獣人の移住
獣人の里で差別をしない人だけを選別して移住の申請をしてきた。
しかし、彼らは感情が見える訳では無いので確実ではないと思う。
今まで助けてきた獣人の子供も連れてきているだろうね。
念話。
「カーリン。孤児院の定員はぎりぎりだったと思うけど、どうすれば子供の人数が増やせるのかと、それにより何人くらい面倒を見る事ができるか教えて欲しい」
「3階建てになったお陰で100人増えても問題はありません。料理の専任が欲しいです。料理の専任がいないと流石にこれ以上は厳しいです」
さらりと100人増えても大丈夫だというカーリンはやっぱり天使だね。
ほとんど倍に増えている気がするけど、料理だけで問題ないんだ。
「流石カーリンだね。料理はこちらで考えるよ。50人ほど増えると思うけどお願いね」
「お任せ下さい。シャーロット様の事をしっかりと教えますから」
頼もしいけど、最後の言葉がおかしいよね。
子供の面倒をしっかりと見るんじゃないのかな?
天使のカーリンだから問題ないね!
気にしない事にしよう。
念話。
「ハイモ、嫌な思いをさせてしまうかもしれないけど、多くの獣人が移住する日だから選別に付き合って欲しい。今は問題ないかな?」
「勿論問題ありません。ハイオークを差別する獣人を飛ばしてもらえるのですから協力は惜しみません」
念話。
「マリアンネ。多くの獣人が移住してくる日だけど、親のいない子供がたくさんいるんだ。孤児院で料理を専門に作る人を雇えるようにして欲しい」
「お任せ下さい。里長とは仕事の話をする予定でしたので、料理の専任もお願いしたいと思います」
マリアンネに任せれば安心だよ。
子供がたくさん増えるから学校も大きくしないと。
「ヴィーネ。検問所に行こうか」
「結構連れて来たみたい。母さんが助けた獣人は皆来ている気がするよ」
「そうだね。とりあず行ってみよう。転移魔法」
ハイモも一緒に検問所に転移させる。
私とヴィーネとハイモで並んで獣人を迎える。
「やあ、今日はたくさん連れて来たね。仕事の内容は後からマリアンネと相談してね」
「私が家を用意するから何件必要なのか教えてね」
ハーラルトが一歩前に出た。
彼が代表で話すみたいだね。
「本日は移住を認めて頂きありがとうございます。600人ほど連れてきました。家は200件欲しいです。身寄りのない子供が50人程いますが問題はありませんか?」
「子供は孤児院で預かるよ。ただし、料理を専門で作る仕事を誰かにしてもらいたいんだ。孤児院の子供が200人程になってしまうから、料理だけでかなりの重労働なんだよ。マリアンネと相談して決めてね」
話している間もヴィーネが感情把握をしている。
誰も飛ばされないから問題はないみたいだね。
「確かにその人数の料理を作るのは重労働ですね。こちらでも相談したいと思います」
「ヴィーネ、問題がなければ家を用意してあげて」
「かなり真剣に選別してきたみたいだね。問題はなさそうだよ。家の準備をしてくるね」
ヴィーネは私たちに手を振って飛んで行った。
そして、どんどん家を建て始めたよ。
突然の出来事に皆が唖然としているね。
一瞬で家が建つのを初めて見たら普通は驚くよね。
「ハイモありがとう。何かあったら社まで来てね」
「この程度なんて事はありません。また何かありましたら声を掛けて下さい」
転移魔法。
ハイモを集落に帰してあげる。
「どの家に住むかは皆で決めてね。この国の決まり事の説明をする講習は必ず1回参加してもらう必要があるけど、里長だけが参加しても、皆で参加してもいいよ。あと夜は学校で大人も無料で勉強できるから興味があるならマリアンネに相談してね。それと子供を働かせるのは禁止だから。必ず学校に通うようにして」
「分かりました。目の前の出来事が衝撃的過ぎて呆然としてしまいました。マリアンネさんと相談したいと思います。子供のいる家庭には改めて注意しておきます」
ヴィーネの仕事は早いね。
もう終わったみたいだよ。
「母さん終わったよ。子供を連れて孤児院に行って、学校を大きくしたら終わりだね」
「学校を大きくするのは夕方以降にしよう。親がいない子はこっちに集まってー。優しくて綺麗なお姉さんがいる場所に行くよ」
見覚えのある子もたくさんいるから、私が助けた子供は恐らく全員来ているだろうね。
子供は皆で仲良く遊ぶのが一番だよ。
「ハーラルトとアンゼルムにあとは任せるね。またねー。転移魔法」
孤児院に移動したよ。
「カーリン。50人ほど子供がいるからお願いね」
「お任せ下さい。皆、まずはお風呂に入ろう。これから楽しい毎日が始まるよ」
「「はーい!」」
獣人の里で嫌な扱いをされていた訳ではなさそうで良かった。
少し緊張しているけど元気があるから大丈夫だね。
カーリンに50万ギルを手渡す。
「皆に服と靴を用意してあげて。料理の専任についてはマリアンネに任せたから大丈夫だよ」
「いつもありがとうございます。シャーロット様の事をしっかりと教えたいと思います」
頼もしいけど、最後の言葉がやっぱりおかしいよね。
服と靴ををしっかりと用意してあげるんじゃないの?
天使だから問題ないね!
気にしない事にしよう。
「後はよろしくね。ヴィーネ、社に帰ってゴロゴロしてようか」
「そうだね。ゴロゴロしよう。転移魔法」
今日もたくさん仕事をしてくれたヴィーネをいっぱい褒めてあげたよ。
ヴィーネはいつも頑張ってくれる優しい子だよ。
2人でゴロゴロしていると時間はあっという間に過ぎるんだ。
もう夜中だね。
孤児院の子供たちの感情を注意深く見ていたけど、問題は無さそう。
新しい子供が増える事に慣れているから打ち解けるのも早いね。
「ヴィーネ。学校を大きくしてくるね」
「はーい。待ってるよー」
そうだよね。
ヴィーネは布団から出ないよね。
母さんは何でも知っているんだよ。
転移魔法。
学校の前に移動する。
「私の思った通りに大きくなーれ!」
いつも感想を言ってくれるクリスタがいないから寂しいね。
階段とトイレの確認をしておく。
問題なしだね。
完璧だよ。
教室の使い方は教師が決めてくれるから大丈夫。
転移魔法。
布団の中に直接移動する。
温かい布団はいいよね。
「ただいまー。今日移住した獣人は少しの間だけ監視対象にしておくよ」
「おかえりー。それは国長の仕事だから母さんはしなくていいよ。ゴロゴロしてようよ」
「分かったよ。ヴィーネに任せるね。じゃあ、おやすみー」
「任せてよ!おやすみー」
今日も頑張るヴィーネちゃん。
本気で監視しているのは地下世界ですが秘密です。




