閑話 ベティーナ 憧れと現実
私たち妖精猫と妖精犬は世界樹に憧れていた種族です。
世界樹の近くに住んでいた頃、エルフが独占していたので近付けなかったのです。
妖精猫と妖精犬は女王が単体で出産します。
女王だけしか出産が許されていないのです。
1年中意識すればいつでも妊娠でき、一度の出産で4人~8人産む事ができます。
妊娠期間は2ヵ月程です。
子供は女王の記憶を継承しますが人格は別です。
2ヵ月程で成体になります。
寿命は個体差があり不明です。
妖精ですから食事は不要です。
長寿の妖精猫ほど上位の階級であり、女王が亡くなった場合は次の階級の妖精猫が女王となるのです。
妖精犬も同じです。
しかし、これは昔の妖精猫の女王が管理する為に最適だとして取り入れたので、本来の生態は違うのかもしれません。
今回は先代の女王が殺された為、私が女王となった訳です。
階級があると言っても権限がある訳ではないのです。
女王とそれ以外であり、次の女王になる順番が決まっているだけです。
女王は大体300人程の集落を作ります。
それ以上だと管理できないからです。
別の人格を持つ以上、絶対に命令を聞くとは限りません。
今まで妖精犬は妖精猫の家畜としての扱いでした。
番犬にする等で集落を守る為に利用していました。
妖精犬の数も妖精猫が管理していました。
妖精犬の女王に命令し、破れば女王を殺していたのです。
過去には妖精犬だけの集落を作ろうとした女王もいたのですが殺されています。
妖精猫は魔法を使う事ができますが、妖精犬は噛みつく事しかできませんし、木の上に登る事もできませんから勝つ事は無理でしょう。
マリアンネの話を聞く限りでは、部族での階級は奴隷がいない限り問題ないようです。
そして、自分の所属する部族に対してのみ命令をする事は構わないそうです。
ただし、先住民に対して同じような行為をすると記憶を消されて飛ばされるそうです。
私は先代の女王が嫌いでした!
やることなす事に全く共感できないのです。
獣人連合に加入したのはいいのですが情報を共有しようともしません。
何故この国と戦争をしようなどと発言をしたのでしょうか?
1000年以上生きていて訳も分からず殺されると思ったのは初めてです。
話を聞いた限りでは普通に移住を希望すれば叶ったと思います。
どう考えても世界樹を独占しようとしたのでしょう。
そうでなければ戦争という考えは浮かびませんから。
それにしても、世界樹を植えて育てるのを実際に目にすると言葉も出ませんね。
お2人は桁違いにも程がありますよ。
さて、夕暮れですし精霊様に挨拶に行きましょう。
妖精犬の女王と共に行くのが一番ですね。
「エラ、精霊様に挨拶に行きますよ」
「はいワン」
「何故語尾にワンを付けるのですか?」
「メヒティルデ様に命令されたからですワン」
馬鹿な事を…。
先代女王への不快感が増しますね!
「必要ありません。今後は自由に過ごして下さい。ただし、住民への噛みつき等は許しませんよ」
「勿論です。それは徹底させます」
「畑を耕すのと、草取りは手伝って下さいね」
「分かりました。お任せ下さい!」
歩きながら街を見ます。
夕暮れなのに明かりが街を照らしています。
家の窓には透明な板が嵌まっています。
街の家では簡単に水が飲め、水浴びも好きな時に好きな温度ででき、料理も簡単に行えるそうです。
本当に異世界に来た気分です。
街を北に歩いて行くと噴水が見えました。
説明された孤児院と病院と学校ですね。
とんでもない大きさです!
何をする場所なのか説明してくれましたが理解できませんでした。
やはり、学校に通うべきでしょうか?
