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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第4章 神国シャーロット

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閑話 マリアンネ 補佐

立派な国防管理所が出来上がった。

私の意見と税理官室にいたディアナたちの意見を聞いて建てて下さいました。


本音を言えば補佐室が広過ぎますよ…。

ほとんど外で仕事をしているのに、この広さは勿体ないです。


奥には別室があり黒板と長机と長椅子まで用意されている。

まるで学校の教室のようですね…。


講習などにも使うからという事で納得はしましたが、次回からは必要ないと思います。

国防軍や警備隊が勘違いしている新人を許す訳がない。


今日は大切な講習日。

しかし、お風呂やお昼寝場所まで用意されているのを見られる訳にはいかない。


扉付きの個室になっているので大丈夫だとは思うが…。


ヴィーネ様は何故私の意見だけ聞いて下さらないのですか?

両方とも要りませんと強く訴えましたよ!


「お昼寝できなくてごめんね」と言っていましたが、そんな事を気にしなくてもいいですよ。

どこまでお優しいのですか!


御自分が世界一忙しいのに私の事を気にする必要は無いですよ。

お昼寝の前にお風呂に入らないといけないなんて贅沢過ぎます。


血で汚れる可能性を配慮していただいたのだと思いますが、手加減を覚えたので大丈夫です。

同じ失敗はしないので、あの日の出来事は忘れて下さい。


絶対に忘れてくれないでしょうが、忘れて下さい。

本当にお願いします!


社にお願いに行きたいくらいですよ…。


緊急用ボタンを掃除してもらう為に押したなんて世間に広まったら赤っ恥です。

幸いにも気付いている人はいないので大丈夫ですが…。


今日はその話もしないといけないだろうな。

上手く誤魔化して説明するしかない。


そろそろ約束の13時。

合格者たちが補佐室に入ってきた。


ああ、やっぱり驚いているな。

広過ぎると言いたいけど我慢している気がする。


ヴィーネ様が建てたと知っているから何も言えない。

建物に対する文句はヴィーネ様に文句を言っていると思われる可能性がある。


11人全員集まったな。

「奥の部屋で好きな場所に座ってくれ」


私を見るな!


分かっているよ。

そして、全員が同じような顔をするな。


奥の部屋まであるのがおかしいと思っているのだろ?

私もおかしいと思っているけど我慢しているのだから、お前たちも我慢しろ!


全員が部屋に入って椅子に座った後、私は黒板の前に立つ。

黒板は使わないけどな。


まるで教師になった気分だ…。


真面目な話をしないといけないのに恥ずかしくなってきた。

アリスターの顔が笑っているように見えるから怒りで相殺しよう。


・・・・。


講習は問題なく終わった。


私の経験を話したから大丈夫だろう。

皆が緊張した面持ちになったので勘違いをする事は無いと思う。


アリスターが隊長として話を聞きたいと言うので、他の皆には解散してもらい2人での会話になった。


「隊長として何を聞きたいんだ?私は何も仕事をしていないぞ」

「ただの建前さ。何故国防軍の試験を受けなかったんだ?補佐の仕事と両立する事はできるだろう?それに、お前が受からないとは思えないぞ」


秘儀を子供たちと鍛えている今なら確実に合格できたな。

それだけ、私は恵まれているのだろう。


「試験に合格する事はできただろう。講習ではこの国を国民が守るべきだと言ったが本音は違う。シャーロット様に支配されるべきだと街長の頃から思っているんだ。そして、この仕事は私の欠点を把握しているシャーロット様が特別に用意して下さったものだ。だから、お2人の指示で動く今は凄く快適なんだよ。両立する気にもならない。この国はヴィーネ様のものだ。誰が何と言おうがそれが事実。支配しないし命令しないだけだと私は思っているよ」

