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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第1章 シェリル

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勘違いした人

「シャーロット様。少し面倒な相手が来ております。意見を聞かせて下さい」


えーー!

聞く気が無くなるよ。

だって、面倒な相手なんだもん。


「どんな面倒な人なの?私が会った方がいいの?」

「はい。他国の貴族です。客として持て成していますが、少し勘違いをしているようです」


「どんな勘違いをしているの?」

「非常に言いにくいのですが…。人の言う事を聞く吸血鬼に会わせろ、だそうです」


なるほど。

確かに人のお願いを聞いてはいるけど。

でも、基本的にはこの国の住民のお願いだけだよ?


私がイライラしている国の人だよね?


「貴族がどういう人か知らないけど、その国って奴隷を使っているよね?ここの近くの国で奴隷を使っていない国は無いんだよね」

「はい。私が嫌になって出た祖国です。他国や村を侵略しては奴隷としています。現在どれだけの奴隷がいるのか見当もつきません」


「貴族を殺せば奴隷はその場所で生きていける?」

「私の祖国の貴族でしたら問題ありません。食糧生産を全て奴隷にさせています。そのまま、生産を続ける事が出来るので、生きて行く事ができます。ただ、貴族がいなくなると他国に攻め込まれて、また、奴隷にさせられる可能性もあります」


「それを防ぐ術は無いのかな?」

「武力を持っているのが王族や貴族ですので、無防備になります。防ぐには近くの国の王族と貴族を全て殺すしか無いと思います」


「ちょっと嫌だね。私の予想だと、全ての王族と貴族を殺して奴隷だけの国にしても、また同じ事になると思うけど、どうかな?」

「はい。奴隷の中で力を持った人間が、自分がされた事と同じ事をする可能性が高いです」


「そうだよね。マリアンネには悪いけど他種族の孤児だけ救う事は可能かな?」

「それが一番です。他種族の子供を勉強させて育てるのが、今後の国の為になると思います」


そうか、それならこの国に被害はないのか。

仕方が無いけど、助けれる子供だけ助けに行こう。


「私に接触してきた貴族が悪いんだよね?」

「勿論です。今まで見逃しているのですから、愚かさを死で償わせるべきです」


「じゃあ会いに行こうか」

「はい。お願いします」


マリアンネの案内で、歩いて中央区にある会議室に向かった。

中に入ると知らない豪華な服を着た男性が座っていて、その人の後ろに男性が2人立っている。

この国の4人の区長もいた。


「やあ、皆。お仕事お疲れ様」

「シャーロット様。お待ちしておりました」


声を掛けてくれたのはダミアン。

研究一筋の人で、上下水道の案を考えた人だよ。

その結果、区長に抜擢されたんだ。

本人はもっと研究したいから、別の区長を探しているけどね。


「お前が人に懐柔された吸血鬼か。私の言う事を聞いてもらおうか」

「君が私に接触したから悪いんだよ?私は我慢していたんだから!」


「何を言っているんだ?私の言う事を聞け」

「お前たちは私の事を舐め過ぎだよ!念力(サイコキネシス)


声も聞きたくないから黙らせたよ。

さて記憶を覗きますか。

あー、クズだね。


奴隷を使うのは当たり前。

奴隷を殴るのも当たり前。

気に入らなければ殺すんだね。


「この男の後ろの2人はどんな人かな?答えてくれるかな」

「わ、わ、私たちはブルーノ様の従者です」


「マリアンネ。従者って人たちはどうすればいいのかな?」

「人によります。記憶を覗いて判断して下さい」


念力(サイコキネシス)

