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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第3章 神国シェリル

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閑話 ハーラルト 再会

ハイオークを連れて再度選別をされるとは思っていたが、俺は感情を見る事ができない。

かなり真剣に選別をしたが、される側になると流石に怖いな。

アンゼルムも緊張しただろう。


飛ばされた奴がいなくて一安心だ。

マリアンネさんと仕事の相談もしたが、やはり早急に孤児院の専任料理人を決めて欲しいそうだ。

給料も悪くないので立候補者もいると思うが、その中から候補を選びたいと思う。


孤児院はシャーロット様が出入りする施設で、子供の感情を特に丁寧に観察しているらしい。

勘違いした奴を選ぶ訳にはいかないな。


色々今後について悩んでいると、前から1匹の犬が歩いてきた。

時間は夕暮れなので模様は良く見えないが、知っている犬のような気がする…。


「こんばんは。お久しぶりですね。妖精犬(クー・シー)の女王をしているエラです。メヒティルデの横に座っていたので何回かお会いした事がありましたので会いに来ました」


犬に話し掛けられた。

突然の出来事で頭が混乱する。


分からない事が多過ぎる。


「すまんが、妖精猫(ケット・シー)以外にも話せたのか?何故黙っていたんだ?」

妖精猫(ケット・シー)以外にも話せるようになったのはシャーロット様のお陰です。当時は妖精猫(ケット・シー)としか話せないと思っていました。首輪に付いている魔石によって、誰にでも念話(テレパシー)で話す事ができるようになりました。妖精犬(クー・シー)念話(テレパシー)でしか会話ができない種族だったのです。そして、自分たちでは念話(テレパシー)を使う事ができないのですよ」


相当特殊な種族だったんだな。

妖精猫(ケット・シー)念話(テレパシー)妖精犬(クー・シー)と話していたのか。

それを簡単に解決してしまうシャーロット様は、やはり桁違いだな。


「かなり苦労してきたみたいだな。妖精猫(ケット・シー)とは上手く過ごせているのか?」

妖精猫(ケット・シー)は新しい女王のベティーナ以外全て飛ばされました。ベティーナとは良好な関係を築けていますよ」


やはり妖精猫(ケット・シー)は飛ばされたか。

自分たちが妖精犬(クー・シー)を奴隷として使っているという認識すら無かったのだな。


新しい女王だけでも残れたのが奇跡だ。

他の妖精猫(ケット・シー)とは考え方が違うのだろう。


「そうか。色々あったみたいだが、この国はどうだ?正直な感想を聞かせてくれ」

「素晴らしい国ですよ。全てが揃っていて私は毎日が楽しくて仕方がありません。こんな日が訪れるとは思っていませんでした。獣人連合で顔見知りのハーラルトには是非伝えたい事があるのです。里長をしていたからこの国の情報をある程度知っていたと思います。ですが、夜に行われている歴史の授業は必ず出るべきです。この国の歴史とシャーロット様の歴史を知らなければ飛ばされる可能性がかなり高いです。そして、獣人連合で共有していた情報の多くは間違っています。もし出るつもりでしたなら余計なお節介だったかもしれませんが、せっかくですのでお伝えしに来たのですよ」


あれだけ慎重に集めていた情報が間違っているのか。

わざわざ忠告しに来たという事は本当に飛ばされる可能性があるのだろう。


「忠告感謝するよ。授業には参加する事にする。それで1つだけ聞いておきたいのだが、シャーロット様が子供にだけ秘儀を教えている理由は分かるか?」

「歴史の授業を受ければ分かる事なのですが、せっかくですから少しだけお話しましょう。子供にだけ秘儀を教えているというのは間違っています。正確には秘儀を知りたい人全員に教えていたのです。この国はシャーロット様の願いを踏みにじり続けてきました。人ができる事は人がするべきという考えがシャーロット様にはあります。秘儀を知った大人たちは努力もせずに強くなったつもりでいました。シャーロット様は我慢していましたがヴィーネ様がテストしました。秘儀を覚えて強くなったら人間に戦争で勝てるだろうと。そして大人たちは皆殺しになりました。その為、秘儀を覚えている価値が無いと判断し記憶を消されたり、飛ばされたりしたのです。秘儀はシャーロット様が命懸けで生み出した技です。軽々と扱っていいものではありませんからね」


子供を大切にしているから子供に秘儀を教えていると思っていたが、全く違うではないか。

エラの話から推察すると、秘儀を覚えた大人は見放された事になる。

これだけたくさんの種族がいて、被害者ばかりの国なのに努力しないのか。


いや、覚えただけで人間には勝てるようになるのだろう。

しかし、戦争で勝てるかどうかは話が変わってくる。


秘儀を覚えただけでは戦争に勝つ事は無理だという事か?


「一番秘儀を使いこなせる人はどれくらいの強さなんだ?」

「人間5万人に勝てます。古代種(エンシェント)ドラゴンを含む1000体のドラゴンと同時に戦っても勝てます。厄災のドラゴン、ジェラルディーン様と組み手をする事が可能です。つまり、秘儀を鍛えれば戦争に負ける訳が無いのです。ほとんどの種族の大人たちが秘儀を覚えていましたが人間に負けました。それだけ努力をしなかったのですよ」


余りにも桁違い。

絶対に負けてはいけないテストだ。


秘儀を覚えた大人たちは人間に戦争で勝てるつもりだったからテストされた訳か。

それなのに、簡単に皆殺しにされた。

だから、記憶を消されたり飛ばされたのだな。


今は子供たちの成長を待っているのか?

戦争の為に子供を育てているとは思えないな。


「歴史の授業は必須だな。知っていた情報は忘れてもいいくらいだ。まずはアンゼルムと一緒に授業を受けてみるよ」

「はい。せっかく素晴らしい国に移住できたのです。是非勉強して下さい。私も勉強中ですので、深く知っている訳ではありませんからね」


それだけ知っていても足りないのか。

勘違いする奴が出ないように全員受けさせた方が良さそうだ。

勉強すれば問題ないですね。

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