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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第3章 神国シェリル

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お祭り

甘えん坊が私より先に布団から出るなんて…。

何か考えて事をしているみたいだね。


決意した目でヴィーネが私を見た。

「母さん、今日のお祭りから国名を変えよう。神国シェリル!国長権限で決定だからね。皆に念話(テレパシー)で通達するよ」


突然国名を変えると言い出したよ。

しかも、神国シェリル。


神の国。

住民から2人とも神様扱いされているし反感は無いと思う。

でも、自分たちから神です、と宣言するみたいで恥ずかしいな…。


「それは土地神がいるからって事かな?」

「それもあるけどね。やっぱり、他国との違いを表すのに多種族国家じゃ弱いと思うんだ。だって、最強の国だよ。土地神が住んでいる国だよ。神国にした方がいいよ。そうすれば、最低でも理由くらいは知ろうとするよ。同じ失敗はしたくないから」


ヴィーネの言いたい事は凄く分かるよ。

この国の事を知ろうとしない人たちのせいで、多くの住民に迷惑を掛けてしまったから。


「国長に任せるよ。私はお母さんの名前が残れば何でもいいからさ」

「お婆ちゃんの名前は絶対に消さないよ!じゃあ、通達するね。念話(テレパシー)、今日より多種族国家シェリルから神国シェリルに国名を変えるよ。皆よろしくね」


これで神国シェリルだね。

今まで余り国の方針に口を出さないできた。

でも、ヴィーネが国長になったし暇つぶしに色々としてみようかな。


「シャーロット様、ヴィーネ様。本日はお祭りです。神国シェリルですか…。とてもいいと思います。では、よろしくお願いします」


マリアンネがいつものように声を掛けてきた。

国名に問題はなさそうだね。


社から飛び出して話し掛ける。


「神国で違和感は無いかな?」

「多種族国家よりも違和感がありませんね」


それならいいね。

元街長のマリアンネが言うなら大丈夫。


「お祭りの準備に問題は無いかな?何かお願いはない?」

「はい、問題ありません。いつも通り自由にして下さい」


「分かったよ。ありがとう」

マリアンネは一礼して去って行った。


「ヴィーネ。また、リンゴ飴の時間まで社で待ってる?」

「そうだね。国長だし国を監視しておくよ。どうせ叔母さんが来るからさ」


もう、本当は来て欲しいのでしょ?

母さんは分かってるよ。


「分かったよ。私はいつも通り適当に行動してくるね。転移魔法(テレポート)


ヴィーネに手を振って別れ、海底に作った砂浜に移動した。

濡れて着替えるのは大変だからね。


「今日はお祭りだよ。それで、セイレーンにお願いがあるんだ。夕暮れの少し前に皆で歌を歌ってくれないかな?お祭りは子供の時間と大人の時間が分かれていて、お酒とかがお店に出されるのは、夕暮れからなんだよ」

「はい。それでしたら皆で歌わせて頂きます」


ユリウスに20万ギルを手渡す。

「歌ってもらう仕事料だからって受け取って。そして、歌い終わった後は街で楽しんでいってよ。歌う場所は中央区の噴水前でお願いね」

「ありがとうございます。皆で精一杯歌います」


念話(テレパシー)

「クラウディア、ちょっと砂浜まで来て欲しい」

「シャーロット様、どうしましたか?」


クラウディアに10万ギルが入っている袋を渡す。

1000ギルを100枚だからね。


「はい、皆にお小遣い。今日はお祭りだから街に来てね。絶対に仕事をしたら駄目だからね」

「わざわざすみません。ありがとうございます」


「お祭りは半年に1回の全員参加だから絶対に来てね。範囲高位回復魔法(エリアハイヒール)。またねー。転移魔法(テレポート)


中央区の噴水の上空に移動し住民に声を掛ける。

念話(テレパシー)

「今日はお祭りだよ。みんな全力で楽しんでね!範囲高位回復魔法(エリアハイヒール)。病人や怪我人はいないよね?何か問題があるなら私は孤児院か噴水の近くにいるから声を掛けてね。神国シェリルのお祭り開催だよー!」


