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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第4章 神国シャーロット

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閑話 エスメラルダ 大馬鹿者

族長に任命した私の責任だろうね。


流石に二度目だ…。

先に信用できる情報が欲しい。


世界樹の葉の薬を飲み世界樹の元で暮らす事で日々若返っていくようだよ。

節々の痛みもかなり軽減されてきたし、歩くのも苦ではなくなってきた。


これ程の環境がこの世界に他にあるのか?

あの者は族長としての覚悟が余りにも足りないようだ。


自分がダークエルフの顔だという事を分かっていない。

本当に大馬鹿者だよ!


この国に来てから信用できるのは子供たちに代わった。

どんどん利発な子になっていく。


素晴らしい教育環境だよ。

守るべき子供たちに頼る日が来るとはね。


荒野に住んでいた頃には考えられなかった事だ。


情けない事だが今回は頼らせてもらったよ。

ダークエルフの未来が掛かっているからね。


さて、話を聞こうか…。


「休日に悪いね。皆の話を聞きたいのさ。頑張って情報を集めてくれたんだろう?ダークエルフで信用できるのはお前たちだ。とりあえず、活動報告書とは何か分かった子はいるかい?」

「はい。活動報告書とは戦争や犯罪者に対処した内容が記載されている資料です。主に対処されているのはシャーロット様、ヴィーネ様、マリアンネさん、クリスタ先生です。ここ最近の犯罪者に対処されているのはヴィーネ様、マリアンネさん、クリスタ先生です。国防軍の再テストからヴィーネ様の念話(テレパシー)があった日までに200人以上の犯罪者が入国していたようです」


それだけの犯罪者が入国しているにも関わらず、被害者がおらず犯罪者も目撃していない。

素晴らしい対処能力をお持ちだ。


「マリアンネさんは確か国防軍の隊長をしていなかったかい?」

「国防軍の再テストの時に辞めています。現在はお2人の補佐として働いています。新隊長になったのはアリスターさんです。冒険者組合本部の組合長をしていたようです」


国防軍を辞めてお2人の補佐になったんだね。

そして、犯罪者の対処をして下さっている。


国防軍の時より仕事が忙しくなっているじゃないか。

本当に必要の無い組織だったようだね。


「活動報告書は国防軍なら必ず読む必要があると思うのだが、何か知っている事はあるかい?」

「はい。国防軍の再テストの際に必ず目を通すようにとヴィーネ様から指示が出ています。ですが、国防軍と警備隊は誰も読みませんでした。それに呆れたヴィーネ様が国防軍と警備隊に向けて念話(テレパシー)をしました。内容ですが、活動報告書を読め、国防軍と警備隊が弱過ぎるから犯罪者に対処する為の指示が出せない、本気で鍛えるのは当然だし頭を使うのも当然、この国が平和だと思っているの、と言われたようです。それに慌てた国防軍と警備隊が国防管理所に駆け込んで活動報告書を読んだようです」


基本的に信用されていないようだ。


説教され再テストが必要だと思われた組織だから当然か。

再テストの時に活動報告書に必ず目を通せと釘を刺されてもいる。


それなのに誰も読まないのか…。

指示が無いから平和で読まなくていいと全員が考えたのか。


その時点で記憶を消されてもおかしくないね。


慌てた馬鹿共が活動報告書を読んで犯罪者の入国件数に驚いたのだろうね。


「国防管理所内でのやり取りを何か知っている子はいるかい?」

「はい。活動報告書を全員が読み終わった後、隊長のアリスターさんがアンゼルムさんとハーラルトさんとの3人で対応するから他の皆は強くなるようにと言ったようです。今回の問題は人間と獣人だけで対応する。人間と獣人の被害に遭った種族には人間と獣人を守って欲しくない。隊長の言葉に2人も同意見だったようです。その結果、シャーロット様から必要ない、弱過ぎるから殺されると言われたようです」


この国には人間と獣人の被害に遭った種族ばかりが住んでいる。

それに同情して人間と獣人は人間と獣人が守るという事なのか?


