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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第3章 神国シェリル

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閑話 カーリン 活発な同僚

「今日の夜は屋上でお酒を飲みましょう。せっかくシャーロット様が用意して下さったのです。視察も兼ねて改善点がないか、皆で確認しましょう」


私は孤児院で働いている5人に声を掛ける。

「屋上なんてあったっけ?いつの間にできたの?」

「私も知りません。魔法の練習をしている間にできていたみたいです」

「私は授業中でしたからね。シャーロット様の奇跡を見れなかったのが残念です」

「あれは魔法じゃないからね。本当に奇跡だよ」

「神の御業ですね。楽しみです」(拝んでいる)


個性的な面々だけど派閥があるの。


信者と自称中立派と未定。

あえて言わなくても分かるから紹介する必要はないわね。


土地神りんご酒と火の魔石。

そして、ランプとフォークと燻製肉を持って屋上に向かう。

子供たちは寝ている時間なので、階段を上る時は静かにする必要があるわ。


私が寝付かせに行くと本当に寝てくれないのよ。

何故か皆が嬉しそうに元気になってしまうのよね。

だから、子供たちが遊び疲れるまで枕投げなどをする必要があるわ。


皆は違うみたいだから私だけみたい。

一緒に遊びたくなるという事は私が子供に見えるのかしら?


理由は分からないけど気にしない事にしましょう。

ここは天使様に会える場所なのですから。


「な、な、何があったらこんな事になるの?」

屋上の小部屋の扉を閉めた後、クリスタが小声で叫びました。


「神の御業ですね。素晴らしいです!」(拝んでいる)

「本当にすごいよね。驚いて欠点なんて探せないよ」

「チェルシー、何を言っているの。シャーロット様に欠点があるはずないではありませんか」

「その通りよ。欠点なんてありません!」

「これも魔法ですか?魔法の可能性が詰まっていますね。勉強になります!」


あら?

クリスティーネは信者に近付いてないかしら?

そんな予感がするわね。


鉄板の下に火の魔石を2個置いて燻製肉を炙れるようにします。

ランプが6つもあるので、まとめて置くとかなりの明るさになるわね。

お酒を飲むのにいい雰囲気です。


「さあ、始めましょう。そして、クリスタへの尋問も始めます」

「早速おかしくない?お酒を飲みながら燻製肉を食べるだけでしょ?」


私の言葉にクリスタは不満気です。


「あなた最近活発に行動しているわよね。何をしているのかしら?転移(テレポート)で帰って来たと言う事はシャーロット様かヴィーネ様とお会いしていた事を証明しているのよ?」

「孤児院の平穏の為の活動よ。知ったら本当に大変な事になるわ。絶対に何もしないとシャーロット様の名に誓えるのなら話すわよ。どうする?」


これは余程の事ですね。

孤児院で絶対に破れない約束をする時に使われる文句です。


シャーロット様の名に誓った約束を破る事は許されません。


「それ程の大事になる可能性を秘めているのね。誓う前に聞きたいのだけど、孤児院を敵に回している人がいる訳では無いわよね?それは許されないと知っているでしょ?」

「シャーロット様とヴィーネ様が動いていないのだから、勝手に孤児院が動く事は駄目でしょ?誓えないならこれ以上は話せないわよ?」

「カーリン、ここは聞いておいた方がいいでしょう。シャーロット様が動くと決断した時に孤児院が後れを取る訳には行きません」


ビアンカの言う事も一理あるわね。


「ビアンカの言いたい事も分かるわ。でも、孤児院がシャーロット様についての問題を見て見ぬ振りはできないでしょ?シャーロット様の心に支障をきたす前に解決をするのも私たちの役目よ」

「カーリン、私たちが動く事でシャーロット様が心を痛める事もありますよ?ここは聞いておきましょう。それが未来に必要な事だと私は感じています」


レナーテはクリスタの話の予想が付いているのかしら?

何かしらの情報を持っている可能性があるわね。

でも、何も言わないのはシャーロット様が心を痛めると考えているからなのね。


「分かりました。シャーロット様の名に誓って動きません。クリスタ話して」

「全員誓っているわよね?カーリンについては我慢する事も許さないわよ。あなたが顔に出すだけで問題が大きくなるのだから」

「ああ、それはそうね。カーリン、気を付けてよ。あなたが我慢を顔に出したら大事になるわ」

「そうだね。カーリン、絶対に不満を顔に出したら駄目だよ。子供たちが心配するから」


ビアンカもチェルシーも何を言っているのよ。

子供たちの前で不満な顔をする訳がないじゃない。


私は孤児院長です!