「シャーロット様、ありがとうございます」

「シャーロット様、愛の重さで死んでしまいそうです!」

「あれ?私が疲れていないの?」

「目の疲れと腕の疲れが取れたわー!」

「最近は本当に楽だなー」


何か変な声ばかり聞こえてきたけど、まあ大丈夫だね。

いつも通り狩りに行きましょう。


転移魔法(テレポート)

グレートボアの心臓を氷魔法(アイススピア)で一突きする。

リザードマンの集落に迷惑を掛けない川の位置でグレートボアを綺麗に洗う。


転移魔法(テレポート)

孤児院に移動する。

グレートボアを片手に持ったまま子供たちに声を掛ける。


「さあ、鉄板焼きの準備だよ。全力で行動だよ!」

「「はい!」」


本当にお祭りの日の子供たちの行動力は凄いね。

統率された軍隊みたいだよ。


「カーリン、尻尾の燻製は残ってないよね?」

「残念ですが、前回のお祭りで食べ終わっていますので残っていません」


そうか、残念だけど2回もあの顔を見れたんだから良しとしよう。

「カーリンはいつも通りクラーラとハイディをお願い。クリスタとビアンカは大皿持って来て。レナーテとチェルシーは子供たちがしっかりと焼いたお肉を食べてるか確認をお願いね」

「「分かりました」」


私が大人たちに指示している間にも子供たちの準備はどんどん進んでいくよ。

慣れている子が慣れない子に教えながら進めているね。


「シャーロット様、準備できました」

「よーし。食べる準備をして焜炉の前に全員集合だ!」


「「はい!」」


私はグレートボアを斬り分けて、鉄板の上と大皿の上に乗せていく。

子供たちの成長は早いから、今回は食べきっちゃいそうだよ。


「クラーラとハイディは私と一緒に土地神りんごの包焼きを食べましょう」

「物凄い美味しそう。お菓子みたい」

「本当だね。ハイディも楽しみ」


天使が小さな天使たちに美味しそうなお菓子を焼いているよ。

甘くて凄いいい匂いがする。


肉に群がる子供たちと、甘い土地神りんごを食べる子供たち。


ほんと癒されるねー。

お祭りの楽しみの1つだよ。


あ、もう来たよ。

何で夜になってから来ないのかな?

やっぱり、頭の成長止まってるよ。

結界は通れるようにしてあるから大丈夫かな?


途中から転移(テレポート)してきた。

少しは成長しているみたいだね。


「本当に鉄板焼きばかりしているのね。ふーん、今回は普通のお肉みたいね。夜まで時間あるし、ちょっと遊び相手を探しているのよ。この国で一番強いのは誰かしら?訓練場もあるみたいだし、少し遊びましょうよ」


ああ、少しずつ逃げようとしている。


分かる!

凄い気持ちは分かるよ!


でも、相手が悪過ぎる。

回避不可能なのは500年で知ってるから…。


「ヴィーネが一番強いよ。呼べばいいのかな?」

「そんな事は知ってるわよ。シャルの技を覚えた一番強い人を探しているの。結構強いのでしょ?」


これが目当てで早く来たね。

長老が飛ばされたからかな?


でも、長老よりはるかに強いからね。


「私が知っている限りではヴィーネとジェラ姉ちゃんの次に強いよ。クリスタ先生、倒してしまいなさい。絶対に夜までには戻って来てよ」

「あー!シャーロット様ーー!ただのドラゴンとジェラルディーン様は天と地の差がありますよー」

「へぇー。人間なのにドラゴン楽勝なんだね。楽しみだよ。さあ、行こうか」


クリスタは悲鳴を上げた後、悲しそうな顔をして大皿をレナーテに託した。

そして、ジェラ姉ちゃんに連れ去られた。

頑張れ!


「1人減っちゃったけど楽しんでいこう!お腹いっぱい食べたね?お風呂入って昼寝だよ」

「「はい!」」


流石孤児院の大人たち。

身体強化を覚えてから動きが違うね。

子供たちを軽く運べるから仕事が早く終わるよ。


ヴィーネがクリスタを見て、孤児院の大人なら身体強化と魔法を教えても問題ないと言っていたけど、相当努力しているね。


私は皆の努力が少し怖いよ。

ゆっくり続けてくれればいいんだよ?

