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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第4章 神国シャーロット

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閑話 フーゴ 笑顔

マリアンネさんの講習は厳しい内容だった。

自分の体験を元にしているみたいなので、マリアンネさんも勘違いをしたという事だ。


強くなるという事は、本来簡単な事ではない。

シャーロット様が命懸けで生み出した秘儀を教えてもらう事により簡単に強くなってしまう。


だから、勘違いをしてしまう。

簡単に強くなれるなら、簡単に更に強くなれるだろうと。


講習を受けたのだから勘違いをする訳にはいかない。

絶対に鍛えるのを止めない。


強くなれるだけ強くなる!


人間の被害に遭った子が多いんだ。

悪党が人間だった場合、確実に過去を思い出してしまう。


そんな思いはさせたくない。

子供たちに人殺しなんてして欲しくない。


その為には俺が子供たちより早く悪党をぶちのめす必要がある。

難しい事は講習で散々言われたから分かっている。


それでも、強くなりたいんだ!


秘儀の授業は初等科の生徒たちと一緒に受けた。

こんな世界があったのか…。


魔力の見える世界は夢の中のようだった。

これが子供たちの見ている世界。


魔力を動かす技術が秘儀と言われている。

俺は本当に何も知らなかったようだ。


鍛える為には手や足が破裂する恐怖に耐えなければいけない。

子供たちは笑顔でお菓子を買いに来てくれていたけど、秘儀の鍛錬をしていたに違いない。


毎日いつでもどこでも魔力を動かす癖をつける必要があると習った。

あの笑顔の裏に恐怖があった事に気付かなかった。


俺も秘儀の鍛錬をしながら笑顔で接客する。

気付かなかった俺が、秘儀の鍛錬で恐怖している姿を見せる訳にはいかない。


授業が終わった後、子供たちは鬼ごっこをするみたいだ。

レナーテ先生は秘儀を鍛える為には鬼ごっこをするのが一番だと言っていた。


しかし、俺にはやる事がある。

秘儀を鍛える事も大切だが、子供たちの笑顔を見る事も大切なんだ。


シャーロット様に言われた言葉を裏切れない。

店に戻り秘儀の鍛錬をしながら子供たちがお菓子を買いに来るのを待つ。


妖精の皆が買いに来てくれたみたいだ。

「あれ?フーゴさん、秘儀を習ったんですか?」

「すぐに分かってしまうのですね。子供たちの笑顔を守る力が欲しかったですから」


妖精女王のユッタさんと会話をする。

他の妖精の子はお菓子選びに夢中になっている。


店を開けて正解だった!

俺は皆の笑顔を奪うつもりは無い。


「私たちが守りますよ。フーゴさんはお菓子で笑顔にしてくれているじゃないですか。厳しい秘儀の鍛錬までするのは辛くないですか?」

「その気持ちはとてもうれしいです。ですが、人間が妖精に守られてはいけないですよ。人間が妖精を守る必要があります。俺は皆に人殺しをして欲しくないんです。妖精も子供たちも人間に対してトラウマを持っているではありませんか。手加減できるとは思えません。人間の相手は俺ができるようになるまで鍛えます。妖精や子供たちは笑顔でお菓子を食べてくれれば俺は満足です。その笑顔を守る為なら鍛える事も苦ではありません。辛くもありません。何もせずに守られる方が辛いですよ」


ユッタさんは優しく笑ってくれています。

本来なら人間に笑顔を向けてくれるはずがありません。


シャーロット様とヴィーネ様が作って下さった国のお陰です。


「私たちや子供たちより強くなるのはとても困難です。それでも、その道を行くのですね。しかも、お菓子作りを中断するつもりも無いとは…。フーゴさんは意外と欲張りさんですね。確かに人間に襲われたら手加減できない子が多いと思います。私たちは血を見ないようにフーゴさんに任せましょう。よろしくお願いしますね」

