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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第3章 神国シェリル

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秘儀

「シャーロット様、クリスティーネに秘儀を教えても問題ないと判断しました。よろしくお願いします」


外からカーリンの声がするね。

クリスティーネも連れて来ているから合格したんだね。


何故か私の歴史の授業だけど…。

孤児院の仕事は真面目にしていたから問題は無かったんだけどね。


社から飛び出して2人に話し掛ける。

「カーリンから合格をもらったなら秘儀を教えてあげてもいいよ。ただし、真面目に訓練する事を約束できるかな?」

「勿論です。秘儀を覚えて魔法が使えるようになりたいのです。魔法でどんな事ができるようになるのかとても楽しみです」


あれれ?

今まで無かった反応だね。

魔法を覚えたいから秘儀を覚えたいんだ。


「カーリン。魔法を覚えるのに秘儀は必須では無いと思うんだけど、どうしてそんな話になったのかな?」

「クリスティーネが魔法を覚えたいと言った時、クリスタが教師になると言い出したのです。しかし、ビアンカがクリスティーネの体に触る事なく魔法を覚えさせてあげられるか確認をしたところ、クリスティーネの状況では不可能だと判断されました。その為、秘儀が必須となった訳です」


なるほどね。

クリスタは魔力を動かして魔法を覚えさせてあげるつもりだったけど、ビアンカに牽制されたんだ。

秘儀を応用する事は許さないといった感じかな。


私は別にいいと思うんだけど…。

信者と中立派でクリスティーネを取り合ってない?


「魔法は誰から教えてもらうつもりなのかな?」

「回復魔法だったらレナーテ、それ以外の場合はクリスタになりました。クリスティーネの希望です」

「クリスタの方が歴史の知識もあるので、回復魔法以外ならクリスタの方が魅力的だと感じたのです」


社からヴィーネが出て来たね。

「母さん、最高に面白い状況だよ。レナーテなら全て教えられるのに、クリスタが候補に上がっているのは予想外の展開じゃない?クリスタは絶対ご機嫌だよ。回復魔法が使える確率は少ないからね」

「クリスティーネに聞きたいんだけど、クリスタの方が歴史の知識があるってどういう事かな?ビアンカが歴史の授業の教師だよ?」

「秘儀を使いこなすにはシャーロット様の歴史を深く知る必要があるそうなのです。そして、現在クリスタだけ抜き出ているという事は、孤児院の中でシャーロット様を一番深く知っているのはクリスタです。この考えは孤児院の中では共通認識なのです。その為、回復魔法以外なら歴史を教えてもらいながらクリスタに魔法を教えてもらうつもりです」


孤児院はどうなっているのかな?

ここでも私の歴史が関係しているよ。


秘儀を使いこなすのに私の歴史って必須かな?

全然関係ないと思うんだけど。


天使のカーリンが少し悔しそうだよ。

クリスタが選ばれるのは不本意なんだね。


レナーテに魔法を教えさせて味方に引き込む予定だったのに、クリスティーネが変なところで真面目だから上手く行かないんだ。

私の事を深く知りたいのが理由だと言われると恥ずかしいね。


「母さんは勘違いをしているよ。秘儀を使いこなすのに母さんの事を深く知る必要は無いと思っているでしょ?それは間違いだよ。クリスタの領域まで秘儀を使いこなそうと思ったら母さんを深く知る必要がある。私が断言してあげるよ」

「クリスタが一番シャーロット様を深く知っているのです。そして、中立派などと言っているのです。孤児院としては、それを放置する訳にはいかないのです。確実にクリスタはレナーテより信者です。それを本人に認めさせる為に叩きのめす必要があるのです」


孤児院の話だよね?

みんな本当に何しているの?


ヴィーネまで断言するし。

訳の分からないところで争っているよ。


「母さんは客観的に自分を見る事ができないから関わらない方がいいよ。ややこしくなるからね。クリスティーネに秘儀と魔法を教えてあげていいよ。母さんの歴史の授業の大切さを分かっているなら問題ないよ。後は孤児院で教えてあげてね」

「分かりました。では、孤児院で教えたいと思います。それでは失礼します」

「ありがとうございます。失礼します」


そんな事あるの?