なんで討伐隊や国防軍より既に強いの?


孤児院の大人たちだけでこの国が守れちゃうよ。

クリスタがいれば子供たちは守れたんだけどおかしな事になってるね。


そうか…!

みんな子供たちの為に頑張っているんだね。


実に素敵で素晴らしいよね。

そう思う事にした…。


子供たちと一緒に昼寝をして目を覚ます。

子供たちは既に着替え始めているよ。

寝起き良過ぎるよ!


声を掛ける必要もなく整列しているけど、一応ね。


「全員整列!お小遣いをあげるから並びなさい」

「「はい!」」


「お姉ちゃん達の言う事を守れるね?」

「「はい!」」


「光る雨が降ったら帰って来るわね?」

「「はい!」」


気持ちがいい程の一体感だね。

全員に1000ギルを手渡していく。


「よーし、お祭りに参加してきなさい!」

「「行ってきます!」」


「前回と一緒だけど、5人にもお小遣いをあげるね。1人いないけど…」

「すみません。毎回ありがとうございます」

「ありがとうございます」

「・・・・」(拝んでる)

「やっぱりここは天国なんだ」


全員に20万ギル手渡していく。

チェルシーがおかしな事を言った気がするけど、気にしなーい。


「前回と一緒。夕暮れまでは子供たちを見ててあげてね」

「「分かりました」」


念話(テレパシー)

「ヴィーネ。土地神リンゴ飴買いに行こー」

「はーい!」


すぐに私の隣に来たね。

じゃあ、買いに行こう。


前回と違って大人は並んでないね。

これなら大丈夫そうだよ。


「おじさん。土地神リンゴ飴を2つ下さい」

「ああ、シャーロット様にヴィーネ様。今回のお祭りはとても平和ですよ」


「迷惑掛けちゃったね。おじさんのお陰で美味しいリンゴ飴が毎回食べれるよ。ありがとう」

「いえいえ、この国の住民を差別する訳には行きませんからね。どうぞ、400ギルです」


おじさんに400ギル手渡し、土地神リンゴ飴を2本もらう。

「素晴らしいね。でも、おじさんがお願いに来たらすぐに飛ばしたよ?」

「そうだね。私も皆も我慢し過ぎたみたい」

「お2人が招待した住民を飛ばすお願いは難しいですよ」


そうなんだね。

やっぱり、私が我慢したのが悪いんだ。


「次からは見極めを厳しくするよ。でも、気になる事があったら教えてね」

「そうだね。感情だけでは判断できない事もあるから、皆の意見も大切なんだよ」

「分かりました。他の住民にも伝えておきます」


おじさんに手を振って別れ、いつもの場所に座る。


ユッタとドリュアスが楽しそうに屋台を見ているね。

人魚やセイレーンの子供たちも楽しんでくれている。


様々な種族の子供たちがお祭りを楽しんでくれている。

本当に良かったよ。


土地神リンゴ飴を舐めながらヴィーネと話す。

「やっぱり、私たちが連れてきたら言い辛いよね…」

「そこは思い付かなかったよ。いい勉強になった」


「今日のお祭りを見て思ったんだよ。前回は盛り上がっているように見えて、街の決まりを守らないハイエルフとドワーフの大人が、子供の時間に群がっていただけだったね」

「既に大人の教育も始まっているからね。街の決まりを知らないか、知るつもりが無い人たちだって事だよね。飛ばしてあげただけでも感謝して欲しいよ。ここから先は容赦しないから。だって、神国シェリルだからね」


