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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第3章 神国シェリル

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閑話 カーリン 孤児院長として

シャーロット様からとても大切な仕事を任されました。

新しく入った2人に秘儀を教えてもいいかどうかの判断を私がするのです。


信頼されていると嬉しく思うと同時に、物凄い責任感に押し潰されそうです。

教えても問題ないと判断できるまでは絶対に許可が出せません。


しかし、孤児院の仕事をしているだけでは判断できません。

孤児院の仕事を真面目にするのは当然の事だからです。


集まってもらったのはクリスタ、ビアンカ、クリスティーネ、エルネスタです。

レナーテは信仰心が篤過ぎて中立ではありません。

チェルシーは日が浅いので人に教える程の知識は無いでしょう。


「さあ、集まってもらった人を見てクリスタは感じるものがあるでしょ?」

「秘儀の話をするのね。教えてもいいか判断するのはカーリンという事でしょ?」


クリスタはすぐに分かるわよね。

シャーロット様が大好きなんですから。


「シャーロット様が孤児院で2人だけ秘儀が使えないのは仲間外れみたいで可哀想だと感じられたの。だから、教えてもいいかどうかの判断を私が任されたわ。そして、私からシャーロット様にお伝えしたのよ。2人がシャーロット様の歴史を学んだ後に判断しますと」

「孤児院の仕事振りを見て判断する所じゃないの?シャーロット様だってそう思っていたはずよ!」

「いいえ、カーリンが正しいわ。クリスタだって分かっているでしょ?」


「クリスタとエルネスタは組手をしたわよね?クリスタが強くなった理由を聞いたかしら?」

「一番最初に教えてもらって、秘儀を一番理解しているから強いのではないの?」


やっぱりね。

クリスタは隠していると思ったわ。

自称中立派は仲間が減るのを恐れているわね。


「クリスタ、教えてあげないと駄目じゃない。何故あなたはそこまで強くなったのかしら?」

「私1人であらゆるものから孤児院を守る為よ。別に隠してないわよ?」

「えっ?孤児院を守る為にあそこまで強くなったの?何故孤児院なのよ?」

「そこが大切な事なのよ。この国で一番重要な施設は孤児院なのよ」

「ここが一番重要なのですか?被害者の子供だけしかいない施設が国で一番重要ですか…」


普通は疑問に思うわよね。

シャーロット様を知らなければ理解できないから。

他国の子供をたくさん集めた施設が一番重要なんて不自然ですから。


「2人にこの国とシャーロット様の歴史をビアンカに教えてもらう事にします。クリスタは文句ないわよね?学校で歴史の教師をしているビアンカが適任でしょ?」

「私でも教えれるわ!私が教えようか?」

「教えれるでしょうね。悔しい事に中立派のクリスタは私よりシャーロット様の知識がありますから」

「子供に教えているビアンカよりクリスタの方が知識があるのですか?おかしくないですか?」

「確かにおかしいわ。それならばクリスタが歴史の教師をすればいいのだから」


クリスタ墓穴を掘っているわよ。

誰よりもシャーロット様が大好きだと宣言しているじゃない。


「クリスタが誰よりも強いのは、誰よりもシャーロット様の事を知っているからよ。孤児院としては許せない状況ですけど、事実ですから受け入れるしかありません。秘儀はシャーロット様を深く知らないと鍛錬を続けられないの。だから、多くの人の記憶が消されたわ。覚えるだけでドラゴンに勝てるようになる秘儀はそんなに軽いものじゃないの。クリスタは正確に言わなかったはず。恐らく、体を犠牲にして生み出したと聞いただけじゃない?本当は命まで犠牲にしているのよ。シャーロット様は御自分が死ぬかもしれない状況まで追い詰めて生み出した技が秘儀なの。中途半端に扱ったら記憶を消される理由が分かるでしょ?」

「言いませんでした!秘儀を知る時に教えればいい話でしょ?今話しても理解できないじゃない。秘儀を知っている状態で聞かないと、どれ程の命の危機があったか分からないわよ」

「今まで記憶を消されてきた人は、そうやって生み出された技だと知っていたのに雑に扱ったじゃない。事前に知っていても問題ないわ。シャーロット様がどういう人か分かるでしょ?」