夕暮れなのに街は賑わっていますね。
ここが種族のお店が集まっている場所でしょう。
熱気に圧倒されます。
これだけの数の種族が1つの国で平和に暮らしているのです。
それだけで、お2人の力が分かるというものです。
世界樹がありましたね。
本当に何本もあるので訳が分かりません。
「こんばんは。精霊様とお話をしたいのですが、よろしいですか?」
「何かな?君たちは今日移住してきた妖精猫と妖精犬だね」
早速ですが疑問を解消しましょう。
精霊様が認めているのはシャーロット様だけと伺いました。
そして、世界の崩壊を望んでいたというのが気がかりではあります。
「ベティーナとエラです。よろしくお願いします。何故精霊様はこの国でお店をしているのですか?そしてドリュアス様というお名前を伺いましたが、精霊様にお名前を付けた方がいるのですか?」
「お店をしているのは暇つぶしだし、この国ではそれが決まりだからね。お金を稼いで好きな物が買えるよ。美味しい食べ物がいっぱいだよ。それに、私が育てていた世界樹は焼かれて無くなったからね。シャーロットに連れて来てもらったんだよ。私に名前を付けたのもシャーロットだよ。気に入っているんだ!」
とんでもない事実ではありませんか!
本来の世界樹は焼かれて存在しないのですか…。
シャーロット様とヴィーネ様が世界の崩壊を防ぐ為に世界樹を育てたと聞きました。
本来の世界樹が焼かれた為に世界の崩壊を望んだのでしょうか?
シャーロット様が精霊様にお名前を付けたのですね。
それで認められているのでしょうか?
分からない事だらけですね。
「世界の崩壊を望んだと聞きましたが本当でしょうか?本来の世界樹が焼かれたからですか?」
「違うよ。シャーロットは死なないからね。新しい星で一緒に楽しい事ができればいいからさ」
明らかにシャーロット様の扱いが違いますね。
本当に世界の崩壊を望み、シャーロット様が死なないから問題ないのですか。
世界樹を育てられるからですか?
何故特別扱いしているのかが分かりません。
しかし、精霊様がこの星で一番偉いはずです。
そして、精霊様にお仕えするのが妖精の使命なのです!
「この星ではドリュアス様の立場が上ではないのでしょうか?何故住民に混ざって生活をしているのですか?」
「妖精猫は階級社会なんだ。じゃあ、君が私と話す事ができるのは何故かな?」
立場が違うと言いたいのでしょうか?
質問に対する正しい回答が分かりません。
「思ったままの回答になってしまいますが、精霊様にお仕えするのが妖精の使命だと考えております。エルフが世界樹を独占していた頃は近付けなくて悔しい思いをしたとの記憶を継承しています」
「それなら、私がここにいなければお仕えできなかったね。そして、君は私の姿が見えているけど、この国の外では見る事ができないよ。見えなければお仕えできないよね。それに、私は世界樹を植える事はできないよ。育てる事ができるだけ。君たちは世界樹に憧れてここに移住したんだよね?世界樹の意味を知っているのかな?」
この国以外ではお姿が見えないのですか?
お姿が見える理由が全く分かりません。
精霊様は世界樹を植える事ができないのですね。
ヴィーネ様が植えなければ世界樹は存在しない訳ですか。
シャーロット様とヴィーネ様が世界が崩壊しない大きさまで育てたのですよね。
世界樹が無ければ世界が崩壊する訳ですね。
「巨大な世界樹が無ければ世界が崩壊すると聞きました。それ以外は分かりません」
「世界樹が無ければ世界が崩壊すると聞いたにも関わらず理解できないのかな?私から見たら、妖精もエルフもドラゴンも人間も魔人も変わらないんだよ。世界樹が無ければこの星は滅びるんだから。この星の崩壊を止められるのは、私とシャーロットとヴィーネだけだよ。君たちは何かできるのかな?世界樹を植える事もできない。育てる事もできない。私の姿が見えるのはシャーロットとヴィーネのお陰だと気付けてもいない。星を守るという意味で3人はほぼ同格だよね。この国を守るという意味では2人にとても勝てないよ。私たちは星が無くても生きていけるけど君たちは死んじゃうね。階級社会なんて星の中で小さな階段を作って上にいるか下にいるかを争っているだけだよ。君の価値観を私たちに当てはめるのは失礼じゃないのかな?」
頭が真っ白になりました…。
余りにも自分たちが無価値なのです。
精霊様にお仕えするとは何をするのですか?