国長権限が神の権限になってるよ。

ヴィーネちゃんが何をするか怖いね。


優しいから心配はしてないけどさ。


「そうだね。別に殺しても良かったんだけど無暗に殺す必要も無いと思ったんだ。目の前から消えてくれればそれでいいってね」

「お婆ちゃんの教えが私にもあるから飛ばしちゃうのかも。叔母さんなら殺しているからね」


間違いなく殺していると思う。

ジェラ姉ちゃんは優しいけど容赦しないからね。


厄災の火吹きドラゴンだからね。

機嫌が悪いと火力も上げてそうだよ。


「あ!クリスタが捕まったままだ。夕暮れまで拘束するつもりだよ。可哀想に…」

「長老と話して見下している人間の強さを知りたくなったんだろうね。本当に馬鹿な人だったよ。クリスタはいつでも殺せる準備をして話している事にも気付いて無かったから」


「中立派だけど過激だよね。何かあったら即座に殺すつもりだったもん。見ていて安心だけどさ」

「私の指示に逆らうんだから立派な中立派だよ。でも、一番努力しているから不思議だよね」


「討伐隊に教えた時に気付いたのかもね。秘儀を生み出す過程を想像したんじゃないかな?」

「危険だって分かっていたからね。立派だよ。他の馬鹿たちは関係無い事で騒いでいたからね」


「実際すぐに戻って来ないって事は、ジェラ姉ちゃんが楽しんでいる証拠だからね」

「まあ、あの強さの相手は中々いないよ。それに短命種だからね。面白いんじゃないかな?」


「それより、孤児院の大人たちが怖い早さで強くなってるよ。もう国を守れちゃうよ!」

「でしょ!中立派があんなに頑張るんだったら信者は凄いよね。人間は面白いよ!」


「子供たちを見て、強くなりたいとか知りたいとか考えている人には教えない事にするよ。この国に住む人にはどうしても危機感が足りなくなっちゃうから。私たちがいるから仕方がないけど、中途半端に扱われると目障りだからね」

「母さんの好きなようにすればいいよ。私は手伝うからさ」


「普通は逆だよね?ヴィーネが好きな事やって私が手伝うよね?おかしくない?」

「知識量だけは凄いからしょうがないよ。私は母さんとゴロゴロしていたらそれでいいからね」


「暇つぶしに世界を見て、国が自立したらゴロゴロしようね」

「そうだね。今は暇つぶしだね。あー、叔母さんが戻って来たよ」


2人とも元気に歩いて来たよ。

クリスタも楽しめたみたいだね。


「クリスタの事を長老が見下していたの?頭悪過ぎじゃない。何で殺さないのよ?」

「クリスタはいつでも殺せる準備をして話していたからね。それに気付かずに見下す長老が笑えたんだよ。クリスタが手を下すほどの価値もないし、私が飛ばしたよ」

「同じ技術を知っていたのに、ここまで差ができるほど長老は何もしなかったからね。飛ばされた先での長老は、居場所がなくなるか、死にかけるか、死ぬかのどれかだよ。ドワーフには土地神りんご酒1本だけ置いておくとかね。違うかな?」


「流石母さんだね。でも、そこまで酷い事はしてないよ。勘違いしている強者から、魔法の知識を忘れさせただけ。魔獣くらい近接武器で倒せないとね。ドワーフは正解。皆で分け合って飲めばいいよ」

「2000年以上生きてもあの程度しか魔法の訓練をしてないんだよ?年齢だけが自慢になっちゃったね。何とも思わないけどさ。ドワーフは大人が全員腕の骨砕いて終わりだね。まあ、それも何とも思わないよ。私が我慢し過ぎたから街の皆にも我慢させちゃったから、今は反省中だよ」

「まあ、やる事やっているならいいわ。海の馬鹿な元夫婦はお仕置きしておいてあげたわよ。ヴィーネはこの後、私に付き合いなさい。シャルも後から合流ね」


何か言われる前にジェラ姉ちゃんに10万ギル手渡した。

当たり前のように受け取るお姉ちゃんはおかしいよね?