「動けなくしてごめんね。2人の記憶を覗かせてもらうから」


うーん。

この人たちも奴隷と思われる人に命令をしているね。

けど、ブルーノにも扱き使われている。


私には難しいよ。


「皆に聞きたいんだけど、奴隷に命令していても、貴族に命令されている人は被害者かな?」

「加害者です。貴族に命令されたストレスを、奴隷で発散している可能性が高いです」

「私もそう思うわね。商人として色々な人を見て来ましたが、奴隷以外は被害者と考えない方がいいですよ。この国では間違いなく加害者になる人間です」


マリアンネの後に答えてくれた人はエルヴィーラ。

商人のまとめ役で区長にも選ばれているんだ。

皆の服や食糧、お菓子などを他国の商人と取引しているみたい。

私は詳しく分からないけど、凄いよね。


「マリアンネとエルヴィーラの意見を採用するね。他の区長も賛成でいいかな」

「「賛成です」」


ダミアンとグスタフも賛成なんだ。

被害者でもあるけど、加害者でもあるんだね。

せめて苦しまないように殺してあげるよ。

闇魔法(デス)


「さて、残されたクズの国に一緒に行きたい人はいるかな?」

「私の祖国です。私が付いて行きます」


「マリアンネの親はどうすればいいのかな?」

「殺して下さい。お願いします」


子供が親を殺してと言うのか…。

何か原因があるのかもしれないけど寂しいね。


「ごめんね。区長達で2人の死体を処理しておいてね」

「「かしこまりました」」


「マリアンネ、行こうか。転移魔法(テレポート)


クズの国の城壁の外に移動した。

中で色々すると面倒だからね。


ここは、冒険者組合で呼び出した奴隷商人がいた国だ。

長命種のエルフやハイエルフの魔力の雰囲気は把握できている。

短命種の獣人は難しい。

人間との違いが分からない。


「マリアンネ。エルフとハイエルフ、悲しい感情の人をここに呼ぶから、加害者がいたら教えてね」

「かしこまりました」


大人の奴隷は悲しむより、諦めている感情が多いと思う。

可哀想だけど無視するね。


攫われて悲しんでいる子供達を優先するよ

召喚魔法(サモンマジック)


ハイエルフ4人にエルフ6人。

獣人の子供15人。

人間の子供60人。


「みんな突然呼び出してごめんね。念力(サイコキネシス)、さらに動けなくしてごめん。ハイエルフの記憶を覗かせてもらうよ」


ハイエルフに親の記憶は無しか。

幼い頃に攫われて、この国に閉じ込められていたみたい。

これ以上は深く探れないや。

エルフの6人は4人のハイエルフの子供だね。


ハイエルフを1人だけ話せるようにしよう。

「ごめんね。1人だけ話せるようにしたから答えて欲しい。ハイエルフの子供は皆ここにいるかな?」

「あ、私ですね。はい。私たち4人の子供はここにいます」


「君たちの記憶を覗かせてもらったけど、親の記憶が無いから家に帰してあげられない。私たちの国にハイエルフの人たちが住んでいるけど、良かったら一緒に暮らさない?」

「はい。ここに住むよりも安心だと思います。よろしくお願いします」


念話(テレパシー)

「長老。他国でハイエルフ4人とエルフ6人を保護したけど、受け入れてくれないかな?」

「勿論です。助けて頂きありがとうございます」


「今からりんごの木の近くに送るから、相手をしてあげてね」

「分かりました」


「2000年以上生きているハイエルフの長老が、君たちを受け入れてくれると言ったので、向こうで話を聞いてね。家は後で用意してあげるよ」

「そのような方が住んでいるのですね。ありがとうございます。必ず働いてお礼をします」


「気にしないで。悲しい思いをてきたんだから、楽しんで生活してね。転移魔法(テレポート)


これで、ハイエルフとエルフは大丈夫だね。


「次は獣人の子供たちの記憶を覗かせてもらうね」


獣人の子供は皆、親を殺されていみたいだ。

しかも、目の前で目撃している子が多い。

酷過ぎるよ。

何でこんな事が出来るの。


念話(テレパシー)

「カーリン。他国で獣人の子供を15人保護したけど、孤児院で受け入れ出来そうかな?」

「はい。大丈夫ですよ」


「そっか。かなり可哀想な目に遭っている子供たちだから、優しくしてあげてね」

「勿論です!」


獣人の子供はこれで大丈夫。

「獣人の子供を綺麗なお姉さんがいる場所に送るから、楽しく暮らしてね。転移魔法(テレポート)


人間の子供は売られている事が多いんだよね。

この国ではどうなんだろう?