ヴィーネ様からの念話(テレパシー)で弱過ぎるから指示が出せない、本気で鍛えて頭も使えと言われたのに犯罪者に対処する事を前提としたのだろう。


3人で対処して殺されたら結局ヴィーネ様か誰かが対処する必要になる。

余計な事をして仕事を増やすなとシャーロット様は言ったのだろうね。


この3人は大馬鹿じゃないか。

弱過ぎるし頭も悪いようだ。


「ヴィーネ様が念話(テレパシー )で言っていた言葉は誰が言ったのか、どういった経緯だったのか分かるかい?」

「はい。シャーロット様が子供に追い付いたのは孤児院で働いている女性しかいないと言ったところ、同じ期間で追い付くとアリスターさんが言ったようです。ですが、その女性が追い付いた期間はアリスターさんが秘儀を覚えてから経過した時間より短かったのです。その結果、これ以上鍛える時間は無い。働いているから子供に追い付けない。孤児院の女性は鍛え方が違うと思うから教えて欲しいと言ったみたいです。シャーロット様が特別な事はなく努力量が違うと言った後にです」


シャーロット様が特別な事はなく努力量が違うとわざわざ言っている。

秘儀の生みの親の言葉を完全に疑っているじゃないか。


「これを聞いてお前たちはどう思ったの?」

「子供たちの努力を侮辱していると思いました。大した鍛え方もしていないのに働いている時間のせいで追い付けないと言われた訳ですから」


まあ、そう思うだろうね。

働いている時間が無ければ子供たちには追い付けると言っている。


しかし、子供たちは鍛え方を見て無理だと判断している。

侮辱されたと思うに決まっている。


「孤児院で働いている女性だけ子供に追い付いている事についてはどう思っているの?」

「孤児院の子供が秘儀や勉強にかける思いは凄いです。秘儀を鍛えるには覚悟が必要ですが、僕たちが見ても孤児院の子供の覚悟は異常だと感じます。その孤児院の子供たちが働いている女性たちの事を異常だと言うのですから桁違いな鍛錬をしているのは間違いありません。そもそも、孤児院で働いている女性のほとんどが教師を兼任しています。僕たちも見る機会がありますが、明らかに鍛える覚悟が違うと分かります」


荒野の過酷な環境で生きてきた子より、救出された子は酷い環境を経験しているんだね…。

今が恵まれているとよく理解しているから本気で秘儀を鍛え勉強を頑張る。

孤児院の子が異常だと感じるほど鍛えている孤児院で働いている女性たち。


秘儀は手や足が破裂する可能性があると聞いたね。

それを、お構いなしに鍛えていると言う事なのかね?


「秘儀は見れば鍛えている人の覚悟が違うと分かるものなのかい?」

「はい。秘儀は体を動かす事なく鍛えられます。ですが、僕たちは意識しなければ鍛えられません。孤児院で働いている女性は睡眠時間以外の全ての時間を使い秘儀を鍛えています。無意識で鍛えられるまで努力したのです。それは、覚悟や真剣さなど様々な要素が含まれていると思いますが桁違いの努力量です。教師を兼任している女性は授業しながら秘儀を鍛えていますので間違いなく無意識です。僕たちは話しながら秘儀を鍛えるのを目指している段階です」


秘儀という技術は動く必要なく鍛えられる。

しかし、話しながら鍛えるのは今の子供たちでも無理か…。

それを、孤児院で働いている女性は無意識で行う事ができる。


無意識で鍛えるね…。


体の中で何かを動かしているのだろう。

普通は意識しなければ動かせないが、努力すれば無意識で動かせるようになる。


魔力の可能性が高いね。

誰もが魔力を持っていて、魔力を動かす技術を秘儀と呼んでいる。


体の中で魔力を動かし続ける。


魔力が廻っているのを当然の状態にする。

どれだけ魔力を動かせば無意識に動かせるようになるんだ?


「やあ。最長老大正解!記憶を消された本人に状況を確認せず、子供たちに情報を集めさせるとは流石だね。体を動かさずに動かせるものは限られているからね。魔法を使う事ができるのなら答えにたどり着いちゃう人もいるよね。私が動かしてあげるよ」


シャーロット様が私の頭の上に手を置かれた。

体の中心から温かい液体が全身に広がるように感じた。


その液体が頭に集まった時に世界の景色が変わった!