「任せて下さい!相手を殺さずに気絶させるくらいの強さにはすぐになれると言われました。手加減を覚える方が大変みたいです。俺が対応して血塗れになっては意味がありません。おかしな話ですが、最初に手加減を覚えたいと思っています。ここで人殺しをするつもりはありませんからね。俺は意外と欲張りだったみたいです。シャーロット様にも十分だと言われていましたが、満足できませんでしたから」


活動報告書に目を通すと人間や獣人の醜悪さが伝わってくる。

それに、この国の中にも馬鹿な連中は多くいる。

俺の目の届く範囲でふざけた行為は絶対にさせない。


「手加減を覚えたいのですか…。孤児院の子供たちに聞いてみて下さい。物凄く手加減が上手いですからね。フーゴさんになら教えてくれますよ。全ては魔力をもっと動かせるようになってからですけどね」

「分かりました。今度お店に来たら聞いてみます。魔力を動かすのは毎日の積み重ねですね。お菓子を作るのと一緒です。積み重ねてきた経験でお菓子を作っているのですから。どれだけ困難な道でも、道が続いているのです。歩くのを途中で止めるつもりはありません。焦らず毎日コツコツと歩きます」


魔力を全身に延ばす練習をする。

頭や手や足に溜める練習をする。

いつでもどこでも、今も練習をする。


意識しないと動かせないが、お店の手を抜くつもりは無い。

いつか意識せずに動かせる日が来るはずだ。

そこでようやく悪党をぶちのめせる。


焦らない!

焦って動かしても意味は無い。


お菓子作りと一緒だ。

正確な分量の材料と正確な工程を経て出来上がる。


「もー、決まらないから全部下さい!」

「ちょっと、あなた達は毎回全部買っているではありませんか。お菓子を作るフーゴさんがどれだけ大変か分かっているのですか?」

「ユッタさん、大丈夫ですよ。全部買っていただけるなんて嬉しいではありませんか。作ったお菓子を買ってもらえない方が寂しいですよ。新作も必ず開発してみせますからね。欲張りな男ですから」


「それではお言葉に甘えて全部買いましょう。あっ!支払いも済ませずにいつも先に帰っていくなんて、女王を財布だと思っていますよね?説教しても効果が無いんです…」

「早く食べたいと思っていただけているという事で俺は嬉しいですよ。女王を置き去りにするのはどうかと思いますけどね…」


いつもユッタさん1人ぼっちですからね。

お金を他の子に渡すと使い切るから駄目だそうです。


難しい問題ですね…。


「ここまで蔑ろにされている女王は世界中で私だけですよ。早く帰らないとお菓子が無くなってしまうのでお金をお支払いします。では、失礼しますね!」

「毎度ありがとうございます!」


ユッタさんは俺にお金を手渡すと物凄い早さで飛んで行きました。

このやり取りを失いたくない。


悪党に邪魔をされたくない!


「やあ、フーゴ。秘儀の授業を受けている最中でもお店を開けるとはね。子供たちの笑顔は短期間であろうと守り抜くんだね」

「シャーロット様、すみません。本来は秘儀の鍛錬に集中するべきでしょうが俺は欲張りだったようです。店が閉まっていて残念な顔をする子供を想像すると開けたくなってしまいました。難しいのは分かっていますが、両立してみせます。成長が遅くなったとしても、子供たちの笑顔を守る為に強くなるのに、笑顔を見れないのでは意味がありませんから」


「秘儀は未来を切り開く為の技術であり、守りたいものを守る為の技術でもあるからね。守りたいものが子供たちの笑顔なら間違っていないと思うよ。子供たちに、俺の見える範囲にいる犯罪者は全て対処すると宣言して実行できるのであれば完璧だよ…。頑張ってね…。またねー。転移魔法(テレポート)


シャーロット様の言う通りですね。


子供たちに宣言しなければ意味が無い。

実行できなければ信頼を損なうだろう。


結局は案山子のままだから。


鍛錬しなければならない。

お菓子も作らなければならない。


両立してみせる!


俺は子供たちの笑顔を守る為に必ず強くなる。

そして、子供たちに悪党は俺がぶちのめすと必ず宣言する!

シャルの言葉で気付いてくれればいいのですが…。

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