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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第1章 シェリル

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閑話 ユッタ 女王ですよ!

本当に良かったです。

でも、捕まった仲間を全て一度に救出するとは思いませんでした。

ハイエルフの長老様なら何か知っているのでしょうか?


「長老様。シャーロット様はどれくらいの方なのでしょうか?」

「そうだね。世界そのものだよ。吸血鬼の真祖だとは思うけど、人柄が吸血鬼とは違ってとても優しいからね。この国は世界で一番安全だと思うよ」


真祖。

確か吸血鬼の王になるべく生まれる存在。

でも、吸血鬼の王だからと、あれほどの存在になるのでしょうか?


「吸血鬼の王という理由だけではない気がするのですが?あれ程の吸血鬼が一度でも世界に存在したら、吸血鬼に全ての種族が支配されていると思います」

「そうだね。私もそれは不思議に思う。伝説の真祖だとしても規格外過ぎる。本当に何でもできてしまうだろうね。でも、あまり気にしなくていいと思うよ。街の人たちを見てみると、皆から尊敬されているみたいですし、決して悪い方ではありません。攫われた孤児を助ける事に一生懸命なのも、自分が捨て子だったからかもしれませんね」


あれ程の存在を捨てるのですか?

吸血鬼は意味が分かりませんね。


でも、仲間を助けてくれましたし、住む許可もくれました。

隠れていた時も見逃してくれていたみたいですから、何も文句は無いですね。


「長老様。女王様。りんご、物凄く美味しいですよ」


何で勝手に食べてるのかな?

普通、私か長老様に聞いてから食べるよね。


「じゃあ、私も頂こうかな」

「長老様が頂くなら、私も頂きます」


嘘?

これはりんごですか?

私の知っているりんごの味ではないですね。


美味し過ぎます。

売っても食べても好きにしていいって、これ程のりんごを自由にしていいのでしょうか?

シャーロット様はかなり気前のいい方ですね。


「長老様。このりんごの味は凄過ぎますね。他のりんごが食べられなくなります」

「本当だね。2000年以上生きてきて、これ程美味しい食べ物は初めてだよ。素晴らしい力だね」


本当に凄いです。

種から一瞬で実がなるところまで成長させるのですから。

私たちの仕事がなくなるかと思いましたよ。


「シャーロット様は君たちがリンゴ飴という食べ物を食べたいと言ったから、りんごの木を植えたんだよ。それを忘れちゃいけないよ」

「そうでしたね。私たちの為に用意してくれたのですから大切にします」


リンゴ飴が食べたいと訴えていた事を忘れてはいけませんね。

りんごが無くならないように植えて下さったのです。


「そうだ。皆でお風呂に行ってみるといいよ。そこの建物の中に、水浴びできる場所まで用意して下さったから。ハイエルフの馬鹿者どもが泳いでるから、ぶつからないように水浴びを楽しんでおいで」


こんな場所で水浴びができるのですか?

ちょっと、何でもありが過ぎますよ。


嬉しいですけどね。


「皆。せっかくですから水浴びしますよ」

「「はい!」」


「服は家の中で脱いでね。あと、裸で街を飛び回ってはいけないよ」

「勿論です。恥ずかしいですからそんな事できません」


「その言葉を忘れないでね。みんな興奮して忘れちゃうから」

「それ程ですか。気をつけます」


皆を連れて木の家に入りました。

ここで服を脱げばいいのですよね?

ハイエルフもここで着替えていますね。


外から見えないように、木で目隠しまでしてくれているのですね。

凄い配慮してくれています。


凄い!

何ですかこれは?

この水浴び場を何も無い場所から作り出したのですか?

凄すぎますよ、シャーロット様。


「皆。入りますよ」

「「はい!」」


温かい。

気持ちいい。

何でこんな事ができるのでしょう。


常に新しい水が石から流れ出ている。

水が出ている石まで飛んで行って触ってみました。

この水は冷たいのですね。

では、温めているのは隅においてある石でしょうか?


