侵略者
ヴィーネの話を聞いてから探知の範囲を広げているんだ。
大陸全体と少しだけ海も見ている。
侵略者を上陸させる気はないからね。
どこから来たのかは記憶を覗けば分かる。
さて、さっそく上陸しようとしている人たちが大勢いるね。
殺意に満ち溢れている。
世界樹に向いているから間違いなくこの国を侵略するつもりだ。
狙いは何か分からない。
でも、大量殺戮を前提とした侵略なのは良く分かったよ。
お母さん、好きに生きるのって難しいね。
多くの人を救うつもりで動いてきたのに殺す結果になってしまった。
本音を言えば、今の私はヴィーネとゴロゴロできるなら場所はどこでもいい。
この国の為に大量殺戮を私がする必要は無いのかもしれない。
だけど、私が始めた事だから。
責任を持って独立するまでは守り抜くよ。
何度だって侵略者を皆殺しにするから。
お母さん、血を止めるね。
【頑張りなさい】
おかしな話だね。
心臓が止まる時、お母さんの声が聞こえた気がしたよ。
お母さん、頑張るね!
「ヴィーネ行こうか!」
「神国シェリルの名前を世界に刻まないとね。手加減は一切必要ないよ」
「勿論そのつもりだよ!転移魔法」
大陸の北西の海岸沿いに移動した。
まあ、この位置から考えたら北西の大陸の国だろうね。
今まで一度も訪れた事が無い。
王族や貴族を皆殺しにした事が無い。
最初に侵略に来るのは北西の大陸の国だと思っていたよ。
目の前には20を超える艦隊だね。
大砲も見える。
神国シェリルでは研究されているけど、他国では見た事が無い火薬を使えるんだ。
結構発展している国なのかもしれないね。
侵略者の動きを待つ必要は無い。
念力。
全ての艦と人の動きを止めて空中に浮かせる。
「ヴィーネ、誰が責任者か探してきて」
「はーい。行ってくるね」
ヴィーネにもちゃんと手伝ってもらう。
見学だけだと後で絶対に拗ねるから。
少ししてヴィーネが1人の男を連れて来た。
「この人が艦隊長という肩書で一番偉いみたい」
「ありがとう。じゃあ、その人に艦隊の終焉を見せてあげよう」
何人死んでも気にしない。
奴隷が乗っているのも気にしない。
兵士も奴隷も侵略者には変わらないのだから。
艦隊長を話せるようにする。
「やあ、艦隊長。お前たちが侵略しようとした結果を今から見せてやる」
「な、何をするつもりだ!」
「処刑だよ!」
念力で全ての浮いている艦を密集させる。
3重結界で艦隊を囲む。
火魔法。
ヴィーネが古代種ドラゴンを殺した時に使った方法だね。
真似してディーン姉ちゃんも使っていたから、私も使ってみた。
「みんな真似し過ぎだよ!恥ずかしくなってきた…」
「綺麗に片付くからいい方法なんだよ。そろそろ跡形も無くなったね」
「な、なんだこれは。なんだこれはー!お、お前たちはなんだ…。俺たちは何をしてしまったんだ…」
何を馬鹿な事を言ってるんだろう?
侵略しようとしたからに決まっているじゃない。
常に侵略が上手く行くと勘違いでもしていたのかな?
