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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第4章 神国シャーロット

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シャーロット 不純物

流石ヴィーネだね!

病院を潰して研究所を建てるのは賛成だよ。


そして、焜炉を潰して小さい病院を建てるんだね。

孤児院の近くに建てればレナーテがすぐに対応してくれるから安心だよ。


小さい病院の地下にも研究室を用意すればより良くなる。

回復魔法を向上させようと思うと、病原菌や人体の知識が必要になるから。


病院で回復魔法の勉強をしつつ患者が来るなら治療を行う。

そして、地下では病原菌や人体の研究を進めるという構想じゃないかな?


病原菌には危険なものがあるから、研究室はしっかりとしたものが必要になる。

まあ、ヴィーネは分かっているから私が心配する事もないね。


病院は本当に無駄な施設になっていた。

ヴィーネが国長になってから1人の患者も訪れていない。


ドリュアスが来てからは完全に必要の無い施設になった。

世界樹の力で病に罹りにくくなっている。


世界樹の薬で治らない病に罹った場合、病院では治せない。

つまり、存在価値が無い。


いつまでドリュアスがお店を続けるのか分からないけど、何も問題ない。

回復魔法の使い手が育っているのだから。


その事を病院関係者が知らなかったのなら怠惰だね。

知っていても何もしなかったのなら怠慢だよ。


ヴィーネが国長を辞めると言ってくれても良かった。

その時は選別を行うだけ。


私はヴィーネみたいに優しくない。

病院関係者をほとんど飛ばす予定だった。


仕事を探す猶予を与えるつもりもない。

十分にあった時間を無駄に使っていたのだから。


この国の大勢の大人の勘違いは酷い。

ヴィーネを怖がっている大人は私が飛ばすか殺すつもりでいた。


初めて会って、ヴィーネの力を知って恐怖してしまうのはしょうがないと思う。

しかし、この国で生活していてヴィーネに守られているのに恐れるのは失礼にも程がある。


移住してきた獣人の里の大人の言葉を聞いたヴィーネは殺意に満ちていた。

私は止めるつもりがなかったし、殺したい相手がいるなら殺せばいいと思っていた。


それなのに、ヴィーネは子供を助ける事を優先した。

本当に優しい子なんだよ。


初めての我儘が子供を助けて欲しいとはね…。

子供を助けたくなる私の性格も受け継いじゃったかな?


嬉しいけど、もっといっぱい我儘を言って欲しいよね。

ずっと我慢し続けていたんだから。


私とゴロゴロする事を目指して改革すると思う。

好き勝手な国長になっても甘えん坊なんだから…。


私が守ってきた500年なんて無価値なのに。

ヴィーネと過ごす1秒の方が大切だよ。


さて、土地神様として仕事をしますか。


「私がいるのによく来れるよね。自殺志願者かな?」

「私の事も勘違いしている人が多いんだよ。助けた人より殺した人が多い事を知らないし、知ろうともしない。国を守り続ける事が簡単な訳がないのにね」


「シャーロット様、お願いがあります。聞いて下さい!」


病院の院長の声だ。

名前は…、思い出す必要も無いね。


「ヴィーネは中にいてね。国長の仕事じゃないから」

「母さんの娘として処理してきてもいいよ?」


「私の可愛い娘は処理なんてしません!布団を温めておいてね」

「はーい…。待ってるね」


私の前では可愛い娘でいてくれればいいから。

国長をする必要なんて無いよ。


私は社の扉を開けて外に出ると、すぐに扉を閉めた。

布団で寝ているヴィーネを見られたくないから。


「どうしたのかな?国防軍の再テストまで時間はまだ残っているよ?こんなに大勢を引き連れて、何か言いたい事があるのかな?」


病院関係者が100人程来たみたいだね。

全員が白衣を着ているのは何か意味があるのかな?


「勿論でございます。病院を潰すのを反対していただきたいのです。シャーロット様が建てた大切な施設です。それに、国民に必要な施設でございます。これから先の時代、回復魔法だけでは困難な場面が訪れます。その為にも病院は残すべきなのです」

「それなら、今の時代は必要ないよね?それに、困難な場面って何かな?具体的な話をして」


予想通りのお願いだね。

そもそも、私は国の方針に口を出さないと理解していないのかな?


「勿論です。国防軍が他国と戦争をした場合、体内に金属片などが残ってしまう場合があります。回復魔法は傷を回復させる手段としては優れていますが、体内に残った不純物を取り除く事はできません。病院ではそういった物を取り除く事が可能なのです」

「取り除けないなら、切り開いて取り出すか、切り落としてから回復すればいいだけ。もし切り開けない場所ならば、そもそも今の病院では対処できないよ。あなたの体に不純物を入れるから病院で取り除いてみなさい。綺麗に取り除けたら反対してあげる。戦争を想定しているのだから命懸けよね?早く取り除かなければ死ぬわ。どうする?」


何も知らないのに戦争を保身の為に利用するとはね…。

命を軽く見ていて自分は安全だという考えが透けている。


本当に醜悪な人間。


「そ、それは私でないと駄目なのですか?他の者でも良いのでは?私は摘出をする必要があります」

「戦争でしょ?誰が犠牲になるか分からないじゃない。何故あなたは安全なの?誰があなたを守るの?」


命懸けになると途端に臆病になる。

戦争で役に立てるはずが無い。


「勿論国防軍です。国を守る為の組織なのですから」

「あなたは馬鹿なの?今の国防軍で国を守れる訳がないじゃない。簡単に侵略されるわよ?」


「この国にはシャーロット様がおります。侵略される訳がありません」

「私がいたら病院は必要ないじゃない。私がいなくなる事を考えて建てたのよ。歴史の勉強もしていないの?それに、私が戦ったら誰が怪我するの?無駄な会話はもういいから、埋め込むのか帰るのか決めなさい。私は街や国の方針に口を出さないできた。国長のヴィーネが必要ないと判断したのであれば、それが国の方針でしょ?国長の判断に文句があるのなら国民を説得して新しい国長を擁立すればいいじゃない」


「シャーロット様は人間を見捨てるのですか?」

「何を言っているの?あなた達を見捨てているだけ。今すぐ殺したいのを我慢しているよ。ヴィーネが殺さなかったから手を出さないだけ。ヴィーネが国長を辞めると言ったらあなた達は殺す予定だった。国内にある不純物は取り除く必要があるでしょ?私は不純物を全て把握しているわ。いつでも綺麗に取り除けるようにね」


この後のあなたの行動は予想できている。

精々頑張って演説でもしなさい。


誰に殺されるかな?

国防軍が理想だけど期待しないでおこう。


カーリンかレナーテだろうね…。

カーリンだった場合、病院関係者を皆殺しにしちゃうよ。


その場合、働く気のある真面目な子を殺さないように説得しよう。

ヴィーネが与えた機会だからね。


「失礼します…」


本当に無駄な会話だったよ。

早く温かい布団に入ろう。


社の扉を開けて、すぐに閉める。

布団の後ろから入ってヴィーネの隣までモグラのように進んで行く。


「終わったよー。さあ、寝よう。おやすみー」

「お疲れ様。やっと眠れるよ。おやすみー」


温かい布団で寝るのは気持ちがいいね。

すぐにヴィーネが抱き付いてくるから心も温まるよ。

シャルが隣にいないと眠れないヴィーネちゃんでした。

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