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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第4章 神国シャーロット

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閑話 エルヴィーラ 大仕事 

ヴィーネ様が国長として自由に動き出したね。

歩ける私ができませんとは言えない。


この国に商人組合を作る。

私の人生最後の仕事と考えれば最高じゃないか。


この国は世界の覇権国家だ。

恥ずかしい商人証明プレートでは駄目だね。


ヴィーネ様は既存の商人組合が犯罪ギルトと手を組んで信用できないと考えている。

それは、絶対に間違ってないだろうね。


商人組合所はある程度の要望だけで完璧に仕上げて下さる。

問題は中に入って仕事をする人だね。


1つずつ片付けていこうかね。

まずは、商人証明プレートだよ。


本当にこの国の商店街はいつ来ても盛況だね。

魅力的な商品で溢れている証拠だよ。


他国の商人から見たら垂涎の品ばかり。

必ず登録するだろうね。


人波をかきわけるように歩いて、エルダードワーフの店まで行く。

「久しぶりだね。仕事をお願いしたいんだけどいいかい?」

「おー!まだ生きているじゃねーか。人間も意外としぶといな!」


私の方がはるかに年下だけど、見た目はチャドの方が若いから不思議な感じだよ。

シャーロット様は土地神様として幼い頃から崇めていたからね、別枠さ。


「ヴィーネ様から仕事をもらったから死ねないよ。世界樹の薬もあるし、この国は老人を働かせるのにうってつけさ」

「国長が本気だしちまったしな。シャーロット様が我慢させるのを止めさせたんだろうぜ。まあ、普通に考えても、命を守ってもらいながら恐れるような奴は終わってるぜ。病院も患者が来ないのに何も対策してなかったんだろうな。自業自得ってやつだよ。更に楽しくなりそうじゃねーか!」


本当に5000年以上も生きているのかね?

老獪というよりわんぱく小僧って感じじゃないか。


「楽しくなるのは間違いないさ。それで仕事なんだけどね、商人証明プレートの製作を頼みたいんだよ。まあ、簡単に言えばプレートに登録番号を刻印して、個人情報と紐付ける物だね。この国は世界の覇権国家だ。みっともないプレートは恥ずかしいからね。神に入るプレートをお願いしたいのさ。持っているのが誇りになるような品を頼むよ」

「ほー、世界最高のプレートだな。面白いじゃねーか!得意な奴に頼んでおくぜ。予算はどうする?」


「そうだね。エルダードワーフが製作して、更に世界一信用されるプレートが安く手に入るようじゃ面白くない。登録料すら払えない商人はこの国に必要ないと考えれば1つ100万ギルでも安く感じるけど、その辺でお願いするよ。これから多くのプレート製作をお願いすると思うからね。希少な金属は使わないでおくれよ」

「1つ100万ギルか。大仕事じゃねーか!皆やりたがるぜ。値段以上の物ができあがりそうだな。まあ、俺らの暇つぶしだから気にしなくてもいいぜ。楽しみに待ってな!」


本当にとんでもない物ができあがりそうだね。

プレートが家宝とか笑えるじゃないか。


「頼んだよ!楽しみに待たせてもらうからね」


さてと、次は服屋のイザベラに会いに行こうか。

歩いてすぐだから楽でいいよ。


ここは見る度に模様替えをしているんじゃないかと思えるね。

本当にどれだけの服があるんだか…。


種族が増える度に服が増えていくね。

妖精の服があるのは世界でこの店だけだよ。


軽く手を挙げて挨拶をする。

「イザベラ、あんたもいい歳じゃないか。そろそろ息子に任せないのかい?」

「馬鹿言っちゃいけませんよ。あんな半人前に店を任せたら潰れますよ」


それは無いと思うがね…。

服を縫っているのは息子夫婦なんじゃなかったかね?


まあ、本題はそこじゃないから気にする必要は無いね。

「そうかい。じゃあ、遠慮なく仕事をお願いできるね。商人組合の副組合長になってくれないかい?ヴィーネ様がこの国に商人組合を作ると宣言されてね。私が組合長に指名されたけど、忙しくて目が回りそうな予感がしているのさ。元気があるなら老婆を助けておくれ」

「とんでもない話じゃないですか。ヴィーネ様が商人組合を作ったら世界一確定ですよ。既存の商人組合が信用できないという事ですね?」


「そういう事さ。犯罪ギルドと手を組んでいるみたいだね。同じ商人として情けない限りだよ。物の売買が商人の本分なのを忘れちまっているのさ。この国が発行する商人証明プレートは確実に世界中の商人が欲しがるに決まっているからね。さっき、チャドに最高の品をお願いしてきたところだよ。プレートが家宝になりそうだね。そんな訳で手伝ってくれないかい?動き出すのは国防軍の再テスト後からだよ」

「エルヴィーラさんに頼まれたら断れませんね。息子夫婦に店は任せるとします。とりあえず、何をすればいいですか?」


息子に店を任せる理由が欲しかったのかね?

