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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第3章 神国シェリル

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閑話 クリスタ 長風呂

本当にどうなっているのよ!

私に組手を挑んで来るのはどいつもこいつもクズばかり。


あれ程説明してあげたのに勘違いをした。

シャーロット様の優しさを踏みにじった。


注意はしていたけど、まさか最初の授業で本性を出すとはね。

要するに、全て理解したから秘儀を覚える資格がありますと訴えていたのね。


強くなりたいだけの人には教えられないと言われたのに。

ビアンカがあそこまで注意していたのに無視し続けていた事を考えると、近衛騎士の時から同じような事をしていたと考えた方がいいわね。


ヴィーネ様の監視対象だった事を考えても、本来はこの国に呼ぶ予定では無かった人間だと思う。

クリスティーネが籠の鳥になってしまったのも、あの女が原因の可能性まで考えられる。

奴隷も平然と使っていたように感じた。


奴隷が解放された国にいるよりは神国シェリルに行った方がましだと考えたのかも。

この国の情報をある程度知っていたのかもしれない。

多くの商人が出入りしていたからね。


貴族まで密入国を狙う程には情報が伝わっていた。


クリスティーネがこの国に行く事になった時、一緒に付いて行くと言った気がする。

元々は友達だったと言っていたけど、王女になるクリスティーネに近付いただけじゃないかな?


クリスティーネは本当に何も知らないけど、心根はとても優しい。


孤児院の仕事も楽しんでいる。

料理を作って子供たちが喜んで食べたら、彼女も喜んでいた。


日々自分の成長を楽しんでいる。

あの子があれ程何も知らないのは無理がある。

近くにいた人間が邪魔をしなければある程度は情報が伝わったはず。


やーめた!

終わった話だし考えるのは止めよう。

彼女は大丈夫だし仲間が1人増えた事を喜ぶべきね。


それにしても、ほんとヴィーネ様の気配は分からないね。

最初から聞いていたと言っていたけど、私も最初から聞いていたのに。


全く分からなかった。


星で一番強い人があれ程気配を消せるのは卑怯だわ。

我慢して我慢して、我慢の限界を迎えたから殺そうと思ったのに…。


止めるんだもん。

酷いよ…。


シャーロット様をあそこまで侮辱されたら殺すしかないでしょ?

全ての言葉が侮辱していたわ。


ビアンカは教師として授業中だから話を聞いていたのでしょうけど、限度があるわよ。

シャーロット様のお母様まで侮辱しているじゃない。


孤児だから孤児院を大切にしているだって?

シャーロット様とシェリル様を侮辱しているわよ。


あー、どんどんあいつの言葉が脳裏に過る。

終わった事だと思っても腹が立つ!


黒剣使ったら結界破れたかな?

更に強固な結界を張られたか、剣を折られる気がするわね。


ほんとにもー!

こういう時はお風呂にゆっくり浸かろう。

そして、土地神りんご酒を飲むしかないわ。


お風呂に浸かり、ゆっくり足を伸ばして無心になる。

ふー。


魔力反応が2つ。

ビアンカとクリスティーネが帰って来たわね。

すぐにお風呂に入ってお酒を飲むはずだわ。


カーリンとレナーテとチェルシーは子供を寝かしつけてから下りて来るわね。


カーリンが行くと子供は中々寝ないから逆効果だけどね。

何故か本人だけが気付いて無いのよ。

絶対に天然だわ。


お、2人がお風呂に入って来たわね。

「2人ともお疲れ様。後で土地神りんご酒を飲もうよ!」

「それはいいけど…、クリスタ。ヴィーネ様にあの態度は無いわ。不満全開だったじゃない」


「それはそうでしょ?我慢に我慢を重ねた渾身の一撃を防がれたのよ。思い出させないでよね!」

「そんなに酷い事を言っていたのですか?」


「シャーロット様を人間の奴隷だと勝手に決め付けたのよ。500年以上拾われた人間に恩返しをしているってね。育ての親が死んだから生きている人間に恩返しをしているだって。シェリル様まで馬鹿にしたわ。秘儀は弱い人間を強くする為の恩返しだそうよ。子供に秘儀を教えているのは将来の戦力の為だって。本当だったら拷問してから殺すくらいなのよ?ヴィーネ様が殺さなかった方が奇跡よ」

「分からない事ばかりですが、孤児院に務めていながら子供たちを戦争の為に育てていると言ったのですか。私の育った国は奴隷の子供を戦争の為に育てていたのかもしれません。彼女は全てを知っていて、私を籠の鳥に…」

「もう考えるのは止めなさい。終わった事よ。ヴィーネ様が殺さなかったのは私も奇跡だと思いましたが、御自分が連れて来たので責任を感じていたのかもしれませんよ?」


クリスティーネは馬鹿じゃないわ。

少しの情報から色々と考える事ができる。

やはり、あの女の都合のいい籠の鳥にしたわね。


「エルネスタは自分から私に付いて来ると言いました。彼女にとって私は都合のいい駒だったのでしょう。駒が勝手に判断をしたから慌てて付いて来たのだと思います。彼女は私に国を纏めさせたかったようですから。何も知らない私にはできない事を一番知っているはずなのに」


やはり、国に呼ぶ予定が無かった人間。

ヴィーネ様の監視対象だったのも納得だわ。


欲塗れだったら即弾かれたはず。


クリスティーネを利用する事は当然だと思っていたのかもね。

駒の心配をしていたとしたら判断は難しい。

心配している理由までは分からないはず。


孤児院で様子見だったのかな?