「人間の子供の記憶を覗かせてもらうね」


なるほどね。

侵略して奴隷にする国だから、親も奴隷として働いているんだ。

親に売られたりした子供はいないみたい。


子供たちを動けるようにして、親をここに呼んであげよう。

召喚魔法(サモンマジック)


「突然呼び出してごめんね。今から国内が危ない事になるから子供を連れて避難してね」

「奴隷の子供たちでしたか。侵略して奴隷にして、子供が産まれたらその子も奴隷ですか…」


みんな国から離れて行くね。

これだけしかできなくて、ごめんね。


「マリアンネの言った通り。奴隷として働かされている親の子供。この人数なら村も作れるから大丈夫だよ。私はそう思うけどいいよね?」

「はい。シャーロット様の考えでいいと思います」


あとは、見逃している可哀想な子供達がいないかだけど。

いい事を思い付いたよ。


「国内にいる人を全員広場に集めればいいよね。そうすれば、良く見えるよ」

「そうですね。断然早く判断できると思います」


マリアンネと男と一緒に、国の広場の上空に飛んで行く。

国内にいる人は全て把握した。

召喚魔法(サモンマジック)

念力(サイコキネシス)


「獣人の子供とかいるかな?私が見た限りではいないと思うけど、マリアンネどうかな?」

「獣人の子供も親も見当たりませんね。人間しかいないようです」


「そういえばこのブルーノって貴族はクズだけど、他の貴族もそうなの?」

「この国の貴族は同じです。こいつの記憶を覗いて処理するのが一番です」


「その中にマリアンネの親もいるんじゃないの?」

「本当に気にしないで下さい。殺されるべき人間です」


そこまで言うならもう聞かないよ。

ブルーノの記憶を覗くか。


なるほど。

豪華な服を着ている人が貴族と言うのかな?


殺す人間は把握したよ。


「ブルーノ。話せるようにしてやるよ。言いたい事はあるか?」

「良かったなブルーノ。お前のお陰で貴族は皆殺しだ」

「何故だ?言う事を聞く吸血鬼だろ?何故殺すんだ!」


こいつは馬鹿だ。

神に選ばれたと思っている。

吸血鬼からみたら皆、同じ人間だよ。


「ブルーノ。お前の家族と一番偉そうな奴を殺すから見ておけ」

闇魔法(デスワーム)


「動けない状態で喰われる様にしてやったよ。良く見えるだろ?」

「な…、何故だ。マリアンネ、お前はこの国の貴族だろ。何故平気で見ていられる」


泣きながら訴えてるね。

罪も無い人を平気で殺しているのに。

どれだけの人を泣かしたか理解していないのかな?


それに、マリアンネはこの国の貴族じゃないよ。


「はぁ?私はシェリル国の人間だ。そして、この国は邪魔だ」


マリアンネの親がいるんだよね。

即死させてあげよう。

闇魔法(デス)


死んだ人間と喰われている人間は念力(サイコキネシス)を解こう。


「さあ、死んだ人間が分かる様にしてやった。あと殺すのはお前だけだ。どうやって死にたい?」

「む、無茶苦茶じゃないか。ただお願いをしに行っただけだぞ」


「どんなお願いだ?言ってみろ」

「今更聞く気になったのか?私たちの国の属国になれ。そうすれば、いい待遇にしてやる」


「マリアンネ。属国って奴隷になれって言っているのかな?」

「この国に限って言えばそうですね。本当に馬鹿ですね…」


奴隷にする為に命令しに来たのか。

何で言う事を聞くと思ったんだろう?