歩けるうちは店に立ちたいという気持ちも良く分かるさ。


「組合が忙しくて店には顔を出せなくなるだろうから引継ぎを急いでおくれ。あとは、信用できる商人を見かけたら話を振っておいて欲しいくらいだね。登録料は200万ギルにするよ。今後はプレートを持っていない商人は何もできなくなるからね。国長様は厳しいよー!」

「何を言っているんですか!とても可愛い女の子ですよ。悪い事をするからいけないんです。しっかり引継ぎして、伝えておきますよ」


「その通りだね。分かっていない馬鹿がいけないのさ。じゃあ、頼んだよ」


さて、この後は税理官室に向かわないと。

病院関係者が泡を食ってるはずだからね。


人は簡単に集められるはずさ。


税理官室も近いから楽でいいね。

「ディアナ、仕事だよ。求人募集をお願いしに来たよ」

「もう嫌だー。私は秘書だったんですよ?忙し過ぎますよー!」


この子はこんな娘だったかね?

秘書の時は大人しい感じだった気がするけど…。


「病院を潰す以外に忙しい話なんてあったかい?」

「孤児院に子供が100人程増えたんです。孤児院の子供が300人超えですよ?忙し過ぎますよ。ただの秘書に戻りたーい!お祭りの時は延々と土地神リンゴ飴のお手伝いですよ…。誰も私とマリアンネさんが屋台にいるのを不思議だと思っていないんです。酷過ぎませんか?」


そういえば、お祭りの屋台を手伝わされていたね。

馴染み過ぎていて違和感がないよ。


今回の選別は子供が100人程も残ったんだね。

子に過ぎたる宝なしだよ。


良い事じゃないか。


「選別が終わったと言っていたね。ヴィーネ様は子供を守ったんだ。優しいじゃないか。一番忙しいのはカーリンだろうに何を言ってるんだい。それに、土地神リンゴ飴はこの国の特産品だ。手伝えて光栄だと思うんだね」

「そんなの酷過ぎますよー!誰か代わって下さいよー!」

「ディアナさん、落ち着いて下さい。孤児院なら大丈夫ですよ。カーリン姉ちゃんなら1人で200人は面倒を見れますから」

「半年あれば間違いなく面倒を見れます。カーリン姉ちゃんがいないと今の孤児院は成り立ちませんから。他国の人が姉ちゃんを侮辱して何人埋められたか分かりませんよ。この国最強はカーリン軍ですから。何故か本人は気付きませんけどね」


1人で200人の子供を面倒見るって想像できないね。

半年あればカーリンに懐くって事なのかね?


そして、懐いた子供がカーリン軍と呼ばれている?

何だかよく分からないねー。


「子供にとても好かれているのは分かったよ。カーリン軍なのに本人が知らないのは、抜けている子なんだね。子供たちが勝手に守っているのかい?まあ、それでも凄いじゃないか」

「秘儀を鍛えている子供100人以上に魔法でボコボコにされますからね。凄い光景ですよ。それに、シャーロット様がカーリン姉ちゃんを侮辱した男は死刑と決めましたから。そして、必ず死刑になっているのが恐ろしいですよ。カーリン軍最強はシャーロット様ですから」


「とんでもないね!土地神様まで一員に入っているのかい。綺麗な子だから男から声を掛けられる事が多そうだけど、振られた腹いせに侮辱したら死刑かい」

「とんでもないですよ。ちなみに孤児院卒業生の中にもカーリン軍所属はいますからね。この国でお2人の悪口の次に言えないのがカーリン姉ちゃんの悪口ですよ」

「カーリン姉ちゃんはシャーロット様が好き過ぎて男に興味が無いですからね。被害者が増える一方ですよ。当然僕たちは被害者を増やす側ですけどね」


ここにもカーリン軍の一員が2人もいるじゃないか。

孤児院に子供が増える度に一員が増えるとは、末恐ろしいね。


「魔性の女だね。んー?誰かと思ったらアリスターじゃないか!冒険者組合本部はどうしたんだい?こんな場所で会うとは思わなくて全然気付かなかったよ」

「エルヴィーラさん、お久しぶりです。冒険者組合は腐っているので辞めました。ヴィーネ様の紹介によりここで働く事になったのです。もう、世界中のどこにも冒険者組合は残っていません。ヴィーネ様が綺麗に消しましたからね」


