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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第3章 神国シェリル

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閑話 グレーゴール 自尊心

マリアンネの説明を聞いて思う。

この国は途轍もなく発展している。


改めてバルドゥルから話を聞くと地上で一番発展しているようだ。

すれ違う様々な種族や着ている服、家の作りを見ても間違いないだろう。


命が助かったのは奇跡だったようだな。

神様扱いされている2人は本当に桁違いの強さのようだ。


ジェラルディーン様よりも強いとはな。

そんな存在が2人も一緒に国にいる。

こんな事が普通あるか?


ジェラルディーン様は最強の称号である竜王だ。

竜王より強い存在が地上にいるなど、どうなっているんだ。


一番信じられない情報はドラゴンより強い人間がいると言う事だ。

それも複数だ。


納得できるか?

俺たちは最強のドラゴンなんだぞ!


短命種の人間に劣るなどあってはいけないだろう。

バルドゥルが弱いだけで他のドラゴンには勝てないのではないか?


そんな人間がドラゴンが弱いと勘違いしているのは腹立たしい。

バルドゥルの話だと、一番強い人間は孤児院で働いているそうじゃないか。


どうしてそんな人間がドラゴンより強くなれる。

有り得ないだろう。


絶対に認められない!

俺たちドラゴンが弱いと思われたまま生活する事はできない。


俺は立ち合いを望むべく孤児院を訪れた。

孤児院に入ろうとした時、気付くと目の前に2人の女の子が立っていた。


この2人は本当に格が違うな…。


「あらら、君も殺してきたドラゴンと一緒だね。自分の弱さを認められないんだ。人間より弱いのが嫌なんでしょ?」

「人間より弱いはずがありません。バルドゥルが弱いだけです!」


「君が相手にしようとしている人間はジェラルディーンと組手できる程強いけど、君は命懸けで勝負を挑むのかな?」

「ジェラルディーン様が相当手加減したのでしょう」


竜王と組手ができる人間などいるはずがない。

娘がいる国だから花を持たせただけだろう。


「母さん駄目じゃないかな?」

「せっかく生きる機会を与えたのに無駄にするんだね。君は努力したから強いと言っている訳ではないでしょ?ドラゴンは強い種族だから人間に負ける訳が無いと言ってるんでしょ?」

「努力する必要はありません。ドラゴンは歳を重ねるごとに強くなりますから」


私の後ろに部族の者が呼び出されたみたいだ。

「今から君たちに選択をさせてあげる。人間より弱いのを認められないドラゴンはどれだけいるのかな?族長がどうしても立ち合いをしたいみたいなんだよね。私としては同じ考えなら竜の国に帰って欲しいんだよ」


人間より弱いのを認められないなら竜の国に帰れだって?

それは、弱者のように卑屈に生きろと言う事か?

私の部族にそのような者はいないはずだ!


「お前たちは人間より弱いのを認められるのか?俺は立ち合って実力を証明したい。族長命令でも何でもない。好きな方を選べばいい」


5人は認めるのか!

子供がいるから受け入れるのか?


情けない。

何と情けない。

今すぐ殺したい!


「クリスタ。ちょっと立ち合いをしてもらってもいいかな?」

「別にいいですよ。今日は授業が休みですからね」


こんな何の特徴もない普通の小娘がドラゴンより強いだと?

バルドゥルはどれだけ弱いんだよ…。


「クリスタ。殺してもいいよ!」

「ヴィーネ様、本気で言っていますね。んー、シャーロット様も同じ意見ですか?」

「殺してもいいし、無力化してもいいよ。立会人を呼ぶからね。転移魔法(テレポート)


ここは訓練場か?

何故バルドゥルがいるんだ?


立会人はバルドゥルか?


「グレーゴール殿、いったい何をしようとしているのでしょうか?」

「俺は人間より弱いのは認められない。お前とは違う。それを証明するだけだ!」


「シャーロット様、何故私をここに呼び出したのですか?」

「ドラゴンが皆同じ考えか気になってね。バルドゥルは違うの?」


「ドラゴンは強い種族だと思っておりますが、訓練も何もせずに人間より強いとは思っておりません。子供たちの成長を見ていれば分かります。その女性に勝つ事は不可能でしょう」

「保護したグレートドラゴンのほとんどがグレーゴールと同じ意見みたいなんだよ。せっかく助けた命なのにもったいないよね。子供がいる5人は認めてくれているから、その人たちだけはこの国で暮らせるけど、他の人たちは駄目だね。必ず問題を起こす。君たちはクリスタに負けた後、竜の国に帰れるの?」


何故負けるのが前提になっているんだ?

