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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第1章 シェリル

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閑話 マリアンネ 住民の選別

奇跡的にシャーロット様が挽回する機会をくれたんだ。

これを無駄にする訳にはいかない。


「さて、区長会議を始めよう。人々の様子はどうだ?国防隊は増えたか?」

「正直言って変わらない。やる気のある奴に声を掛けたんだ。増えてはいないよ」

「この状況でも動かねーのか。この国はいつの間に、こんなに害虫が増えたんだ?」


「街の住民が急激に増えて、他国から目を付け始められた頃からだ。住民にする選別が甘過ぎたんだ」

「つまり、俺たちにも責任があるって訳か。まあ、そうだわな。区長に責任がない訳がねーよな」


本当に急激に人が増えた。

2000人程の街だったのに4000人程まで膨れ上がった。


明らかにシャーロット様目当て、もっと意識するべきだった。

討伐隊も増えた人間から選ばれているのだから。


「シャーロット様が人に対して最後の機会をくれたと思っている。土地神様に畑の害虫駆除をお願いするつもりだ。私たちが入れた害虫だが選別が難しい。今が挽回する絶好の機会だ」

「そうだな。お願いするなら害虫駆除だ。本来なら自分たちでしたいが、シャーロット様なら確実だ」

「どれだけの事が出来るか確認は必須だよ。呼んだ方がいいと思うよ」


「ダミアンの言う通りだな。今から呼ぼう」


社に合図を送るボタンを押す。

これも研究の成果で、かなりの人を救っていると思う。


「何かな?新しい問題が発生した?」


本当に良かった。

まだ、笑顔は失われていないか…。


「お願いしたい事があります。国の中にいる害虫駆除です。殺しても、私の祖国だった場所に記憶を消して飛ばしても問題ありません。どれだけの事ができるのか教えて頂けませんか?」

「そうだね。感情による選別は可能だよ。記憶の消去は、忘れさせたいのが単語なら簡単。細かい記憶の消去もできるけど、その場合は個人対応になるよ」


「それなら楽に選別できます。私の予想ではシャーロット様がお休みに入った時、いつも通り仕事をする人、やる気を出す人、縋る人、諦めた人、怒る人に感情が分かれると思います。そして、縋る人、諦めた人、怒る人の記憶を消して、私の祖国に送って下さい。消去する言葉はシェリル、シャーロット、吸血鬼、魔力操作、お祭りです。5つの言葉を消せば何も出来ないと思いますが、どうでしょうか?」


「要するに、この国にいた事を忘れさせたい訳だね。5つの言葉を忘れてしまえば、この国に繋がらないという事か。それくらいなら簡単だよ。いつやるの?」

「せっかくの休み期間を使ってすみませんが、今から休みの期間中で把握して頂きたいのです。その後に休んで頂いて構いません」


「今まで、寝ながらやってた事を住民にやるだけだから、たいした労力はかからないけど、国は大丈夫なの?」

「大丈夫です。仕事をする気のある人は対象に選ばれないでしょう。それだけ、シャーロット様が国を守る事が、当たり前だと思っている人が多いという事です。それに、結界を張ったままでも国を維持する事は可能だと思います。結界に1つだけ入り口を作って頂いて、その場所を強化するくらいなら、今の国防隊でもできます。シャーロット様が守る必要はありません。結界の維持がきついという事でしたら、別の案も考えたいと思いますがどうでしょう」


普通の様に話していますがどれだけ負担をかけていたのでしょう。

寝ながらも常に探知範囲の人の感情を把握して対応する。

この国はシャーロット様に仕事をさせ過ぎている。


そして、未だに気付いていない住民が多過ぎる。


「常に守り続けるより余程楽だよ。それなら、他種族の勧誘にも力を入れられるよ」

「それで、1つお願いがあります。孤児院と学校を拡張して頂けませんか?光の魔石を使えば夜も勉強する時間に使えます。大人も勉強するべきだと思います。それに、シャーロット様が気ままに孤児を救出して頂いても問題ない環境ができていくと思います」


