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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第3章 神国シェリル

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閑話 ジェラルディーン 竜王の仕事

本当に珍しいわね。

シャルが見せしめ行為をするなんて。

竜の国の誰かに見せる必要があったと考えるべきだわ。


私は竜の国の全てのドラゴンに見せるつもりだけどね。

シャルの目的は恐らく違うでしょう。


記憶を覗いた結果なのか、攻めて来た相手から何かを言われたのか…。

普通なら瞬殺して終わるはずの雑魚共。


私に確認したという事は、ヴィーネの行為は聞かなかったのね。

何故ドラゴンが攻めて来たか知りたかったから私に確認をした。


ああ、なるほどね。

竜王の私が攻めるなと命令している。

それを無視してドラゴンが攻めて来た。


そして、攻めて来たドラゴンがシャルを不快にさせる言葉を言った。

ヴィーネの殺害が目的だった可能性が高いわね。


つまり、上位の族長が馬鹿なドラゴンを唆している可能性が高い。

それを感じた為、見せしめにしたのかな?


次は無いと脅迫したのね。


護衛として控えている2人のドラゴンに声を掛ける。

連絡係として使えるからちょうどいいわね。


「おい、生き残った族長を王の間に集めろ」

「「かしこまりました」」


土地神りんご酒の分は仕事をしないとね。

私室から王の間に歩きながら蜥蜴にされたドラゴンの姿を思い出す。


角と翼と尻尾を切断され、魔力も固められ、声も封じられ、涙を流していたわね。

自分たちから攻めた癖に覚悟が無さ過ぎるのよ。

泣くほど後悔するなら攻めるな。


本当に不愉快で馬鹿な種族だわ。

私とヴィーネがドラゴンとして特別なのかしら?


王の間に集まった8人の族長に笑顔で話し掛ける。

「族長を殺されたドラゴンが攻めた結果、蜥蜴になって戻って来たな。どう思う?」

「許されない行為です。ドラゴンとして見過ごせません!」

「報復するべきです!相手は相当手強い。竜王様のお力が必要です」


話しをする2人が計画を立てたのか?

いえ、反対意見を出す奴がいないから残りも賛同者だろうな。


「お前たちは馬鹿か?私は攻めさせるなと命令したのだぞ。攻めた馬鹿が悪いだろ。私に殺されないだけでもありがたいと思え。命令違反したのに擁護するのは何故だ?」

「殺されるよりも屈辱的な行為をされたからです。これは竜の国への戦線布告です」

「そうです。殺されていたならば文句はありません。明らかに挑発行為をされております」


ここまで馬鹿だと演技な気がしてしまうな。


竜の国のドラゴンは既に2回も攻めていたんだぞ。

愚兄の計画でな。


「お前たちが殺された族長の部族に攻めるなと命令したんだよな?殺されていたら文句が無いだと?何か狙いがあったと自白しているようなものだぞ。先に戦線布告しているのは攻めたこちら側だ。頭大丈夫か?ヴィーネは罪人を処罰しただけだぞ。計画が上手く行かなくて焦っているのか?」