自分で言った言葉なのに何て意味のない言葉でしょう。
何もできない妖精ではありませんか。
その妖精が勝手に立場の上下を決めようとしている。
精霊様だから立場が上だと勝手に決めつける。
世界の崩壊を止めたのはお2人なのに、精霊様だから立場が上だと思い込む。
余りにも愚かな話ですね。
殺された先代の女王と変わりません。
無価値な私たちが自分の価値観を押し付けようとしたのです。
「その通りで言葉もありません。余りにも無知だったようです」
「そういう事だよ。それより、妖精犬は話さないの?」
「妖精犬は私たちとしか話せないのです」
「それは勘違いだろうね。君たちが無知なのをまだ理解していないのかな?それとも、妖精犬が自分たちとしか話せない事にしておかないと困るのかな?」
無知だから妖精犬が他の人たちと話せないと思い込んでいるという事ですか?
妖精犬が誰とでも話せるようになった場合、同じ関係を維持できるでしょうか?
「分かりません。今まで妖精犬と会話ができた人はいませんでしたから」
「お互いに話し掛ける事ができるのかな?それとも君から話し掛ける事で会話ができるのかな?」
「私たち妖精猫から話し掛ける必要があります。それに、妖精犬から話し掛けるのは許されていませんでした」
「貴族と奴隷だね。それに、念話をしているだけにしか思えないよ。やっぱり無知なんだね。知らない事が多過ぎるよ。この国にいたら君たちの関係は壊れるけどいいのかな?シャーロットが世界樹を育てる事しかできないと勘違いしてないよね?妖精犬を誰とでも会話ができるようにする事も、ドラゴンに勝てるようにする事もできると思うよ。呼んであげようか?」
関係が確実に壊れてしまうではありませんか!
力で無理やり従えてきた歴史があるのです。
妖精犬がとても恐ろしく感じます。
誰とでも話せるようになった妖精犬が妖精猫の命令に従うでしょうか?
私は命令をするつもりはありませんが、他の妖精猫は当然の事だと考えています。
ここで、精霊様の提案を断れば認めたと同義です。
そして、それはこの国では許されない事です。
妖精犬を奴隷にしていると宣言しているようなものですから。
何の情報も無く世界樹があるというだけでこの国に移住してしまいました。
殺された先代の女王と同じく私も愚かではありませんか。
「君の考えている事は大体分かるけど、この国で殺しは認められていないから心配しなくてもいいよ。ただし、同じように命令する関係ではいられないね。この国では別の種族を支配する事は認められていないんだよ。まあ、見ててみなよ!」
部族の中での命令は認められていると聞きました。
種族が違う為に同じ部族と認識されないのですね。
考えれば分かる事ではありませんか…。
力で押さえ付けて無理やり命令している関係を、同じ部族だと考える方がおかしいです。
この情報を事前に知っていれば、絶対にこの国に移住しませんでした。
私たちは移住する資格がないのですから。
奴隷にしていると思われる心配をしている状況ではありません。
そもそも、命令する事が許されないのですから。
私が思い悩んでいるとドリュアス様は何かを押しました。
その瞬間、背後にシャーロット様が現れました。
全く意味が分かりませんよ…。
「ドリュアスを支配しようとしちゃったかな?」
「違うよ。妖精犬は念話でしか話せないと思うんだ。それに、自分からは繋ぐ事ができないようなんだ。話せるか試してみてよ」
「なるほどね。そういう事だったんだ。妖精なのに話せないのは不思議だったんだよね」
沈黙が訪れました。
何をしているのか分かりません。
「ドリュアス正解だね。念話を繋ぐ事ができないから話せないだけだね。口が言葉を話すのに適していないのかな?最初に言ってくれれば良かったのに。目に見える相手への念話なら難しい技術ではないからね。エラが指定した相手に念話で話せるように魔石を作ろう。それなら簡単だからね」
何を言っているのですか?
