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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第3章 神国シェリル

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エルダードワーフを訪ねる

うーん。

やっぱり魔石の加工ができて装飾品が作れる人が欲しいよね。


「ヴィーネ、ドワーフ以外で魔石の加工ができる種族はいないかな?」

「エルダードワーフはどうかな?お酒は嗜む程度だし決まり事を守る礼儀正しさもあるよ。ただし、かなり職人気質なんだ。余りお金儲けに何かを作ったりはしないね。自分が気に入った素材で、気に入った物を作る事にこだわる。来てくれるかは分からないね」


それは面白いかも知れないね。

何でもやってくれる人も欲しいけど、こだわりをもって何かを作る人も欲しい。


信念を持っている人は、他者を見下したり馬鹿にしたりはしないと思うから。

何度も街の皆に我慢をして欲しくはないからね。


「会いに行ってみよう。話してみてから考えればいいね」

「そうだね。まずは会ってみてからだね。転移魔法(テレポート)


森の中に小さな一軒家があるよ。

煙突から煙が出ているから作業中かな?


ここに転移(テレポート)したという事はジェラ姉ちゃんの知識にあったんだよね。

種族でまとまって生活はしていないのかな?


「凄いね。こんな森の中で魔獣とか怖く無いのかな?」

「武器や防具も作るからね。それに、性能が物凄くいいから問題なく倒せちゃうよ」


「いいね。自活できているのは素晴らしいよ」

「そうだね。人に頼らないのはいいよね」


家の扉を叩く。

「こんにちは。話をしたいけど入ってもいいかな?」

「おい客だ。開けてやれ」

「はいよ」


夫婦で生活しているのかな?

「こんにちは。おや、珍しいお客さんだね。あんた、吸血鬼と古代種(エンシェント)ドラゴンのお客さんだよ」

「一目見て分かるなんて凄いね。入っていいかな?」

「ほんとだね。私まで分かるなんていい目をしいているね」


大きさは人間の大人の平均的な身長の半分くらいだ。

ドワーフの樽のような体と違って子供の腕と足を少しだけ太くした感じ。

太陽の光を眩しそうにしていないから、吸血鬼の真祖みたいなものかな?


私たちを見ても怖がらないのは何故かな?