「それは間違いないだろうな。別段支配者として君臨しても問題が無いと思う。何故君臨しないと思う?」


お2人の指示で動くだけで世界が変わったように感じる。

それだけ強くシャーロット様に君臨して欲しいと望んでいたのだろう。


君臨する事に興味が無いのだと思う。

お2人が人を従えて得るものが何も無いのだから。


足枷にしかならないな…。


「地位に興味が無いだけだと思う。それに、この国にはシャーロット様とヴィーネ様が守りたくない人が多過ぎる。私や過去の街長や区長たちが人間や獣人を増やし過ぎた結果だ。選別をしたが未だ多く残ってしまっている。シャーロット様ならいつでも飛ばせるし殺せるが我慢しているのだと思う。その人々に向けて言っている言葉だと考えれば納得できてしまう。この国で利益を享受し続けたいのであれば自分たちで国を守れと」

「そういう事か。シャーロット様は国を守っても別にいいと考えているが、飛ばしたい人が国内に多過ぎる。今回の再テストを見ても人間の参加者が少な過ぎる。はっきり言えば異常だ。では、何故飛ばさないと思う?」


ヴィーネ様が国長にならなければ既に飛ばされているか殺されているだろう。

そして、ヴィーネ様が国長として好き勝手にすると宣言したので任せる事にしたのだと思う。


「ヴィーネ様の為だと思う。色々な経験をして欲しいと考えている気がする。そして、ヴィーネ様は優し過ぎるんだ。国民なら一度は機会を与えて下さるのがその証拠だよ。シャーロット様だけなら国防軍も警備隊も組織しない。既に見放しているのだから。ヴィーネ様は飛ばしたい人間と獣人の大人に機会を与えようとしているのかもしれない」

「シャーロット様は母親としてヴィーネ様を見守っているという事か。では、国防軍の隊長として一番しなければいけないのは、人間と獣人の大人の目を覚まさせる事か?」


シャーロット様の思いを無視し続けている大人の目を覚まさせるのは不可能に近い。

本人たちは崇めているつもりなのが最高に質が悪いからな。


「それが理想だろうが困難を極める。本人たちはシャーロット様を崇めていると言い、土地神様の好きなようにすればいいとまで言っているんだ。自分の言葉に酔っているだけだろう。全員の腹に剣を突き刺してもいいなら目も覚めるだろうが、言葉では厳しいぞ」

「崇めていると言いながらシャーロット様の思いを無視し続ける国民か…。ヴィーネ様が優しいから国民でいられるが、国長を辞めた瞬間に国から消えるという事だな。少しずつ意識させるしかないだろう。ヴィーネ様の改革もそれが目的かもしれないな」


難しい事は分からないがヴィーネ様なら考えているかもしれない。

楽しみながら人の行動を観察している気がする。


「それはあるかもしれない。勘違いしている国民の肩身を狭くすれば暴動が起きるかもしれないが、力の無い奴らの暴動は簡単に潰せる。実力行使する切っ掛け作りをしているのかもしれないな」

「なるほど。秘儀を鍛える事と活動報告書を熟読してこの国を理解するのが最善みたいだな」


活動報告書か…。


あれを読んでお前はどう思う?

私には被害者たちに人間を守れと指示を出せない。


守る必要は無いと考えている。


「ああ、活動報告書を読めば現実が見える。その時にお前はこの国の人間を守りたいと思うのかは疑問だな。被害者が国防軍と警備隊に所属しているが、被害者に人間を守れと指示を出せるとは思えない。人間が大勢所属していない事に不満を感じるはずだ。だから、何も考えずに鍛える事をお勧めするよ。ヴィーネ様もそれを望んでいるのだから」

「そういう意味まで含まれているのか…。とりあえず、この国の現実を読ませてもらう。隊長として今は何もできないんだ。いざという時の為に力を付けるのを優先するよ」


結局それが一番だと思う。

弱い事で得する事は何も無いからな。


「それでいいと思う。国防軍は弱過ぎるからな。せめて1人くらいは子供たちを超えて欲しいよ」

「お前の講習を聞いた後だと途轍もなく困難だと感じるよ。まあ、全力で鍛えるさ」


そこで2人の話し合いは終わった。


私にはヴィーネ様の考えは分かりません。

しかし、どんな結末を迎えようともお2人の補佐でいたいと思います。

お昼寝させたいヴィーネ vs 仕事をしたいマリアンネ

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