魔石で話せるようにする?
魔石が簡単に手に入り、魔法を入れる事ができ、加工をする事もできるのですか?
あまりにも無茶苦茶です。
エラと言っていましたから会話をしたのは間違いありません。
シャーロット様はエラに首飾りを付けました。
これで話せるようになってしまうのですか?
「見える範囲の人を意識して話す事は難しく無いと思うよ。ドリュアスに話し掛けてみたら?」
沈黙が訪れました。
「なるほどね。そういう歴史があったんだ。だから恐れる訳だね。これからは同じ立場で一緒に生活する事はできるんじゃないかな。ただし、他の妖精猫が認められるかどうかだよね。支配する事が当たり前だと考えていて直せないかもしれないよ?」
エラがドリュアス様と会話できてしまっています。
更にドラゴンにも勝てるようになってしまうのですか?
乾いた笑いしか出ませんよ。
私が認めても他の妖精猫が反感を持ってしまえば終わりです。
差別してしまえば感情を把握されてしまうのです。
「君たちの関係性は余り良くないね。支配してきた歴史が長過ぎるし、支配の仕方も酷い。ベティーナが問題なくても、他は分からないからね。ベティーナの命令に絶対服従する訳ではないでしょ?ベティーナが現状を説明して反感を持った妖精猫を飛ばすのが一番かな?」
シャーロット様の案が一番のような気がします。
私は支配しようと思っていませんから。
皆が考えを改めるだけでいいのです。
「そうですね。私が現状を説明しますので反感を覚えた妖精猫は飛ばして下さい」
「決定だね。それと、2種族とも学校に通った方がいいね。余りにも知識が足りないよ。強くもなれるし魔法も使えるようになれる子供の時間と、知識だけが増える大人の時間どちらがいいかな?ただし、子供の時間に通って中途半端な事をしたら強制的に飛ばすけどね」
知識が足りないのは間違いないでしょう。
しかし、なんという2択ですか!
「この国の大人は子供の時間の学校を経験した人たちなのでしょうか?」
「違うよ。この国は子供の方が強いよ。強くなった大人は中途半端な事をしたから記憶を消したんだよ。子供がいる場合は残っているだけだね。強い大人は孤児院にしかいないよ」
とんでもない事実ではありませんか!
つまり、この国にいる大人のほとんどが記憶を消されているのです。
そして、子供の方が強いのです。
「中途半端な事とはどういう事でしょうか?そして、どの程度強くなれるのでしょうか?」
「例えば妖精犬が妖精猫より強くなった程度で満足したら記憶を消して飛ばすよ。馬鹿な古代種ドラゴンは瞬殺できる程度には強くなって欲しいね」
ドラゴンより強くなるとは古代種ドラゴンですか…。
つまり、この国の子供はその位の強さがあると言う事ではないですか。
情報の多さに頭が麻痺してきた気がします。
世界樹を育てられるから凄いと思いました。
勘違いもいい所ではありませんか。
シャーロット様に私たちの価値観を押し付けるなど有り得ませんね。
ドリュアス様が特別扱いするこの人は規格外です。
何故特別扱いするのかも気にならなくなりました。
「妖精犬は子供の時間で頑張るみたいだよ。妖精猫はどうする?」
当然そうですよね。
力で支配されてきたのです。
強くなりたいに決まっていますよね。
私も自分の可能性を知りたいです。
この国で何も知らないまま過ごすのは余りにも愚かでしょう。
「妖精猫も子供の時間で頑張ります。中途半端な者は飛ばして下さい」
「フフフ。シャーロットもヴィーネも流石にこれは厳しいんじゃないの?負けるのは間近だね」
「ドリュアスは甘いね。鬼ごっこの深淵を見せてあげようじゃないか。あはははは」
もう訳が分かりません。
何故鬼ごっこの話をしているのですか?
