発展する街と侵略者
国防軍が秘儀の授業を終えてから、魔石の供給が増えたんだ。
訓練で国外に出て魔獣を討伐するついでに魔石を拾ってくるんだよ。
魔獣の肉も、売る物と孤児院に寄付する物を用意してくれている。
ほんと素晴らしいね。
そして、魔石をエルダードワーフが加工する。
入れる魔法は光魔法か氷魔法が多いね。
各家庭にはランプと呼ばれる灯りを点ける道具が置かれ始めている。
光り続ける提灯を手で持ち運びできるようにしたような物だよ。
エルダードワーフの意匠により古美術品みたい。
魔石を使っているから魔道具と呼べばいいのかな?
冷凍箱も同様だね。
少しお値段が高めだけど決して買えない物ではない。
生活がかなり変わるから多くの母親は冷凍箱を欲しがっているね。
夜にゆっくりお酒を飲みたいならランプだね。
これから先は様々な魔道具が増えていくかもしれないよ。
学校の卒業生は魔法が使えるから仕事にも利用しているんだ。
魔石に魔法を入れたり、道の舗装をしたり様々だね。
研究室も凄い事になってきているね。
エルダードワーフに研究好きがいるみたいで、ダミアンと意気投合しているよ。
研究員に家はいるのかな?
研究室は不夜城とか呼ばれているけど…。
どの時間帯にも人がいるんだから凄いよね。
うーん…、凄いね!
国がどんどんと発展して行くよ。
とてもいい流れだね。
基本ヴィーネとゴロゴロして偶に遊びに外出するだけでいいんじゃないのかな?
ゴロゴロしていたいよね!
そんな気持ちを込めてヴィーネを見たんだけど、明らかに不機嫌だよ。
嫌な予感がひしひしと伝わってくるね。
「ヴィーネ、ゴロゴロ中にどうしたの?何か嫌な事が遭った?」
「最高に嫌な気分だよ。世界樹が目立つから誰でも迷わずにこの国にたどり着ける。ハーピィもセイレーンも人魚もいるのが行商人から伝わっているのかもしれない。別大陸の大国が侵略する気満々になっているよ。先手で殺さないように眺めているだけなんだけど、もう少ししたら殺し合いが始まるね。どうする?」
先手で殺す必要は無いと言ったばかりなのに…。
世界はこの国の怖さを知っていると思っていたけど、犯罪に関わる人を皆殺しにしていたから伝わってないのかも。
偶には友好を結びに来る国があってもいい気がするんだけどね。
まだまだ先の話になるのかな。
「ヴィーネ、今はゴロゴロしてようよ。敵意を持って攻めて来るなら殺せばいいんだから。攻める事を決めた国王や貴族には見せしめとして生き地獄を味合わせる。方針を変更するよ」
「そうだね。気にし過ぎていたよ。攻めて来たら殺せばいいんだから。世界中に神国シェリルの名前を刻み込んであげないとね」
やる気になっちゃったよ。
今までは被害者を減らす事ばかり考えていたんだけど駄目だね。
同じ事の繰り返しだよ。
奴隷が国王になり貴族になり奴隷を使う。
新しい国王が他国の侵略を考える。
終わらないよね。
大反省だよ…。
最初から世界の人々に痛みを教えれば良かった。
世界中から恨まれる国になるかもしれない。
だけど、気にしない事にしよう。
攻めて来た方が悪いのだから。
神国シェリルは他国を侵略しない。
奴隷も差別も許さない、世界一優しい国だと私は思うから。
念話で全住民に連絡しておこう。
「別大陸の大国がこの国を侵略する気になっていて、もうすぐ戦争が始まるよ。私たちが対応するから心配はいらないけど、今後入国する人は注意しておいてね。特に行商人は気を付けて。ハーピィやセイレーンや人魚を目撃したと誰かに報告したら殺すと脅しておいてね」
侵略者には死か生き地獄しか与えない。
神国シェリルはどんな国かを世界中に知らしめてあげるよ。
不幸は突然訪れますが侵略者には関係のない言葉です。




