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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第3章 神国シェリル

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閑話 バルドゥル 現実

国防軍に所属する為のテスト。

秘儀を教えてもらえるという事もあり、全員が参加した。

ドラゴン族の大人は子供から話を聞いてはいたが、それでも自分の合格を疑っていなかった。


それは、ドラゴンもグレートドラゴンも変わらなかった。

自分より強い人間がいる事は認めるが、それでもドラゴン族は最強の種族。

人間や獣人のような短命種が参加しているテストならドラゴン族は全員が合格すると考えた。


現実は単純にして明快だった。

本当にドラゴン族の大人は成長しないのだと痛感した。

子供のドラゴンは親と同じ知識を継承しているが、現実を素直に受け止める事ができる。


あれ程子供たちが言っていたのに…。

この国では自分たちより他種族の子供の方が強いと。


生き残ったグレートドラゴンも子供の言葉を信じた。

その判断は間違っていなかった。


自分たちが最強だと疑わないグレートドラゴンは皆殺しにされた。


ただ、心のどこかで信じきれていなかったのだと思う。

あの人間の女性だけが特別に強い。

そんな風に考えたのかもしれない。


その慢心とも言える心は今回のテストで粉々に砕け散った。


シャーロット様が真祖になり殺気を出す。

それも、孤児院で働いている女性を想定しての殺気。


つまり、人間の女性が耐えられる殺気だ。


ドラゴン族は余りに哀れな現状だ。

最後の殺気を出す前に残っていたドラゴン族は私とエリーアス様の2人だけ。


隊長に選ばれる為にシャーロット様までたどりつくテストでも人間の女性に負けた。

どんな勘違いをしていたドラゴン族でも目を覚ますだろう。

竜王のジェラルディーン様は強い。

ヴィーネ様も強い。


本当にそれだけだ。

他のドラゴンは強くないのだ。

これで最強の種族だと吹聴するなら笑われるだけ。


竜の国のドラゴンは自分たちが最強の種族だと信じて疑わないだろう。

人間に殺されたグレートドラゴンを見た後でさえ、ドラゴン族は強いと疑っていなかったのだ。


私とエリーアス様で気絶したドラゴンたちを起こす。

何が起きたかのか理解していない様子だった。


エリーアス様も薄々感じていたが、確信に変わったのだろう。

「私とバルドゥルがテストに合格したが隊長にはなれなかった。はっきり言ってドラゴン族は弱い。竜王様とヴィーネ様は確かに強い。だが、私たちとは関係ない。お前たちは簡単に気を失った。他の種族の戦士は耐えていた殺気に耐えられなかった。これで最強の種族だと言えるのか?子供たちの言っていた通りじゃないか。今回のテスト結果を受けて素直に認めろ。努力せずに年齢を重ねるだけで強くなる。確かにそうかもしれないが大して強くはならない。強くなる為の努力が必要だと理解しろ。勘違いを続けていれば殺されるぞ。私とバルドゥルは強くなる機会を得た。お前たちは来年も挑戦するのであれば鍛錬をしろ。長命種のドラゴン族が簡単に倒れるという事は、今まで何もしてこなかった結果だ。本来は恥ずべき事なのだぞ。分かったな?」

「「はい。分かりました!」」


エリーアス様の言葉で神国シェリルに住むドラゴン族の目は覚めただろう。

そして、子供たちと授業を受け、鬼ごっこを通し改めて理解する。


私たちは本当に弱い。

秘儀を知って尚、どの種族の子供よりも弱い。

竜の国にいたら知る事のなかった現実かもしれない。


しかし、私は感謝している。

ドラゴン族で最弱と言われている我らドラゴン。

この国ではそれを覆せる。


少し強く産まれただけの勘違いした上位のドラゴン族よりも強くなれる。

努力したドラゴンがより強くなるのだ。

種族や年齢など関係ない。


最高の環境だ。

どれだけ努力して強くなっても更に強い人が身近にいる。

これ程に自分を鍛える環境に適した国はここしか無いだろう。


ドラゴン族は強さが全て。


ここから先は種族ではない。

自分の努力した結果が全てだ。

私はどこまで強くなれるだろうか?


楽しみで仕方がない。


もし竜の国のドラゴンが攻めてきたら私が全て倒すつもりで鍛える。

最弱と言われているドラゴンが古代種(エンシェント)ドラゴンを倒してみせよう。

目を逸らしてきた現実に向き合う事ができましたね。

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