相手はただの人間なんだぞ。

おかしいじゃないか!


「勝ってこの国で暮らすと言う選択肢は無いのですか?」

「クリスタなら20人同時に相手にできるよね?」

「空を飛んで炎を吐くだけとかされなければ余裕ですよ。私は空を飛べませんからね」


「人間がドラゴン20体を同時に相手にできるとか、どれだけ自信過剰なんだ。こんな環境で我慢して生活するのは無理だ。ドラゴンを侮辱するにも程があるぞ!」

「という事らしいよジェラ姉ちゃん。この人たちはいらないや。竜の国で引き取ってよ」


いつの間に…。

何故ジェラルディーン様がいらっしゃるのだ。


「こいつら奇跡的に助かったのに文句があるんだ。しかも、1人でクリスタに勝つつもりでいるし、どれだけ自信過剰なのよ。ドラゴンが強い訳じゃない。竜王の私が強いのよ!ほとんどのドラゴンが勘違いをしているから腹立たしいわ。ヴィーネのように殺すのが正解だったわね」

「あいつら自分たちは特別だと思っていたからね。勘違いした馬鹿の相手を何回もするのは嫌なんだよ。だから殺したの。私と母さんの邪魔をしないで欲しいからね」


「グレーゴール、1人で戦うか20人で戦うか決めて。クリスタはどっちでもいいみたいだから。負けたら出て行ってもらうよ」

「負けたら私が殺すわ。奇跡は二度も起きないのよ。好きな方を選びなさい」


「族長、20人で戦って圧勝しましょう!何もせずにじっとしていられません」

「そうだな。竜王に殺すとまで言われたら黙って見てられないよな。20人で相手をします」


「クリスタ。こいつを最後に残してあげて。死ぬ前に自分のしでかした事を理解させましょう」

「分かりました。いつでもいいですよ。私を殺す気みたいですから、こっちも殺す気で行きます」

「人間の娘よ、後悔させてやる!」


「では、ようい・・・・始め!」


な、な、な…。

何が起きているんだ。

人間の娘の姿が消えた。

激しい打撃音と共にどんどん部族の者が倒れていく。


「何が起こっている!これでは人間が戦っているかどうかも分からないじゃないか」

「クリスタが普通に殴り倒しているだけだぞ。お前こそ何を言っているんだ?相手が見えない程自分が弱いだけだろ。手加減でもして欲しいのか?」


「これでは実際に人間が戦っているかどうか分からないではありませんか。余りにも不公平です」

「クリスタ、雑魚が喚いているけど、どうする?」


「最後の1人ですから歩いて相手してあげますよ」

「だそうだ。相手が見えて良かったな。私は不愉快過ぎて今すぐお前を殺したいけどな」


「グレートドラゴンの俺が人間に負けるはずがない!」

「あんたみたいな勘違いを見ると苛々するんだよね。どいつもこいつも人を見下して。とりあえず、今から一発殴るから耐えてみなさいよ」


どこまでも舐めやがって!

一発だけ殴らせてやるよ。

その後、発言を後悔させてやる。


「偉そう、うぐぅあ…」

は、は、腹、腹が痛い、痛い痛い痛い…。

ぐ、ぐるじぃ…。


「グレーゴール殿…、残念です」

「はぁ…、私が弱い者イジメをしているみたいじゃない。偉そうな事を言うならそれなりの実力を見せなさいよ。ほんと嫌な事を思い出させてくれるわ」

「クリスタには迷惑掛けちゃったから特別報酬を私が出すよ。何か欲しい物はあるかな?」


「え?ヴィーネ様がくれるんですか?先に言って下さいよー!エルダードワーフが打った剣が欲しいです。いいですか?」

「流石中立派!私に躊躇いなく高価な物を要求してくるね。ちゃんと頼んでおくよ」

「今回は仕方がないよ。攻めて来た人を安易に受け入れるのは駄目だね。ドラゴンだから甘く見ちゃったよ」

「シャル、ドラゴンは勘違いしている馬鹿が多いから厳しい方がいいわ。今度攻めて来たなら殺しなさい。そんな事より、クリスタ少し強くなってない?お祭りが楽しみだわ。20人の馬鹿共はヴィーネが殺した方法を採用しましょう。火魔法(フレアサークル)、死ぬその時まで苦しみ続けなさい」


熱い、熱い、あづい、あ゛あああああ…。

ジェラ姉ちゃんはクリスタが少し強くなっててウキウキです。

クリスタも剣が貰えてウキウキです。

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