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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第3章 神国シェリル

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閑話 アンゼルム 選別

早速仕事をするか。


シャーロット様に保護された獣人は問題ない。


子供も大人もシャーロット様が大好きだ。

長い間奴隷として過ごしていたのを助けて頂いた。

感謝の気持ちが強いから移住を強く希望しているし、気持ちも良く分かる。


それ以外の全ての獣人が問題だ。

子供も親から話を聞いて差別している可能性がある。


ハイオークを差別する獣人が多いのは事実だが、ハイオークを見た事が無い獣人も実は多い。

里から出ずに一生を終える獣人も少なくないからだ。


しかし、人伝に聞いて差別している者もいるから厄介だ。

見た事が無いから差別をしないとは言い切れない。


感情が見えない俺にとって非常に難しい選別だ。


差別する理由は単純だ。

ハイオークの見た目が猪だからという理由だけ。

体毛が濃い為より不快感を増すそうだ。


自分たちの見た目が犬や猫なのを棚に上げているのにも気付いていない。

同様に狼の獣人も濃い毛でおおわれているが差別はされていない。


猪と狼の違い。

狼は肉食であり家畜を襲う。

猪は雑食であり畑を荒らす。


普通に考えればどちらも害獣だが、狼は犬や猫より上位であり、猪は下位だと勝手に考えている。

その為、狼は差別をされない。


移住希望者を募り個人面談するしかないな。


移住先の情報は何も伝えない。

ハイオークが住んでいる事しか情報は与えない。


これで差別している者は大体排除できるが、移住先の情報を知っている元冒険者たちが面倒だ。

神国シェリルの魅力を十分に理解している。

嘘を吐いてでも移住を希望する可能性が高い。


さて…、何故お前が移住希望を出せたんだ?

自分の罪を理解していないのか?


「ドミニク。お前は攻め込んだ過去があるのに移住を希望している。本来は移住を希望する資格は無い。何故移住を希望する?」

「あの時の過ちを償いたいと考えています。それが移住の動機です」


その動機なら問題は無いが本当かどうか分からない。

判断材料が足りないな。


「シャーロット様とヴィーネ様は神様として崇められている。それは問題ないのか?」

「今まで積み上げて来た実績によりそうなったのだと思います。俺も受け入れます」


受け入れるね…。

違和感はあるが飲み込むと言いたいのだろう。

こいつは住民と衝突する可能性が高いな。


「ハイオークが住んでいるのは知っているな?絶対に差別は許されないぞ」

「ハイオークを気にした事はありません。差別する理由も無いです」


気にした事がないか。

どういう理由で気にしていないかが問題だな。


「どうして気にしていないんだ?同じ獣人だぞ」

「ハイオークという種族だと考えています。だから気にしません」


こいつは本当に馬鹿だな。

攻め込んだ時からまるで成長していない。


自分の考えが正しいと思い込む。

俺の質問の意図を理解していないな。


「ハイオークという種族は俺たちと同じ獣人だぞ。何故分けて考える?」

「獣人の中で唯一ハイオークだけが自分たちだけの集落を作って生活しているからです。一緒に生活をしていればハイオークと呼ばれる事も無かったはずです」


「ハイオークが集落を作って生活しているのは他の獣人の差別が原因だと思わないのか?」

「ハイオークは獣人社会から逃げたのです。逃げた奴を気にする獣人はいませんよ」


俺がハイオークの気持ちを完全に理解できるとは思わない。

しかし、差別された過酷な環境から移り住んだのを逃げたと考えるのかよ。


逃げた弱者だから気にする必要も無いと言いたいのか。

こいつはやはり駄目だ。


「俺たちも新しい国に移住するんだ。獣人社会から逃げる事になるぞ。お前は他の里で俺たちを気にする事なく暮らせばいい」

「何故ですか?里ごと移住するのです。逃げた事にはなりません。それに俺は差別をするつもりが全く無いのですよ。おかしいではありませんか!」


「お前は差別しているじゃないか。同じ獣人の仲間だとも思わない。過酷な環境から避難した行動を逃げたと言う。自分が差別している事にも気付いていない。一番質が悪い差別だよ。ハイオークを人だと思ってないだろ?ハイオークという種族の獣だと考えているだろ?お前が移住したら殺されるぞ。最悪の場合は仲間も道連れだ。考えを改めろとは言わない。好きな里で好きに暮らせ」

「何で俺ばかり駄目なんですか!国に入る事も許されなかった。移住する事も認められない。どうして俺ばかり除け者にするんですか!」


「それが分からないから駄目なんだよ。お前は自分が特別だと思っているのか?ハイオークを差別する獣人の1人でしかない。他にも仲間はたくさんいる。お前の気持ちを分かってくれる奴はたくさんいるよ。最初にも言ったがお前に移住を希望する資格は無い。お前は獣人の里を滅亡近くまで追い込んだ事を忘れたのか?シャーロット様を殺しに行った事を忘れているのか?普通だったら移住を希望する事はできないはずだ。改心している可能性も考えて話を聞いたが、お前は変わっていなかった。里で静かに暮らせ。連れて行ってくれ」

「「かしこまりました」」

「ま、まだ話は…」


煩いから猿轡を嵌められたな。

お前は移住する獣人からしたら厄介者でしかない。


移住をしなくても恩返しはできる。

自分の過去を見つめ直し、今を改めなければ先は無いぞ。

犯した罪の大きさを理解していませんね。

里長は移住を諦めていたのですから。

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