どうでもいいや。


「そうだ、私がお願いをしましょう。家族の近くで固めておいて下さい。こいつの被害者が何をするのか気になりませんか?」

「確かにそうだね。私は人の言う事を聞く吸血鬼だから、マリアンネの言う事を聞くよ」

「な、なな、何故だ、何故だ。私は貴族だぞ」


「吸血鬼からみたら貴族もただの人間だろ?お前は本当に馬鹿なんだな」


マリアンネの言う通りだよ。

みんな同じ人間だよ。


ブルーノを喰われている人間の横に移動させて。

念力(サイコキネシス)


念話(テレパシー)

ここにいる全員に声を届けよう。

「今からブルーノ以外動けるようにするね。好きに生きればいいよ」


よし、他の皆の念力(サイコキネシス)を解いてと。

ああ、皆が悲鳴を上げているよ。


私に怯えているようだね。


仕方が無いよ。

君たちの国の人間が悪いんだから。


「マリアンネ、帰ろうか」

「はい。特に殺す相手も残っていません」


転移魔法(テレポート)


まずは孤児院に移動。

「あっ。ブルーノが殺されたよ。やっぱり、被害者に殺されるんだろうね」

「そうですね…。私は会議室に戻って結果を報告してきます」


「うん。よろしくね」


獣人の子供たちは大丈夫かな。

あまりにも酷い状態だった。

元気に笑ってくれるかな。


「カーリン、皆は大丈夫?」

「はい、大丈夫です。皆、お風呂で綺麗になった後、着替えさせました。今回、獣人の子供服は予備がたくさんあったので良かったです。今は疲れていたのか眠っていますよ」


「そっか、良かったよ。あとはよろしくね」

「分かりました」


獣人の子供たちが眠っているのは安心したからかな?

これから楽しい人生を生きて欲しいな。


飛んでハイエルフの森に向かった。

「長老。突然ごめんね。他国の貴族が文句を言いに来たから、殺すついでに助けたんだけど、大丈夫かな?」

「ええ。同じ種族です。問題ありませんよ」


「家は用意してあげないといけないね。どこに作ればいいかな?」

「そうですね。あの木と、あの木にお願いします」


「二軒でいいの?ハイエルフ4人いたよ?」

「ええ。二軒で大丈夫です。一緒に暮らしたいみたいです」


そっか。

酷い目にあったもんね。

友達がいた方が安心出来るよね。


木魔法(ウッドハウス)

木魔法(ウッドブリッジ)


「他に私が出来る事は何かあるかな?」

「大丈夫ですよ。家も用意して頂きましたし、十分です」


「そっか、困った事があったら社に来てね」

「分かりました。シャーロット様」


貴族を殺した国の奴隷の人たちはどうするのだろうか?


駄目だ。

考えるのは止めて探知範囲を戻そう。

私が守るのはこのシェリル国なのだから。


社に戻りお母さんに報告しないと。

転移魔法(テレポート)


お墓に手を合わせて伝えよう。

お母さん、子供が親を殺して欲しいと頼んできたよ。

苦しまないように殺したけど、殺したのは酷い人ばかりだったよ。


村から街になり国になったけど、人が増えてから人を殺してばかりだ。

私はたまに分からなくなるよ。


お母さんだったら何て言うかな。

無暗に殺し過ぎているのかな?

怒られるかな。

会いたいよ。


社の中に入り寝転がる。

お母さんが言った、好きに生きるとしたら何をしよう…。

やっぱり、ここで眠っていたいよ。


今でもお母さんと一緒に寝ていた布団を使っているんだ。

何回も補修しているから、かなり変わっちゃったけどね。


お母さんの匂いは残っていないけど、私はこの布団が大好き。

好きに生きるんだったら、ここの布団で寝るのが一番だよ。

お休みなさい、お母さん。

シャーロットはまだ子供です。

何でもできても子供なのです。

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