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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第3章 神国シェリル

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警告

ヴィーネの推薦で冒険者組合本部の組合長一家が移住してきたよ。

確か名前はアリスターだったね。


詳しく聞いたら、1人で人攫いを防ごうと頑張り続けた結果、組合本部ではほとんど仕事が無くなったんだって。

組合を通さず直接冒険者に人攫いを依頼できるように犯罪ギルドが乱立したみたい。

世界中にある犯罪ギルドを全て潰す事はできていないけど、冒険者組合と、この大陸にある犯罪ギルドの大半は潰せたみたい。


流石私の娘だね!

この国に入ってくる犯罪者は確実に減るよ。


組合長が犯罪の仕事を拒否し続けたら、ほとんどの仕事が組合を通さなくなったのか…。

商人も横の繋がりがあるから、嫌でも協力するしかない人がいたのかもしれない。


正当な依頼でも犯罪ギルドに頼るしかない流れを商人が作ってしまった。

これで商人は護衛を頼める組織が無くなったね。


商人の自業自得とも言えるし、この国には関係ないから放置だよ。


問題は獣人の里から移住してきた獣人たち。

族長の2人から説教されたけど効果は全くないね。


「ヴィーネ。アンゼルムとハーラルトを呼び出して話すけど一緒に行く?」

「獣人の里から移住した獣人がかなり酷いからね。私も一緒に話は聞いておくよ」


私が単独で動くと余計にヴィーネが責任を感じてしまう。

一緒に行動した方がヴィーネの成長に繋がるはず。


念話(テレパシー)

「マリアンネ、今日の19時にアンゼルムとハーラルトを学校の1階、一番東の教室に呼び出しておいて」

「かしこまりました」


さて、時間が来るまでゴロゴロしていよう。

ヴィーネも落ち着いてくれると思う。


「ヴィーネ、ゴロゴロしよう」

「うん!ゴロゴロしよう」


2人でくっ付いて時間になるのを待つだけ。

とても幸せな時間だね。


そろそろ19時だ。


「ヴィーネ行こうか!」

「はーい…。転移魔法(テレポート)


教室にはアンゼルムとハーラルトだけだね。

余り聞かれたくない話だから結界を張っておこう。


1重(シングル)結界。


「急に呼び出してごめんね。君たちに話しておいた方がいいと感じたからさ。ヴィーネの選別の話を聞いてどう思ったかな?」

「獣人の里から移住した獣人が大きく関連していると感じました」


里長をしていた2人なら流石に感じるものがあると思う。

選別を経験している国民からしたら甘過ぎる話なんだけどね。


「そうだね。アンゼルムの言った通りだし、2人とも同じように感じていると思う。だけど、本来の選別はこんなに優しくないんだよ。ヴィーネが責任を感じているから甘い選別になっている。獣人の里からの移住で一番の問題は何だと思う?今回の選別とは別で考えてみて」

「国防軍への無謀な挑戦でしょうか?」


大勢が落ちたから無謀だと考えたのかな?

最初から無謀だと思っていたのなら受けさせないはずだからね。


「ハーラルトは無謀な挑戦をした獣人が多いと感じたんだ。何故無謀な挑戦をしたと思う?」

「この国の事をまだ良く知らなかったからでは?」

「いや、単に自信過剰なだけでは?」


それも、理由には含まれているけど重要な要素が抜けている。


「正解は考える力が足りない。夜の学校に通わせているけど、ほとんどの獣人がこの国の国民には必須だと思う知識を覚える事だけを意識している。つまり、歴史の授業だけを受けている獣人ばかり。では、何故歴史の授業を受けているのかというと2人の命令が始まりだよね?この国に移住してからずっと何も考えていないんだよ。グスタフが隊長だった国防隊も一緒。皆、何も考えていない。自分で物事を考える癖がついていない。そして、目の前の出来事だけで物事を判断する。教養が足りないのを知識が足りないと考えては駄目だよ。知恵が足りない。その事を踏まえて国防軍に無謀な挑戦をした獣人は何を考えていたと思う?」