小さな光の玉で満ちている…。

子供たちの体の中心にも大きい光の玉が見える。


これが魔力の見える世界なのね。

とても綺麗だね!


「分かっていると思うけど魔力の見える世界だよ。体の中で魔力を動かす技術を秘儀と呼んでいる。手や足に溜める事で身体能力が格段に上がるけど破裂する可能性がある。せっかくだし動いてみて」

「分かりました」


これ程なのか…。


自分の体が若返ったように感じる。

いや、若い時より速く動いているのかもしれない。


「魔力を戻すね。今度は手に魔力を集めて見て。最長老ならできるでしょ?違和感があったら止めて」

「分かりました」


魔法を放つ感じに手に魔力を動かす。

手から魔力を出すのではなく溜める。

どんどん魔力を送っていくとチクリと痛みが走った。


「はい、そこまで。それ以上溜めると破裂するからね。頭に集める時は魔力が見えるようになったら止めないと、頭が破裂するから絶対に駄目だよ。君にも怒ってないから大丈夫!秘密を洩らしたとは思ってないからね。最長老が賢かっただけだよ。じゃあ、引き続き頑張ってね。魔力について色々と知りたいのであれば社に来て。またねー。転移魔法(テレポート)


なるほど。

子供たちは全身でこれを行っているか。


シャーロット様に隠し事は不可能だね。

記憶を消されると覚悟したよ…。


頭に魔力を溜める。

魔力の見える世界になったところで先ほど話していた子に話し掛ける。


「シャーロット様は見逃して下さったけど秘密の情報を話す時には注意しなさい」

「はい。すみません」


「今の私は魔力が見えているから日頃の訓練の動きを見せなさい」

「分かりました」


これ程の速さで魔力を動かし続けているのか…。


手や足に溜める早さも違い過ぎる。

破裂を躊躇しているようには感じないね。


「クリスタ先生の魔力の動きはどうなの?」

「一瞬です。魔力の動かす速さが桁違いなので全身が光って点滅しているように見えました」


なるほどね。

動きも見えないなら魔力の動きも見えないのね。


「過去形なのは何故なの?」

「今のクリスタ先生は手から魔力を吸収して全身を魔力で満たしています」


手から魔力を吸収する?


自然界にある魔力と体の中にある魔力は一緒だという事ね。

そして、人の魔力量では全身を満たせないから自然界から吸収する。


全身を満たしているという事は、全身が破裂する可能性があるはず。

先程の痛みを全身に覚えさせないと、とてもじゃないけどできない。

それに、手から魔力を吸収するのはかなり難関な技術だろうね。


いや、違うね…。

痛みで止めるのは初歩の段階だ。

一瞬で魔力を動かしているのなら痛みを感じてからでは止められない。


手や足に溜められる魔力量を完璧に把握する必要があるね。

動かしている魔力量まで把握する必要があるじゃないか。


よく追い付くなどと言えたものだ…。

手や足に魔力を溜めるのを怖がるような小物が。


クリスタ先生は全てが桁違いではないか。


やはり体の中で魔力が廻っているのを当然の状態にしたんだね…。

無意識に魔力を動かす為には、動かし続けて体に覚えさせるしかない。


ただひたすらに努力し続けるしかない。

秘密や近道などがあるはずがない。


孤児院の女性は鍛え方が違うと思うから教えて欲しい。

この言葉は完全に努力を侮辱している。


「より話が分かるようになったよ。対応すると言った3人はどうなったか知っているかい?」

「はい。飛ばされたようです。飛ばされた先までは分かりませんが、子供たちの中では殺されなかったのが奇跡的だと考えています」


そうだね。

活動報告書を読まず、頭の悪い対応をしようとし、子供と孤児院で働く女性の努力を侮辱した。


「他の人たちは何故記憶を消されたのか分かる子はいるかい?」

「はい。ヴィーネ様が孤児院の女性の鍛え方を教えてあげるけど記憶を消すと言ったそうです。その時に鍛え方に秘密が隠されていると考えたようです。秘密があるのに記憶を消すのは酷いと考えた人もいたようです。実際には何もなく桁違いの努力が必要だっただけです。全員がその考えだった為に解散し記憶を消したと思われます」


体の中の魔力を動かすのに秘密がある訳が無い。

それに、シャーロット様が何もないと先に言っている。


大馬鹿者は二度も秘密があると考えたのか。

シャーロット様の言葉まで疑っている…。


族長としておくのはまずいね。

私でも不愉快だ!