「ヴィーネ、土地神りんご酒は社に置いてあるのを飲ませてあげて」

「あれって叔母さんの為だったの?母さん甘やかし過ぎだよ!」

「シャルはほんと可愛いわね!約束のお酒を用意してくれているならいいわ。ヴィーネ行くわよー」


ヴィーネは嫌そうな顔をして付いて行ったよ。

行くんだから仲がいいよね。


「クリスタお疲れ様。ジェラ姉ちゃんが名前で呼ぶなんて凄い事だよ。相当頑張ったね」

「私も自分の本気がどの程度か知りたかったので良かったです。凄く楽しめましたよ。厄災とか言われているのにかなり優しい人ですね。私の実力に合わせた組手でしたから」


「ジェラ姉ちゃんは、不幸が突然やって来る事を教えて人々が努力するように促していると思う。お城とかに火を吹くのは、勘違いした王族や貴族から奴隷を解放する為だろうね。まあ、それ以外にも火を吹くけどさ。だって、加減せずに火を吹いたら全滅するからね。生き残りがたくさんいる事が、手加減している証拠だよ。クリスタだってある程度の力を出して組手をしないとつまらないでしょ?それが、私たちの100年に1回の勝負なんだよ。カーリンがとんでもない勢いで努力しているから、孤児院の大人たちで組手ができるようになりそうだよね」

「本当ですよ。信者はおかしいですから。続ける事が大切だって教えたのに、とりあえず私に追い付こうとしていますからね。どこかで行き詰まると思いますけど、特に教えるつもりはありません。秘儀が生まれた過程を考えれば、そのうち見つける事ができますよ。私はまだ強くなれますか?」


まだ強くなりたいんだ。

本当に努力家だね。


「クリスタには次に必要な技術を教えてあげるよ。体が破裂しないかどうかの見極めも、感じる事ができるようになっているはずだからね。戦う前にね、身体強化しながら無属性の魔力を手から吸収するんだよ。そうすれば、使える魔力量が段違いに増える。人間の魔力量で全身を強化しても、まだ余裕があるんだよ。まあ、そんな事しなくても十分強いけど、魔法使いとしても自然界から魔力を回復できるのは大きいでしょ?一応、駄目な事は言っておくよ。無属性以外の魔力を体に入れたら吹き飛ぶからね」

「シャーロット様は弱者に尽くし過ぎですよ。無属性の魔力が溜まった魔石の魔力を、自分のものにできるように練習します。最後の言葉は不穏でしたね。光属性の魔力を体に入れて、光の速さで動くとか試そうとしたのですか?おかしいですよ。異常者ですね?」


なんで分かったの?

流石クリスタだね。


中立派の言葉は胸に深く突き刺さるよ。


「ジェラ姉ちゃんにも言われたよ。かなり危険だと思って、真祖になって試しても腕が簡単に吹き飛んだからね。残念ながら、自分でも異常者だと思うよ。そんな事より、ジェラ姉ちゃんの相手をしてくれたから特別報酬をあげるよ」

「まじですか?流石シャーロット様です!」


ヴィーネの真似をして、円形の板状に削った魔石に探知の魔法を入れる。

首からぶら下げれるように紐も通せる穴もあるよ。

完璧だね!


「この魔石を首からぶら下げていれば、半径500mの魔力を持つ人や魔獣の位置が把握できるようになるよ。クリスタに情報を送るように作ってあるから、他の人が持っても意味がないからね」

「とんでもない特別報酬じゃないですか。絶対に不意打ちされないなんて、最高ですね!」


どれだけ身体強化しても、不意打ちの毒針や麻酔針には対応できないからね。

クリスタなら不意打ちされないように怪しい場所の魔力反応を確認すると思うけどさ。


30万ギルも一緒に手渡す。

「皆より多いからね。特別報酬もお小遣いの金額も秘密ね。皆には前回と一緒の金額だからさ」

「おおーー!ありがとうございます。夜のお酒が美味しくなりますよ。では、子供たちの様子を見に行きますね」


「ありがとう。よろしくね」

クリスタは嬉しそうに子供たちの元に行ったよ。

ジェラ姉ちゃんと組手した後だとは思えないね。


組手もお祭りの恒例行事になりそうだよ。


そろそろ夕暮れだね。

噴水にセイレーンが集まって歌い始めてくれた。

歌っている間中、光魔法(ライトレイン)で街中を色鮮やかにしたよ。


大人も子供も、皆が立ち止まって静かに聞いているね。

凄くいい雰囲気。


澄み切った綺麗な歌声だね。

聞いていると気分が落ち着くよ。


長い時間歌ってくれていたと思うけど、あっという間に終わった気がする。

街の皆から盛大な拍手が送られてセイレーンの皆が照れているね。


街に一体感があるよ。

時間も夕暮れだし完璧だ。


念話(テレパシー)