正体が分かっていても怖がられないのは初めてかも。


「どうぞ入っておくれ。まともなお客さんなんて来た事が無いからね」

「今まで無いの?ちょっと面白いよ!」

「火吹きドラゴンはまともじゃないからね。間違いないよ」


お母さんが火吹きドラゴンに反応したね。

怖がっているよりも驚いている感じだ。


「ジェラルディーンを知っているのかい?あの人は私たちを揶揄いに来るだけだからね」

「私はシャーロットで、隣が娘のジェラルヴィーネ。産みの親はジェラルディーンだよ」

「あの人は叔母さんだよ。私を投げ捨てた叔母さん!」


やっぱり、ジェラ姉ちゃんの知り合いだったんだ。

道理で怖がらない訳だよ。


慣れているんだね。


「ちょっと、血縁者じゃないかい。じゃあ、あんたもただの吸血鬼じゃないね。真祖かい?」

「正解だよ。お母さん凄いね。私は人間に育てられた真祖だよ」

「エルダードワーフはかなり目がいい種族だからね。ドワーフとは違うよ」


「あんた。本当に面白いお客さんだよ。ちょっと作業を止めなよ。私はカーラで、作業中の夫はチャドさ」

「聞こえてるよ。真祖に古代種(エンシェント)ドラゴンだろ?武器も防具も必要ねーだろ。何の話があんだよ」

「家族みんなで私たちの国に引っ越さない?好きな仕事をしてくれていいよ。そういう人を探してたんだ」

「そうそう。皆でおいでよ。大体なんでも揃ってるよ。欲しい素材とかあるんでしょ?」


チャドが素材に反応したね。

ダミアンみたいで面白い。


「ほぉー!それは面白いな。俺が欲しい素材があれば引っ越してもいいぞ。まぁ、不可能だがな」

「あんた、まだ諦めてなかったのかい。2人の話は面白そうじゃないかい」

「言ってみてよ。なければ取りに行くよ。その代わり、引っ越して好きな物を作って生活してよ。偶に魔石の加工とかしてくれるだけでいいからさ」

「そうそう。私たちに用意できない素材はないと思うよ?」


チャドの目が燃えてるよ。

私たちに挑戦状を叩き付けるようだ。


「面白いじゃねーか。じゃあ、世界樹の雫を用意できるか?あの馬鹿が吹き飛ばしたせいで手に入らなくなったからな」

「どうやって作るの?世界樹はあるよ?」


「駄目だな。世界樹はジェラルディーンの血縁者なら創造できる。だが、足りないんだよ。世界樹は世界樹の精霊が入って、本物の世界樹と呼べるんだ。用意できるか?」

「できるよ。だって、世界樹の精霊住んでるもん」


チャドは椅子から派手に転げ落ちたね。

カーラは大口開けて、それを手で隠して驚いているよ。


「母さんの予想通りに行動して正解だったね。いると思ったもん」

「泣いていたから連れて帰ったよ。今は子供たちと遊びながら、世界樹の葉を薬にしたりして売ってるよ」

「本当か?本当なのか?母さん、引っ越しの準備だ。もうここには用がねー!」

「あんた、相変わらず単純だね。せっかくだから同胞たちもお邪魔させてもらった方がいいんじゃないのかい?」


「そうだな。つまらん作業はあいつらにやらせればいいか。1000年近く会ってないけど生きてるのか?」

「私が偶に会いに行ってるよ。皆、あんたの事を心配してるんだからね。夢追いの馬鹿だって」

「面白いね。好きだよそういうの。やりたい事をやらないとね。特に種族差別とかしないよね?」

「それは気になる。ハイエルフで懲りたからさ。世界樹の精霊と妖精も呆れてたから」


「それはねーから安心しな。ドワーフと違って礼儀も弁えてるから安心してくれ。俺は世界樹の雫が欲しいんだよ。早く案内してくれよ」


完全にダミアンと一緒だよ。

頭の構造が同じだね。


「100人程お世話になっても大丈夫かい?」

「余裕だよ。皆で引っ越して好きな研究とか開発してよ。嫌な人は何回か飛ばしてるから住み心地最高だよ」

「子供たちには友達もできると思うし何も問題ないよ。必要な環境は用意するからさ。どうすればいいかな?」

「今から荷物持って移動するか。まだ100人も生きてるのか。ほんと死なねーな」


「皆は洞窟で静かに暮らしているよ。私たちは洞窟に住んでいれば食べ物も必要ないからね。ほんと、何でこんな所に住んでるのか分からないよ。だから、ジェラルディーンに揶揄われるんだよ」

「人魚に近いんだね。様々な種族が住んでるから面白いよ。洞窟ならドワーフの時みたいに洞窟ごと移動させよう。その方が楽だからね」

「じゃあ、私の仕事だね。洞窟に案内してよ」

「ほら、行くぞ。必要なもんは何もねーからな」


何も無いの?

何でここに住んでるの?

今まで何の作業をしていたんだろう?


「いや、あるでしょ!何の為に洞窟から出て来たのさ。あんたが魔獣の皮で実験したいとか言い出したのが切っ掛けじゃないか。ちゃんと資料くらいは持って行きなよ!」

「じゃあ、そういうの纏めてくれよ。俺は洞窟に行って声を掛けてくるわ」


チャドは走って出て行っちゃった。

頭の中は世界樹で埋まったね。


「すみませんね。とにかく、研究と開発なんですよ。付き合わされるこっちの事も考えて欲しいですよ」

「面白いね。荷物の整理が面倒なら家ごと移動させるよ?」

「本当に資料しかないんですよ。家も邪魔になりますから。一緒に洞窟まで付いて来て下さい。あんた達も行くよ」

「また引っ越し?もう最後にしてよー」

「本当だよ。どうでもいい事ばっかりしてるからね」


子供にも呆れられるほど素材を追い掛けているんだ。

ダミアンも他の国に住んでいたら同じ事をしてそうだよ。


「大丈夫だよ。最後の引っ越しになるよ。私たちの国で揃わない素材は無いからさ。子供もたくさん住んでるし楽しんでよ」

「やっと腰を据えて生活できますよ。お願いしますね。もしかしたら、変な依頼をされるかもしれませんから」

「それも楽しみだね。暇してるからいいよー」


カーラは鞄1つだけ持って家を出た。


ちょっと…。

荷物少なすぎるよ。


チャド何考えてるの?

家族みんな大迷惑だよ!


カーラに付いて行ったけど…。


歩いて数分の洞窟だよ。

複雑に入り組んでいないし深くもない。


余りにも近くの洞窟で驚いたよ。

何でこの距離に同胞が住んでいて1000年会ってないの?


ジェラ姉ちゃんが揶揄う気持ちが分かっちゃったよ。


「おお、来た来た。待ちわびたぜ!」

「お前が言うな。1000年ぶりに来たと思ったら引っ越そうぜとか、頭おかしいだろ」

「本当だよ。家族の迷惑を考えな。それで、その国は面白いのかい?」

「最高だと思うよ!確実に世界で一番発展しているからね。住んでいる種族の数も世界一だろうし、世界一安全だからね」


本当だよね。

1000年待たせた人の言葉じゃないよ。


「綺麗な洞窟だね。ドワーフと違って整理されている。洞窟が複雑に入り組んでいないし特に怖いものも無いのかな?ここを移動させればいいの?」

「おう頼むよ。ここを丸ごと地下にでも移動させてくれれば大丈夫だからな。俺は世界樹の近くに工房を用意してくれればいいからよ」

「恐ろしいほど自分勝手だな。周りを振り回し過ぎだぞ」

「でも、世界一発展している街ってのは興味あるな。面白そうだし皆で行こうぜ」


「ヴィーネ。ドワーフと同じ感じにしちゃおう。その方が国の皆も分かりやすいからさ」

「はーい。じゃあ移動するね。次元切断(ディメンションカット)次元(ディメンション)交換(チェンジ)。移動は終わったよ。あとはドワーフの時と同じように森の中に出入り口と研究所に繋ぐ道を作るね。土魔法(ストーンロード)。はい、終わったよー」