「心配ないわ。子供たちの前ではいつも通りよ。孤児院長が心を簡単に乱してはいけないでしょ?」

「分かったわ。そこまで言うなら話すよ。鬼の子が孤児院に入る事になったでしょ?あの子は問題がないけど、鬼は人を食べる種族なのよ。検問兵は子供だからと止めもしなかった。更に、失態を追及された時、責任を感じるどころか自分の事だけを考えていた。犬区長関連の人は全て駄目だったという事ね。国防軍に受かった検問兵は検問の仕事を知らずに、問題が起きれば秘儀で対処できると考えていた。ヴィーネ様が怒って殺そうとしたところをシャーロット様が止めた。この国にいる獣人の大人全てを殺しそうだったからね。ヴィーネ様は検問兵を島に飛ばしてしまったのよ。私が処理できない場所にね。この情報が孤児院に知られてしまうと問題でしょ?だから、お願いしたのよ。殺して下さいってね。ヴィーネ様が殺してしまうとシャーロット様が悲しむから私がお願いする必要があったの」


真面目そうな検問兵はただの案山子だったのですか。

国防軍に入り秘儀を覚えても案山子では役に立ちませんね。

被害者が出てから対処すればいいとは酷過ぎます。


なるほど。

確実に殺す必要があります。


しかし、それだけでヴィーネ様は獣人の大人を皆殺しにしようと思わない。

絶対に何か隠しているわね。


「クリスタ。情報を隠すのは良くないわよ。他にも何かがあったからヴィーネ様は皆殺しにしようとしたのでしょ?それを教えなさい!」

「そうね。流石に検問兵だけで皆殺しにはならないでしょう」

「もう、鋭いわね。この国に獣人の里から2つの里が移住した。その結果、何が起きたか分かる?残りの獣人の里全てがこの国に攻めて来たのよ。シャーロット様たちがこの国に到着する前に殲滅した。だから、ヴィーネ様はその事で既に怒っていたのよ。だから、検問兵の件が決め手になる所だったの」


とんでもない種族じゃない。

移住できた獣人に嫉妬したのかしら?

どちらにしても、問題ばかり起こす種族ね。


検問兵が島に飛ばされて生きていたらどうなったかしら?

確実に獣人に対して敵意が向くわね。

余りにも酷い。


クリスタのお願いで殺しておいて正解ね。


「確かに獣人を敵とみなすところね。生きていたらその思いが更に加熱する。殺しておいて正解ね。人間も大概酷いけど獣人も酷いわね。それで、他の問題は何?そっちの方が酷いのでしょ?」

「本当に酷いわよ?あなた達大丈夫?私が殺すのを我慢している状態なのよ?」

「獣人の里が全て攻めて来た事より酷い問題ですか。この国内に問題がありそうですね。一番怪しいのは国防軍だと思います。何故なら授業中も集中していませんでしたからね」


クリスタとレナーテは秘儀を国防軍に教えたはず。

授業を真面目に聞いていない可能性がありますね。

秘儀を侮辱していたらどうしましょうか?


ヴィーネ様の名のもとに殲滅ですね!


「ここから先はシャーロット様の他にヴィーネ様の名に誓って何もしないと宣言しないと言えないわ。余りにも酷いからね。どうするの?」

「鋭いわね。ヴィーネ様の名のもとに殲滅するつもりだったのですが…。授業を真面目に聞いていない可能性がある時点で秘儀を侮辱しているわよね?国防軍を殲滅しましょうか?」

「疑惑だけで殲滅するのはやり過ぎよ。証拠が無ければただの殺人ですからね。国防軍の隊員を見に行きましょうか?授業が終わった後にどれ程鍛えたか見れば全て分かりますから」


ビアンカの言う通り見に行けばいいわね。

明日にでも誰か見に行きましょう。


「駄目よ。シャーロット様とヴィーネ様が止めるわ。私が殺しに行ったとしても止めると言われている。半年間は我慢が必要なのよ。お2人に止められたいの?それなら話はここまでよ」


確実に止められる状況なのね…。


お2人の手を煩わせてしまいます。

そんな事をしてしまっては意味がありません。


「分かったわ。半年間は我慢しましょう。例えどれ程酷い情報が隠されていたとしても顔にも出さないと誓うわ。さあ、話しなさい」

「カーリンが顔に出さなければ被害は最小限に収まるわね。話してちょうだい」

「後悔しないでよ。国防軍のマリアンネさん以外はね、秘儀に隠された秘密があると思っていて初歩も使えない。授業をしていた時から何も成長していない。そして、強くなる為にシャーロット様を深く知る必要があると考えていた。皆が私に追い付けると確信していたわ。更に、国防軍のテストは相当手加減されている。当初予定されていた私想定の殺気を出したら全員死んでいた。レナーテ想定の殺気の半分以下で合格させたのよ。自信を身に付けさせる為にね。でも、子供たちと授業をして鬼ごっこをすれば現実に気付くと考えていたシャーロット様の想定を裏切った。全員が何も感じる事なく私に追い付けると確信したまま秘密を探し続けていた。だから、ヴィーネ様が説教をしたけど余りの酷さに殺そうとした。私も当然殺そうとした。シャーロット様も途中から参加したけど殺そうとした。それ程に酷い。国防軍には選択肢が与えられたわ。半年後に国防軍を募集するテストをやり直す事になったの。担当はヴィーネ様。最初からレナーテ想定の殺気を全開で解放する。国防軍はテストに参加するか秘儀の記憶を消す。そのどちらかよ。だから、半年間は我慢する必要があるの」


