこんな果物があったんだ」

「違うんだよ。そのりんごはこの国にしかないのさ。シャーロットちゃんが植えたりんごの木だよ」


流石におかいしいよな…。

りんごの木を植えたらりんごじゃなくなってるからな。


ほんとどうなってんだよ!


「えー?シャーロットがりんごの木を植えたらこんな事になるの?魔力回復するんだよ?りんごだよ?おかしいよ。化け物じゃなくて規格外だね。精霊を超えているよ。とんでもないね。これはいくらなの?」

「200ギルだよ。あの子が植えたりんごの木は1年中りんごが実り続けるからね。いつでも食べられるよ。それに、りんごの木を世話しているのは妖精だから安心さ。毎日1000ギルあれば美味しい物は大概食べれるよ。お小遣いはいくらがいい?」


毎日1000ギルでいいのか?

それは安過ぎねーか?


「僕とフェニックスに毎日1000ギルちょうだい。それでいいよ。その代わりにお手伝いと抜け落ちた羽をあげるって事で交渉成立だね」

「決定だな!お金を賽銭箱にぶち込んでこいよ。毎日1000ギルでサラマンダーに手伝ってもらえてフェニックスの羽を貰えるんだぞ。素材採取の依頼出したらいくらなんだよ?値段付かねーよ」

「間違いないな。お金では買えない価値がある。不可能という言葉すらも浮かばない。想像もしていなかった現実が目の前にあるんだ。今持っているお金は賽銭箱に入れるべきだろ。すぐに稼げるんだからよ」

「そうさね。シャーロットちゃんに素材採取の依頼を出す必要なんてないんだね。手に入らないものを持って帰って来るんだから」


想像すらできない素材だからな…。

知識に無いもの持って来るからどうしよーもねーよ。


だから、何ができるのか想像もできねー。

全員が必死に欲しがる訳だぜ!


「僕に刀を打たせてよ!土地神様に奉納するんだよ?認めなよ。僕が一番だよ!」


アーロンが珍しく本気で譲らねーな。

フェニックスの羽はそれだけ魅力的な素材だ。


不可能だと思ってた次元を斬る刀を打っちまうかもしれねーぞ。

素材採取で何とかしようと思っていたら宝物くれたからな。


「しょうがねーな。今回はアーロンが一番でいいぜ。最高の刀を奉納しろよ!」

「そうだね。認めようじゃないか。趣味は後回しだね」


「刀なら僕も役に立てるね。最高の火加減にしてあげるよ。楽しみだね!」


冷静なエルダードワーフをここまで熱くさせるのはすげーぜ。

俺を誘いに来た時に用意できない素材はないって言っていたが、俺たちが知らない素材を用意されたら負けを認めるしかねーな。


土地神様はどこまで突き進むんだ?

この国に来てから常識を壊され続けているな。


今回は流石に完敗だな…。


最高だぜ!

最高です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