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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第3章 神国シェリル

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迷走

さて、国防軍の隊長をこのままにしておく訳にはいかないよね。

どうなるか分からないけど余りにも酷い。


迷走にも程があるよ。


「ヴィーネ。ちょっとマリアンネと話してくるよ」

「放置でいいんじゃないの?自己責任だと思うよ」


それは、その通りだと思う。

自分が望んで聞いたのだから。


「国防軍の隊長だからね。続けられそうなのか記憶を消す必要があるのかも含めて話してくるよ」

「マリアンネは変わろうと努力したかもしれない。でも、隊長になれたのはそのお陰ではない。本人はそう思っているみたいだけど、実際はこの国の大人が酷いだけ。テストに集まった大人たちが酷過ぎた。母さんがテストした時に言葉と内容が違っている事に気付いていないから。レナーテが耐えられる殺気を本当に出したら全滅していた。覚悟が無さ過ぎる。クリスタが耐えられる殺気なんて死ぬに決まっている。それなのに、合格者たちは自信を持った。自分たちが手加減されて合格した事を反省していたならまだ良かったのに」


「鍛錬を続けるように仕向けたの。自分より強い人を想定した殺気に耐えたと思えば自信が身に付くじゃない。クリスタを見せて子供たちと鬼ごっこさせれば感じるものがあると思ったけど、そこは思った通りに行かなかった。自分たちは弱いと思ったのだから、子供たちと鬼ごっこをもっとすれば良かったのに、大人たちは子供たちの鍛錬の先にはクリスタがいないと考えた。だから、秘儀の鍛錬をしているつもりで工夫も何もない。子供たちは相談しながら成長しているのに、混ざろうとしなかった。でも、それがこの国の大人たちの標準だから仕方がないよ。国防軍は鍛錬しているつもりの大人が秘儀の初期を使えればそれでいいの。それで、国は守れるのだから」

「母さんはそれでいいかもしれないけど、孤児院の大人たちが動く可能性があるよ?討伐隊や国防隊を潰せなかったのを後悔しているんだから。特にカーリンとレナーテが動く可能性が高いけど大丈夫?」


何で孤児院の大人たちが国防軍を潰そうとするの?

秘儀への感謝が足りないとか言って潰しそう…。


国防軍の人数が増えれば目に付く可能性が高い。

自信満々に歩いているだけで不快に思うはず。

潰しに向かう姿が想像できちゃうよ。


「私が理由を説明すれば止まるよ。ただし、カーリンが動くと止められない。もー、どうすればいいの?カーリンが強過ぎるんだよ!」

「カーリンが止まっても我慢している姿を見せてしまうとカーリン軍が動くからね。国防軍が子供たちに潰される。国防軍を集めて説教するしかないよ。マリアンネだけ変えようとしても意味ないって。私が説教しようか?恐怖の大魔王が説教した方が効果的だよ!」


以前私が子供たちに頼るなと説教した直後にヴィーネが動いたから、効果があるのか分からないんだよね。

人はそんなにすぐには変われないのに。


でも、私が説教をするとヴィーネとクリスタが動くかもしれない。

効果の有無に関わらず、説教をしたという事実だけで。


困った子たちだよ。


止めたら余計に過激に動くだろうね。

本当に困った子たちだよ。


ヴィーネは人の成長に興味がないから、その場で決断してしまう。

マリアンネと話した後に様子を見るのが一番だと思うんだけど、マリアンネには機会を与え過ぎている。

当然ヴィーネも知っているから、それが許せない。

特別扱いしているように見えてしまう。


飛ばされた人の中には私と話した事が無い人が多いのに…。

変われる機会すら与えられていない人からしたら不公平極まりない。


街長として、親として、国防軍の隊長として話そうとしている。


人を導く力が無く、人をまとめる力も無く、人の感情が分からず、人を見る目も余り良くない。

周りを見る目も聞く耳も無く、自分だけの世界にいる。

そして、自分の変化にも気付けない。


貴族として育ち、貴族社会が嫌で冒険者になったのに個人活動していた。

人との連携が苦手なのだと思う。


欠点として考えるのではなく受け入れればいい。

自分に合った事をすればいいのだから。

無理に変える必要もない。


だけど、自分を変えようと努力する。

変われるならいいけど、いつも中途半端になってしまう。

それでも、責任感があり自力もあるから人の上に立ってしまう。


変わろうと努力した事と隊長になった事は褒められるべき。

国を守るのは命懸けだと言っていたのに、自分にはその覚悟が無かった。

昔はあったけど、母親になって怖くなったのかもしれない。


今の自分を受け入れればいいのにマリアンネは拒絶する。

その結果、街長の時は投げ出し、税理官の時は自暴自棄になり、今は迷走している。


自力があるからクリスタを侮った。

クリスタには当然追い付けると考えた。


しかし、秘儀を使ってみてもクリスタの動きができる未来が想像できない。

だから聞いてしまった。

秘密が隠されていると思って。


クリスタの覚悟を聞いた時、自分には覚悟が足りないと分かった。

余りの覚悟に恐怖したから。


でも、鍛錬だけ闇雲に続けようとしている。

秘儀の努力をしている人が一番不快に見える行為だよ。


マリアンネは駄目な区長の影響を受けて変わってしまったと思い同情した。

だから、変わろうと努力するマリアンネを応援した。

隊長になって変われたのだと思った。


マリアンネは結婚して子供を産んで変わったのだと分かった。

その変化に自分で気付いていないだけ。


「今回はマリアンネの子供たちにお願いするよ。それで気付かなければ記憶を消す」

「隊長になろうとしたのも子供に何か言われたからかもしれないね。いいんじゃない」


3人だけに念話(テレパシー)