族長を眺めながら様子を伺う。

どいつもこいつも動揺しているな。

相手が想像以上に強くて焦っているだけか。


やはり、ヴィーネの殺害が目的か。

産まれたばかりのヴィーネが竜王になれば、自分たちが竜王になる事は絶対にないのだから。


理解したのはヴィーネがいたら竜王になれないと言う事だけか。

竜の国が滅びないように全てのドラゴンに必死に伝えると思っていた私も甘かったな。


こいつらは想像以上の馬鹿だったようだ。


上位20人で話し合う仕組みは不要だな。

雑魚19人を集めて話し合う意味は何もない。


私の命令に逆らうなら殺せばいいだけだ。


こいつらは多くのドラゴンが協力すれば竜王の私に勝てると思っていそうだな。

だから、愚兄の計画に安易に賛同する族長がいた訳だ。


生きているこいつらはまだ計画を聞いていないだけだった可能性がある。

強者だと勘違いしていた多くのドラゴンはシャルの見せしめに恐怖している。


古代種(エンシェント)ドラゴンまで蜥蜴になっているからな。


こいつらを殺して全て終わりにするのが一番楽そうだ。

8人全員に呪いをかけて試してみるか。


呪術(トゥルー・オア・デス)、お前ら全員に呪いをかけた。今から質問に対して嘘や沈黙すると死ぬぞ。次の竜王に相応しいのは誰だ?」

「「私です!」」

「「俺です!」」

「「俺だ!」」


うんざりする程馬鹿しかいないな。

ヴィーネの力を間近で見ても全員が竜王になれると思っているのか。


「私と竜の国のドラゴン全てが戦った場合、どちらが勝つと思う?」

「「竜の国のドラゴン全てです」」


やはりそうか…。

確実にヴィーネの殺害を命令したな。


誰かが命令していると感じたシャルが見せしめを行った。

20人に選ばれている馬鹿は未だに分かっていないようだ。


シャルもドラゴンがここまで馬鹿だとは思っていないのだろう。

竜の国は滅びる寸前だったな。


「8人でヴィーネを殺しに行くか、私を殺すかどちらがいい?」

「「ヴィーネを殺しに行きます」」


私には敗北しているから8人では勝てないと分かっていても、ヴィーネには勝てると思っている。

11人の殺された族長は自分より弱いとしか思っていないのだろうな。


ヴィーネは私より強いと教えたはずだが。

ああ、ドラゴンは自分が戦ってみないと分からない種族だったな。


「馬鹿な雑魚共の相手は飽きたよ」

沈黙(サイレンス)

3重(トリプル)結界。

火魔法(フレアサークル)


結界で対象以外燃えないようにして声も消す。

実に快適な殺害方法だ。


灰になって何も残らないのが気持ちいいな。


怯えている衛兵に命令しておこう。

「おい、全てのドラゴンに伝えろ。20人の族長を決める必要はなくなった。竜王の決定が全てだ。文句があるなら蜥蜴にすると言え。分かったな?」

「「か、かしこまりました」」


私たち姉妹が産まれるまでは同程度の力しかないドラゴンの集まりだったから成立した仕組みだな。

19人の族長は竜王になれるチャンスがあった訳だ。


これでシャルの国に攻める馬鹿なドラゴンは消えただろう。

蜥蜴のお陰でドラゴンの意識改革も行えて一石二鳥だ。


そして、多くのドラゴン種の絶滅も防げた訳か…。


念話(テレパシー)

「ヴィーネ、シャルが竜の国に見せしめを行った理由は気付いているわね?」

「私と叔母さんの為に竜の国を滅ぼさずに解決しようとしたのよ」


「あなたが族長を皆殺しにしていれば、シャルはそんな事をする必要なかったわね」

「分かってるわよ!母さんは私の為にならどんな行為も平気ですると思う…。それが良く分かった」


「分かっているならいいわ。今のシャルが好きなら気を付けなさい」

「私が母さんを変えるような真似はしないわ。絶対に同じ失敗はしない」


「それならいいのよ。私も今のシャルが好きだからね。シャルの一番大切な人はあなたよ。あなたに敵対する相手には容赦しないでしょう。敵を作るなら皆殺しにしなさい。あなたは最強だけど、シャルはあなたに戦わせるような真似はしないわよ」

「それも分かってる。母さんの目を見たら止められないと思った。普段の優しくて甘くて、どこか抜けている姿ではなかった。二度と見たくない」


「そこまで理解しているならいいわ。しっかり反省しなさい」

「本気で反省しているわよ!じゃあね」


ヴィーネもすっかりシャルの娘ね。

母としてのシャルの顔を見て止められなかったのね。


シャルに任せて正解だったわ。

あなたは知識だけある子供なのだから、これからもたくさん勉強しなさい。

丸投げが得意なジェラ姉さんです。

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