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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第3章 神国シェリル

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閑話 クラーラ 家族

私は何歳になったのかな?

気付いた時には奴隷商人に捕まっていたんだよね。


長命種の特徴なのかな?

自分の名前は分かるのに、誰に呼ばれていたのかも、どんな場所に住んでいたのかも分からない。


私は売れない子だった。

何年檻に閉じ込められた生活をしたのか分からない。

奴隷商人に捕まっていた他の子は、何人も買われていくのを見たんだ。


奴隷商人と買いに来る人の会話を聞いていれば理由はすぐに分かったよ。

私は他の子よりも値段がかなり高かったみたい。


奴隷商人は早く私を売りたくて仕方がなかったと思う。

だけど、安く売る訳にはいかなかったのかな?

だから、噂のシェリル国を目指した。


私の人生の転機だよ。

シャーロット様やカーリンお姉ちゃんと出会えた。


まだまだ子供だけど、もしかしたらカーリンお姉ちゃんより年上かも。

自分がハイエルフかエルフか分からないけどね。


でも、そんな事はどうだっていいよ。

シャーロット様もカーリンお姉ちゃんも大好き。

孤児院にいる他の大人も好きだし子供も好きだよ。


孤児院は大きな家族なんだ。

街の大人も子供も孤児院を特別に見たりはしない。

差別される事もないし嫌な視線を感じる事もないんだ。


シャーロット様は人間がハイエルフを育てる事が難しいと感じて長老たちを招待した。

でも、本当の理由は違うと思うんだ。


きっと、多くのハイエルフの子供たちに寂しい思いをさせたくないからだと思う。

シャーロット様がその寂しさを一番良く知っているから。

同じ思いをして欲しくないと考えたんだと思う。


シャーロット様に助け出されたハイエルフやエルフの子供たち。

誰も孤児院に住む事を選ばなかったね。


私は一番最初に保護されたエルフだし、すぐにカーリンお姉ちゃんが好きになった。

だけど、後から保護されたエルフの子は孤児院が嫌いだったのかな?

ハイエルフの集落ができたら、皆そっちに住む事にしたからさ。


長老の説明は私も分かってるよ。

でも、カーリンお姉ちゃんと離れたいと思わないもん。

だから、何かがあるまでずっと側にいたいと思っているんだ。


そして、孤児院から集落に移動したエルフの子や集落のエルフの子は少し違うと思った。

私の事を心配している振りをしながら馬鹿にしているように感じた。


「何で人間や獣人たちと一緒に暮らしているの?私たちと一緒に暮らそうよ!」

「いつまで孤児院にいるの?そろそろ集落に来たらいいのに」

「寿命が違うから悲しい思いをするよ?早めに孤児院から離れた方がいいよ」

「私たちは短命種とは違うのよ?分かってるでしょ?」


本当に色々な言葉を掛けられたよ。

でも、全然集落に行きたいとは思わなかった。


救出されたばかりの時は怯えていてあまり個性を出さなかった。

でも、学校に通うのに慣れてくると長命種である事を誇るようになった。


種族の勉強は学校でたくさんする。

種族で差別してはいけないと教えられるんだ。

シャーロット様が感情を把握できる事も教えてもらえる。


孤児院でも学校でも喧嘩する子はいるけど、種族を理由にした喧嘩はした事がない。

それに、すぐに仲直りするから問題になる事もなかった。


ただ、皆も徐々に感じていたのだと思う。

集落にいる子たちは自分たちを見下していると。


大人から見たら皆が仲良く遊んでいるように見えたと思う。

でも、実際は2つの組に分かれていたんだ。


集落に住んでいる子とそれ以外の子。


全力鬼ごっこの時は一緒にシャーロット様を追い駆けた。

だけど、集落の子たちは人間や獣人の子が考えた作戦を無視する。


好き勝手にシャーロット様を追い駆けただけ。


シャーロット様が悲しむから差別する事はできない。

だから、皆は差別するのではなく区別した。


種族の特徴だと認識したんだ。

私は自分がエルフなのが凄い嫌になったよ。


だけど、私が区別される事はなかった。

孤児院で一緒に住んでいる家族のお陰だと思う。


集落の子に話し掛けられるのを嫌がっていると分かった孤児院の子は、誰でも気付いたら私に声を掛けてくれた。

私は集落の子に「ごめんね」と一言謝って離れる事ができた。


孤児院を卒業した大人でも時間ができたら遊びに来るんだよ。

一緒に鬼ごっこをしたり、かくれんぼをしたり、大人になっても子供たちと一緒に遊ぶんだよ。


本当に大きな家族だと思う。


私は孤児院が大好きだよ。

ヴィーネ様にハイエルフがまとめて飛ばされると聞かされた時に、記憶を消されて一緒に飛ばされなくて本当に良かったと思っているんだ。


ずっと疑問だったんだ。

全てのハイエルフやエルフを救ったのに、私の親は現れなかった。

集落に住んでいる孤児の子の親も現れていないと思う。


人間や獣人たちと一緒に過ごした子どもは自分の子だと言いたくないのかな?

理由は分からないまま飛ばされたけど、それで良かったよ。

本当の理由なんて知りたくないから。


ハイエルフやエルフの子が学校からいなくなっても何も変わらなかった。

だって、一緒に遊んでいた訳でも仲が良かった訳でもないから。

だから、寂しがっている子は誰もいなかった。


だけど、孤児院の子は私に声を掛けてくれた。

同族が誰もいなくなって寂しくないか心配してくれたんだよ。


私には孤児院に家族がたくさんいるから全然平気だよ。

だけど、絶対に譲れないものがあるんだ。


カーリンお姉ちゃんの隣は私の場所だから。

そこだけは何があっても譲らないからね。


カーリンお姉ちゃんは物凄い人気があるから、油断できない。

孤児院の皆は家族だけど、それでも譲れないよ。


口には出さないけど、心の中でカーリンお姉ちゃんをお母さんだと思っているからね。

カーリン軍の中でも争いがあります。

隣の取り合いは凄いです。

喧嘩ではないですけどね。

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