「やる事は分かったよ。それで、記憶消去の対象者に子供のいる親がいた場合どうするの?親と子供の記憶を消して一緒に飛ばすか、子供から親の記憶を消す。どちらがいいかな?」


シャーロット様にとっては、どちらも取りたくなり選択でしょう。

街長として私が決めるべきですね。


「親と離れるのは可哀想ですので、子供も記憶を消して親と一緒に飛ばして下さい」

「そっか。分かったよ」


「住民が増える前に上水道と下水道を完全に整備しておきたいのですが大丈夫ですか?地中の主となる配管を通してしまいたいのです」

「それも問題ないよ。もともと私がやった工事を行うだけだからね。ただ、上水道も下水道も魔石を使った方が便利になると思うよ。ダミアンは私から魔石について話を聞いたら設計書を直したくなると思うけど、どうする?」


「それほどですか!是非とも研究して設計したいですね。では、住民の誘致はその後にお願いします」


便利になる事だからいいが今話すべき内容ではないだろう。

研究馬鹿過ぎるぞ。


「分かったよ。人が減った後にするのはそれくらいかな?」

「十分です。一番困るのは魔力操作の秘密が他国に漏れる事と、シャーロット様の疲労です。それさえ問題ないなら後は大丈夫です」


「毎日人を殺し続ける日々が終わるならそれでいいよ。この世界の人に破られない程度の結界なら、労力もしれているからね。最初からしなかったのは、住民の人達に現実を知って欲しかったから。結界があるから安全だなんて思われたら、それこそ、自分たちで国を守る事を考えない。私が守る事を当たり前だと考えちゃうから。人の事は人でやって欲しいっていうのを、最初から伝えていたと思っていたんだけどね。どこで変わっちゃったんだろう。人が増えたから他国に目を付けられた。だから討伐隊を作った。普通の話だと思うし、魔力操作を使えば負ける訳が無い。討伐隊は誰も使えなかったという事が良く分からないんだよね。優しく保護し過ぎたのかもしれない。魔獣の討伐で死人が出るくらいが良かったのかもしれない。万全にしたつもりで中身がからっぽだったよ」

「討伐隊はそもそも駄目だったと割り切りましょう。深く考えても苦しいだけです。次の事を考えましょう。シャーロット様が気兼ねなく孤児を救える国を作りましょう」


シャーロット様の考え方は一貫しています。

変わったのは国の住民です。


討伐隊の事に関しては、これ以上悩んで欲しく無いです。

急激に増えた人達で簡単に組織してしまった。

完全に私たちの失態です。


「そうだね。次は選別が終わった後、魔石の授業で会おうね。じゃあねー」


シャーロット様は笑顔で去っていった。


「最高じゃないか。まさか、シャーロット様が魔石の授業をしてくれるなんて、魔力操作より心躍るよ。待ち遠しくて仕方が無いね」

「次の会議は選別の後だ。皆、頼んだ」


私の言葉で会議を終えた。


そしてシャーロット様の休日に間に行われた選別。

想像以上の結果だった。


4000人程いた住民の中で2000人程消えた。


やはり、急激に増えた住民が害虫だった。

さらに、守られる事に慣れ過ぎた住民も消えた。


住民にする為の選別が甘過ぎた。

増やす事に必死になってしまった。

これは私たち区長の責任だ。


子供たちの勉強は進んでいる。

住民の人数が国の良し悪しじゃない。


これからさらに発展していけばいい。


「ディアナ、残れたな。何をするつもりになったんだ?」

「秘書の仕事を全力で頑張るだけです。守ってもらえると考えるのを止めただけです」


こんな簡単な事が出来ない人間を住民にしてしまったんだ。

例え守ってもらえなくても、これ以上の国は存在しないと思うんだがな。

区長たちの仕事の失敗を、土地神様に助けてもらい挽回しました。

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