「流石だね!ジェラルディーンより強いんじゃないのかい?」

「カーラ正解。ヴィーネが世界一強いよ。私の力も使えるからね。最強だよ!」

「おいおい、そんな事はどうでもいいじゃねーか。世界樹に行こうぜ!」


「この時間は学校で勉強しているし、その後は子供たちと遊ぶから夕方になるまでは世界樹に戻って来ないよ」

「そんなに待たせるのかよ。生き地獄じゃねーか!」


1000年も森の中で魔獣の皮の研究をしていた人の言葉じゃないよ。

物凄い面白いね。


「面白いね。ヴィーネはドワーフのお店があった場所に工房を用意してあげて。私は皆を案内するから」

「はーい。じゃあ、工房用意してくるね」


ヴィーネに任せれば最高の工房ができるね。

族長は誰なのかな?


「とりあえず、みんな私に付いて来てよ。街を案内するからさ。ところで、族長は誰かな?」

「いないよ。みんな平等さ。好きな事をして好きに生活しているだけだよ」


やっぱり普通の種族と少し違うね。

戦ってもそこそこ強いと思う。


「そっか。私たちも基本的には命令しないし、街の皆と仲良くしてくれれば何をしてくれてもいいからさ。自由に生活を楽しんでよ。とりあえず案内するね」


街を一通り案内してから、中央区の施設と、各種族のお店を紹介したよ。

「子供たちは学校に通った方がいいよ。友達できるし、やっぱり皆で遊んだ方が楽しいからね」

「そうさせてもらおうかね。いい環境じゃないかい。ハイエルフもドワーフも馬鹿な事をしたもんだ。勿体無いよ」

「あいつらは駄目さ。ハイエルフは同族だけで生活した方がいい。ドワーフは同じ名が付いているのが恥ずかしいくらいだ。酒で喧嘩ばかりしたんだろ?俺たちもそういう風に思われるから嫌なんだ」


念話(テレパシー)

住民に知らせておこう。

「今日からエルダードワーフが100人ほどドワーフと同じ場所に住む事になったよ。子供も20人ほど学校に通うからね。みんな仲良くしてね」


ドワーフとの違いも見たいね。

土地神りんごと土地神りんご酒をあげよう。


「ドワーフが喧嘩になった原因のお酒と、美味しい果物だよ。皆、飲んで食べてみてよ」

「ほー、この国のお酒か。どれどれ、ゴク、ゴク、ゴクゴクゴク。うめー!なんだこれ?これはやばい。ドワーフは絶対に両腕粉砕してるぞ。御馳走だな。こういうのは偶に飲むからいいんだよ。少しくらい働くか」

「こんなお酒があるのかい。お酒買うくらいは働かせるよ」

「魔石の加工とか簡単だしな。あとはハーピィの羽で装飾品か。ドラゴンの皮もあるし、世界樹まである。何でもありだな。人魚やセイレーンもいる。確かに世界一発展していると思う。ここはいいな。色々な食べ物も偶には食べたいしお酒も美味い。最高の環境だ」

「この果物めっちゃ美味しいよ。父さん仕事してよ。買ってよー」

「また食べたいよ。他にも美味しい食べ物あるんでしょ?少しは仕事してよー」


美味しさに驚いても、奪い合いはしないね。

買いに走ったりもしない。


子供が親に仕事をせがんでる。


いい感じだね。

美味しい食べ物がいっぱいあるよ。


仕事をするか分からないけど洞窟に住んでいるし好きにすればいいと思う。

こういう面白い人たちも珍しくていいね。


夕方になってドリュアスがお店に帰って来た。

チャドはずっとお店で待ってたよ。


「お店に用事かな?」

「チャド、ドリュアスが帰って来たよ」

「世界が終わるほど待ちわびたぜ。世界樹の葉を10枚くれ」


長命種の言葉じゃないね。

半日も待ってないのに面白過ぎるよ。


「ドリュアス、葉っぱだけで売った事あるの?」

「無いよ。エルダードワーフを連れて来たんだ。また、街が面白くなるね。葉っぱ10枚なら1000ギルでいいよ」

「おお、1000ギルだな。お、おお金がねー!今まで稼いだ事ねーよ!」


お金ないのにお店で待ってたんだ。

今回は特別に払ってあげよう。


セイレーンの店員に1000ギル手渡す。

「ドリュアス、10枚ちょうだい」

「はーい。葉っぱ10枚千切って」

「分かりました」


「チャド、どうぞ。次からは自分で買ってね」

「お、おお!ありがとよ。これからは稼ぐぞ。どんどん仕事持って来ーい!」


本当に面白い人だね。

こうしてエルダードワーフのお店ができたんだよ。

子供にせがまれて働く事になりそうです。

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