「子供は家に帰る時間だよ。大人は引き続き楽しんでもいいけど、お酒の飲み過ぎには注意してね」


これで大丈夫だね。

「皆、孤児院に帰るよー」

「「はーい」」


孤児院に子供たちと一緒に入る。

カーリンたちに子供が揃っているか確認をお願いする。


「皆揃っているか確認をお願いね」

「「分かりました」」


あっという間に確認が終わった。

孤児院の中で何か決まり事があるのかもね。


「皆揃っています」

「ありがと。今回も布団の上でゲームするよ。一番最後まで動かなかったら、お菓子食べ放題だー!」

「「やったー!」」


皆、布団の上に乗ったね。

範囲睡眠魔法(エリアスリープ)


子供たちを眠らせてあげる。

みんな眠った時に動いたから引き分けだね。


「さあ。飲みに行っておいで」

「本当にありがとうございます」

「さあ、今日はたくさん飲むぞー!」

「ありがとうございます」

「・・・・」(拝んでいる)

「やっぱり飲みに行っていいんだ。天国だよ」


誰かチェルシーにおかしな事を教えてない?

別に悪い事を言っている訳ではないからいいのかな?


皆が帰って来るまで今までを振り返る。

やっぱり、我慢をし過ぎていたね。

そして、街の人にも我慢をさせた。


決断しないと駄目だよね。

私が招待しているんだからさ。


ハイエルフとドワーフには勉強をさせてもらったよ。

いい人もいると思うけど、少な過ぎる。


街に馴染む気のない種族は即座に戻そう。


街の決まり事なんて難しい事じゃないんだから。

他の種族はきちんと守って楽しんでいるよ。

やっぱり、教育は大切だと痛感した。


マリアンネは街長に選ばれる前は努力家だった。

今は普通に仕事をしてくれているけど、変わってしまった。

追い出した人たちと接し続けた事により、変わってしまったよ。


その人たちの記憶を消しても元には戻らないと思う。

環境により人は変わってしまうから注意しないといけない。

街の人たちに我慢をさせ続けていたらどうなったか分からない。


本当に大反省だよ。


戻って来たみたいだね。

カーリンはいつも通りの可愛い敬礼だね。


クリスタとビアンカにレナーテは担がれているよ。

レナーテはお酒に弱いのかな?


「ただいま帰りましたー!」

「ありがとうございます」

「レナーテ。ほんと弱いんだから、全部飲まなきゃいいのに」

「美味しいからね。悪酔いはしないしお祭りだからいいじゃない」


「お疲れ様。じゃあ、私は行くね。またねー。転移魔法(テレポート)


りんご林の机に移動した。

「母さん遅いよ。酔っ払ってハイエルフとドワーフを殺せってうるさいんだよ」

「何で殺さないの?恩知らずの害虫じゃない。クリスタだって殺すのを我慢していたって言っていたわよ。あんな害虫に見下されたら腕や足くらい吹き飛ばしてもいいでしょ?」

「クリスタは私がお願いしたら殺すと思うけど、そんなお願いするなら自分で殺すよ。孤児院を守る為に強くなってくれたんだから害虫の相手なんてして欲しくないよ」


「そういう事。害虫の駆除は魔獣で十分だよ。馬鹿夫婦の話は面白かったけどね。記憶を消して、ポセイドンを妻を追い続ける変態にするなんて。誤解は一生解けないよ。死ぬまで海底で鬼ごっこだね。叔母さんは嫌がらせの天才だよ」

「ほんと恩知らずで醜悪な奴ばかりじゃない。まあ、散々愚痴ったしもういいわね。シャル、本当に強かったわよ。人間であそこまで強くなるとは、やるわねー。馬鹿な古代種(エンシェント)ドラゴンなら殺せるよ。クリスタはまだ強くなるつもりみたいだし、実際に強くなる余地はあるけど、教えてあげたの?」