ヴィーネ様が連れて来てしまったから送り返したと考えるべきね。

ビアンカの言った通り連れて来た責任を果たしたのかな?

変な所で優しいのはシャーロット様譲りだね。


「ビアンカの言う通りね。この話は止めよう。クリスティーネは秘儀を覚えたいの?」

「孤児院の仕事を全て覚えたらクリスタに魔法の使い方を教えてもらおうと思っていたのですが、ビアンカに秘儀を覚えれば魔法が使えるようになると言われたので、秘儀を覚えて魔法が使いたいです」


「んー?ビアンカおかしな事言ってなーい?クリスティーネなら秘儀を覚えなくてもいいでしょ?私の生徒を故意に奪ったわね!」

「な、何を言っているの?秘儀を覚えれば魔法が使えるようになるのは事実よ。クリスタに魔法を教えてもらうのを阻止する理由は何よ?」

「私は秘儀を覚えなくても魔法が使えるようになるのですか?では、先に魔法だけ使えるようになりたいです」


「そうでしょー!先に魔法だけ使えるようになりたいでしょ?担当は私になりそうじゃない?その後、歴史の勉強をすればいいじゃない。どうせなら、歴史も一緒に私が教えましょうか?」

「あなたがクリスティーネの体に触る事無く魔法を使えるようにできるならそれでいいわよ。こっそり秘儀を利用するなんて事しないわよね?」


最悪の場合それで対応しようと思っていたのに。

早速潰しに来たわね!


「クリスティーネはどうやって魔法を使うか知ってる?」

「何も知りません。シャーロット様やヴィーネ様が使うのを見たのが初めてです」

「できますかー?魔法を覚えさせてあげられますかー?クリスタ先生?」


くっ、苦し過ぎる!

お2人の魔法を見たのが初めてだとするなら、魔法を手から放つ事すら知らないじゃない。

初期魔法を全部試してもらうのも有りだけど、この国でそれをするのは流石に時代遅れ。


「今のクリスティーネに魔法を覚えさせるのは無理みたいね。歴史を勉強してカーリンの合格をもらって秘儀を覚えた後に私が教えてあげるよ。秘儀と魔法の授業は私でいいのよね?」

「話は聞きました!ビアンカの授業の後は私が秘儀と魔法を教えましょう」

「そうよね。レナーテも担当ですから。どちらに習いたいか本人に後から決めてもらいましょう」

「やはり今はまだ魔法が使えないのですね。歴史の授業に励みます」


どさくさに紛れてレナーテまでお風呂に入って来たじゃない。

今お風呂を出るとまずい事になるわね。


「何で後から決めるの?クリスティーネは私に聞きたいって言ってたじゃない。私が教えるのが普通の流れでしょ?」

「歴史の授業を勉強した後に考えが変わるかもしれないでしょ?何も知らなかったクリスティーネがあなたを選んだだけで、知識を得た後ならレナーテを選ぶかもしれないじゃない」

「その通りです。私もクリスタも子供に教えているのは一緒です。後から選べばいいのです」

「レナーテも子供に魔法を教えているのですか。どちらから習っても一緒なのですか?」


まずい!

これはまずい流れだわ。

信者たちが協力している。


確率で勝負するしかないわね。

回復魔法の使い手の可能性は低い。


「私とレナーテは違うわよ。使える魔法の属性によって教え方が違うからさ。回復魔法ならレナーテ、それ以外なら私だね」

「クリスタの嘘に騙されてはいけません。回復魔法は私だけです。それ以外は私かクリスタです。私は両方を教える事ができますが、クリスタは回復魔法を教える事ができませんからね」

「多くを学ぼうと思ったらレナーテの方がいいのでは無いかしら?今の話を聞いただけでもそう思うでしょ?」

「ですが、クリスタが一番歴史にも詳しいですよね?魔法を学びながら歴史も学べる魅力があるので、回復魔法だったらレナーテにお願いしますね」


何て健気な子でしょう!

こんな子は今まで孤児院にいなかったよ。


「素晴らしいわ!それなら私も納得よ。勿論2人も納得するわよね?私より知識がないのだから」

「い、今はでしょ?歴史の授業が終わる頃には追い付いていると思うわよ?」

「その通りです!追い付けば私の授業の方が魅力的です」

「確かにそうですね。追い付いていたら考え直しますね」


そうそう。

それでいいの。


「そうだね。追い付かれたらレナーテ先生でいいと思うわよ?さあ、お風呂から出て土地神りんご酒飲もうよ!」

「ええ。追い付いたレナーテ先生の授業の方が魅力的ですからね。土地神りんご酒を飲みましょう」

「時間の問題です。私の授業の魅力を更に引き上げようではありませんか」

「そうですね。お風呂から出て土地神りんご酒を飲みましょう。今日は飲みたい気分ですから」


皆一緒にお風呂から出て1階のテーブルで土地神りんご酒を飲み始めたよ。

カーリンが寝かしつけに行った階の子供は中々寝ないね。


チェルシーと2人で頑張っていると思うけど、チェルシーも人気だからね。

カーリン軍程の力は無いけど、チェルシー親衛隊がいるから。


当分下りて来ないわね。

静かないい夜だわ。


今日の土地神りんご酒はいつもより美味しいわね。

ビアンカとレナーテが少し苦そうな顔をしているのが最高よ。

勤勉なクリスティーネにご機嫌なクリスタ。

実に珍しい光景です。

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