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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第3章 神国シェリル

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孤児院の変化

お祭りの夜からカーリンの魔力の動きが変わった。

クリスタに追い付くつもりの鍛錬方法。


死ぬ可能性の高い秘儀の鍛錬。


カーリンの覚悟なら極致にたどり着ける可能性は高い。

クリスタに負けられない理由があるから。


命を助けられた恩。

私を一番好きだという思い(自分で言うのは恥ずかしいけど)。


2つの想いを胸に本気で鍛錬をしている。

強くなりたいからではない。


想いを主張する為に。


カーリンはクリスタに助けられた後、助けられる立場にはなりたくないと思った。

クリスタを助ける側になりたいと考えていた。


クリスタは分かっていたはず。

それでも、人間の限界点まで鍛えた。


カーリンが悩み苦しむのも分かっていたはず。

それでも、自分の想いを主張した。


カーリンよりも私の事が好きだと(本当に恥ずかしいね…)。


クリスタが私の想いを無視して秘儀の到達点を歪めた事にカーリンは気付いた。

そして、お祭りの夜に怒った。


クリスタはカーリンよりも私の事を好きだと言ったに違いない。

それだけで、カーリンならクリスタの想いに気付く。


カーリンは絶対に譲らない。

例え信者から外れようとも関係ない。


カーリンは私を好きだという気持ちで孤児院長をしている。

私を好きな事で信者だと言われるのなら、それを受け入れていただけ。


カーリンはレナーテと違い私を崇めている訳ではない。

純粋に好きだという想いしかない。


クリスタに追い付かなければ自分の想いは証明できないと考えているに違いない。

同じ力を持つ2人が戦い、勝った方が私の事を好きだと胸を張って言える。


意地の張り合い。


命懸けで鍛錬してまで何をやっているの。

そんな事をしなくても、クリスタもカーリンも私にとっては特別だよ。

本当にもう…。


「母さんはモテモテだね。孤児院が大きく動き出した。そして、カーリンの殺意が国防軍に向いた。皆で説得したみたいだね。カーリンを納得させる方法は1つしかない。孤児院軍を作ろうとするはずだよ。母さんの邪魔になる人は徹底的に排除する最強の軍だね。元々そういう組織だけどさ。クリスタとカーリンとレナーテだけで過剰戦力。当然孤児院を卒業した子供たちも後に続く。国防軍の再テストが不甲斐ない場合、お願いに来る可能性が高い。カーリンがお願いに来ると子供たちも巻き込まれるから、違う大人が来るだろうね。どうするの?」

「お祭りの夜に信者も中立派も関係なくなったからね。街の決まり事より私の気持ちを最優先にする最強の組織だよ。誰も止められない。私の為に動く組織を止めるのが私しかいないとかおかしくない?異常事態だよ!」


孤児院軍はできれば避けたい。


子供たちを守る為の場所だから。

あの子たちが国まで守る必要は無いと思っている。


「母さんを崇める人たちが作った街だから本来の形に戻りつつあるんだよ。街の大人たちが再テストに合格できる訳がない。族長も自分の事で精一杯。参加者は現国防軍だけになる可能性が高いよ」

「秘儀の初歩で国は守れるようになるけど、ある程度は人数が必要だからね。全員合格しても7人で国を守る程の力はないから厳しいね。カーリンとクリスタが隊長の組織とか恐怖だよ。私に反感を持った瞬間に殺されちゃう。子供を守る気のない大人も選別される可能性がある。お菓子屋のおじさんが意識改革をしないといけないと言っていたけど、お菓子屋のおじさんは全く問題ないからね。この国が襲われたら絶対に子供たちが守るよ。特に妖精が全力で守りそう」


お菓子屋のおじさんは絶対に守られる。

どんな敵が攻めて来たとしても安全だと思う。


おじさんは守ってもらうつもりは無いけどね。

子供たちへの優しさが伝わっているのだと思う。


「私は隊長を決める戦いが楽しみだよ。どちらが母さんを好きか勝負するからね。カーリンが極めた後に勝負するだろうから気持ちが勝敗を決める激戦だよ。どちらが勝っても毎年勝負しそうな雰囲気があるのがいいよね。絶対に譲らない2人の熱い戦いだよ。私は2人とも好きだから観戦だけするよ」

「確かに毎年隊長を決める戦いをしそうだね。隊長に必要なのは私を一番好きだという気持ちだという事をおかしいと思わないの?2人とも同じくらい好きでいいじゃない。なんで勝敗を決めたがるの?」


「何を言っているの?母さんを一番好きな人が隊長じゃないと皆が動かないよ。分かっているでしょ?カーリン軍はカーリンが気付いたら絶対に戦わせない。一番好きだと胸を張って言う為には力が必要なの。この国は異常だからね。母さんが異常だから仕方がないよ」

「分かっています!孤児院が軍になったら選別させてもらおうかな。流石に今の子供たちの努力の積み上げを突然消すのは可哀そうだから選択肢をあげないとね。この国の大人は子供に甘え過ぎている。老後の心配とかではなく、戦争になっても子供が守ってくれると考えている。一番許せない考え方だよ。命懸けで子供を守る気があるのなら耐えられる殺気だよ」


カーリンとクリスタの戦いは殺し合いではないから放置しよう。

私が声を上げると確実にややこしくなるから。


「私が脅すよ。母さんが脅すと孤児院が我慢できずに動き出す可能性があるからね」

「そうだね。私が怒っていると思われると動いちゃうね。お願いね」


人が増えると勘違いする人も増える。

子供に秘儀を教えているから守ってもらえるなんて甘過ぎる。


どれだけ強くても子供なんだよ?


親が子供の背中に隠れるなんて恥ずかしい真似はして欲しくない。

500年以上生きてきて子供に甘えている大人を見るのは初めてだよ。

子供がどれだけ強くても、子供に隠れる大人はみっともないです。

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