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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第4章 神国シャーロット

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閑話 アリスター 冒険者

活動報告書の内容は想像以上だった。

ここに記載されている犯罪のほとんどに冒険者が関わっているのか…。


自由と冒険を愛する冒険者だって?

思わず乾いた笑いが出た。


冒険者だった過去。

組合長として犯罪の依頼を断り続けてきた過去。

犯罪者として活動する冒険者たち。


誰に向けた笑いだったのかは分からなかった。

全てに向けていたのかもしれない。


冒険者ではなく金に支配された奴隷だよ…。

ヴィーネ様が全ての組合を消した理由が心の底からよく分かる。


一刻も早く消さなければいけない組織だった。

善良な人でも悪に染めてしまう。


これ程まで酷い犯罪者を育て続ける組織だったのか…。

健全な組合にするなんて考えるべきではなかった。


犯罪の依頼を断り続けた日々は本当に過酷だった…。


命を狙われる事や家族が人質にされる事を警戒して、自宅の場所を変えて秘書にも秘密にした。

犯罪ギルドに追跡される事を考えて自宅に帰る日を極力減らした。


自宅までは遠回りをして長い一本道を通るようにした。

挟撃される事も考えたが、家族に被害が出るよりも1人で死ぬ方が良かった。


一月の間に一度も帰らなければ死んだと思うようにと、家族にだけ伝えておいた。


冒険者に襲撃された回数は覚えていない。

組合長になってから殺した人間や獣人は多過ぎて数えていない。


AランクからCランクの襲撃が多かった。

Sランクが襲撃に参加しないので結果的に助かっただけだ。


犯罪ギルドの王として自分は働きたくなかったのだろう。


マリアンネの言っていた通りだ。

俺は被害者に人間や獣人を守れと指示を出せるのか…?


絶対に無理だ!


被害の内容が余りにも酷過ぎる。

種族の絶滅を危惧する程の内容だから…。


シャーロット様とヴィーネ様がいなければ共存は不可能だろう。


社にいるお2人への絶対的な信頼がこの国にはある。

その為、どのような被害に遭った種族でも安心して暮らす事ができる。


俺の家族に笑ってくれた人魚の子は奇跡なんてものじゃないな。

そんな軽い言葉で片付けていい問題ではない!


被害者は国防を意識している。

それなのに、人間は何を考えているんだ!


シャーロット様を崇めていると自信を持って言う勘違いしている国民。

言葉でそれを治すのは不可能だろう。


シャーロット様の言葉でも治らないのだから、俺の言葉で治る訳が無い。


テストに参加しない人間に不信や不満を感じる。

守る必要は無いと考えてしまう。


夜の学校に通うだけで人間と獣人の被害者ばかりだと知る事はできる。

崇めている自分に酔っているだけで何も知るつもりが無いのだろう。


いつでも消せるのに、それをしないのは理由があるからに違いない。

今の俺は何も考えずに強くなる事が最善だろう。


子供たちと一緒に受ける学校の授業は素晴らしい内容だった。

今までの常識がどんどん覆されていく。


少し魔力を動かすだけでSランクの動きを超えてしまう。

秘儀は簡単に強くなり過ぎる。


勘違いしてしまう理由も良く分かる。


ただし、更に強くなる為には過酷な鍛錬が必要だ。

予想通りだな…。


子供たちが耐えている恐怖は相当なものだ。

手や足が内部から破裂する痛みは刃物で切断されるよりきついに違いない。


刺された事は何度もあるのに魔力を溜める行為に恐怖を感じる。

子供たちの笑顔の裏には何があるのだろうか…?


レナーテ先生から授業後の鬼ごっこに参加する事を勧められたので、子供たちの魔力の動きを見る事に集中した。

やはりとんでもない事を笑顔でしている…。


講習で言われた通り子供たちも遥か遠い。

国防軍のテストに子供たちが参加していたのなら全員が軽く合格しただろう。


被害者に遭った子供たちの覚悟は普通ではない。

強くならなければ全てを奪われると経験で知っているのだから。


それに釣られて他の子供たちも努力する。


この子たちを戦争の為に鍛えていると考えていた大人を飛ばす理由が良く分かる。

明るい未来を必死に掴み取ろうとしている子供を戦争に利用する…。


よくそんな考えができたものだ!


孤児院の子供だったら関係ないとでも言いたいのか?

この国の主軸は孤児院だと移住したばかりの俺でもすぐに分かったぞ。


活動報告書を読んだ事で、どうしても雑念が混じってしまう。

俺が強くなって他種族を守れるようになるしかないだろう。


そう考えて鍛錬しなければ…。


先の事を考える必要は無い。

強くなれば解決できる問題ばかりなのだから。


そして、税理官の仕事はとても大切だ。


病院を潰した事で動かせるお金がかなり増えた。

現実を知った今なら違った考えでお金の配分を考えられる。


職場に行くと卒業生の2人が嬉しそうにプレートを首から下げていた。

学校の卒業生にプレートが贈られているみたいだ。


シャーロット様から贈られた事に大きな意味がある。


国防軍と警備隊もプレートを首から下げている。

国防軍は更に剣まで贈られる。


こちらもシャーロット様から贈られた物だ。


努力している人をシャーロット様が称賛しているように見えるだろう。

ヴィーネ様は勘違いしている大人を精神的に追い詰めようとしているのかもしれない。


もしそうだとしたら、非常に面白い!

税理官として努力している人にお金が渡るように配分しよう。


「ディアナさん、最適な配分を考えましょう!」

「毎日やる気に満ち溢れていますね。今日は特に元気ですが面白い事でも見付けましたか?」


「はい。努力している人と努力していない人で経済格差ができたら面白いと思っています。難しいですが遣り甲斐はありますよ」

「それは面白そうですね。是非やりましょう!勘違いした大人を追い詰められますよ」

「言葉で理解できないのなら見せ付けるしかありません。難しいですが病院のような失敗をする訳にはいきませんからね。頑張りましょう!」


「本当にあなた達は努力家ですね。では、その方針で配分を考えましょう」


国を乱すかもしれない案なのに反対意見が出ない。

乱れても問題が無いからに違いないだろう。


乱す人は追い出せばいい!


鍛錬をもっとしなければならない。

最高に遣り甲斐のある仕事だ。


ヴィーネ様に移住を求めて正解だった!

頑張るお父さんは強いんです!

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