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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第4章 神国シャーロット

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ジェラルヴィーネ 期待と不満

「ヴィーネ様、お願いがあります。出て来て下さい」


えー、また私なの?

前回は真面目な話だったし私が出ていかないと駄目だよね…。


「クリスタに人気だね。国長大忙しだよ!」

「まあ、孤児院を大忙しにしてしまったからね。話は聞いてくるよ」


どんな話なのだろうか…。

お願いだから問題はしばらく止めて欲しいよ。


社の扉を開けてクリスタを確認する。

いつもより遠い位置に立っているね。

何かあるのかな?


近くまで歩み寄り話し掛ける。


「お願いする相手を間違え過ぎだよ。私はクリスタ専用じゃないんだけど?」

「今回も国長に仕事の依頼をしに来ました。休日の犯罪者の処理は私がしますので餌の情報を教えて下さい。孤児院の食費を浮かせたいんですよ」


今回も真面目な私の仕事だったね。

母さんの特別報酬で犯罪者を分かっているはずなのに、隠す為だろうね。


それに、800人分の予算といってもやはり限りがあるから。

人口も減ったしお金を作るべきだろうか?


飛ばした人のお金は回収して孤児院の予算に回している。

でも、限界はあるよね。


それよりも、クリスタがお肉の補充に自ら動くとは余りにも予想外だよ。

二度とやりたがらないと思っていたのだけど…。


何か理由がありそうだね。


お肉を補充するだけでもかなりのお金を浮かす事ができるから少し様子を見よう。


「分かったよ。浮かせた食費で何をするのかな?」


クリスタが1枚の紙を静かに広げて見せてきた。

流石に用心深いね。


母さんに隠して何をしたいのかな?

なになに…。


『孤児院で土地神りんご飴を作る予定です。その為の予算が足りませんからね。確実ではないのでシャーロット様には秘密にして下さい』


「お金を浮かせる事よりも同僚の訓練をしたいのです。是非手伝って下さい。あんな無様な真似を孤児院で働く仲間にはして欲しくないですからね」

「なるほどね…。その気持ちは凄くよく分かるよ。クリスタの休日には念話(テレパシー)をするからね」


「はい。よろしくお願いします。では、失礼します」

「またねー」


流石クリスタとカーリンだね!

母さんがフーゴの作った土地神リンゴ飴を食べないと分かっている。


しかし、孤児院で子供たちの分も合わせて用意すれば母さんも食べる事ができる。

確実ではないと書いてあったけど確実に用意すると分かっているよ。


孤児院とはそういう組織なのだから!


「また真面目な話だったね。しかも、訓練をさせたいなんてね。クリスタも仲間思いになったね」

「あのような無様な真似だけはさせたくないんだよ。気持ちは痛いほど分かるからね。しかも、お肉も補充できて一石二鳥だよ。最近のクリスタは貢献してくれるね」


素晴らしい貢献だよ!

私がご褒美を用意したいくらいだからね。


「今以上のご褒美は無理だよ。今度は空が飛びたいとか言いそうだけどね。飛行を魔石で制御するのは流石に無理だから、私が空の旅に連れて行ってあげないと駄目かな?」

「空に浮かせた事があるの?ああ、もしかして訓練場を綺麗にした時かな?」


訓練場で結界と水魔法と闇魔法を使っているからね。

念力(サイコキネシス)で浮かせて綺麗になるのを待っていたのかもしれない。


「下には院長の死体と腕と脚が散らばっていて血の海なのに、クリスタは喜んでいるしレナーテは感激していたよ。異常者の感性は壊れているよね…」

「秘儀を極めていくと異常者になるの?流石母さんが生み出した技だね。新しくレナーテまで異常者の仲間入りをしているじゃない」


レナーテはそんな子だったかな?

どんな状況でも母さんがいれば感激してそうではあるけどさ。


「酷くない?でも、否定できない状況だから悲しいよね…。あれ?クリスタが税理官室を訪ねているね。そんなにお金が厳しいのかな?」


土地神リンゴ飴を確実に作る為にマリアンネに協力要請をしに行ったね。

屋台と寸分の違いもない土地神リンゴ飴を作るつもりだよ。


流石だね!


「お肉の調達で予算がどれだけ浮かせられるか様子を見るよ。それでも厳しそうだったらお金を作るから。子供たちに不自由な思いはさせたくないからね」

「そうだね。その時はお金を作ろう。子供を全力で守る国だからね」


私が勢いで宣言してしまったからね。

孤児院の子供たちに貧しい暮らしは絶対にさせない。


全力だよ!


「ところで今晩だったよね?ダニエルとフーゴが商人組合所に呼び出されているの?」

「そうだよ。間違いなくエルヴィーラが引継ぎを迫るだろうね。私の言葉を信じているのが2人と妖精の子だけとはね。怪しい人も混乱を避ける為に残しているけど、選別した甲斐があったよ」


本当にそうだよね。

母さんのあの言葉を信じるような馬鹿は必要ない。


妖精の子は仕方がないからね。

ユッタと違って言葉を素直に受け取ってしまうから。


確か精神年齢は成長しなかったはずだよ。

それならしょうがないよね。


怪しい人は周りの様子を見ながら動いているね。

例えば検問兵の事だろうね。


人が少ないから仕方なく残している。

本当に仕事しないよね…。


国防軍も警備隊も自発的に考えて動いた事はないね。

活動報告書も一度しか読んでいない。


私が念話(テレパシー)したら対処して欲しいという言葉だけを覚えているのかな?