興奮して外に飛び出しそうな娘たちがいっぱいです。

服を着ていない事を忘れているみたいですね。

長老様の言った通りですよ。


「こら。長老様に言われた言葉を忘れないで」

「「すみません」」


でも、ずっと浸かっていたくなります。


「長老様も来られたのですね」

「せっかくだからね。素晴らしい水浴び場でしょう。水の温度も調整できるようになっているんだよ」


「そんな事までできるのですか?」

「暑い日には冷たく、寒い日には温かくできるんだよ。本当に素晴らしいよ」


着替えた家に住みたくなってきました。

そうすれば、何時でも入れますから。


「ここの家に住みたくなったのではないかな?りんごも近くにあるし水浴び場もあるからね」

「そうですね。これほど素晴らしいと心惹かれてしまいます」


「別に森で私たちと一緒に住まなくても、ここに家が欲しいなら、シャーロット様にお願いすればいいよ。魔法で家が作れるからね」

「魔法で家が作れるのですか?それは魔法ですか?」


「本人は見たものをイメージしただけみたいだから、見たものは何でも作れるだろうね」

「何ですかそれは。想像以上の規格外ですよ。神様みたいな力ですね」


「そうだね。神様の代理人かもしれないよ?失礼のないようにしないとね」

「はい。仲間を助けて頂き、住む場所まで用意して頂いたのです。失礼な事はできません」


「それに、ここに住んでいれば絶対に安全だよ。例え何が攻めて来てもね」

「もしかして、()()()()()()()が攻めて来ても大丈夫ですか?」


「大丈夫だろうね。知り合いかもしれないよ?だって、あの方がシャーロット様の力に気付かないはずは無いからね。あの方も規格外だけど、燃やされそうになった森を私が防いだら、笑って去っていったよ」

「長老様は凄いですね。逃げるしかない()()()()()()()の炎を防いだのですか」


「そうだね。でも、シャーロット様を一目見た瞬間に殺されると思ったから、間違いなくシャーロット様の方が強いよ」


あのドラゴンの炎を防ぐだけでも十分規格外ですが、その長老様が殺されると思う程の方ですか。

やはり、私の判断は間違っていませんでしたね。

奴隷とか酷い事を何もしていないのも素晴らしいです。


「君たちは勉強を知っているかな?」

「いいえ。勉強とは何をするのでしょうか?」


「この街の子供は皆、勉強が無料でできるんだよ。文字の書き取りや計算、街の決まり事に魔法。素晴らしいよ。ハイエルフの子供たちも無料で通わせてもらえているから、君たちも通うといいかもね」

「私たちに子供はいないのですが、大丈夫でしょうか?」


「大丈夫だと思うよ。勉強したいなら相談してみたらいいよ。種族として産まれた時から子供がいないと分かれば、きっと、無料で勉強させてくれるよ」

「分かりました。相談したいと思います」


「女王様。そろそろお菓子を買いに行きませんか?」

「あなた達、自由過ぎるわよ。色々と考えなさい」


「すみません。でも、甘いお菓子を食べたいのです」

「はぁ、分かりました。長老様。お先に失礼しますね」


「ええ。お菓子の味を楽しんで下さい。あとで、感想を聞かせて下さいね」

「はい。ハイエルフの方も食べられるお菓子があると思いますので見て来ますね」


「皆。服を着てからお菓子を買いに行きますよ」

「「はい!」」


身体を拭く布まで用意してくれている。

どれだけ準備がいいのでしょう。


さて、お菓子を買うにしても、どうしましょうか?

道を歩いている人に聞くか、シャーロット様に聞くか…。


「すみません、お菓子は何処に売っていますか?」

「話にあった妖精だね。お菓子は真っ直ぐ行って、噴水から南側に進むといいよ。そこが、果物やお菓子が売っている場所だからね」


ちょっと、勝手に話し始めているんですけど。

女王ですけど、完全に置いてかれていますよ。


この娘たちに警戒心はないのかしら?


捕まったのに、もう忘れてしまったの?

森に帰ったら説教決定です。


「ありがとうございます。女王様。場所が分かりました」

「ええ。本当にありがとうございます」


普通、私が先頭を飛ぶものでしょ?

この娘たち、お菓子で頭がいっぱいになっていますね。

女王が最後尾で必死に付いて行くのは、流石におかしいわ。


本当にもう!


「女王様。果物屋とお菓子屋が見えてきました」

「そうですね。この噴水も素晴らしいですし、大きい建物も気になりますね」


聞いて無いですよ…。

お菓子屋さんに直行ですよ。

食にしか興味無いのですか?


「女王様。私たちが食べられる様に、小さいお菓子を用意してくれています」


そんな事までしてくれるのですか?