2人とも帰っちゃったよ。


ちょっと酷くない?

秘儀を考えた私を無視して話が終わったよ。


「ちょっと、ヴィーネちゃん。普通は私が秘儀を教えてもいいと許可を出すところじゃないのかな?私を無視して話が終わっちゃったじゃないの」

「母さんは誤魔化すでしょ?孤児院の大人たちが考えている事は間違ってないよ。クリスタが母さんの事を一番理解しているのも間違ってない。そうじゃないと、絶対にあそこまで秘儀を使えない。授業で母さんが秘儀を生み出した過程を教えているけど、本当に理解しているのはクリスタだけだよ。子供たちもクリスタ以外の孤児院の大人たちも秘儀の怖さを曖昧にしか理解していない。曖昧に理解するだけで母さんの痛みがなんとなく分かる。クリスタは母さんが実験した内容を完璧に把握しているよ。だから、クリスタは誰よりも強いし、秘儀を雑に扱う人を許さない。母さんを侮辱する人を許さない」


「それは分かってるよ。クリスタのように強くなるのは厳しいからね。だけど、それと私を深く知っているのは関係ないでしょ?」

「秘儀を使うだけなら関係ないと思うよ。でも、クリスタを目指すなら必須だね。クリスタは母さんの為に強くなったんだよ。母さんが人間の為に生み出した秘儀の凄さを皆に理解させる為にね。クリスタが秘儀を追求し続けるのも母さんの為だよ。死ぬような魔力操作をした場合、母さんが止めに来る事も理解しているだろうね。でも、クリスタはそれに甘えていない。今のクリスタが感情で魔力操作をした場合死ぬでしょ?でも、エルネスタを殺そうとした時も魔力操作は乱れていなかった。感情と魔力操作を切り分ける事ができている。母さんを知らない人が魔力操作をした場合、頑張って子供たちくらいまでだね。クリスタの領域まで強くなろうとしたら確実に死ぬよ。母さんがどんな実験をしたか知っているからクリスタは間違えないし、覚悟できるの。本当は分かってるでしょ?」


娘に諭されているよ。

とても悲しいよね。


ヴィーネには見破られていたみたい。

母としての威厳が無くなりそうだよ。


もしかして…。

最初から無かったのかな。


泣いちゃうよ?


「分かっていました。クリスタは私の努力を無駄にしない為に独りで過酷な道を歩き続けたんだよ。死の恐怖を抱えながらね。私を理解しているからギリギリまで来てしまう。本当はもっと余裕のある身体強化で良かったんだよ。死の恐怖を抱えるほど追求して欲しくは無かった。でも、クリスタは優し過ぎるから私の気持ちに寄り添ってしまう。私の実験を想像し、それを無駄にしないように努力してしまう。そして、私の実験が余りにも過酷だったから、クリスタに覚悟させてしまった。死の恐怖を身近なものにしてしまったのよ。クリスタは絶対に死なせないけどね」

「分かってると思ったよ。母さんはカーリンやクリスタには激甘だからね。私もかなり甘いけどさ。命令した訳でも指示した訳でも無いんだから気にし過ぎだよ。人生を明るく切り開くにはクリスタの身体強化は行き過ぎているけど、クリスタは楽しんでいるんだから、それでいいじゃない。信者と中立派の戦いが楽しみだよ」


「勇者クリスタは孤独なの!クリスティーネを仲間にしないといけないから大変なんだよ」

「クリスティーネは第3勢力になるかもしれないよ?信者と中立派の戦いを楽しみにしているんだから」


「おかしでしょ!孤児院で何やってるの?子供の世話がついでになってるじゃない」

「しょうがないよ。孤児院は母さんが集めた人ばかりだからね。おかしくなるのは必然だよ」


あれー?

私がおかしいから孤児院がおかしいって言われてない?

これは間違いなくヴィーネにおかしい人扱いされてるよね?


「もう寝ます!私はおかしくありません!」

「じゃあ、私も寝るー。早く寝ようよー」


結局一緒に布団に入る事になるんだよね。

すぐにヴィーネは抱き付いてくるし。


甘えん坊の反抗期という事にしておこう。

こんな程度で挫けたりしないんだからね!

ヴィーネちゃんはゴロゴロしたいだけです。

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