「族長はどの程度の強さだった?」

「弱過ぎます。秘儀を覚えたばかりの最長老様と魔力を動かす速さは余り変わりません」


魔力を動かす程速くなるのだろう。

全く鍛えていない証拠だ。


「誰か族長に秘儀の訓練を頼まれたでしょ?」

「はい。頭と手に魔力を集めるところまでは私が見ました」


やはり頼んでいたか…。


何が愚直に努力するだ。

手が破裂する恐怖に怯えているではないか。


「それ以降は何もないの?」

「はい。これで再テストは合格できるから問題ないと言っていました」


優しいテストだったようだね。


族長としてだけでなく部族の1人としても問題がある。

直接話を聞くまで分からないが排除も視野に入れるべきだね。


「族長は常に頭に魔力を集めていた?」

「その姿を誰も見た事がありません」


やはり見ていないか。


本来なら常に見られるように努力するべきだ。

秘儀を知ったのなら絶対条件だろうに…。

相手の力量が分かるのだから。


「よく分かったよ。お前たち情報をありがとう。今日から私が族長になる。親にも伝えなさい。それと、夜の学校に通い全教科合格を目指せと伝えておきなさい。お菓子屋が再開したら皆にお小遣いをあげましょう。本当に助かったよ」

「「はい!」」


さてと、大馬鹿者と話すか…。


しかし、歩くのが本当に楽だね。

日常生活でも使えるのは素晴らしい技術だ。


しかし、魔力を無意識に動かすのは至難だね。

全身に延ばすだけでも意識しなければならない。


どれ程の努力が必要か想像できない。

自分で動かしてみると桁違いの努力量だとよく分かる。


「待たせたね。覚えている事を話してもらおうと思ったんだが1つ聞きたい。人間の女性が短期間に秘儀で子供たちを超えるのはおかしな事か?」

「な、何を言っているのですか?私が記憶を消された事と関係があるのですか?」


こいつは駄目だな…。

やはり短命種を差別している。


「あるだろうね。お前は秘儀に秘密があると再度考えたんだろ?何故考えたんだい?」

「私が記憶を消されたのは活動報告書を読まなかったからです。国防軍として最低限の仕事を忘れていました。それだけしか覚えていません」


私に嘘を吐くのか…。

お前は本当に終わっているよ。


「はぁ…。お前は本当に大馬鹿者だよ。活動報告書を読めとヴィーネ様に言われていたのは事実だ。それだけでも記憶を消される理由にはなる。だが、お前が記憶を消された理由は違うだろ?何故隠そうとする?アリスターの考えに同調した。その通りだと言いたかったのだろ?だが、口に出せなかった。違うのか?」

「何を言ったのか覚えておりません。同調しているのかもしれませんが記憶を消されているのです」


「そうか。じゃあ、同調していたとして処分する。お前は族長解任だ。代わりに私が族長になる。何も覚えていないのに生きているだけでもありがたいと思いな。お前をダークエルフから追放したい気持ちだがヴィーネ様の優しさに免じて見逃す。精一杯仕事に励むことだ。邪魔したね」

「お待ち下さい。記憶消去で許されているのです。族長を解任される必要までは無いと思います」


許されているだと…!

反省するつもりもないようだな。


「お前を族長に指名した私が馬鹿だった。この期に及んで私に嘘を吐いたんだ。お前の言葉は何も信用できない。記憶消去で許されただと?許された訳が無いだろ。見放されているんだよ。そんな事にも気付かないのか?私は後300年以上は生きられそうだ。子供たちが大人になるまでは族長を務められる。お前は必要ないよ。それじゃあね」