「マリアンネとマリウスとマルティナは授業が終わる時間に噴水前に集合」


これで後は待つだけ。

ヴィーネとゴロゴロして時間まで待機。


「ヴィーネはどうする?」

「今回はいいや。恐怖の大魔王は寝ているよ」


恐怖の大魔王を気に入ったのかな?

自分で名付けたんだよね?

ふふふ、お子様だね。


赤ちゃんだったよ!


「じゃあ、大魔王は布団を温めておいてね。転移魔法(テレポート)


噴水前に移動した。


既に3人いるね。

会話していないから、やっぱり感じるものがあるのかもしれない。


「お待たせー。1重(シングル)結界。これで会話は聞こえないよ。3人を呼び出したのはね、マリアンネは結婚して子供を産んだ後に変わってしまった事に気付いていないからだよ。マリアンネ、子供たちに誰を目指して秘儀を鍛えているか教えてあげて」

「勿論クリスタです。国防軍の隊長ですから一番強くなる必要があります」


子供たちの前だと臆せず言うと思った。

でも、その言葉を子供たちがどう思うか考えていないんだよ。


「嘘でしょ?僕たちにも勝てないのにクリスタ先生目指しているの?」

「今は勝てないだけだ。すぐに追い付くと言ったじゃないか」

「私たちの努力を否定しているの?自信があるの?どっちかな?」


子供たちの方がクリスタの異常さは分かっている。

そして、自分と母親との力の差も分かっている。


「自信があるから言っているんだ。何故そんなに不安そうな顔をするんだ?」

「自信があるんだ…。何か根拠があるの?」


「誰よりも多く鍛錬すればいい。誰よりも厳しく鍛錬すればいい。違うのか?」

「ねえ、厳しい鍛錬って何?僕はそれを知らないんだ。教えてよ」

「私も厳しい鍛錬は知らない。どんな風に魔力を動かすの?」


完全に呆れられているよ。

マリアンネはそれに気付けていない。


「それを今探している所だよ。何かおかしいか?」

「おかしいに決まっているじゃないか。厳しい鍛錬を探すって何?何も分かってないだけじゃん。それなのに、僕たちにすぐに追い付くとか言っているのは馬鹿にしているのと一緒だよ」

「何で厳しい鍛錬が必要だと思ったの?」


「馬鹿にしていない。厳しい鍛錬が必要だと思ったのはクリスタに追い付く為だ。皆と同じ鍛錬方法では追い付けないだろ?違うのか?」

「違うよ。僕たちの鍛錬方法を何1つ知らないのにどうやってそれが追い付く為の鍛錬方法だと分かるのさ?」

「そうだよ。お母さんが厳しいと思った鍛錬方法は私たちがすでに通った道かもしれないよ?」


子供たちの正論にどう返すんだろう?

どんな回答をしても自分の首を絞める事になるよ。


「お前たちは秘儀の鍛錬をしていて恐怖を感じた事があるのか?それが答えだよ」


なるほどね。

死ぬとは言えないから恐怖に変えたんだ。

恐怖をマリアンネは感じた事が無いからね。


でも、それでは駄目だよ。


「馬鹿にしているの?毎日恐怖しているよ。お母さんはそんな事すら分かってないの?」

「シャーロット様に呼ばれた理由が分かったよ。お母さんは秘儀の鍛錬をしている人を全員馬鹿にしている。クリスタ先生を目標にするのはいいと思うけど、追い付くなんて気軽に言えるのはおかしいから。そんな事言っていたらどうやって追い付くのか皆に聞かれるよ?そして、敵をどんどん増やす事になる」

「恐怖しているだと?お前たちはそこまでたどり着いているのか?それなのに、クリスタとあれ程の差があるのか?」


どんどん深みにはまっていくね。

クリスタを基準に話しているから、余計におかしく感じてしまう。


「お母さん、また逃げたんだね。僕たちを産んで逃げ癖がついたの?それに気付いていないのかな?恐怖なんて初歩の次だよ。初歩を覚えたら次は恐怖なんだよ。マルティナの言った通り、周り敵だらけになる。税理官の時と一緒だよ」

「初歩の次が恐怖だと…。逃げ癖がついていたら隊長になれる訳がないだろ。国防軍は逃げ癖のある私より覚悟のない奴しかいないのだぞ」

「お母さんが逃げたのは秘儀の鍛錬だよ。クリスタ先生から何か聞いたでしょ?それが怖いから逃げたんだよ。国防軍の隊長で冒険者の先輩のお母さんになら、クリスタ先生も何か話すかもしれないから」