世界を知らないからそういう事になるんだよ。
結界解除。
侵略者でも綺麗な灰になって風で飛ばされたり海に落ちたりしていくね。
形として残っている物は何も無い。
凄くいい方法だよ。
「神国シェリルを侵略しようとした結果だ。受け止めろ。ヴィーネ、挨拶に行こう」
「はーい。転移魔法」
国王の前に移動したね。
白い髭面のただの老人にしか見えない。
冠と赤い金の刺繍がしてあるマントと派手な服がなければ、普通の人間だね。
「な、なん…」
「黙れ!許可なく口を開くな。殺すぞ」
この国全体を殺気で威圧する。
死人は出ないだろうけど、動ける人もいないだろうね。
「ヴィーネ、関係者を全員集めて」
「はーい。召喚魔法」
50人程の人間が集まった。
艦隊長の首を掴み震えている関係者の元に投げ捨てる。
集められた人は綺麗で派手な服を着ているから貴族とかだろうね。
「お前たちは神国シェリルを侵略しようとした。その報いを受けてもらう」
「母さんどうするの?生き地獄を与えるんだよね?」
私とヴィーネの会話を聞いて全員の顔が青褪める。
生き地獄は恐ろしいみたい。
「まずはこの国から簡単に逃げられないようにしよう。土魔法、国全体を10mの壁で囲ませてもらった。さて、覚悟はできたか?召喚:吸血ダニ。ヴィーネを除くこの部屋にいる全ての人間に寄生しろ」
「初めて吸血鬼らしい事をしたね。せっかくだから、どうなるか教えてあげたら?」
吸血ダニの大きさは1mm。
鼻や口から体内に侵入した。
人間たちは異物が体内に入ったと感じたようだね。
咳き込んだりして吐き出そうとしているよ。
そして、これから何が起こるのか分からなくて恐怖で震えているよ。
勿論何が起きるのか教えてあげるから心配しないで。
ただし、この国にいる全ての人にだけど。
念話。
「やあ、神国シェリルを侵略しようとした国の皆さん。国王や侵略を考えた関係者全員の体内に寄生虫を入れた。この寄生虫は人の血を吸い卵をたくさん産む。卵が人間にとっては毒になるから、体に青紫色の斑点ができる。勿論痛みは日に日に増していくよ。そして、毒でその人間が死んだ後、腐った体を栄養に卵が孵化する。そして、孵化した寄生虫たちが一斉に飛び出て新しい宿主を探すよ。殺したら生きている寄生虫が飛び出るから気を付けてね。勿論自殺しても寄生虫は飛び出るよ。地下世界の寄生虫だから焼いても、水に沈めても死なないから。侵略をしようとした罪はこの国全体に背負ってもらう」
「母さんは優しいね。この人たちがすぐに殺されないように教えてあげたんだから」
「国王、最後に言いたい事があるなら聞いていやるぞ?」
何を言うかな…。
大国の王だし私1人の責任だ、とか言うかな?
「大臣たちに唆されたのだ。許してくれ!金ならいくらでも払う。儂だけでも助けてくれ」
興醒めだよ!
大国の王なのに責任逃れか。
侵略された国の中にはこいつより立派な王がいただろうね。
国王は椅子に座っているし狙いやすい。
今まで使ってなかったし、せっかくだから使うか。
刀を横薙ぎに一閃する。
真空波が国王の足を切断する。
低位回復魔法。
あまりの切れ味に何が起きたのか気付いてないね。
足も切断されていないように見える。
椅子の脚ですら微動だにしていない。
「おい、国王。お前の答えの返事だ。足を上げてみろ」
「足を上げる?何故そのような…。あ、足、足が。儂の足がー!」
国王が動いた事で、椅子が崩れたね。
国王が転がってるよ。
「母さん、もしかして練習したの?手加減して真空波で切断するとか初めてだと無理だよね?」
「何事も経験だよ。国王の椅子までしか届かないように手加減してみたけど上手く行ったね」
殺気を止めたら、悲鳴を上げたり走って外に出ていく人もいる。
ここにいたら住民に何をされるか分からないからね。
自殺しない限り、激痛で死ぬ事に変わりないけど。
お母さん、血を使うね。
【甘いわよ】
心臓が動き出す時、お母さんの声がまた聞こえた気がした。
今度は笑われたよ。
私はお母さんの娘だからね。
全部お母さん譲りだよ!
「じゃあ、ヴィーネ帰ろうか」
「そうだね。バイバイ、侵略者たち。転移魔法」
社に移動した。
「母さんは優しいね。結局死ぬのは関係者だけだもん。吸血ダニは卵をたくさん産んだら死ぬし、卵は濃い瘴気が無いと孵化しないからね」
「大国だから混乱も大きくなって、餓死者もでるかもしれない。侵略をする国の国民を無罪だと考えるのはやめたから。噂を広げてもらわないといけないから梯子を作って脱出して欲しいね」
寄生虫が怖いから脱出しようとするはず。
壁が無いと国民への恐怖が足りないから仕方ないね。
「そうだね。噂だけは広げて欲しいね。手間が省けるよ」
「こういう日はお風呂に入ってから寝よう。お風呂に行くよー!」
「はーい。お風呂ー!」
ヴィーネと一緒にお風呂に入ってから、布団に入る。
今日のヴィーネも抱き付いてくるのが早いね。
私にはこの温かさがあれば十分だよ。
お母さんも抱き付く私にそう思ってくれていたなら嬉しいな。
シェリルの生き甲斐はシャーロットです。




