閑話 ジェラルヴィーネ 獣人の里の答え
母さんは私に余り殺しをして欲しくないのだと思う。
先手を打って被害を最小限にする必要も無いと考えているんじゃないかな。
この国の為に色々と考えて動く事を望んでいない気がする。
母さんはこの国に縛られていたから、余計にそう思うんじゃないかな。
でも、獣人の里の選んだ答えは酷いね。
流石にこれは無いよ。
色々な選択肢があった。
考える時間はいくらでもあったのに。
勝てる訳が無いと分かっていないのかな?
それとも戦って死ぬのが獣人らしいとでも思っている?
先頭を歩いている2人は里長の虎と狼の獣人。
その後ろを建物を囲んでいた獣人が殺意を持って歩いている。
更に後ろにも殺意をもった集団がいるから2人の里の獣人と移住許可されなかった獣人かな?
続くように後ろには話さなかった里長の犬の獣人が歩いている。
怯えている訳でも、殺意を持っている訳でも無く、ただ付いて行くだけという感じ。
その里の獣人たちも同じような感情だ。
ただ前に付いて歩いているだけ。
里長の犬の獣人は私の強さを理解しているはず。
殺意が無ければ見逃してもらえると考えているのかな?
子供を連れて行けば殺される事は無いと考えているのかな?
うーん…。
こんな状況になるのは想定外過ぎる。
皆殺しにすれば簡単に解決する。
それは、母さんが私に望んでいない行為。
どうすればいいか分からないよ。
「母さん、獣人の里の全住民が攻めて来るよ。子供も含まれている。殺意がある人とない人がいるから、里長に騙されて連れて来られた人もいるかもしれない。恐怖している人もいないから」
「余りにも短慮だね。どうせ殺されるなら戦って死ぬのが戦士だとでも思っているのかな?未来はいくらでも変える事ができるはずなのに、自分たちで終わらせちゃったね」
「どうする?ここに到着するまで待つ?」
「勘違いしている馬鹿の相手は面倒だよ。私が実験している上空から海に落とそう。殺意がない人の中に里長が混ざっていると思うんだけど、どれか分かるかな?」
母さんはある程度予想できていたのかな?
犬の獣人2人だね。
結局最後まで声を聞く事が無かったよ。
「分かるよ。里長の位置は把握しているから」
「そっか。じゃあ、その里長も魚の餌にするから転移させて」
黙って多数派に合わせれば無罪とはならないから。
人に罪を擦り付ける可能性もあるから、余計に質が悪く感じるよ。
「転移魔法。殺意がない里長は送ったよー」
「はーい。殺意がある人は全員送るよ。転移魔法」
「残りの人はどうする?記憶を消して里に戻す?」
「記憶を消して例の島に飛ばして。優しい対応は終わったからさ」
獣人の里を移住させただけで、どれだけ手間を取らされたのか…。
気紛れに推薦したのが間違っていたのかもしれない。
また失敗しちゃったよ。
「はーい。闇魔法、転移魔法。終わったよ」
「お疲れ様。私たち以外の人が選別して移住を行うと問題が残っちゃうね。今回の事は反省して次に活かそう」
勉強になったと思っておこう。
でも、警告したばかりなのに攻めて来るのは余りに短慮だよ。
ハーラルトとアンゼルムには伝えておこう。
忠告しに行ったのだから気にしているはずだよね。
「念話、ハーラルトとアンゼルムにお知らせだよ。獣人の里の全住民が攻めて来たから、殺意がある人と里長は魚の餌にして、残りの人は記憶を消して島に飛ばしたよ。せっかく忠告したのに残念だったね」
「そこまで愚かでしたか。ご迷惑をおかけしました」
「殺されそうになった時に見切りをつけました。全く気にしません。お手数をお掛けしました」
移住を推薦した私が選別までするべきだった。
中途半端な事をしてしまったせいだね。
考えれば考えるほど私の失敗だよ。
母さんとゴロゴロしたいだけなのに自分で時間を減らしている。
反省しないといけないね。
のんびり暇をつぶしながら世界を眺めていよう。
母さんの言った通り、焦らずに後手で対処しても問題は起きないのだから。
考える事を放棄して攻めてしまいましたね。
ドミニクが標準ですから仕方がないのかもしれません。