余りにも酷い。

秘儀の秘密なんて関係ない。


秘儀を完全に侮辱しているわ。

つまり、シャーロット様を侮辱している。

私にとって絶対に許せない行為じゃないの。


子供たちの努力を馬鹿にしてクリスタに追い付けると確信していた。

子供たちの努力する姿を見てクリスタに追い付けると思わなかった。

だから、秘密が隠されていると勝手に考えたのね。


初歩も使えない状態でそんな事を考えているのが、孤児院に伝わっても子供に伝わっても終わり。

国防軍は潰されるか殺される。


手加減されたテストで合格した事にすら気付かない。

頭も悪いようね。


「半年後に合格しても秘儀の記憶を消したとしても殺せばいいのね?」

「それは駄目よ。国防軍という組織が存在する事が重要だから。シャーロット様は最初から国防軍に強さなど求めていなかった。想像以上に酷いから殺そうと考えただけ。国防軍がなければ子供の成長を待ってしまう国になる。子供を戦争の為に鍛えている国と同じ事をしてしまうのよ。当然お2人がいなければ子供たちは戦うと思う。国防軍より強いし頼りになる。それでも、国防軍を用意しようと思ったと言う事は、子供たちを戦争の為に鍛えているのではないと国民に見せ付ける必要があった。多くの大人がこのまま子供たちが国を守ってくれると考えている。シャーロット様はその考え方が許せない。だから、国防軍は絶対に必要なの。そして、秘儀の初歩を使えればいいの。今回は秘儀の初歩も使えないから問題だったのよ」

「とても大切な事だと思います。子供たちは戦争の道具ではありません。その勘違いは払拭する必要がありますね」


秘儀の初歩を使えれば負ける事はまずない。

それすらできない未熟者たち。

シャーロット様の計画を乱した。


大人の中には子供の成長を待っている馬鹿がいるのは間違いない。

確かに国防軍は必要だと思うけどテストに誰も合格する気がしないわね。

レナーテ想定の殺気を全開に解放したら死者も出るかもしれない。


希望者が激減する可能性もある。


「もう、孤児院軍を組織しましょう?シャーロット様にお願いに行こうかしら」

「待った。カーリンは絶対に動かないで。大変な事になるのよ。何で分からないの?孤児院軍でもいいわ。それでも、カーリンはお願いに行かないで。それだけは約束しなさい」


クリスタは孤児院軍でもいいと思っている。

孤児院の大人だけで国を守れるし邪魔者も粛清できる。


「カーリン、半年後に駄目なら私がお願いに行くわ。あなたが動いたらシャーロット様の考えを無視してしまうのよ。絶対に動かないで。孤児院軍で大人たちが国を守るなら、それでもいいわ。でも、あなたがお願いに行くと完全に違う組織になってしまうの。お願いだから動かないで」

「その通りです。ビアンカの言う通りカーリンだけは動いてはいけません。あなたは孤児院長です。孤児院長がお願いに行くと意味が変わってしまうではありませんか。孤児院全てが軍として見られます。孤児院の大人が守ると、この国の大人にも子供にも伝えるにはカーリン以外がお願いに行かなければなりません」


ビアンカとレナーテの言う通りね。

孤児院長が孤児院軍を作ると宣言した場合、子供たちまで巻き込まれてしまう可能性がある。

それだけは絶対に避ける必要がありますし、シャーロット様が望んでいる事ではありません。


「分かりました。半年後に名前も含めてビアンカかレナーテに任せますね」

「そうそう。孤児院長は子供のお世話が一番大切なんだから国を守る事は私たちが考えるわ」

「今日はクリスタの意見に賛成よ。孤児院長が戦う姿勢を周りに見せるのは余り良くないわ」

「カーリンは孤児院長なのです。カーリンが守るのは孤児院であり国ではありませんからね」


クリスタを尋問するつもりが私が説得されているではないですか。

今夜は信者も自称中立派もまとまっています。


やはり、私が動くと子供が巻き込まれてしまうのね。

シャーロット様に任された孤児院を守るのが私の使命です。

ここは我慢しましょう!


ですが、余りにも酷い時は誰にも悟られる事なく粛清します。

シャーロット様を悲しませる存在は絶対に許しませんからね。

孤児院の大人たちが珍しく結束してカーリンを止めました。

カーリン軍は最強ですが子供ですからね。

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