「待って下さい!何がいけないんですか?私が子供に追い付けないのに人間の女性が追い付ける。秘密があると思うではありませんか。それが罪ですか?」


黙っていればいいものを、自分で差別していると自白したか。

一度目の時から何も反省していない。

今回も反省するつもりがない。


処刑されそうだね。


「大罪だよ。それ以上は口を開くな。処刑されるよ?シャーロット様に隠し事はできないと知っているだろ?生きて罪を償うんだね。お前は二度も人間の女性を差別した。しかも、誰よりも努力している女性たちを侮辱したんだ。終わっているよ。嘘を吐き通す事もできないのか?嘆かわしい」

「何故努力していると分かるのですか?孤児院の女性だけが子供に追い付いている。不自然ではありませんか。疑問が湧いてもおかしくはないでしょう?」


処刑決定だよ。

私が会話を止めた時に殺されそうだね。


「私が秘儀を使えるから分かるんだ。納得したか?何も知らない婆だとでも思っていたのか?ここに来る前にお前の情報は調べた。それに、自分で秘儀を使ってみて秘密など無いと確信している。そもそも、生みの親のシャーロット様が何もないと言っているんだ。何故教えてもらっただけのお前が疑うんだ?酷い勘違いだ。もういいだろ?」

「何故秘儀を使えるのですか?国防軍のテストを受けてもいない。学校にも通っていない。おかしいではありませんか!」


仮にも同族だからな。

寿命を少しだけ延ばしてやるか。


「死ぬまで問答を続けるのか?記憶を消された大馬鹿者を調べていたら秘儀に気付いただけさ。それを、シャーロット様が認めて下さったのだ。納得したか?」

「私を調べて秘儀に気付いたと?では、私に教えて下さい。私は記憶を消された事に納得できないのです。秘儀を再度使えるようになれば納得できるかもしれません」


お風呂で体を綺麗にする度に化けの皮が剥がれていったか?

荒野の砂で汚れていた方がマシだったね。

身綺麗になる事で醜い心が剥き出しだよ。


「国防軍のプレートを首から下げて、エルダードワーフの剣を腰から下げて、それ程に気持ち良かったのか?ここまで増長していたとは…。厳しい環境で隠れていた自尊心が膨れ上がったようだ。私は社に行かせてもらうよ。お2人の判断に任せよう」

「同族を処刑するおつもりですか?厳しい環境で共に生きてきた同族を簡単に処刑するのですか?」


お2人に気付かれたら処刑される自覚はあったか。

社に行く必要は無いと思うがな。


「ああ、お前はダークエルフの恥だ。子供たちの未来の方が大切だよ。お前のせいで子供たちの未来が潰れる事だけは避けたいからね。族長としての判断だ。それじゃあね」

「お待ち下さい!」


流石に不愉快だ!

どこまで手間を掛かけさせる。


今の私なら軽く殺せるだろう…。


魔力を全体に延ばしていく。

どのくらいの威力か試していないのが心配だが仕方がない。


「そうかい。じゃあ、私がお前を殺す事にするよ。じゃあね」


【パァン】


シャーロット様。

拳を大馬鹿者の顔の直前で止められてしまった。


やはり成り行きを見守っていましたか。


大馬鹿者は恐怖で椅子から転げ落ちている。

余りにも間抜けだな…。


「服が血で汚れるから大変だよ。この人は処分だね。ヴィーネの為に殺すのは止めてあげるよ。ハイエルフと一緒に暮らしてね。隕石が落ちてくるかもしれないけどね。バイバイ。転移魔法(テレポート)


相手を破裂させてしまう威力が出てしまうのですか。

先程知ったばかりでそこまで身体能力が上がってしまう。


秘密にする訳ですね。


私の服が汚れるから拳を止めたのですか。

本当に面白いお方だ。


「新族長も大変だね。じゃあ、頑張ってね。またねー。転移魔法(テレポート)


差別してきた男は差別される事になるのですか。

なかなか皮肉が効いていますね。


隕石を落とすのは誰でしょうか。

誰でもいいですね!


さて、綺麗に忘れよう。


孤児院の女性たちとお話したいね。

社に行って魔力の事を色々と知りたいね。

魔力を無意識に動かせるように鍛えようか。


楽しい毎日になりそうじゃないか!

この歳になって何かに挑戦できるとは思いませんでしたよ。

誰か隕石を落とすのでしょうか?

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