「力に自信があり、秘儀を覚えたかったからですか?」


秘儀を覚えたい。

この国の歴史を知れば、難しい事だと分かるはず。


「その通り。秘儀を覚えたかったから国防軍のテストを受けた。力に自信があるから絶対に合格すると楽観的だった。歴史の授業を受けていれば秘儀を覚えるのが楽ではないと予想できるはず。では、落ちた獣人たちはどのような不満を持っていると思う?」

「不満ですか?実力が足りなかったと考えているのではなくてですか?」

「子供だけ無料で教わる事ができるのが不満だと考えているのでは?」


流石に2人とも驚いているね。

テストに落ちて不満を感じるのはおかしいから。


自分の実力不足で落ちただけ。


優しいテストだったのに…。

私が甘やかした責任も大きくあるね。


「ハーラルトの言った通り、子供にだけ無料で教えているのに不満を感じている。そして、歴史の授業で私たちがこの国を守っているのは偶々だと教えられた。その結果、子供たちに守ってもらおうと考えている訳だよ。その考えを獣人の間で広めてもいる。考える力があれば、歴史の授業で私がお母さんに守られて育ててもらった事を知っているのだから、親は子供を守るのが当前だと私が考えているのも理解できるはずなんだよ。国の支配はしていないけど、ほとんどの国民は私の考え方を大切にしてくれる。土地神様だと崇められているからね。今の状態を放置した場合、近い将来何が起きるのか分かるでしょ?」

「愚かな考え方をしている獣人への反発ですか…。迷惑な種族として弾かれる可能性があるのですね」


可哀そうなのは従来から住んでいる真面目な獣人。

先にその獣人が反発する可能性が高い。


アンゼルムは苦い経験があるからすぐに分かったね。


「そういう事だよ。本来のヴィーネなら問題のある獣人を飛ばすか殺して終わらせている。脅して選別の予告をする必要は無いんだよ。私も飛ばすか殺すから一緒だよ。さて、全ての族長が部族の者に説教をした。君たちもそうだね。部族の獣人はどうしていると思う?」

「何もできないのですね。選別から逃れる為に必死に考えないようにするだけですか?」

「俺たちの説教は意味が無かったのですね…」


何故そう思うのかまで分かって欲しいけどね。

心が読めないから難しいのかな?


「その通り。つまり、無意味なんだよ。迫っている選別を避けるのに必死になって焦っている。考えないようにしようとすればする程考えてしまうよね?選別は絶対に避けられない。普通なら子供を守るのは親や大人だと考え方を変えようとするはずなのに、それをしない。何故なら守るつもりが無いから。自分より強い子供を守る必要は無いと考えている。強いのだから守ってくれるのが当前だと考えている。たとえ秘儀を覚えていても一緒だよね?子供より強くなれないのだから。では、考える力を持ちつつある子供がそんな親を見たらどう思うかな?」

「今回の選別を回避したとしても、将来別の問題を起こす可能性がある。その時に自分も巻き込まれるかもしれない、ですか?」

「子供と大人で差が広がるばかりだな…」


知恵の差が広がるのは大人たちが努力をしていないから。

夜の学校で学ぶ機会はあるのだから。


「大正解。子供たちが何を書くのか分からないけど、そう考える可能性が高い。獣人の里から移住してきた獣人の子供はまだ日が浅いから、親を選ぶのか、国を選ぶのかは分からない。しかし、長く勉強をしてきた子供になると必ず国に残る事を選ぶ。努力の積み重ねが凄いからね。秘儀の訓練を始めたら子供たちの努力も分かるでしょ?何故今こんな話をしていると思う?」

「国に残る事を子供が選択した場合、人数が多過ぎるのですね」


「そうなんだよ。孤児院を大きくする必要があるし職員も新たに雇う必要がある。だけど、孤児院の職員は慎重に選ばないといけないと思っているし難しい事なんだよ。今回の話は警告だよ。獣人の里では強い者に守ってもらうのが当然だというであれば記憶を消して里に戻してあげる。考える力が足りないのは簡単に解決する問題ではないからね。今回の選別を回避したとしても継続して努力する必要がある。子供がいない大人は難しくても、自分の子供がいる親なら考え方を変えて欲しいね。自分の子供を戦争の最前線に送り込みたいのかな?私には理解できないよ。私やヴィーネが本気で説教をしたら今回の選別は回避できるけど別の問題を起こす可能性は残る。獣人の里には何度も機会をあげたから私たちが動くつもりはないよ。何か聞きたい事はあるかな?」