話は一段落したので集落に帰り全員を集め話しました。
姿は見えませんが、シャーロット様かヴィーネ様が感情を把握しているでしょう。
「今日より妖精猫と妖精犬は同じ立場になります。同じ部族の者では無いので命令をする事は許しません。当然差別する事も許しません。別の種族として尊重しなさい!」
私の横にはエラがいます。
シャーロット様の指示です。
私のような考え方をする妖精猫は珍しいでしょう。
本当に長い期間、次の女王になる立場だった為、近い場所で先代を見てきた影響ですから。
妖精犬と同じ立場になる事が許せない者もいれば、突然の私の命令の意味が分からなくて許せない者もいたのでしょう。
妖精猫は消えました。
残ったのは私だけですか…。
殺されるのでしょうか?
奴隷のように扱う事は許さないと事前に言われていたではないですか。
妖精犬を力で従えてきた事も知っているではないですか。
何故考えを改める事ができないのですか!
全員が反感を持つなんて…。
命令だけして働く気も無かったのでしょうね。
無知で勘違いをした馬鹿な妖精じゃないですか。
「話せない獣に近い犬だって言ったよね?君たちと意思の疎通が図れると言っただけ。君たちは会話していたんでしょ?声は出せないけど私たちとは会話できますと言えば、念話を使ってるってすぐに分かったよ。そして、この結果だよ。全員が命令するのは当然だと考えていた。妖精犬は違う種族だよね?今まで力で押さえ付けて奴隷として扱ってきただけじゃない。君は何も知らずにこの国に来る事を選択したんだね」
「すみません。本当に何も知りませんでした」
世界樹に飛びついた馬鹿ですね。
ヴィーネ様の話の内容を全員が理解していなかったのですから。
「母さん、ハイエルフと同じ島に飛ばしたよ。島の形が変わっていたけどね」
「やっぱり奴隷として扱ってきた歴史が長過ぎたね。世界樹に憧れる者どうし仲良く暮らせるよ。さて、君は妖精だから単体で同族を増やせるよね。どうしたいのかな?」
「学校で勉強をさせて下さい。そして、できれば妊娠・出産して同族を増やしたいです。子供は親の知識を継承しますが、人格は別です。私の知識があれば差別はしないと考えております。妊娠・出産で2ヵ月と子供が成体になるまで2ヵ月の合わせて4ヵ月かかりますから、その間は何もできませんがよろしいでしょうか?」
「君も子供も食事は必要ないの?」
食事の事を気にされるのですね。
もしかして、物凄い優しい方なのですか?
「はい。妖精ですから食事は必要ありません。食べるのはあくまでも趣味の範囲です」
「じゃあ、働ける人数になるまではそれでいいよ。土地神りんごも特別に食べてもいい事にするよ。1人1日1個までね。妖精には言っておくから。仕事はしなくてもいいからここに住めばいいよ。学校の事は詳しく知らないよね?」
そんなに甘い環境が許されるのですか…。
ここで部族を再興する事ができるのですね。
「はい。場所は知っていますが詳しい事は分かりません」
「それなら、明日マリアンネに説明してもらうから、ここに住んでいてね。色々相談するといいよ。どうにもならない事は北にある社まで来れば、私とヴィーネが住んでいるから相談してよ」
「母さんは相変わらず優し過ぎるよ。君は運が良かったね」
本当に優しい方なのですね。
奇跡的な状況です。
「ありがとうございます。精一杯勉強したいと思います」
「そうそう。分からない事は勉強すればいいよ。じゃあ、またねー。転移魔法」
「ベティーナ様、大丈夫ですか?」
「酷い結果になりましたが大丈夫ですよ。そして、これからはお互い女王として同じ立場なのですから様はいりません。妖精犬もここに住みますよね?」
「はい。ここに住んで学校でたくさん勉強したいと思います。余りにも無知だったようです」
「そうですね。何も考えずに隠れ住んでいたのは愚かでした。何も知ろうとしなかったのですから」
シャーロットを格下だと判断した為ドリュアスが少し怒っています。
島の形が変わっている理由をヴィーネは把握しています。
シャーロットも予想はついています。