「なんだって!商人の護衛は誰がしていたんだい?まさか、ヴィーネ様が商人組合を新しく作るというのは、冒険者組合と商人組合が揃って腐っていたという事かい?」

「そういう事でしょうね。商人の護衛は犯罪ギルドに所属する冒険者がしていたでしょう。真面目な商人には可哀相な話ですけどね。この大陸にある犯罪ギルドの大半は潰したみたいですから、他国の商人が出歩くのは難しくなっていますよ」


商人は横の繋がりが強いからね。

それに、長いものには巻かれるのが基本姿勢だ。


それが仇となった訳だね。

犯罪ギルドと一度関係を持ったら手が切れる訳がない。


ヴィーネ様のお陰で、真っ当な商人は犯罪ギルドと手が切れたんだ。

それを喜ぶべきだろうね。


「そんな状況だったんだね。まあ、多くの商人が犯罪ギルドに仕事を依頼した結果だろうから自業自得さ。ヴィーネ様のする事は規模が大きいね。そうそう、仕事の依頼だけど病院関係者が仕事を探して焦っているだろう?若い子を10人程確保しておいて欲しいのさ。文字の読み書きと計算ができればいいよ。あと、学校の卒業生を2人以上は欲しいね。何かあった時の護衛としても頼もしいからね。物騒な護衛を付けている商人もいるからね。ヴィーネ様が設立する商人組合の求人と強調しておくれ。税金で運営していいと言われているからね。組合が落ち着くまでは雇った子の給料支払いもお願いするよ。設立は国防軍の再テスト後だよ」

「かしこまりました。病院関係者から10人はすぐにでも確保できるでしょう。若い子から順に斡旋していきます。学校の卒業生は引く手数多ですからね。ヴィーネ様のお願いという事で何とか2人は確保できるように努力してみます」


学校の卒業生はどんな仕事をしても一線級だ。

卒業の時期になると全ての業種が求人募集しているからね。


その中でも高等科の卒業生は、職業選択の自由が与えられているようなものだ。

望む職業に確実に就く事ができる。

是非とも商人組合に来て欲しいね。


高等科を卒業する為の努力は桁違いらしいから、流石に来いとは言えないね。


「頼んだよ。ディアナも税理官を増やせばいいじゃないか。今を逃すと厳しいよ」

「そうですよね。クルトにベンノ、孤児院の卒業生を先輩として引っ張ってきて。頼んだわよ!」

「そんな事をしたらクリスタ姉ちゃんの説教ですよ。恐ろし過ぎて無理です!」

「そうですよ。孤児院の卒業生は大体高等科を卒業しますからね。たとえ僕たちでも引っ張ろうとしたら地獄を見る事になります。希望者がいる事を祈りましょう。税理官の仕事は結構難しいですし、ヴィーネ様を恐れている人を雇う事はできませんからね。余り期待しない方がいいですよ」


ああ、それがあったね。

病院関係者のほとんどが仕事もせずに税金を使い続けていたと住民に知られてしまっている。

それに、ヴィーネ様を恐れるような人にお金を任せるなんて、どんな反発があるか予想できないね。


「ディアナ、無理そうだね。これからも頑張りなよ」

「そんなー!私は書類に埋まって窒息死するんですね…」

「書類なら片付けますから心配しないで下さい。病院関係者の書類を別棚に移しておいて、どのような状況になっても対応できるようにしておきましょう。ヴィーネ様の改革は始まったばかりですから」

「その通りです。病院関係者が税金を無駄に使い続けていたのは許せませんが切り替えましょう。5年くらい我慢すれば優秀な人材で溢れ返りますから。お祭りを10回も楽しめますよ!」

「さあ、ディアナさん。税金をより良く使う為に配分を考えましょう!」


5年あれば孤児院の子供たちが多数卒業するね。

間違いなく優秀な人材で溢れ返るじゃないか。


それに、孤児院に空きができたらすぐに埋まるだろうね。

シャーロット様はたくさんの子供を救いたいのだから。


今の私には想像できない国になりそうだよ。

楽しみで当分死ねないね。


「楽しそうな職場で何よりだ。それじゃあね。何かあったらまた来るよ」

ディアナはマリアンネに懐いていたので寂しいだけです。

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