「本来の選別だった場合、どうなっていたでしょうか?」


今回の選別はヴィーネが最終的にどう判断するのか見てみたい。

私は母としてそれを手伝ってあげるだけ。


「ヴィーネ。正直に答えてあげて」

「分かったよ。今すぐ殺したい獣人が100人以上。今すぐ飛ばしたい獣人が200人以上。子供を除外して選別をした場合、100人近くの子供が残される。子供の意思は考えずに親と一緒に飛ばすのが本来の選別。子供の意思を事前に確認する選別は今回が初めて。どれだけ異例か分かってもらえたかな?母さんが言った通り、私が推薦したから甘い選別にしてしまった。これまでの選別を経験してきた人からすれば甘過ぎると思われる可能性もある。何故甘い選別になったのか把握されてしまうと、問題は拡大するから問答無用で全員の記憶を消して飛ばす。私と母さんは種族で贔屓をするつもりはないから」

「獣人の里に強ければ子供でも親や大人を守るべきなんて考えはありません。テストに落ちた不満をお2人に向ける訳にはいかないと判断するくらいの事はできるでしょうから、再テストの内容を聞いて強くなる事を諦め、不満の矛先を子供に向けているのかもしれません。それにしても、説教した後にも関わらず半数以上が子供を戦争の為に鍛えていると考えているのですか…。選別の指示を守るのであれば、猶予は再テストまであるのですか?」


選別はそんなに甘いものじゃない。

ヴィーネが現実に気付いた時に選別は終わるよ。


私はその機会を作る。

ヴィーネには辛いかもしれないけど、一度は直接見た方がいいと思う。


「残念だけど状況次第だね。矛先がこちらに向いたり、孤児院や孤児に向いたら私が終わらせる。あの程度のテストに落ちた人が国まで乱すのは許せないからね。他には何かあるかな?」

「部族の獣人を痛めつける、もしくは殺すのは許されますか?」


言葉だけでの説得が難しいと感じているね。

ヴィーネが殺したがっているテストを受けた人たちは無理だと思う。


君たちの判断も見させてもらうよ。


「恐怖で縛るつもりではなく意識改革を目的としているのならいいよ。殺すのは余程酷い場合だけね。場所は訓練場以外は禁止。子供の目に触れるのも禁止。実行するならマリアンネを付き添わせて。緊急用ボタンを持っているから、回復が必要なら私を呼んでくれればいいからね」

「分かりました。最善を尽くしたいと思います」

「なんとか考え方を変えるように手を尽くしたいと思います」


結界解除。


「せっかく移住したのだから頑張って。またねー。転移魔法(テレポート)


社に移動した。


「母さん、ごめんなさい。私が失敗してばかりだよ」

「ヴィーネ、何事も経験だよ。前にも言ったけど、ヴィーネは思った通りに動けばいいから。やり過ぎていると思ったら止めるよ。それ以外なら好きにすればいいから。確かに教養の足りない大人を一度に大量に国民にしてしまったのは失敗だけど、勉強する時間は十分にあったし、その為の施設も用意してある。一番失敗したのは族長の2人だよ。族長として部族の管理ができていなかったのだから。さあ、お風呂に入って寝よう!」


一緒にお風呂に入って寝れば、ヴィーネは元気になってくれる。

甘えん坊の恐怖の大魔王だからね。


ヴィーネが怖いと考えている馬鹿が多いのは残念だよ。

どれだけヴィーネに守ってもらっているのか理解できないのだから。


今日もすぐに抱き付いてきたね。

私の可愛い娘。


本来は国長をする必要は無いし、私の手伝いをする必要も無い。

せっかくの機会だし、色々と経験して今後の糧にすればいいと思う。


人と関わる事でしか経験できない事ばかりだから。

私の記憶は引き継いでいるけど同じ人が相手ではないからね。

シャルは娘の成長の為に問題の拡大を放置しています。

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