ここの人たちは私が知っている人間とは違うのかもしれません。


「妖精が買いに来ると聞いたからね。想像で小さめのお菓子を用意したけど、丁度いい大きさみたいで良かったよ。妖精用のお菓子は全部200ギルだからね」


こんなに色々あっても全部200ギルですか?

嘘でしょう?


10万ギルも貰ったのですよ。

物凄い買えちゃうじゃないですか。


だめだめ。

私がちゃんと管理しないと。


「今日は人数分だけです。お祭りも近いし皆まだ働いていないでしょ。無駄遣いは駄目です」

「そうだね。お祭りのリンゴ飴も200ギルだよ。楽しみにしていてね。あと、袋の中は小さいお菓子が30粒ずつ入っているからね。119人だよね?4袋買えば皆が食べられるからゆっくり選んでね」


物凄い配慮してくれています。

とても優しい方ですね。


「皆、どれがいいの?まさか全部買うとか言わないわよね?」

「え?女王様。全部買わないと味が分かりませんよ。迷わず買うべきです」

「その通りですよ、女王様。絶対に全部買うべきです」


この娘たちの食い意地は何?

いつものおとなしい性格はどこにいったのよ。

私の意見を完全に無視しているじゃない。


まあ、私も気になるからそれでもいいですけどね。


「5種類のお菓子を用意したから、全部4袋買うなら4000ギルだけどいいのかい?」

「はい、問題ありません!そうですよね?女王様」

「そうですよ!シャーロット様の心遣いを無駄にしたら駄目ですよ」


全く遠慮が無いわね。

お菓子を前に興奮していますね。


「はい。お金はありますので大丈夫です。全部4袋ずつ買います」

「毎度ありがとうございます。まとめると持ち運びが大変だよね?」


お金を払う前にお菓子を担いで帰る準備をしていますよ。

もう、絶対説教です。


「はい。1袋ずつなら運べますので、このままでお願います。すみません、お金の価値が分からないので、袋から4000ギル取って頂けませんか?」

「いいですよ。せっかくだから、簡単にお金を説明しましょうか?」


本当に優しい方ですね、

この国の人間は皆、こういう方なのでしょうか。


「はい。是非お願いします」

「この一番小さい銅のお金が10ギル、次の大きさの銅のお金が100ギル。銀のお金が1000ギルで、金のお金が1万ギルだよ。袋には入って無いけど、この金の大きいお金が10万ギルだよ。シャーロット様が使いやすいように、細かく入れてくれているね」


そんな細かな配慮までして下さっていたのですね。

少し重たい袋だと思いましたが、私たちの為だったのですね。


「ありがとうございます。とても勉強になりました」

「大切なお客様だからね。また買いに来て下さい」


「ええ。必ず買いに来ます。リンゴ飴は1つで5人分はあります。物凄く作る必要はありませんよ」

「そうでしたか。とても助かります。119個余分に作るのは大変ですからね。ありがとうございます」


「それでは失礼しますね」

「ええ。ありがとうございました」


皆、お金の話は聞い…!

えーー?


女王を置いて誰もいないとかおかしくないですか?


絶対に学校に通わせよう。

街の決まり事とかを学ばせる必要があります。


常識が無いです。

ここまで自分勝手に行動するなんて。


今まで森の中にしかいなかったので、気付きませんでしたね。

私もいい勉強になりました。


急いでりんごの木まで戻ると、既に食べていました。

「女王様。この袋のお菓子が一番美味しいです」

「いいえ。こっちの袋のお菓子が一番です」

「あなた達何を言っているの?これが一番よ」

「本当に味音痴ね。これが一番です」

「生まれたばかりの妖精じゃ味の違いも分からないのね。これが一番です」


何を言い争っているの?

まず、女王を置いて帰った事が非常識です。

しかも、私を待たずにお菓子を楽しんでいるのも非常識です。


「確認しますが、1人1個ずつしか食べていませんよね?好きな味を何個も食べていませんよね?当然ですが、女王である私が食べる分は残してありますよね?」

「女王様。また買いに行けばいいのですよ」

「そうです。今から行きましょう」


決定です。

絶対に勉強させます。

説教しても聞かないでしょう。

この娘たち、常識が無さ過ぎる。

シャーロット様にお願いしましょう。


「今回私は我慢します。あなた達、しっかり働かないとお菓子は買いませんからね」

「「働きます!」」

お菓子のおじさんは特に優しいです。

女王様はプンプンです。


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