どんな組織だったか忘れているのだろうか?

こんなに犯罪者が国内に入っているのに何も感じていないのだから。


いちいち細かく言う必要があるのかな?

組織した意味が無いよ…。


念話(テレパシー)される程の鍛錬もしていないと考えて欲しい。

とても信用できないのだから…。


「責任を持って、除名にした私が様子を見に行くよ。今回は絶対に見逃さないから…。少しの間であれば子供たちの笑顔が減る事になっても仕方がないと考えているよ。立候補している卒業生はいるから時間があれば再会できるからね。母さんが技術指導してよ。全てのお菓子の作り方とお酒の造り方を知っているのだから」

「そうだね。理想は2人が引継ぎをする事だけど駄目だったら私がするよ」


「時間までは暇だしゴロゴロしてようよ。恐らく嫌な話を聞かないといけないから…」

「そうだね。それまではゴロゴロしてよう」


この国で母さんに隠し事は不可能だからね。

孤児院が土地神リンゴ飴を作ろうと本格的に動き出したら分かってしまう。


私からあえて言う必要は無いね。

孤児院の母さんに対する気持ちなのだから。


今日は実にいい気分だよ!

これで心置き無く2人を制裁できる。


「ヴィーネ、時間だよ!」

「うーん、やっぱり面倒だよ…。じゃあ、行ってくるね…。転移魔法(テレポート)


母さんに手を振ってから商人組合所に移動した。

私の幸せな時間を削ってまで話しを聞く価値は無いよね?


いつも通り完全に気配を消してと…。

闇魔法(インビジブル)


うーん…。

これはもう駄目だね。


ダニエルもフーゴも自己中心的だよ。

人の話を聞く気が無いし母さんの言葉を都合よく利用している。


本当に不愉快な2人だね。


特にフーゴが酷い…。

全部自己満足だったんだね。


子供の事なんて欠片も考えていないよ…。

笑顔にする、守ると言っている自分が好きなだけだったようだね。


さて、終わった2人だし真実を教えてあげよう。

どんな判断をするのだろうか?


ダニエルは引継ぎをするみたい。

死にたくないからだけどね。


予想通りだよ。

誰かの為ではなく自分の為だけに行動する。


フーゴは論外だったね。

この期に及んでも私の話を聞く気が無い。


私がいるのに母さんを呼ばせようとするとはね。

本気で不愉快だよ!


さて、ゴミの死体を餌にするべきかな?

やはりそれは駄目だよね…。


こいつの顔を見たら皆の気分が悪くなるだけだよ。


ああ、母さんの言葉を思い出した。

転移魔法(テレポート)時空魔法(メテオ)


島は少し欠けたけど大丈夫だね!

今回はゴミを綺麗に焼却しただけだから。


転移魔法(テレポート)

社に帰ってきた。


「ただいまー。ダニエルは引継ぎを納得したみたいだけど終わったら他国に飛びたいみたい。フーゴは無理だったよ。全く譲る気が無かったから」

「おかえりー。あそこまで優しく対応しても駄目だったなら仕方がないよ。お祭りの屋台に土地神リンゴ飴が無いんだね。私は食べるつもりが無かったけど、子供たちも食べられないのは残念だよ」


やはり食べないつもりだったんだね。


でも、大丈夫だから。

必ず食べる事ができるからね!


「子供たちもフーゴが作った土地神リンゴ飴は絶対に食べないよ。お祭りは母さんが食べないと誰も食べないからね。マリアンネが母さんの分だけ作ってくれるかもしれないよ?」

「私だけに用意されても食べないのは知ってるでしょ?マリアンネだってそれは知ってるよ。今は皆忙しいからね。次回のお祭りに期待しよう」


フーゴが死んだのはすぐに伝わるから屋台に切り替える可能性もあるね。

孤児院の全力はこの国で一番力があるし信用できる。


「そうだね。次回は間違いなく屋台があると思うから国長の仕事を頑張るよ」

「移住希望者対策とか色々と課題はあるからね。全力国長の本領発揮だよ!」


やはり善意には善意で返してくれると気持ちがいいね。

母さんは誰よりも孤児院を大切にしてきたのだから気持ちが伝わっているんだよ。


最後に嫌な仕事をしておこうかな…。


念話(テレパシー)

「国防軍と警備隊は活動報告書を読んでと言ったよね?君たちは弱過ぎるし念話(テレパシー)する程の信用がないと理解していないのかな?本気で鍛えるのは当然だし頭を使うのも当然だよ。この国が平和だと思っているの?わざわざこんな事を言わせないでよ。またねー」


「国長大変だね。活動報告書を読んでいないのは間違いないからね。今は鍛えればいいと思っているけど、それも甘過ぎる。全てが中途半端だから信用できないよね。国防管理所が役に立ってないのが残念だよ」

「本当に残念だよ。来年までに何かできなければ解散だね。今は人がいないからさ…」

機嫌がいいヴィーネちゃんは隕石の被害を最小限にしました。

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