ジェラルヴィーネ 応援
母さんは私の事になると絶対に手加減しない。
確実にカーリンより過激な粛清をする。
本当にもう…。
母さんの感情を把握するのは難しい。
それなのに、母さんは私の感情を細かく把握している。
反則だよね…。
母親だから娘の感情把握は簡単にできるのかな?
なるべく感情を表に出さないようにしていても、母さんには何時も筒抜けだよ。
確かに国長になってから我慢や不愉快な事ばかりが続いている。
でも、母さんが隣にいるから本当に大丈夫だよ。
どんなに嫌な事があっても母さんが隣にいてくれるから大丈夫。
母さんは私の隣で見守っていてくれればいいからね!
念話。
「マリアンネ、製紙工場は私が仕上げたけど予定は変更なし。余裕ができたら新人に仕事を教えてあげて。なるべくディアナと一緒に補佐室に戻ってね」
「税理官室で余計な事をしてしまい申し訳ありません。以後気を付けます」
マリアンネは私たちの補佐になってから少し過激になったかな?
すぐに殺そうとしないから孤児院の大人たちよりは優しいけど。
流石に比べる相手が間違っている。
孤児院と比べたら全人類が大人しいよね…。
母さんが集めた異常者たちだから。
「余計な事をされたとは思っていないよ。助言を素直に受け入れなかった職人たちが悪いだけ。今回は税理官室の判断で職人を殺してもよかった。母さんが激怒したら粛清の規模が分からないからね。マリアンネの判断で殺すべきだと思ったら殺せばいいから。よろしくね」
「はい。かしこまりました」
母さんの前で私を侮辱されると凄く嫌なんだ。
怒った母さんを見たくない…。
職人を殺さなかったのも私が殺さなかったからに違いない。
私が生きる機会を与えているから母さんも生きる機会を与えた。
私の計画を尊重しようとしているのが分かるよ…。
母さんはこの国の人間と獣人の大人をほとんど見放している。
私は真面目に仕事をしてくれればいいと思っているけど、なかなか難しいね。
奴隷を使わずに国を大きくしようと思うと教育は必須。
今後は移住希望者を教育する学校も用意した方が良さそうだね。
先に国内に入れてしまうと問題ばかりを起こす。
国外に学校を用意して卒業したら国民になれるようにしよう。
それも全ては国内を綺麗にした後だね!
頑張っている人もいるのだから、なるべく国内に残れるようにしてあげないと。
転移魔法。
エルダードワーフの店に移動した。
「やあ、チャド。エルダードワーフは新人の技術指導もしてくれたりするのかな?木工職人と鉄鋼職人が国から消えちゃったから何とかしないといけないんだ」
「新人の指導ねー。暇な奴に任せればある程度までは仕事ができるようになると思うが、それくらいでいいのか?」
エルダードワーフに技術指導してもらえるなんて恵まれ過ぎだね。
それが理解できる人なら絶対に希望するよ。
世界には弟子入りしたい職人が大勢いるはずだからね。
「人間の仕事ができるくらいでいいよ。指導する人数に応じて税金からお金を出すようにするからさ。1人一月10万ギルでどうかな?」
「おいおい、大仕事じゃねーか!それなら教えたがる奴も多いだろうぜ」
念話。
「やあ、国長のヴィーネだよ。全国民に話し掛けているよ。木工職人と鉄鋼職人が国からいなくなってしまったんだ。そこで、エルダードワーフと交渉して技術指導をしてもらえるようにしたよ。やる気があるのならエルダードワーフのお店のチャドに希望を伝えてね。人間の仕事ができるようになって満足するのか、それ以上を目指すのかは本人やる気次第だよ。臆する事なく伝えてね。人間の仕事ができるようになるまでの生活保障は税金でするから税理官室に申請して。またねー」
今の私ができるのはこれくらいかな。
仕事を探している人はなるべく頑張って欲しいからね。
「チャド、技術指導を希望した人の名前だけ記録しておいて。税金は月末に支払うよ。お願いね」
「おう、任せておけ!やる気があって気に入られたら人間を超える仕事ができるようになるまで指導が続くかもしれないが、その時は仕事をさせながら指導するぜ。税金を使い過ぎるのも悪いからよ」
気に入られるかどうかは本人のやる気次第だと思う。
エルダードワーフは本物の職人だから。
「そうだね。人間の仕事ができるようになるまでは税金で生活保障するけど、それ以降の判断はエルダードワーフに任せるよ。世界一の職人に指導してもらえるなんてこの国だけだからね。学校の卒業生も興味を持つと思うよ」
「世界一の職人ね。間違いねーな!この国でしか不可能な事だぜ。恵まれている事を理解できる奴なら希望を伝えに来るだろうぜ。後は任せておきな!」
転移魔法。
チャドに手を振ってから社に帰ってきた。
念話。
「マリアンネ、今の話は聞こえていたと思うけど、エルダードワーフの指導料は税金で支払うようにして。生活保障を物資にするかお金にするかの判断は任せるよ。1人一月10万ギルでお願いしたよ。世界一の職人の指導料にしては安過ぎるけど、チャドが納得してくれたから大丈夫だよ。もし、税金が足りないのなら母さんのお金を使うから社まで来てね。任せたよ」
「お任せ下さい。後は税理官室で考えます」
また、母さんが静かに私の話を聞いていたよ。
念話を傍受しているからね。
母さんに後ろから抱き着かれて頭を撫でられちゃった。
もう、本当に恥ずかしいから…。
「ヴィーネは本当に優しい子だね…。少しでも優しさを理解できる人が増えてくれたらいいね」
「うん…。今日はたくさん仕事をしたし寝ようよ」
私がお願いすると母さんがすぐに布団を敷いてくれるんだ。
だから、私は母さんに甘える事にしている。
母さんの娘の特権だからね。
絶対に譲らないよ!
「じゃあ、おやすみー」
「うん、おやすみー」
母さんに抱き付くと全てがどうでもよくなってしまう。
この時間がずっと続いて欲しい…。
本当に幸せな時間。
母さんの隣はずっと私の居場所だからね。
頑張る人々を応援中です。