ここら辺で十分。

マルティナが正解だからね。


「ヴィーネから鍛錬を続ければ到達できるって聞いたよね?その鍛錬は子供たちがしている鍛錬の事だよ。想像力が足りないって言われたでしょ?それは、子供たちがしている工夫の事だよ。クリスタの話を聞いて恐怖したマリアンネは秘儀の初歩しか使えないんだよ。秘儀を鍛えたら常に恐怖が付きまとうようになる。私は国防軍の隊長に選ばれたマリアンネは頑張ったと思った。でもね、隊長が一番強くないといけないなんて誰も決めてないし言ってない。マリアンネが自分で決めただけ。そして、自分より強い相手が目の前にいるのに教えてもらう事も、一緒に訓練する事もしない。国防軍の大人全員がね。本当は全員に説教をするつもりだった。でも、全員に説教をした場合、マリアンネは一番弱くなる。何故ならクリスタに追い付くと言って譲らないから。皆と一緒の訓練をせず1人鍛錬をしようとするはず。だから、特別に呼び出した。マリアンネをずっと見てきた私が教えてあげるよ。マリアンネは自力もあるし責任感もある。だけど、子供を産んでから冒険者時代とは同じ事ができなくなっている。それに気付いていない。それを受け入れるべきだよ。別に恥ずべき事じゃない。1人ダンジョンに潜っていた時と、子供が2人もいる今が同じと考える方がおかしい。今のマリアンネは1人ダンジョンに潜れない。何が変わったか言わなくても分かるね?選択肢を4つ用意したよ。弱くてもいいから隊長を続ける。子供たちと一緒の訓練を国防軍全員の訓練課程に入れる。隊長を辞めて秘儀を忘れる。税理官も辞めて家庭に入る。どれにする?」


流石に私から言われたら気付いたね。

冒険者の時は自分が死ぬのを恐れずに潜り続けれた。

今は子供を残して死ぬのを恐れているから潜れない。


隊長になっても命懸けの戦いはマリアンネにできない。

私はそれでもいいと思っている。

責任感を持って仕事をしてくれるから。


「子供たちと一緒の訓練を国防軍全員の訓練課程に入れます。私も子供たちと一緒に訓練します。子供たちから教わるつもりです」

「分かったよ。3人ともここでの話は秘密ね。あと、子供たちとの訓練を望まない隊員は秘儀の記憶を消すから教えて。秘儀に近道はない。秘密も隠されていない。クリスタは討伐隊で秘儀を覚えてから、睡眠以外の時間は全て鍛錬しているよ。勿論今もだよ。子供たちから教わる事はたくさんある。恐怖に打ち克てないと思ったら秘儀を忘れたいと社に言いに来ればいい。恥ずかしい事じゃないからね。結界解除。じゃあ、頑張ってね。またねー。転移魔法(テレポート)


恐怖の大魔王がいる布団の中に直接移動する。

温かいのはいいね。


「ただいまー。上手くまとまったよ。国防軍は子供たちと訓練する。訓練しない隊員は秘儀の記憶を消す事に決まったよ」

「おかえりー。相変わらず優し過ぎるよ。マリアンネを見逃すのはこれで最後だから。クリスタを警戒する私の身にもなってよね」


あー、特別報酬でばれているね。

でも、子供たちも呼んでいるから動かないはずだよ。


「クリスタは動かないよ。今回は子供を巻き込んだからね。私は選択肢を用意しただけ。マリアンネを追い詰めたのは子供だよ」

「まあ、子供からしたら母親が意味不明な事を言っていたら嫌だよね。しかも、クリスタに追い付くと自信満々に言われたら鍛錬の方法を絶対に聞く。そこで詰まる。だって子供たちの鍛錬の延長にあるんだから、何も知らないマリアンネは答えられない」


「もうすぐお祭りだしゴロゴロしてようよ。今回はシィーナ姉ちゃんも来ると思うから安心は間違いなしだよ。お金も持って来る可能性があるよ」

「そうだったね。やっと酔っ払いから解放されるのか…。姉が横にいれば酔ってても安心だけどね。私の見た感じたと5000年以上生きている叔母さんより姉の方が強いよ。殺戮衝動に耐えながら実験していたようだし、相当意志が強い。魔力操作の精度も確実に姉の方が上だよ。私も孤児院で母さんとゴロゴロできるかも。楽しみだね!」


やっぱりシィーナ姉ちゃんの方が強いよね。

本当にとんでもない事だよ。

竜王は火を吹いて遊び過ぎ。


火吹きドラゴンと偽勇者ばらそうかな。

説教地獄だね。


世界樹吹き飛ばしたのがばれたら半殺しだよ。


最高のお祭りだね!

あはははは、ついに主導権がこちら側に来たよ。

マリアンネは本当に恵まれていますね。

気付けるでしょうか?

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