「教えてあげたよ。私の技術を訓練し続けてくれた最初の人だからね。クリスタがいなかったら、もう教えるのを止めるくらい酷い状況だよ。みんな強くなろうとしないんだ。被害者なのに弱いまま。理解ができないんだよね。私たちがいるから甘えるのかな?」


「それは違うと思うわ。本当に強くなった気でいるのよ。ここでは戦う機会がないから実感が湧かないんだと思う。私たちは弱いままだと分かるけど本人には分からないのよ。模擬戦でもやらせれば理解するかもしれないけど、そこまでお膳立てする必要もないわ。実際にクリスタは比べる相手がいなくても努力し続けているんだから。次のお祭りまでに強くなるかな?もー、楽しみが増えたじゃない」

「当たり前のようにお祭りに参加しているけど、お金くらい持って来てよね。私がお金を払い続けている事をおかしいと思わないのかな?馬鹿なのかな?」

「母さん、馬鹿なんだよ。大馬鹿なんだよ。叔母さんの兄姉を見れば分かるじゃない。魚人の王様になって偉そうにする馬鹿と、殺戮しか考えない馬鹿だよ。もう、親も馬鹿だったとしか思えないね」


「私は馬鹿ではないが、兄姉に関しては否定できないわね。古代種(エンシェント)ドラゴンが魚人の王様とか情けなさ過ぎる。親は当時最強だったわね。私たち姉妹が産まれるまではだけど。最初に産んだ兄が弱過ぎたから私たちを産んだのよ。今はヴィーネが最強だから星を壊さないでよ」

「叔母さんにだけは言われたくないよ。森に隠れている魔人を探すのが面倒だから、世界樹ごと消し去ったじゃない。今でも砂漠のままだったよ。本当に厄災だよ」

「本当に予想通りじゃない!世界樹の精霊が暇になって泣いてたんだよ。本当に酷いよね。やっぱり、厄災の火吹きドラゴンだよ。もう朝になっちゃうからお風呂に入って寝ようよ」


「母さんの言う通りだね。いつまでも酔っ払いに付き合ってられないよ。転移魔法(テレポート)

何だかんだ言ってジェラ姉ちゃんも連れてきているじゃない。

本当に素直じゃないんだから。


3人一緒にお風呂に入って、3人一緒に布団で寝たよ。

ヴィーネは私に抱き付いているし、1人はやっぱりはみ出しているけどね。


「実に楽しいお祭りだったよ。次回も楽しみにしているわ。まったねー。転移(テレポート)

お姉様はご機嫌に去って行ったよ。

今回のお祭りは一体感があって本当に良かった。


「母さん、次のお祭りは孤児院の大人たちで叔母さんを討伐してもらおうよ。いけるよ!」

「討伐は難しくても油断してくれたら尻尾は斬れるね。ドラゴンに変身しないと思うから残念で仕方がないよ」


ジェラ姉ちゃんは油断しないから無理だろうけどね。

賢いし相手の力量を正確に把握できるから。


クリスタは十分に努力してくれた。

魔力を手から吸収するのは本当に難しいから、ゆっくり試してくれればいいよ。


子供たちも苦労しているけど、誰も諦めてないんだよね。

色々と工夫して努力し続けている。


技を生み出した甲斐があったよ。


ヴィーネから話を聞いて私は嬉しかった。

教師であり孤児院を守る者と皆の前で言い切ったクリスタは格好いいよ。


嫌な事ばかりじゃなく結果的には前進だね。


「ヴィーネ。今日はゴロゴロしよう。お祭りの次の日はゆっくりしないとね」

「そうだね。叔母さんの事を考えても仕方がないね。ゴロゴロしよう!」


ヴィーネが私にくっ付いてきたね。

2人一緒に眠り続けているような状態だよ。


それが一番落ち着く時間なんだ。


国名も変わった。

次はどんな種族に出会えるかな。


街も落ち着いたけど少しずつ前に進んでいる。

私も母親として立ち止まっている訳にはいかないね。

3人で一緒に寝るのが恒例になって来ましたね。

ジェラ姉ちゃんに認められたクリスタはかなり凄いです。

国名が変わりました。

2人とも神様扱いされていますからね。

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