2人は黙ってしまったわね。

秘儀は簡単に知っていい技術ではないの。

シャーロット様が優しいから教えてもらえるだけ。


「クリスタ、正直に話してよ。雑に扱った人はどうなるべきだと考えているの?」

「何で私への尋問みたいになってるの?もー、正直に言うわよ。雑に扱った人は死ぬべきよ。当然でしょ?私がどれだけ殺すのを我慢していたか知っているでしょ?」

「知っているわよ。優しいシャーロット様は、記憶を消したり他国に飛ばすだけで許している。ヴィーネ様もあなたと一緒で殺したかったでしょうね。シャーロット様を悲しませる存在を絶対に許さないから」


雑に扱えばクリスタでさえ殺したいと思う秘儀。

クリスタだからこそ、強く殺したいと思うのかもしれないわね。


そこに強くなる鍵が隠されている気がするわ。


「2人とも怖いでしょ?秘儀とは強くなるから知りたいと考えている人には教えられないの。子供たちは全員教えてもらえるけど、誰も秘密を漏らさないでしょ?殺される恐怖で黙っている訳ではないの。子供たちも秘密を漏らすような人は死ぬべきだと考えているのよ。だから、秘儀の情報は漏れない。この国やシャーロット様の歴史を知って、秘儀が生まれた過程を知ればそう思うのよ。クリスタが孤児院を守る為に強くなった理由も分かるわ。秘儀を極めたクリスタだからこそ、秘儀を雑に扱う人を一番許せないのよ。そこで2人に聞きたいの。今すぐ秘儀を知りたい?それともビアンカに歴史を教えてもらってから知るべきかどうか考える?私はどちらでもいいわよ?雑に扱えばクリスタかレナーテが殺そうとするかもしれないけど」

「完全に脅しているじゃない!そんな話を聞いたら今知りたいなんて言える訳ないでしょ?」

「今知りたいなんて言う人に知る資格が無い事ぐらいクリスタは分かっているでしょ?カーリンの優しさじゃない。一緒に働く仲間だから失敗しないように教えてあげているだけだわ」


ビアンカの言う通りよ。

せっかく一緒に働く仲間になったのですから。


「別に脅している訳じゃないわ。だって、実際にクリスタやレナーテはそのように動くじゃない。孤児院を雑に扱って秘儀を雑に扱う人を許せるの?ここで許せると言えるの?」

「だから何で私への尋問みたいになるの?あー、もー、許さないわよ。絶対に許さないわ。レナーテよりは我慢するでしょうけどね。シャーロット様から許可がもらえれば確実に殺すわ。シャーロット様も我慢を止めた感じがするから、すぐに記憶を消されて飛ばされるでしょうけどね」

「勘違いしたグレートドラゴンを殴り殺しておいて良く言うわね。最近のシャーロット様は勘違いした人を放置しないし我慢もしないわ。ですから、国も落ち着いているじゃない」


「秘儀を知りたいかどうかは自由だけど、この国とシャーロット様の歴史は必ず学んでもらうわ。この国に住む最低限の条件だから。孤児院に務めるなら更に深く知らないといけない。街の大人が知らない事まで知る必要がある。この国で一番重要な職業は孤児院に務める事よ。学校の教師じゃないわ。ビアンカが教える事でいいわよね?」

「そうね。何も間違った事は言ってないから。ビアンカの授業を受けた後で中立派だと宣言してくれるのを期待しているわ」

「中立派だと言っているあなたがおかしいだけよ。しかも、一番強いから質が悪いわ。私の授業を受けた後で中立派を宣言してもいいわよ。クリスタの言っている中立派とは孤児院の中での話ですからね。街の人がクリスタを見たら立派な信者なのよ。クリスタもそれは分かっているから安心してちょうだい」


少し強く言い過ぎたかしら?

でも、秘儀を知るなら仕方が無いのよ。


「今日から孤児院で働きながらビアンカの授業を受けてね。授業が全て終わった後に秘儀を知りたいかどうか私に教えて。私と一緒に社に行く必要があるから。シャーロット様から何かお話があるかもしれないわ」

「社に行く事になってるんだ。最終確認でもあるのかな?まあ怖い事はないから安心しなよ」

「きっとカーリンの責任にしない為よ。最終的にシャーロット様の判断で教えた事にするのね。今日は十分話したし明日から始めましょう」

「はい。よろしくお願いします」

「ええ。お願いします」


これで準備は整ったわね。

孤児院はシャーロット様の一番大切な場所。

シャーロット様を愛せない人が孤児院に務めるのは許せない。

カーリンはシャーロットへの愛が凄いですから。

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